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第五話 「私ハ罪人デス」


外では粉雪がやんでいた。
弱々しくも美しい雪はあっという間に溶けてしまった。
私たちの関係もそうだったのかもしれない。
たった少しだけど美しかった。
しかしその関係は雪溶けのように壊れ始めていた。

「お、落ち着いてください!」

べジータの声ではっとする。

そうだ、私は今首を絞めている。
絞められているではなく絞めている。
オディールさんが私の手をとり自分の首を掴ませると
力を加える。オディールさんの手から力は伝わり
私の手へと行き首へと行って結果絞まってる。
必死に外そうとするがオディールさんの力が強く中々外れない。
オディールさんの青が青ざめると同時に力も弱くなってくる。
それでも中々外れなくべジータが横から入り思いっきり力を加えて
ようやく外れる。外れた際にオディールは後ろへと倒れ床で横たわる。
様子を見た所頭などは打ってないようだが首がかなり絞まってた為か
まだ咳き込んでいる。それを見てべジータがナースコールを押す。
その間に雪華綺晶くちオディールに近づき背中をさすったりする。
近づいてみると何かが聞こえてくる。
何でしょう?
耳を澄まして聞くとそれはオディールの声。
さらに耳を澄まし何を言ってるか聞いてみる。

小さい声だがどうにか聞こえる。
オディールは二つの単語を何回も繰り返し呟いていた。

「御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい
 御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい
 御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい
 御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい
 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して」

ただずっと呟いている。
自分の罪を責め死で償おうとの考えだろう。
そしてその死は被害者・・・雪華綺晶によって与えられたい
という考えなのだろう。
オディールは再び私の手を掴もうとする。
いくら加害者でも殺すなんて出来ない。
手を払いのけ後ろへと下がる。
オディールは泣いたまま立ち上がるとずっとずっと呟きながら
私にへと近づいてくる。
恐怖、自分が殺される訳でも無い、むしろオディールが
私にオディール自身を殺させようとするのに
まるで殺人鬼が向かってくるような威圧がある。
べジータが後ろからオディールを動けないように
腰と腕の間に手を通し自分の腕を曲げ
取り押さえる。オディールの力が強くて外されそうになるが
何とか堪える。

一分少々ほどして医者が部屋に来る。
医者は発狂しているオディールを見て一瞬ぎょっと驚くが
すぐに冷静を取り戻す。そういう事は流石に慣れているのだろう。
医者はべジータにそのまま押さえる様に言うと看護婦から
手渡された注射器をオディールに近付き刺し中の薬を注入する。
オディールは暫くの間ひたすら叫んでたがやがて意識が無くなった。
それを見て思わず安心して一息つく。
立ち上がろうとするが腰が抜けて力が出ない。
それを見たべジータが雪華綺晶の肩を掴んで立ち上がらせ自分の腕で支える。

「・・・ありがとうございます。」
「いいや気にするな。」

べジータはそう言いながら私を椅子に座らせる。
しかし・・・本当に怖かった・・・。
隣では医者がベッドにオディールを寝かそうとする。
ベッドに横たわらせると布団をかける。
寝顔を見たがさっきの狂気に満ちた表情は消え
穏やかな寝顔となっている。

「・・・まさかあんな事になるなんて・・・事前に言わなくてすまない。」
「いえ・・・悪くありませんわべジータは・・・。」

そうだ、ベジータは悪くない。
彼は私に気を使って敢えてオディールの事を教えなかったのだ。
悪いのは・・・。
思わずオディールの方を向いてしまう。

たった数日どころか昨日一日の付き合い。
それでも大切な知り合いだった。
けど・・・何で・・・。
その後医者から私達二人は退室をして欲しいと言われ
薔薇水晶の病室に戻ってきている。
戻ってきてからはずっと無言だ。
空気が重くて喋るに喋れない。
私は黙ってずっと薔薇水晶の顔を見つめ続ける。
・・・ばらしーちゃん。
何でこんな事になってしまったのでしょう?
思わず涙が出てくる。
その涙を黙ってベジータが拭いてくれる。

「・・・すみません。」
「気にするな・・・。」

ベジータは一言返すとまた無言で拭き続ける。
彼にまで迷惑をかけてほんと申し訳ない・・。
そのままの状態で時間が過ぎていく。
やがて少し気になる事が浮かび上がりベジータに喋りかける。

「そういえばベジータ・・・轢いたのは・・・あの人の親の人じゃ・・?」

昨日聞いた限りではベジータは轢いたのは親でその親で
親は死んでると言った。だからその娘に会う為にこの病院に見舞いついでに来たのだ。
そして会った彼女、話す間もなく発狂しただひたすら“ごめんなさい”“殺して”
とだけ言い続けた。轢いたのは親なのに何故あそこまで・・・?

たった数日どころか昨日一日の付き合い。
それでも大切な知り合いだった。
けど・・・何で・・・。
その後医者から私達二人は退室をして欲しいと言われ
薔薇水晶の病室に戻ってきている。
戻ってきてからはずっと無言だ。
空気が重くて喋るに喋れない。
私は黙ってずっと薔薇水晶の顔を見つめ続ける。
・・・ばらしーちゃん。
何でこんな事になってしまったのでしょう?
思わず涙が出てくる。
その涙を黙ってベジータが拭いてくれる。

「・・・すみません。」
「気にするな・・・。」

ベジータは一言返すとまた無言で拭き続ける。
彼にまで迷惑をかけてほんと申し訳ない・・。
そのままの状態で時間が過ぎていく。
やがて少し気になる事が浮かび上がりベジータに喋りかける。

「そういえばベジータ・・・轢いたのは・・・あの人の親の人じゃ・・?」

昨日聞いた限りではベジータは轢いたのは親でその親で
親は死んでると言った。だからその娘に会う為にこの病院に見舞いついでに来たのだ。
そして会った彼女、話す間もなく発狂しただひたすら“ごめんなさい”“殺して”
とだけ言い続けた。轢いたのは親なのに何故あそこまで・・・?

