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「超機動戦記ローゼンガンダム 第二十二話 麗らかな日に」


「JUM、紅茶を入れて頂戴。」
「JUM~、私はヤクルトォ~。」
「あー、もう五月蝿いな。はいはい。」
JUMは真紅と水銀燈に言われたとおりに紅茶を入れ、冷蔵庫からヤクルトを取って来る。
「ありがとう、JUM・・・にしても、平和ね。」
真紅が上品に紅茶を口に運ぶ。
「そうねぇ・・もしかしたら嵐の前の・・・って奴かもよぉ?」
水銀燈はお茶菓子に手を運んでいる。
「まぁ、実際そうだろうな。僕らがモスクワに来てもう1週間くらいかな。レジスタンスもかなり集まって来てるし
他の集合基地では小競り合いが始まってるらしいよ。」
JUMもそう言って自分の為に入れた紅茶を飲む。
「そう・・・なら恐らく戦争が終わるまで休みはなしね。嫌だわ。」
「私もぉ。あんまり働きすぎるとお肌が悪くなるし老けちゃうわぁ~。ねぇ、JUM。それで私の貰い手が
なかったら、水銀燈を貰ってねぇ。あ、いても貰っていいわよぉ~。」
水銀燈の言葉に真紅がギラリと目を光らせる。
「な、な、何を言ってるの?水銀燈。JUMはこの真紅の下僕ー」
「ね?JUM。こんな貧乳で我侭な女王様気質のナイチチより水銀燈と楽しい事し・ま・しょ?」
水銀燈はワザとらしくJUMの腕に胸を押しつけた。
「あー、水銀燈さん?そう言う事されると赤い悪魔が・・・」
「JUM!貴方何鼻の下を伸ばしているの!全く、貴方と来たら!水銀燈!貴方もさり気無く
2回もひ、貧乳だなんて!ちょっと胸が大きいからって調子にならないのだわ!ガミガミガミガミ・・・」
(貴方と比べたらちょっとどころじゃないけどねぇ・・・言わないけど。)
真紅のお説教が始まる。今日は長そうだ。まぁ、鼻の下を伸ばしてたJUMも悪いのだが・・・


「トゥモゥエー!」
食堂で食事を取っていた巴に雛苺が飛び掛った。
「わっ、雛苺。どうしたの?もぐもぐ」
雛苺を膝に置きながらカレーうどんをズルズルと食す巴。何だかシュールな光景だ。
「あらぁ、雛ちゃん。そうだ、雛ちゃんも何か食べる~?」
のりが調理室からひょこっと顔を出す。
「ういー!雛、花丸食べたいの~。」
はいは~いと言って顔を引っ込めるのり。調理場からはジュージューといい音がしてくる。
「ね、巴。後で街にお買い物いこ~?うにゅーの買い置きもなくなっちゃったの~。」
「ふふ、いいわよ。じゃあ、食べたら行きましょうか。ズズズズズ・・・ふぅ。」
カレーうどんのカレーまで飲み干し、セットのカツ丼を食し始める巴。意外に巴の胃は頑丈らしい。
あまり彼女を知らない人から見ればほぼ無表情で食べ続ける彼女は非常に奇妙な光景だろう。
「は~い、雛ちゃん。花丸ハンバーグよぉ~。私も一緒に食べちゃお~。」
花丸ハンバーグを二つもってきて、一つを雛苺に、一つは自分のトコにおいて食べ始めるのり。
「わ~、のりぃ~、ありがとなのー。いったっだっきまーす!なのー!」
子供そのままの・・・と言うか、子供だからいいんだろうか。そんな表情で食べる雛苺。
「平和ねぇ。とても戦時中とは思えないわぁ~。」
いつも平和そうなのりが言っても説得力はないがその通りだった。
「そうですね。でも私たちの戦いはこの、何でもないような平和を手に入れる為。そろそろアリスも
動き始めるんじゃないでしょうか。」
大きなカツを一口で丸呑みし御飯をかき込む。顔に似合わず豪快だ。
「うゅ、大丈夫よトモエ!トモエもJUMものりも雛が守ってあげるの~。」
笑顔でそう言ってのける雛苺をみると思わず巴も笑顔になってしまった。


