日記その十六


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 私立龍ノ宮大学理事長室
 そこが今現在俺、及びノア、ミコ、ユーナ(三人ともインターフェイスなんで正確には美子と優奈)の現在位置なんだが…
 「はっ!ひっさしぶりだな明人!元気そうでなによりだ」
 「いや、吟璽朗のじっちゃんよりは元気じゃねぇから…」
 「ははっ、ちげぇねぇ!俺も兼房も若けぇのよりはなんぼも元気だからな。褒め言葉として受け取っとくぜ?」
 そういって銀色の派手な扇子を片手にカラカラと大笑いする爺様との対談中であるのだ
 この爺様について少し説明しておこう
 名は龍ノ宮 吟璽朗(たつのみや ぎんじろう)
 年は75 職業は…まぁお解りだろうがここ、私立龍ノ宮大学の最高責任者、理事長
 うちのジジイ、鳳条院 兼房とは若い頃からの付き合い…つまりはダチなのだそうだ
 そしてここ、私立龍ノ宮大学こそが今回の騒動の元になった葉月とアルが通っている大学なのだ…
 ついでを言えば
 「しかし…ノアールさんに美子さん、優奈さんだったか?学生時代、そこそこ人気はあったのに誰とも交際していなかったお前が三人もいっぺんにたぁ驚いたな…」
 三年前まで俺が通っていた大学でもあるんだ
 「いや、こいつらはそんなんじゃねぇから」
 「ん?そうなのか?もったいねぇな…三人ともベッピンさんなのによ」
 「理事長、お戯れを…」
 「理事長さんだってカッコいいよ~燻し銀?」
 「おうおう、うれしいこといってくれるじゃねぇかw でも良かったぜ、お前が落ち着いたとなると涼が煩いだろうからなぁ…」
 「涼さんか…元気にしてるのか?」
 「お前、卒業以来全然顔ださなかっからな。多少のお小言は覚悟するんだな」
 「…あ~、まぁ、なぁ…」
 「一応元気にはしてらぁ。今は紅柳君の下についとる」
 「薫…じゃない、紅柳教授にか?」
 「アニキ、二人だけでしゃべってないで説明してくれって」
 すこし拗ねたようにいう優奈
 「ああ、すまない。紅柳 薫(くりゅう かおる)ってのは俺のダチで、去年からここの電子総合学部で教授をやってんだ。んで涼っていうのはじっちゃん、龍ノ宮理事長の孫でここの情報化学部の助教授をやってたんだが…なんで涼さんが電子総合学部に移ってんだ?」
 情報科学部の講義は俺も取っていた
 うちのジジイと吟璽朗のじっちゃんの仲だから俺と涼さんも昔からの縁だったわけで色々と涼さんには世話になった
 いわば涼さんは大学時代の俺のセンセイだった
ちなみに涼さんは香憐ねぇと同級生で同じ中学、高校を卒業した親友だったりする
 当時から二人揃ってかなりの優等生、しかも美人ときたもんだ
 勿体ない事に未だ二人とも独身なのが不思議でならない
「本人の希望だよ。もうそろそろ来るだろうから詳しくは本人から聞くんだな。」
「え゛ぇ゛!?呼んじゃったのか?」
「はっ、予想通りの反応だな」
 じっちゃんめ、余計なことしやがって…
 俺が頬を引きつらせていると控えめなノックの音の後に「失礼します」という大人しめな男の声が聞こえると共にドアが開いた
 「明人、久し振り」
 「お、おぅ…薫…いや、紅柳教授」
 「はは、薫でいいよ」
 やんわりとした笑顔、優しげな声で薫はそう言った
 中性的な顔立ちは相変わらずだが少し長めになった髪を束ねていたり清潔感のある白衣姿は三年ぶりの再会であることを俺に認識させた
 「ほんと久しぶりだな…」
 「うん、電話やメールはしても直接会うのはほんと三年ぶりだよね。あ、彼女たちは…」
 「あぁ…こいつらは」
「ノアール・H・アレッシアさんに鳳条院 美子さん、その妹さんの優奈さん…でしょ?」
 「え?ええ?」
 「な、なんでアタシ達の名前を?」
 「ははは、葉月君から話は聞いてたんだ。それに…」
 「それに?」
 「あ、いや、この続きは涼さんたちが来てからにしよう」
 なんかすっきりしない言い方しやがって…って、そうだ、忘れてた
 「薫、り、涼さんは来るのか?」
 「うん、ちょうど今日から新しい教授がくるんでその出迎えと理事長室への案内もあるからって。もうすぐ来るんじゃないか…あ、来たみたい」
 薫の言葉の途中で理事長室のドアをノックする音が聞こえる
 先ほどの薫の様な控え目な感じなど一切しない遠慮なしのノックの音に俺の背中に鳥肌が立った
 扉が開く時がスローモーションのようにゆっくりと感じる
 俺の心の中でダースベーダーのテーマのBGMが流れていく
 開かれた扉の向こうにはダースベーダーなどではなく銀縁眼鏡の白衣の女性が立っていた
 「爺さん、失礼するよ」
 俺にとってはダースベーダーよりも恐怖の対象なんだがな…
 「おお、涼、やっと来たか」
 「ああ、ここに来るまで少し頼道しながら来たからね。ね?ツクモ教授?」
 「ツクモ?…ツクモ……」
なんかどっかで聞いたことのある…しかもかなり最近…
 なんてことを考えてると扉の向こうから飛んでもない人物が現れた
 「なっ!?み、ミラ?」
 「若様ではないか…なぜここに?」
 アメリカ・カリフォルニア州神姫BMA・ロサンゼルス支部所属、違法神姫調査官にして第五回鳳凰杯・2037<春の陣>の大会中に起きた連続爆弾事件・『アルカナ事件』を見事に解決した救世主、ミラ・ツクモの姿がそこにはあった



