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あらすじ:謎の少女との邂逅、ジュンは全てを忘れていた。
     そんな彼の目の前に一人の少女が倒れていた・

第3話「CRIMSON SUNISE」


何だ、一体何なんだ?何だ何だこれは一体何だ??!!

脳みそがパンクしそうなこの現状。普通じゃ有り得ないこの現状。
一体、何がどうなればこうなるのかわからないこの原状。
いきなり、ぼーっとしたと思ったらそしたら突然目の前に
女の子が倒れている、しかも半裸で。
目の前で倒れている少女、その肢体は白磁より白く、白雪より清廉。
水銀灯の光を受け煌いているその金色の髪は言葉を失うほどに美しく、
人では持ち得ない妖しくも清らかな雰囲気を漂わせていた。
混乱していた僕はその少女の美しさに、見惚れていた。
「っ・・・・・・・・う・・・・・・・・・」
漏れる吐息。まるで木偶のように突っ立っている僕の目の前で
少女はその身を起こす。

金色の髪は彼女の体を流れ綺羅綺羅と煌めき、開かれた瞳、
サファイアより深く澄んだ青い瞳が僕を見つめる。
ドキリと胸が高鳴る。
吸い込まれそうになるその深い青、僕の全てが彼女に
見透かされているような気分になる。
その彼女の瞳の藍に何故か僕はデジャヴを感じた。
おかしい、この瞳を見た事がある。それもつい最近。
言いようの無い違和感が脳裏に焼きつく。
「・・・・・・・・えがあの法陣を組んだの?」
意識の逡巡の輪に落ちていた僕、少しむつかそうな表情で少女が言葉を発す。
僕の意識は澄んだ高い声により基底現実へと引き戻され、彼女を明確に意識した。


「だから、お前があの空間移送術式の法陣を組んだのかと言ってるのだわ。」
少女は僕の目の前まで詰め寄り僕を見上げていた。
ボロを纏っているのに、そのことを感じさせないまでに自信に
溢れたその物言い、背は僕の鼻くらいまでしかないのに、
腕を組み方眉を吊り上げ見据える尊大な態度。
「あ・・・・・・いや、違う・・・・・・・・と思う、多分。」
その雰囲気に押され言葉に詰まりながらも返答する僕。
「・・・・・・・・そう。でも、お前・・・・・・いえ、それはどうでも良いのだわ。
 それよりもあの危険な状況な中で魔術法陣をくみ上げるなんて・・・・・
 そんな真似、よっぽどの術者でないと・・・・・」
少女は僕の存在を無視して勝手に思案にふけてしまう。
魔術?法陣?おいおい、なんだか厄介な事になってきてないか?
嫌な予感が僕の頭の中で警鐘を鳴らす。
が、同時に無視できないことに別の意味で頭が警鐘を鳴らす。
「あ・・・・・おい・・・・・・・」
「でも・・・・・私を助けて何のメリットが・・・・・」
「なあ、おいって・・・・・・・・」
「・・・・・・私の運命に誰かが干渉を?でも・・・・・・・・」
「おいって。」
「なんなのだわ?人が考え事をしているときに話し掛けるなんて―――」
「あ・・・・・・っと、その・・・・・・・・その服装、どうにかした方が良くないか?」
「え・・・・・・・・?」
そう、少女の格好は目のやりどころに困るほどにボロボロで・・・・・・・・・・・・
あ、もちろん靴は履いていたけど、でも、まあ、そのなんだ?

・・・・・・・・・・・・眼福?


「っ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!」


次の瞬間僕の顔面には眼にも止まらない剛拳がめり込み、空を僕は飛んでいた。
視界の端、そこに顔を真っ赤にしたその少女の憤怒相があった。


痛む僕の頬とか鼻とか目元とか色々。そんなのにおかまいなしなのか知らないが
僕から剥ぎ取った上着を羽織って僕を睨んでいた。
ちなみに今は陸橋を離れ近くの公園まで来ている。あんな場所にいつまでもいて
誰かが通りかかったらそれこそ僕の人生はおしまいだったろうしな。
とにかくだ・・・・・・・・
「痛ぅ~~~・・・・・・・・何すんだいきなり!!!!」
「うるさいのだわ、レディのあられのない姿を見て本当にいやらしい!!」
「はぁっ!!?むしろ僕はそんな恥ずかしい格好をしている所を
 指摘してやっただけ紳士的だと思うがね!!」
そう僕らはケンカしていた。
初対面だというのに昔から一緒の恋人よろしくに。