一方、街中では噴水の近くでなにやら心地よい音が流れていた。
「はぁ~い、今日はこれでお終いかしら~。また聞きに来るかしら~。」
街でバイオリンを弾いていたのは金糸雀だった。
「いい音だったよ、金糸雀。相変わらず気持ちよくなる。さすがは音楽だな。」
そのギャラリーの中に雪華綺晶もいた。
「あら、雪華綺晶。今日は新兵器・・・ええと、何ていったかしら・・・ウィスパーの調整は終わったのかしら?」
「惜しいな金糸雀。ヴェスバーだ。あらかた大丈夫だよ。扱いも慣れてきた。いつアリスとの戦いが始まっても
扱えると思うよ。」
バイオリンをしまいサクラダに戻っていく金糸雀と雪華綺晶。
「そう、アリスかしら。確かに最近は大人しい・・・でも、そろそろこっちの準備も整って反撃開始かしら」
「うん、そのつもりらしいよ。1週間程度じゃ元からあった兵器ならともかく、新しく作るのは
不可能に近いからね。此処に来て主力MSがランクアップするのは考えられない。」
事実、小競り合いをした他の地域でも出てきたのはバーズだ。バーズの人工知能自体は多少は
強力になったらしいが、所詮はバーズだ。ローゼンガンダムとでは性能が違いすぎる。
せめて隊長機くらいは他の機体でも・・・と思うが小隊の中に一機だけ違う機体がいれば
明らかに狙われるだろう。隊長機が落ちれば人工知能機は無力化される。これは人員を
ほとんど使わずに大戦力を保持していたアリス軍の意外な弱点でもあった。
「雪華綺晶は戦争が終わったらどうするのかしら?」
金糸雀が唐突にそんな事を聞いてくる。雪華綺晶はそうだなぁと考えると
「私はきっとレジスタンスか・・・或いはアリスを倒しきれば新しく軍が発足されるかもしれないな。
それに入るつもりだよ。戦争は終わってもアリスの残党などは恐らく残る。それを討つ仕事が
必要だと思うからな。金糸雀はやっぱりみっちゃんさんと?」
「そのつもりかしら。折角、みっちゃんと雪華綺晶の家が同じ街だったから一緒に帰らないかと
思ったけど・・・雪華綺晶がそう思ってるなら強制できないかしら。」
金糸雀がそう言うと、少しだけ雪華綺晶は目を丸くして言った。
「ははは、そうか。確かにそういうのも悪くないかもしれないな。」


「そろそろ帰るですよ、蒼星石。」
こちらは仲よさそうに手を繋いで歩く双子の姿があった。
「うん。あ・・・翠星石。こっちこっちー。」
蒼星石が翠星石の手を引いていく。その先は花屋だった。
「花屋ですか~。いいですね。何か買っていくのも華やかになるかもですぅ。」
「でしょう?えへへ、綺麗だなぁ~。」
様々な花を見ながら二人は時間を過ごしていた。
「蒼星石?その花は何ですか?」
翠星石が蒼星石が興味深そうに見ている蒼い花を見て言う。
「これ?これは勿忘草だよ。」
「わすれなぐさ?なぁんか雑草みたいでいまいちパッとしない花ですねぇ。それに名前が何か悲しいですぅ。」
それを聞いた蒼星石はあははっと笑う。
「でもね、僕はこの花好きだな。花言葉が素敵なんだよ。」
「花言葉ですか・・・・何ていうですか?」
しかし、蒼星石は珍しく悪戯な顔を浮かべると
「教えてあげないよ。気になったら調べてみてよ。」
と言う。翠星石は少し不満そうだ。
「むぅ~。まぁ、大した意味じゃねぇですよ。花言葉なら翠星石には薔薇がぴったりですぅ!美ですよ、美。」
「ははっ、じゃあ翠星石は薔薇は色によっても花言葉が違うの知ってるかな?」
「え!?・・・そ、そ、そんなのもちろん知って・・・・・知らんかったですぅ・・・」
うな垂れる翠星石。蒼星石は笑いながら説明してあげると、いくつか花を買ってサクラダに戻っていった。


「蒼星石~、御飯に行くですよ~?」
「うわぁ!?」
翠星石が蒼星石の部屋のドアを開けると蒼星石はビックリしたように何かを隠した。
「?手紙でも書いてたですか?そんな隠さないでも見ないですのに。ほら、御飯いくですよ?」
「う、うん。もう少ししたら行くからさ。先に行っててよ。」
蒼星石は翠星石を追っ払うと少し安心して息を吐き、机に向かった。
「後はコレをいれて・・・っと。ふぅ・・・・でも、コレを見せる機会なんて無い方がいいんだけどね。」
蒼星石はそれをしまうと部屋を出て食堂に向かった行った。その時だった。艦内に警報が鳴り響く。
「総員、第一戦闘配備!!アリス軍の襲撃だ!規模はかなり大きいがこっちも他のレジスタンス
がいる!全力で迎撃するぞ!!」
JUMの声だ。蒼星石はそのままデッキに向かって走っていく。


「さあて・・・実験がてら遊ぶとしましょうかねぇ・・・」
白崎はディアーズのデッキでMSを見る。それはバーズではない新型MSだった。
「数はそんなに多くないですが・・・まぁ、バーズより遥かにマシでしょうね。このZローンは。」
そして、白崎はラプラスに乗り込んだ。
「ここらで誰か消しておくのも一興ですか・・・白崎だ。ラプラス、出ますよ!」
白い兎が出撃する。その目は獲物を狙う目だった。


次回予告 モスクワ基地に攻め入ってきたアリス。その中には数こそ多くないものの新型量産期Zローンが
組み込まれていた。一方白崎は蒼星石と対峙する。卑劣な行為を行った白崎に蒼星石は・・・
次回、超機動戦記ローゼンガンダム 蒼星石 その優しさを、力に変えて・・・

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