「へぇ、そんなことがあったのか。大変だったじゃないか」
 場所は移って現在地は電子総合学部の教授室
 薫と涼さんの仕事場である
 ミラと少しばかり話をした後お邪魔にならないようにこっちに異動したわけだ
 「大変だったのはミラ達と桜さんぐらいですよ」
 「桜さんもか…だったら香憐も関わっていたのだろう?」
「ええ、といっても俺が事実を知った頃にはあらかた片付いちゃってましたから」
 「へぇ…若いのに優秀なんだね彼女」
 「それをお前が言うなよ紅柳教授、教え子に追い越されちゃった私の立場がないだろ…」
 「あ…すいません…」
 「お前の性格だから仕方がないが普通のやつならかなり厭味なタイミングで謝ったな…」
 薫は俺と同い年だ
 なのに若くして大学教授
 そう、薫は超天才なんだ
 うーん、どうしてもコイツとフェレンツェ博士が社会的に同じ部類だとは思えんのだが
 「あ、や、えと、僕はそんな…」
 「わかってるって。それよりも久しぶりだな馬鹿弟子…」
 うお!!いつかは来るかと思ってはいたがついに矛先がこっちに向いた!!
 「三年…挨拶もナシとはどういうことだ?」
 「あ、いや…」
 細められた目に睨まれて思わず口ごもる俺
 「うおぉぉ…アニキが押し負けてるぜ?」
 「お兄ちゃんがノアねぇ以外の人にこんな風になるの初めて見た…」
 そらそうだ
 俺にとってこの人は『天敵』そのものだからな
 「ふ、まぁ顔を見せない間にもお前の事は葉月とフォレストから聞いていたがな」
 「あ、アルティもか?」
 「うん、二人とも僕の講義を取ってくれているからね。ここにも頻繁に足を運んでくれるし研究の手伝いもしてくれてるんだ。助かってるよ」
 俺の質問に答えたのは薫だった
 「へぇ…二人が電子総合学をねぇ…つか涼さんもなんでまた情報化学部からこっちに移ったんだ?」
 「むっ…それは…」
 俺の質問に苦い顔をする涼さん
 「『僕の研究の対象が武装神姫だから』ですよね?涼さん」
 「こ、こら薫!」
 「へ?涼さんって神姫に興味ありましたっけ?」
 「誰のおかげで興味を持ったと思う?」
 「はぁるぅかぁ……」
 「照れなくてもいいのに。弟子思いの素晴らしい師匠じゃないですか」
 えっと、つまり俺が神姫を始めたから涼さんも興味を持って電総合学部に移ったってこと?
 「…ただ知識の上で馬鹿弟師に負けたくなかっただけだ。こいつに教わるようなことがあっては師として悔しくてならん」
 なんとまぁ意地っ張りな師匠なことで…
 「そういや薫、お前の研究対象が神姫って…」
 「そろそろ明人にも言っておかなくちゃね」
 「そうだな」
 「あ?なにをだ?」
 「実は僕と涼さんはある科学者の一大プロジェクトに関わっているんだ」
 「一大プロジェクト?」
 「僕の研究とその人、その人のスポンサーの企業とは方針が会ってね、僕たちも及ばずながら協力してるんだ」
 おいおい…まさかその科学者…その企業って…
 「その科学者…まさか…」
 「ふ、流石我が弟子だな。感は鋭い。私たちが協力している科学者の名はフェレンツェ・カークランド博士だ」
 「えぇ!?」
 「そんじゃアタシ達のこと…」
 「もちろん知ってるよノア、ミコ、ユーナ」
 「ですが私たちは研究所であなた方のお顔を拝見したことは…」
 「私たちも大学の講義だなんだでこう見えて忙しいのでね。そう何回も研究所の方へは行ったことはないんだ」
 「そうなんだ…」
 「私と薫をスカウトに来るとはさすがは大物、いい目をしている」
 うんうんと頷く涼さんを見てやはりこの人も相変わらずだと思う俺であった
 「それで?今日は何しにきたんだ?」
 「ああ……今週の金曜、何があるか知ってますか?」
 「なるほど、その件か…」
 神姫の関係に携わっているとなるとやはりこの二人の耳にも入っていたのだろう
 「ふむ、やはりお前も出るのか?」
 「まぁ一応…妹の危機なんでね。それで実際神姫サークルのやつらってどんな感じなんっですか?」
 「うん…現在サークルのメンバーは8人、内サードが2人にセカンド中位が5人、残る一人、会長の今居がファーストと少ないながらなかなかの実力者が集まっている。少数精鋭といったところだな」
 ほぅ…ファーストランカーもいるとは意外だな…
 「どれ、敵情視察に来たのなら案内してやる。私も奴らのやり方は気に食わんのでな」
 「こりゃまた心強い人が味方に付いたもんで」
 「何を言っている。私はお前の師だ。いつだってお前の味方のつもりだが?」
 しらっとそんなこと言いますけどね師匠、だったらもう少し弟子に優しくしましょうよ
席を立った涼さんを見ながらそう思うが口には出せないでいる俺であった