「まったく、人間のオスは想像以上、いえ想像外に下品で下劣なのだわ!!」
蔑むようなその瞳、さっきまでのあの神秘性はどこへやら、だ。
むしろ、手が早いだけの暴力高慢ちき女にしかもう見えないぞ、おい。
「にしても殴る事はないだろ!!いきなり人の目の前に現れた奴が!!」
「黙りなさい!!魔術師でもないただの人間が吼えるのではないのだわ!!
 この私を誰だと思っているの!!??」
「知ったこっちゃないわぃ!!!こっちはただの高校生だっつーの!!」
「まぁっ!!!この―――――――!!!????」
僕に反論を試みようとした少女、しかし、次の瞬間彼女の目つきが急変した。
僕を越えて更に奥のほうおそらく林があるほうだろう、少女はその場所を
緊張した面持ちで睨みつけていた。
青い瞳は鋭く、細く、三日月のようにその場所を注視している。
「招かざる客のお出まし、ね。」
「おい・・・・・・・・いきなり何訳のわからな―――」
「人間、このまままだとお前、死ぬ事になるわ。」
はい?今、ナンテイイマシタカ?死ぬ?つか、何、その悪い冗談。
バカにするのもいい加減にしろよ、そんな目つきで少女を見返す、が
彼女はそれを意に介する事無く一点のみをひたすらに凝視していた。
何かがおかしい、彼女の周りの空気が変質してる。冷たいものが背中を走る。
違和感、嫌悪感、既視感、悪寒、いっしょくたに混ざり合う。
彼女が見ているその視線の先、僕は振り返りその場所に視界を合わせる。
「なっ・・・・・・・・なんだよ、これ・・・・・・・・」

林があるはずのその空間、僕の視界の丁度中心あたりの空間が捻れていた。
そう、林の木々を巻き込み、茂る草叢を巻き込み、存在する空気を巻き込み
飲み込もうとする渦、砂地獄、底なし沼、ブラックホール。
背筋を、いや脊椎の中を冷水を流し込まれたような感覚が襲う。
一心同体であったはずの常識が崩れ落ちる音が何処かで聞こえる。
「・・・・・・・・・・・・・・来るわ。」
ピシリというガラスの割れる音、捻れが破れ、空間が逆流した。
常識も一緒に僕の中で弾け飛んだ。
吐き出される漆黒の闇、破れた空間に様々種種類類が弾き飛ばされる。
草、木々の枝葉、石、小石、砂の塊。
どろりとした腐臭にも近い臭いをまとった黒い、何重にも重ねられた繭が
地面に吐き出された、否、産み堕とされた。
それは、普通の人間の僕にも、それがおぞましく危険な存在だと認識できた。
その中身が自分の生命を何の感慨もなく奪う存在だと本能で悟っていた。
どくん、どくんと脈打つソレ。それは生きていた。
どくんどくんどくんっと、それはこの空間へと顕現しようとしていた。
どくんどくんどくんどくんどくんっ、繭に微小な亀裂が走った。
どくんどくんどくんどくどくどっくどくっどくっどく、いつしか
自分の脈の音が耳の奥で鳴り響いていた。
荒くなる呼吸、この場から逃げろと脳が指令を出していた。
だけど、動けなかった、否、肉体動作を世界に拒否されていた。
金縛りにあう肉体、固定された視界の中、ソレは呪われた産声をあげた。

ソレ、目の前で脈動を打ちながら立ち上がるソレは、節が幾つにも分かれ、体表を
濁った斑の甲殻とびっしりと生えた剛毛で覆われたピエロだった。
あの白い化粧はそこらかしらがひび割れ、真っ赤な口紅で彩られた口は
亀裂が走り、昆虫類を思わすような開閉を行ない、畳み込まれた牙を
剥き出しにする。
異形、この世には存在しない、それは異形だった。
「まさか、こんな使い魔を召喚するなんて・・・・・・・・・・・」
少女の声には明らかな憔悴があった。
異形から漏れる瘴気、それは僕と少女を飲み込んでいた。
ソレは折れた節々をバキバキと言わせながら立ち上がる。身の丈3メートルは
あろうかというその身体は四つん這いに、まるで蜘蛛の様な態勢を取る。
そして、ソレは僕らの姿をどす黒く濁ったプラスチック玉のような瞳に
認め、甲高い叫び声を、上げた、歓喜の叫び声、を。
全身を凍りつかせ、そのまま凍傷で肉を腐らせるようなその冷気に
僕の体は抵抗する術を持たなかった。ただ跪き、恐怖に慄く。

