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:5歳まで生きられません

誰かの声が聞こえてきます

ここは何処なんだろう
まるで海の底のように暗く冷たいわ
直接聞こえてくる声は誰なの

:可愛そうにあの子心臓の病気で助からないらしいわ

声はどんどん聞こえてきます

:6歳まで生きられない
:7歳まで生きられない
:8歳まで生きられない

いや、やめて

メグは哀れむような大人たちの声を聞くのが嫌で
耳を塞ぎます
けど声は止まりませんでした


:メグ、7歳の誕生日おめでとう

今度は別の男の人の声が聞こえてきます
そして聞き覚えのある声にメグも声を上げます

メグ:パパの声だ、助けてパパ私はここにいるの

けれどその声は届きません
だんだん声の他に映像が見えてきました
黒いスーツを着た男の人と髪の両側に小さな三つ網を施した女の子です

メグ:あれは…私…?

見ると男の人は女の子に何かプレゼントを渡しています
けど、映像の中の女の子はただ窓の景色を見て歌うだけです
男の人は表情を変えることなくまるで決められた
仕事を終えた後のように部屋から出て行きます


メグ:そうだ…私、いつも死んじゃうって言われて…それでも死ぬことが
できなくて疲れちゃったんだ…

まるで無意識の海の底に頭から入ってしまったようにメグは
ゆっくりと昔の記憶を思い出していきます

メグ:でも…パパやママはちゃんとお見舞いに来てくれた…
諦められたんじゃなかったんだ…私がパパとママを…拒絶した

メグの身体が段々泡のようにドロドロに溶けていくいきます

メグ:私が…素直ないい子じゃないから…だからパパやママに捨てたれたんだ…
私のせいだ…私が、私が、わた…
次第に海の流れが速くなっていきます
メグはその勢いに従うしかありません

メグ:お医者さんに諦められた、看護婦さんに嫌われた、おばあちゃんは死んだ、
パパとママに捨てられた、私にはもう…帰る場所が…   無い   …


―――――――――――――――――――
まだ太陽が顔を出していない静かな朝
聞こえるのは新聞配達のバイクの音と子鳥のさえずり
そして、ピッピッと1分間にごく僅かだけ聞こえるメグの命の音だけです
深夜、集中治療室に運ばれたメグは早朝一命を取り留めることはできました
けど、今度こそ明日までは生きられない
それが水銀燈の医者から聞いた答えでした

銀:メグ…どおして…一緒にお祝いしようって言ったのに…
昨日の夜、メグにお祝いのプレゼントは何が欲しいかを水銀燈は
聞くために病院に戻って来ました
けど、そのときにはメグはもう集中治療室の中でした
今は病院側から指示された一部屋でメグの回復を待っています

銀:メグ…やだよぉ…いや…
もはや涙も枯れた水銀燈には悲しみの言葉を重ねることしかできません
一晩中泣き続けていた疲れのせいで段々目を開けているのが辛くなってきました

看護婦さん①:メグちゃん、今回ばかりはダメかもしれないわね
二人の看護婦さんが水銀燈のいる方へ歩いてきました
看護婦さん②:まだ小さいのに可哀想よね、友達の水銀燈ちゃんも可哀想だわ
看護婦さん①:へ?

水銀燈は目を閉じると急に眠気が襲いました
そして、夢の世界へ落ちます


看護婦さん②:どうしたの?
一人の看護婦が訪ねると
看護婦さん①:水銀燈ちゃんって…誰?
もう一人の看護婦は何を言ってるのよいつもお見舞いに来てるじゃない、と言って
水銀燈のいるはずの部屋を空けます

しかし部屋の中には誰もいませんでした

看護婦さん①:誰もいないじゃない
看護婦さん②:おかしいな、………あれ?誰がメグちゃんのお見舞いに来たんだっけ
看護婦さん①:何言ってるのよ、あの子はいつも一人じゃない
そういうともう一人の看護婦はそういえばそうよね、と言って
二人で部屋を出ました

くらい
つめたい
さむい
ふかい
こわい

ひとり
ひとり
ひとり


独りはいや
誰か助けてほしい
昔からそうだった
一人で歌をうたって寂しさに耐えてた
大人たちは私が一人でも大丈夫な強い子だと思ってる
でも本当は
ずっとずっと寂しかった
うたいながら泣いていたの

:あなたは一人じゃないわ

誰なの

:あなたが本当は寂しがり屋さんなのも知ってる
優しい、そしてどこかで聞いたことのある声

:もう大丈夫よ、あなたはまだ死ぬには早すぎるわ自分を思い出して  メグ   
メ…グ

:そうよ、あなたはメグよ本当のあなたはそんなにドロドロじゃないわ
そうだ、私は柿崎メグ
思い出したわ
でも、あなたのことが思い出せないの


:ごめんなさい、わたしはもうすぐいなくなるの でもねメグ、あなたのことは
決して忘れないわ
待って、あなたのことを忘れたくない
思い出したい
あなたのお名前を教えて

:あなたがわたしのことを思い出しても起きたらすぐに忘れるわ

そんなことないぜったい忘れないから

:ばいばい、メグ 今までありがとう
  大好きだよ  大切な  お友達

待って
お願い行かないで
私を一人にしないで

:大丈夫よ、あなたは大切なことを思い出せたわ 
きっとこれからはうまくいくわ
だから…あなたはもう…一人じゃないわ

そして突然海は渦を巻くようにメグを飲み込んでいきます

お願い
もう少しだけ時間を頂戴
あなたのことを思い出せたわ
あなたは…


―――――――――――――――――――
ピッピッピッ
規則的な電子音が時を刻む小さな部屋の中でメグは目覚めました

メグ:私…生きてるんだ…
メグはゆっくりと状態を起こし深呼吸をして自分の胸に手を当てます
トクン、トクンと生きてることを実感します

メグ:ふぅ…まるで、夢を見ていたようね…

メグ:うぅ…ヒック…グス…ばかぁ…グス…忘れるわけないじゃない…水銀燈…



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