日記その三 〈後編〉 明人VS葉月


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 「……なぁアニキ?」
  「……なんだ? ユーナ」
  「何でよりにもよってアタシなんだよ…アタシ、まだデビューしたてじゃないか……」
  「……だからだよ、どこに実の妹の誕生日に、リーグ戦でもないのに本気出してぶっ倒す兄貴がいるんだよ……」
  「あ~そう、なんだ、結局アタシはかませ犬だってわけ?」
  「そんなつもりはないさ。ちょっと善戦させて兄の威厳は護るつもりだったよ…」
  「つもり……ねぇ…確かに、このままじゃぁホントにアニキの威厳とアタシのプライド、どっちも失いかね……」
  “ヒュン”“ヒュン”“ヒュン”と近くで風を切る音がする
  俺・ユーナ「「ないじゃね~かぁぁぁぁぁ!!!!!」」
  ユーナはウイングユニットのエンジンを全開にしてその場を離脱、すると…
  “ドスッツ!!”“ドスッツ!!”“ドスッツ!!”…あ、危ねぇ…
  どこからともなく飛んできて、さっきまでユーナが身を屈めていた場所にピンポイントで突き刺さるアングルブレード
  …おいおい、危機一髪たぁこのことじゃねぇか……
  「御主人様、ユーナ御姉様を見つけました。追跡許可を」
  「OK、レイア、一気に接近戦に持ち込んで!! ユーナちゃん、待っちなさぁ~い!!」
  「……御主人様、そういわれて止まる者はいないと思うのですが…」
  「何でアタシがこんな漫才コンビに追っかけられなきゃなんねーんだぁぁぁ!!」
  ずいぶんシュールな漫才コンビだな? ユーナ
  とはいったものの……なんでこんなに強いんだ?始めはただの真似事かと思っていたが…いかんせん葉月とレイアのコンビネーションはたいしたもんだ、とても初心者とは思えねぇな……まさか練習でもしてたのか?


  「おされてるね~」
  「おされてますねぇ~」
  「おされとるの~」
  「ユーナさんの動きも悪くはありませんが、機動力に圧倒的な差があるのではないかと…」
  「そうじゃのう~葉月とレイアちゃんは息も見事にあっとるし。このままいくと…もう少しでチェックメイトじゃのぉ~」
  「やっぱりあの約束が効いてるんでしょうかねぇ……葉月にも、ユーナにも」


  「「で~とぉ!?」」
  俺とユーナの声がハモって響く
  ここはさっきと同じ、例のロココ様式のパーティ会場(なんだか業者らしき人達の手によってパーティ会場から神姫バトルアリーナに変わっていっているんだが…)
  しかしこのバトルシステム、結構大型のセンターにしかないレスティクラムシステムとの共同式によるマスターとの意識間での完全一体型モード対応の三次元仮想空間ホログラミングシステムじゃねぇか……どっから持ってきたんだ? アレ…
  「あ、いや、デートって言うか…その…兄さんからの誕生日プレゼントも…欲しいかなって…」
  こりゃまた意外だ
  葉月はこれまで俺に何かをねだったことなんてなかった
  だからいつも誕生日にはそれとなく香憐ねぇに聞いてもらっていたんだよ
  それよりなにより…
  「つか、お前…二十にもなって誕生日プレゼントをねだりますか? なんなら爺さんに買ってもらえば…」
  「おじいちゃんからはちゃんともらったからw」
  ニコッと笑って目線を右にやる葉月
  「おいおい、よりによってアレかよ……」
  葉月の視線でようやく理解する俺…そうか、やっぱりあのウン千万もするバトルシステムはアンタの仕業なんだなジジイ…と
  「それにお母さんにはこの子をもらったし、ね? レイア」
  「はい、御主人様」
  またこれがお行儀がいいのなんのって…うちのととっかえないか?
  「だから私達がもしこのバトルに勝つことができたら…1日私に付き合って欲しいなぁ~なんて……ダメ?」
  「だからってなんで『二人っきり』でデートなんだよ!! そもそもあんた! 実はアニキのこと…ふぐぅ!うむむむむむぅぅぅ!!」
  ジジイに口を押さえられるユーナ
  ええそりゃもう、もがく! もがく!
  「? 兄キノコ?」
  「あはは、なんでもない、なんでもないよ兄さん(おじいちゃんGJ!!)」
  「ん~まぁいいんじゃねぇか?」
  「ほ、ホント?兄さん!!」
  「!! っぷはぁ、アニキ!! なんでだよ!」
  「ただ買い物に付き合うだけだろうが…別にとって食われるわけじゃないだろ?」
  「(アホ!! 別の意味で喰われるかも知れねえから言ってんだよ…)大体、アネキたちはいいのかよ!!デートだぞデート!!」
  「いいじゃんか別に~、だって葉月んはご主人様の妹だよ~?」
  「妹だからってなぁ!! …姉さんはどうなんだ!?」
  「私はご主人様を信じていますから…」
  優しい笑みを見せるノア
  「姉さん……」
  「……………近親相姦などしないと…(ボソ)」
  「!! やっぱダメ!! 絶対ダメェェェェ!!」
  ノアのヤツ、最後にユーナの耳元で何言ったんだ?
  「いいじゃねぇか、それになユーナ」
  「ハァ、ハァ……何だよ…アニキ」
  「負けなきゃいいんだw」