「何で自分の娘を轢いたにも関わらずスピードも下げず進路を変えなかったのですか?」
「・・・逆だ、変えなかったんじゃない、変えれなかったんだ。」
「どういう事です・・・?」
「原付は何か色々細工されてたらしくてな。タイヤの部分に石膏か何かで固めあったらしく
 時間が経つと曲がらなくなるようになったらしい。
 スピードも上がるのは上がるが下がらないようになってたらしい。
 ブレーキも壊れていた・・・。」
「誰がそんな事をしたんですか・・!?」
「・・・オディール・フォッセー。」

一番聞きたくない名前がベジータの口から発せられる。

「え・・・?」
「オディールが親を殺す気でやったらしい。自供したと・・・。
 自分の計画では親だけが死ぬ予定だったが道の向こうに通行人が飛び出したのを見て
 止めようとして飛び出し骨折などの怪我、通行人は轢かれて意識不明の重症・・・。」

嘘だっ!
頭の中でずっと叫び続ける。
現実を信じたくなく虚にしがみつく。
しかし現実は非情、何も変わりはしない。

「オディールは親殺しの件については全くの反省はしていないらしいがな・・。
 元々巻き込む予定の無かった一般人・・・薔薇水晶の事に関してはあの様だ。」


オディールは必死に罪を償いたい、から私の手で自分を殺そうとした。
それは薔薇水晶を意識不明にした罪。
人を殺そうとした際の手違い。
人を殺そうとして巻き込んでしまった。
ばらしーちゃんは人殺しにこんな目にされた。
人殺しにこんな目にされた。人殺しに、人殺しに、人殺しに。
人殺しのせいで、人殺しのせいで。

「雪華嬢落ち着け!」

ベジータの声ではっとする。
唇をかんでたせいか血がだらだら流れている。
鞄からティッシュを取り出し止血する。
つい興奮してしまった。

「もう今日は帰った方がいい。」
「・・・そうさしてもらいますわ。」

唇をティッシュで押さえながら帰り支度を整える。
今日は色々あり過ぎた・・・もう帰ろう・・。
ばらしーちゃん、御免ね。

「私はどうすればいいのでしょう?」

薔薇水晶に尋ねるが返事は無い。
こんな時にほんと目覚めないという事実に心が傷ついてしまう。

その後ベジータはまだオディールに話があるという事で病院に残った。
正直もう今はオディールは愚か誰とも喋りたくない気分だ。
私は足早に玄関に戻る直前に警察の格好をした人に止められる。

「お話よろしいでしょうか?」
「よろしくないです。」

一言いい去っていく。
こんな状態で警察なんて喋りたくない。

「ま、まぁ待ってください。オディール容疑者の後の事だけ言わせてください。」

そう言われ足を止める。

「えーとちなみに大石です、よろしく・・。」
「名前は良いから話をしてくれませんでしょうか?」

いつもと違い相当キツイ言動。
しかしこんな状態じゃ仕方ない。

「え、はい・・・あの後オディールさんは目を覚まし薬のせいで
 大分おとなしかったみたいですね。
 ただ何故ああいう事をしたのかと聞くと一言だけ
 “私ハ罪人、罰ヲ受ケテ償ワナイト・・・。”
 と薬のせいでうまくは喋れてませんでしたが言ってました。
 はっきり言って精神的に危険です。今はそんな事を言ってても殺人者には変わりありません。
 くれぐれもお気を付けを・・・。」
「・・・はい。」

私はそう一言言うと足早に病院を去っていった。
家に帰るとすぐに寝転がる。
仏壇へ祈ることさえもしたくなかった。
ただずっと涙を流し考える。
ばらしーちゃんはあんな奴に、あんな奴に。
殺人者なんかに殺人者なんかに。
何が償いだ、死んで逃れようとしてるだけじゃないか。
そんな事ばっかり考える。
・・・罰って何だろう?
ふと思う。罰とはした罪を知ること。
身をもって。
けど普通は罪の大きさなんかどうあってもわからないだろう。
自分のした事を身をもって知るまでは。
なら償わせてあげようか?
自分のした罪で?
自分のした罪を身をもってお言葉どおり私の手で殺してあげようか?
思わず拳を握る手を震わせる。
彼女の罪は・・ばらしーちゃんを意識不明にした罪と・・・
親を殺した罪・・・。
じゃあまずは意識不明にしてその後じっくり・・殺してあげようか?
キッチンに向かう。棚を開け一番新しそうな包丁を選ぶ。
そして何も考えずに病院に行こうとしたが包丁で指を切り思わず我にかえる。
そんな事をしても・・・ばらしーちゃんは喜ばないのに・・・。

涙を更に流してしまう。そしてそのまま仏壇のある部屋に行き
そのまま泣きながらひたすら考えた。

「どうすればいいの・・どうすればいいの・・・お母様・・・ばらしーちゃん・・。」

答えなど無い問題、ひたすら考え、泣き、居ない親と妹に聞き続けていた。

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