 そんでもって案内されたのが大学の敷地内では南東に位置する第三分館の二階
 サークル関係は一から三の文館に分かれているが一分館の方が建物や部屋は大きく、人数が多かったり、世間に話題性があり大学側からして利益があるサークルの方が優遇されているのだ
 つまり、第三分館の二階に部屋を構える武装神姫サークルは下から数えた方がいい位ってなもんだ
 ちなみに大学時代の俺は無所属
前半はやさぐれ、後半はノアとミコに引っ掻き回され始めていたころでサークルうんぬんなんて状況じゃなかったからな
 「発足はいつからだ?」
 「確か…三年前か?ちょうどお前らの卒業と入れ違うかたちで入学してきた今の会長の今居が立ち上げて今年でちょうど三年だな」
 「一回生がサークル立ち上げたのか?」
 「まぁ何かと苦労はあったようだが奴はなかなか優秀でな。成績もかなりのものだ…まぁ後は本人に会って直接見極めてみろ。その方が何かと…」
 「効率的でいい…ですか?」
 「む…まぁな」
 くすくすと笑う薫
 その口癖、もとはと言えば涼さんの口癖だったんだ
 俺にもうつっちまってたけど
そう言っている間にお目当ての神姫サークルの部室前へと到着したようだ
扉を軽くノックすると「どうぞ」と声がする
意外なことに声は女性のものであった
「……失礼します」
「はいはい~、どちら様ですか…って、あれ?紅柳教授に涼さん?」
ドアを開けた手前には身長155㎝くらいに眼鏡に三つ編みのいかにもオタクな女の子が立っていた
「邪魔するぞ、今居」
「お邪魔します、今居君」
「はい~どうぞどうぞ、今お茶を入れますから…」
振り返る彼女を見て俺は何だか次の展開を予想してしまう
「あっ!」
振り返りざまに床に延びていたコードらしきものに足を取られる
「あああああっ!」
そのまま体制がぐらりと前倒しに…
「きゃぁぁぁ!!」
そして地面へとぶつかる
 「…………あ、あれ?」
 そこまで予測済みだったからそうなる前になんとか体を支えることが出来た
 「あ、あの…」
 眼鏡がズレて素顔がちらりと見えるが…なかなかに綺麗な顔立ちをしているじゃないか
 なんというか…
 「君はあれか?」
 「はい?」
 「一昔前の少年誌のヒロインか何かか?」
 「え、ひろ!?わ、私がですか!?」
 「それは違うぞ馬鹿弟師!」
 「涼さん?」
 パニックになている彼女を前に涼さんは腕組みしながら会話に割り込んでくる
 「一昔前ではない、それは今でも王道だ!!」
 「はぁ…」
 「何を隠そう私のこの眼鏡も…」
 自分の銀縁眼鏡を指さして涼さんは宣言した
 「伊達だからな!」
 「…………それっておもいっきり邪道じゃないんですか?」