  以上回想終了
  そして言わせてくれ、「前言撤回させてw」と…
  「どうすんだよアニキ!!このままじゃジリ貧で…うわわぁ!!」
  “ドスッツ!!”“ドスッツ!!”またもや危ねぇ!!
  「どうするったってなぁ……俺の見た感じ、少なくともレイアはセカンドの中位ぐらいには匹敵するだろうし、我が妹ながら葉月だってそれに劣らないぐらいの状況判断と戦術を持ってやがる……遠距離と近距離の差はあっても、正直なところ…ミコレベルの経験持ってる神姫じゃないとどうにもならんぞ?」
  「な、なんだよ! あ、アタシのせいだってのか!? お、おわっと!!」
  “ヒュン”“ヒュン”また飛んできた!!
  「うーん、こりゃ分が悪いなぁ~、ま、遊びなんだし、華を持たせて…」
  「諦めんのかよ!! アタシは絶対いやだからな!! それともあの、死の恐怖-スケイス-てのはハッタリなのかよぉぉぉ!!」
  …オマエ、俺の現役時代って知らんだろうが…………でもな………
  「……言ってくれるじゃねぇかユーナちゃん……無理でも何でも俺の言うこと聞くんなら…リクエストに答えて見せちゃうぜ? 本当の…恐怖をなぁ…」
  俺を本気にさせるのには十分だ
  「……あ、アニキ…いつもと顔が違うんですけど…;」
  おっといけねぇ、またやっちまうとこだったぜ…
  「いいか? オマエがいくらデビューしたてのぺーぺーでも、“あの”ノアから一本取ったってのは事実なんだ……よな?」
  「……あ、アニキ…こんな時に人のトラウマ掘り返してんじゃねぇゼ……」
  「スマン…そんでだな、ノアにも反応できるってんなら“アレ”もやれるはずだ…ビビるんじゃねぇぞ?」
  「……“アレ”って何だよ?」
  「いいか? よく聞いて忠実にこなせよ?……」


  「御主人様、ユーナ御姉様まであと24…22…20、限界射程内に入りました」
  「よーし、レイア、兄さんが何か仕掛けてくる前に一気にやっちゃって!! (フフフ、コレで念願の兄さんとの初デート、初デートぉ!!)」
  「!? 御主人様!!」
  「!! なに? レイア、もしかして……兄さんが何か動いたの!?」
  「いえ、むしろその逆です! 御姉様が行動を停止! 距離が、20…15…どんどん近くなっていきます!!」
  「な、なんですって!? 確かユーナちゃんはセットアップのとき装備はLC3しか持ってなかったわよね? …LC3の零距離射撃が狙いだとしても、モーションに入ればレイアにも気づかれるし…何より兄さんがそんな甘い選択するはずないよね……」
  「…どうしますか? 御主人様、このまま接近戦に入りますか?」
  「……うん、そうね、距離を置いたってどうなるって訳でもないし、やっぱりストラーフの十八番は接近戦、このチャンスを見逃す手は…ないわ! レイア、GO!!」
  「了解! アタックに入ります!!」