異形のピエロは飛び上がり僕に襲い掛かる。
近づく、どんどんと近づく、破けたピエロの衣装を更に破いて。
近づく、更に近づく、ひび割れたピエロの顔を崩れ落として。
パックリと開いた口から粘液が飛び散っている。
僕は、殺される。諦観が全身を襲う。
だが、そんな僕の目の前に少女は立つ。少女は僕の手を取り、
指で虚空を人差し指と中指を揃え突き出した。
「退くのだわッ!!!」
瞬間僕と少女の目の前に浮かび上がる光の円環。
何十もの円が各々勝手な方向に回転し、唸りを上げる。
そして、ピエロは円環に衝突し、先ほどとは違う叫び声を上げる。
苦痛の叫び声を。弾き飛ばされ茂みの奥へ墜落する。
それに続くように僕の身体を縛った諦観が消え去る。
「動けるわね?アスラの法印、今のであの使い魔の呪縛は解けたはずなのだわ。」
少女は円環に手を添えつつ僕に振り返る。
頷く、確かにさっきまで僕の体を襲ったあの絶望は消え去っている。
「人間、お前はどうやら眠れる魔術師のようね。」
少女最初に僕を見たときの様なあの瞳で僕に呟く。
「魔術・・・・・・・・・・・師?!」

「そう、お前は魔術師。衰弱しきっていたはずの私の力を回復させ、今、私に
 アスラの印を結ばせるだけの魔力を供給している人間なんて魔術師以外の
 何物ではないのだわ。でもお前はその秘めたる力を自覚していなかったようね。
 今のお前は言わば記述持たざる魔導書を持つ魔術師と言った所ね。」
少女は驚愕の表情に固まる僕に向かって言い放つ。
魔術師・・・・・・・・世界を混乱に陥れてるアレと・・・・・・僕が同じ?
「でも、このままだと貴方、死ぬ事になるわ。この法陣円も次の攻撃には持たない。
 これは簡易防御法陣であって、今、私を捕獲しようとしているアイツにとって
 お前はただの邪魔者。排除すべき敵。殺されるわ。」
飄々と言ってのける少女。平凡だった日常を破壊された僕を更に追い詰める。
「ならどうしたら良いんだよ!!??この状況どうにもできないのか!!??」
少女は一種の覚悟を持って僕の瞳を覗き込む。
「ええ、あるわ。これはどちらにとっても最悪の状況。私もあれに捕まる気は毛頭ない。
 だからこそ、私はお前と・・・・・・・・いいえ、貴方と契約を結ぶ。」
「契約・・・・・・・?」
ドクンと胸が鳴る。何故だ、今、僕は興奮している。
「そう、貴方と魔術師としての契約を結ぶ。貴方は記述を持たざるが故に
 正しくその力を使う道を知っている。貴方はこの私と運命共同体となる。」
「一体どうすれば良いんだ?」
僕の存在全てがこの提案に是の意を示す。
全てが、予定調和のように僕の中で組みあがっていく。
「指輪に口付けを。それで全てが完了するわ。」

円環が消え去り、代わりに僕につき出された左手、少女の薬指に何処から
現れたのか光の粒子が集約する。輝ける紅、閃光に包まれたそこから現れたのは
薔薇をかたどったレリーフが埋め込まれた指輪。
それと同時、茂みの中からあのピエロが起き上がる。
先ほどと同じく四つん這いの体勢で僕達の方に向き合う。
僕らを怒りの表情で睨むその顔面、その半分は完全に崩れ落ち
その奥から醜悪な形相の蜘蛛の貌が現れていた。
そして、蜘蛛は先ほどと同じように飛び掛る。
今度は本気で、僕を切り裂き肉片にしようという確固たる意志を持って。
しかし、僕は迷い無く、異形の存在に意を介する事無く指輪に口付けした。
その刹那、その瞬間、僕と少女は清浄な紅の煌きを共有した。



―――――我は紅、偉大なる術師に生み出された至高の紅
―――――我は紅、宵闇に沈む刹那、宵闇を照らす紅
―――――我は紅、至高の宝具たるホムンクルスの第五精製体
―――――我が名は真紅、魔術師たる汝と契約せしモノ
―――――汝は魔術師、我が力を行使するミーディアムなり



蜘蛛はおびえていた。その紅に輝く閃光の只中に存在するモノに恐れを抱いた。
ソレは自分を遥かに超越した力を秘めた存在だった。
ソレはこの闇を切り裂く眩いほどの紅だった。
閃光がカタチを崩す。閃光が弾ける。弾けた閃光が一つに集約する。
集約した紅、そこから生まれ来た存在、
それはマテリアライズした閃煌!
魔衣(ローブ)を纏いし者!!!
それは輝ける紅を纏いし者!!
それは己の力を知らぬ者!!!
それは眠りより目覚めし魔術師!!!!!!



そう!!!!それはまさしく!!!!!!


閃紅の夜明け(CRIMSON SUNRISE)!!!!!!




疾走

術式

構築

爆砕

奔流


次回 機巧励起ローゼンメイデン 第4話「YOU ARE MAGIUS」

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