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~文化祭§不意打ち~

 劇はとんとん拍子に進み、今はシンデレラがお城から帰るところまで終えた。

 暗転が明け、真っ暗な舞台の上手側のスポットが灯り、シンデレラの姿。

♪ 夢を見てたのね 誇り高き夢を
  あなたに出会い 私のこころ燃える
  伝えられない愛の囁きを
  幾度、繰り返した?
  明るい夢の日はもう来ない ♪

 続いて下手側のスポットが灯り、王子の姿が浮かんだ。

♪ 夢を見てたよう 華やかな夢を
  君に出会って 僕のこころ弾む
  日々募るだけの愛 抱いて眠る
  そんな夜はもう嫌だ
  明るい夢の日々を僕は捜す ♪

♪ 言いたい(言えない) 言葉は 沈み
  いつか(いつか)言えるかな
  無理よ(無理じゃない)
  あなたは(捜してみせる)
  尊き人(愛しい人)
  願うならば もう一度… ♪

 スポットが落ち、全体に光が灯ると舞台はシンデレラの家になっていた。
『あの夢のような日から一週間。シンデレラ達の家に王子と家来が訪れました』

「後、調べてないのはこの家だけです」
「分かった。頼むよ」
 家来は二度、シンデレラ達の家の扉を叩く。
「はぁい。どなたぁ?」
 出迎えたのは長女。
「王家の者です。この家に先日行なわれたパーティのコトで少々、用事があります」
「お、王家でございますでしょうか!ちょっとお待ちくださぁい…」
 突然のことで少し驚きながらも長女は対応し、家に戻る。
「お、お母さまぁ!」
「うるさいわね。紅茶もゆっくり飲めないのだわ」
「かしらー」
「王家の方がいらしたのよぉ!」
「それを早く言うのだわ!」
「かしらー!」
 継母と次女は慌てて玄関まで走り、扉を開けた。
「いらっしゃいませ王子様。何か御用でしょうか?」
 さっき慌てていた様は少しも見せず継母は深々しくお辞儀した。
 シンデレラも出ていきたかったが如何せんただねボロ服では出ていけない。

「実はですね…」
『家来はこれまでの経緯を細かく三人に話しました』
「これじゃ全く聞こえないですぅ…」
 シンデレラは扉にぴったりとくっついた。
「と、いうわけで王子はこの女性を捜しているのです」
 話を聞きおわった頃、三人の目は輝いていた。
「じゃあまずカナからやるかしらー…ぶ、ぶかぶかかしらー」
「じゃあ私がぁ…んぅ、少ぉしきついわねぇ」
「最後は私なのだわ…ぴったりだわ!」
「歩いてみてください」
 二歩目を踏み出したところで継母は転んだ。
「またここにもいなかった…どこにいるんだ僕の愛しい人は…」
 と、王子は両膝をついた。
「む、この家にはもう一人娘がいるはずですよね?」
 家来が書類を見ながら言った。
「えぇ、でもぉあの子は違うと思いますよぉ?」
「本当ですか!?1%でも可能性があれば僕はそれに縋りたい!是非、呼んでください」
 王子は長女の肩を揺らしながら叫んだ。
「わ、分かったわぁ。シンデレラぁー?」
 扉をいきなり開けた長女とシンデレラは強か額を打った。
「ご、ごめんなさいですぅ!」
「いたた…分かったからぁ王子様がお呼びよぉ」

「王子様が私を?…分かったです」
 緊張と期待と不安の詰まった表情でシンデレラは頷いた。
「初めまして、シンデレラですぅ。お、お呼びでしょうか?」
 ボロ服のスカートを左右に広げ深々と頭を下げる。「この靴を履いてみていただけませんか…?」
「こ、この靴は…」
「どうかなされましたか?」
「いえ…何でもないですぅ」
 シンデレラはスッと足をあげ、靴に滑り込ませる。――ぴったりだ。
 何歩か歩いても決してふらつくことはない。
「…貴女だったんですねシンデレラ。僕の愛しい人――」
「はい、私がシンデレラです…っ!!」
 観客がどよめいた。
 口付けは手の甲ではなく口元へ…。
 ちゅっ、と一瞬音がして王子はきつくシンデレラを抱き締めた。
「~~~~~っ」
 あまりの事に翠星石の動きが止まる。
 同時に舞台に立っている全員の目が点だ。

♪ 愛しい人と 結ばれた
  心優しいシンデレラは これからも幸せな日々過ごす…♪

 めぐが状況を察知して歌いだした。
 それが引き金になり全員が歌いだした。

♪ 信じていれば いつか夢は叶う
  心優しいシンデレラ この世で一番純粋な心持つ女の子♪

「おめでとーなのー!」

 魔女がステッキを振るとクラッカーの弾ける音と祝福の鐘が鳴り響いた。

「ありがとーございましたー!」

 と、一同がお辞儀をすると観客から一斉に拍手が起こった。
 幕が徐々に閉まっていく。
 閉まりきるまで動けないのだが、後、数センチのとこで雛苺が幕を顔一個分広げ、顔だけを出し
「終わりなの」
 と、楽しげな声で言った。

next is last.
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