  「……きたぜ、アニキ」
  「あぁ……………」
  そうだ、もっと近づいて来い、こっちは接近戦の装備なんかありゃしねえんだ(ハンデとしてM4ライトセーバーもない)丸腰相手にビビるんじゃねぇぞ?
  「………! 右だ!!」
  “ビュッ”っと、ドンピシャだな
  フルストゥ・グフロートゥを振り下ろすレイア、しかしユーナは俺の指示で完璧に見切っている。ユーナの横を紙一重で通り過ぎる一線の斬撃
  「くっ!!」
  “ビュッ”“シュァ”“ファッ”次々に繰り出される斬撃の連続技
  しかし一度リズムに乗ったユーナに当たる事はなく、次々と空を切る音と皮一枚の緊張感だけがその場を支配する
  “シュッ”“ビュッ”“シュァ”斬撃は止まらない
  「く、はははっ、姉さんに比べるとこんなもん!!」
  「(す、凄い反応速度…、一度動きを止めないと当たらない…)止めて、レイア!!」
  「り、了解!!」
  返事から間髪入れずにサバーカでの足払いが来る
  「来たな、そうさ…当たらないなら止めりゃぁいい
  しかしその動きはうかつすぎるぜ? 葉月。いまだユーナ! ちゃんと狙えよ!!」
  「わかって……らあぁぁぁぁぁぁっ!!」
  “ヒュン”空を切るサバーカ
  「「!!!」」
  打ち合わせどうりに足払いを反り返る体勢でかわすユーナ、でも驚くのは早いんじゃないか?
  “バキッツ”っと一撃
  「ぐあっっ!!」
  「なっ!?」
  同時にそのままムーンサルトで直接レイアの下アゴにクリーンヒットをかます
  そうさ、俺がユーナにやらせた“アレ”とは武装無しでの超近接格闘、しかも刃物も何も無しでの純粋な格闘術だ
  「まさか…近接戦が十八番のストラーフに…素手での格闘戦を挑むアーンヴァルなんて…、! レイア!!」
  「ご、ご主人さ…ま…」
  “ドッシ~~ン!”
  「人間が深層心理で一番惹かれるものは『意外性』、それ即ち、逆もまた然り……人間の深層心理での一番の恐怖もまた、予測し得ない『意外性』である……ってな。まぁ経験の差がでかいんだが…予測できずに予測された…それが敗因だ、葉月」
  下アゴにモロ直撃を食らって頭部のデータ処理機関が脳震盪を起こしたのか、足元がふらつき、武装の重みに耐え切れずにレイアは後ろに仰け反り…倒れた
  「ゲームセットだ、オジョウチャン♪「緑色のケルベロス」に鍛えられたアタシの反応速度と「死の恐怖-スケイス-」のまさに一発逆転、恐怖の度胸試しが相手じゃ、少しは同情してやるぜ…」
  倒れたときに落としたのであろう、レイアが持っていた一振りのフルストゥ・グフロートゥを持ち主の面前に構えながらユーナが言った
  「クッ……ま、参りました…」
  「…ふぅ……あ~あ、負けちゃったか…大丈夫? レイア」
  「も、申し訳ありません…御主人様……」
  「ううん、よくやったよレイアは。相手はあの兄さんなんだし…」
  「すまないな、葉月、レイアちゃん…二人ともほんとにいい線いってたから…すこしマジ入っちまった…面目ない;」
  「ううん、いいんだよ兄さん。私達まだまだ初心者だし、いい経験になった。それに楽しかったしw…でもな~、兄さんとのデート、楽しみだったのになぁ…」
  「ん? あぁそれなら心配するな、ちゃんと付き合って……」
  “ブィーーン”“ブィーーン”“ブィーーン”突然鳴り出す緊急アラーム音
  「!! 緊急警報!? チッ!おい爺さん!! どうなってる!」
  俺の視界に爺さんが映し出された外部状況のウィンドウシステムが開かれる
  『わからん! いまこちらでもネットハックによって外部との連絡を一切断ち切られた!! 現在、我が鳳条院家のナノロット特別守備隊を突破してそのバトルシステムに介入しようとしておるナノロット1個小隊を確認した!!くれぐれも注意して……』
  「……遅かったみたいだぜ、爺さん…」
  “ドッガァァァァァァァン!!!”と轟音
  俺の発言から数秒後、バトルシステムを隔てるネット空間の外壁が爆風と共に吹き飛んだ
  「! 兄さん!!」
  「アニキ!」
  「明人さん!!」
  「大丈夫だ、心配すんな」
  「……お久しぶりでございますわね…」
  爆発の煙と共に、聞き覚えのある声が聞こえてきた…
  「オマエは……」
  「お懐かしゅうございます…我らが帝王、スケイス様…」
  そう言いながら現れたのは、一体の紫色のMS-07B、グフ型のナノロットだった……

  追記
  「ノアちゃん、ミコちゃん、準備はええかの!?」
  「オッケーだよ、兼爺!!」
  「こちらもOKです」
  「うむ、タイミングを見て4人の救出に向かってくれ!! それと香憐」
  「はっ! ここに、」
  「お主も出てくれ。それと明之の部屋に行ってアレを持ってきてくれんか?」
  「!!……アレとは……明之様の〈Gタイプ〉でしょうか…」
  「うむ、アヤツなら使いこなせるじゃろうて……やれやれ、本当に復活してしまうかものぉ……死の恐怖-スケイス-が………」
                               続く

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