 入り口での一悶着、もといコントを終えて部屋の中で茶を入れてもらう
 んでもって先にこちら側から自己紹介…毎度のことだから省くけどな
 「それじゃ…葉月さんのお兄さんなんですか」
 「まぁね、苗字が違ってややこしいけどあいつの兄貴です」
 「そうですか…それじゃ今回の一件は…」
 「ああ、知ってる。だから来たようなもんだし。だけどそんなことするサークルの会長さんが君みたいな子だとは思ってなかったけどね…」
 「あ、あの…それは…」
 「少し事情が違うんだよ明人。ほら、今居君、彼になら相談してもいいんじゃないかな?それと、自己紹介まだだったよね」
 「あ、はい…私は今居 加奈子といいます。それと私の神姫、タイプ エウクランテの」
 そこまで言うと今居さんのポケットから一体の神姫が飛び出し彼女の肩に乗る
 「鷹千代です」
 赤い翼のエウクランテだ
 「赤……もしかして『紅羽の鷹千代』?」
 ノアが問う
 『紅羽の鷹千代』…う~ん、俺は覚えがないなぁ…
 「そのとおり、彼女らはれっきとしたファーストランカーなんだよ」
 「あの、その、ファーストといっても一番下位にいるので…ねぇ」
 「いいえ、カナコはもう少し自信を持つべきかと…。下位とはいえファーストランカーはファーストランカー。そう多く存在するものではないのですよ?」
 「で、でも…」
 うん、いや実際鷹千代のいうことはもっともだと俺は思う
 下位とはいえファーストの下にはセカンドの何百体、さらにその下にはサードの何千体もの神姫たちがいるのだから
 それにしちゃあやはりこの子は謙虚というか神姫を私利私欲のために使うような子には見えないんだが
 「でもまぁ同じファーストランカーのよしみだ。何か事情がありそうってのは十分わかったし…話してくれないか?」
 「は、はい…」


 話は鳳凰杯の開始一か月前までに遡るそうな
 ある日、部室に集まっていつものごとくだべっていると会話の話題に葉月が出てきた
 「実は鳳条院のお嬢様が神姫をやっているらしい」
 もともと会員が少ないサークルだけに新会員として誘ってみてはどうかという話になった
 もちろんそれは会長として今居さんも賛成であった
 そして自ら勧誘しに行こうとすると、それは自分たちでやっておくと買って出たのが


 「生田君と八代君です」
 「ああ、なるほどな。あの二人なら話がわかる…」
 「と、いうと?」
 「生田 誠吾、八代 御影、二人ともセカンド中位の実力派だ。その上このサークルでトップ2と3の位置にいる。今居が大人し目の性格してるもんだからあいつら調子に乗っててね。これがまたタッグ組ませると厄介なんだよ」
 「今回のことはあとから噂で聞きました。すいません…私…こんなことになってるなんて全然知らなくて…止めようとしてもここまで大きくなってしまっていては」
 伏し目になりうなりうなだれる今居さん
 その眼にはじんわりと涙が…
 「ふ、泣くな今居。お前が悪いのではない」
 「涼さん…」
 「それに過ぎてしまったことは仕方がない、今は次のことを考えるべきだ。なに、大丈夫さ。この馬鹿弟子がなんとかする」
 「いや、そうなんの根拠もないことの責任を人に押し付けんで下さい」
 「なに?ならお前は目の前の困っている女の子を見て見ぬふりしておくというのか?」
 …まったく、この人は
 「誰もそんなこと言ってないでしょうが。んで、忘れてません?俺がなんで今日ここに来たのかってこと」
 「ん?私の顔を見に来たのでは…」
 「はいはい、敵情視察ですよ。つまり、こちとらはなっからヤル気まんまんってこった」
 「それじゃ、明人」
 「要するにその二人とその他大勢、全員ぶったおしゃ解決なんだろ?」
 「はっはっは!言うな馬鹿弟子、150体もの数だぞ?」
 「まぁそりゃ数は多いですけど、今居さんもこっちに付いてくれそうですし」
 「は、はい!こんなやり方は会長としてゆるせません!」
 ノア、鷹千代、レイア、ミュリエルにミコ
 正直あいつに借りをつくるのは癪だが冥夜にも手伝ってもらって…
 あとはユーナとラン、孫市
 ファースト三人、セカンド三人、サードが三人とはまた奇麗にそろったな…
 「うん、作戦によっちゃ何とかなるかも知れません」



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