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「♪~」
キッチンからハミングが聞こえる
歌と言っても決まった曲では無く気分が良いから思ったままに歌っているらしい
彼女の、柏葉巴の姿は珍しい

『奥様は幼なじみ』

柏葉が料理する姿を、僕はリビングのソファーに横になり何気なしに見ていた
彼女が我が家で料理するようになったのは一年前
姉が地方の大学に進学し、その際何気無しに「JUN君をお願いね。巴ちゃん。」と言ったのが始まり
それ以来、彼女は律義に僕の世話を焼いてくれている
情けない話だが家事技能を一切修得していない僕にとってはかなりありがたい
「♪~♪~」
因みにぼーっと柏葉を見てる僕の横でご機嫌に鼻歌を歌っているのは雛苺
こいつは別に家に家事しに来ている訳では無く
柏葉と仲が良いのでただ何となく着いて来ただけだ
と言うかこいつも基本的に家事は一切駄目
手伝いならテキパキとこなすのだが、如何せん一人でさせると何を仕出かすか分からない
はっきり言って見ているこっちが恐くなるので手伝いだけで止まらしている
まあ、柏葉はその内ゆっくり教えるつもりらしい
出来ればその際は我が家以外でお願いしたい

「桜田君。雛苺。用意出来たからこっち来て。」
「はーい、なの。」
「うい~。」

食卓にはご飯と味噌汁。それに焼き魚といんげん豆の胡麻和えが並んでいる
「お味噌汁の具は茄子にしたから。」
「わーい、お茄子大好きなの。」
手馴れた様子でお椀に味噌汁をすくい、各自に配っていく
配り終わるとエプロンを外し、キッチンの壁のフックに掛ける柏葉
うーん、それにしても
「はい、雛苺。麦茶。」
何と言うか
「ありがとーなの。」
「桜田君も、はい。お茶。」
「ん、サンキュ。」
こうやって家事をしてる柏葉って
「なあ、柏葉。」
「なに?」
「お前ってさ。」
「うん。」
「奥さんって感じだな。」

「え!」
突然、真っ赤になる柏葉
「良妻って感じがする。」
「え!え?」
「じゃあね。JUN。」
「ん?」
「JUNはお父さんって感じがするの。」
「何でだよ?そんな老けてるか僕?」
首を横に振る雛苺
「んーん、そうじゃなくって。ソファーで寝転がって巴を見てる所とかお父さんって感じ。」
「なんだよ、それ。それじゃ、まるで僕がグータラ親父みたいじゃないか。」
その言葉を聞いて雛苺は笑っている
「おい、柏葉も何か言ってやってくれよ。」
僕を援護して貰おうと柏葉に話を振ってみた
しかし、彼女は顔を赤くしながらボーっとしていた
「どうかしたのか?」
「え!?あ、何でも無いよ。」
「ともえ?」
「御免ね、雛苺。さ、温かい内に食べましょう。」
……変な奴
まあ、そういう日もあるのかな




「私が奥さんで、桜田君がお父さんって事は。二人は……。」


おしまい
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