ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 代替授業

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 お題『ベリーベル』


雛苺「んもぅ、イヤじゃないの!もうすぐ『すんだいもし』があるから、どうしても授業は進めなきゃなの!!」
この日、雛苺は普段は着ないようなパリッとしたスーツに身を固め、他校の研究授業に出かける準備をしていた。
その際、彼女は親友のベリーベルに「可能な限り授業を進めて」とお願いしたのだが、当のベリーベルはというと雛苺の腕にしがみつき、ただ首を横に振るばかり…。
そう…そこまで彼女が授業を拒否するのには理由があった。
勉強が不得意なので、自信がないのも理由の1つなのだが…
雛苺「あ!もうバスが来ちゃう…!!とにかく、行ってきますなの!」
そう言うと、彼女は嫌がる親友の手を振りほどき、学校を後にした。



ベリーベル「…う…。き…今日は、雛苺先生が…。だから、授業…です。」
男子A「…え!?」
どこか脅えたように自己紹介をする彼女に対し、一番前の席に座る生徒は怪訝な顔をしながらそう聞き返した。
無論、彼に悪気があったわけではない…。しかし、それはベリーベルを脅えさせるには十分な一言だった。
「ご…ごめんなさい…!」と弱々しい声で謝ると、彼女は今にも泣き出しそうな顔で教科書を広げた。
彼女が抱えるもう1つの問題…それは、彼女が極度の恥ずかしがり屋だという事…。
そのせいもあって、彼女は過去に雛苺の代わりに出た授業で、すでに何度も失敗を重ねていた。
ベリーベル「…だから、私には無理だって言ったのに…」
恨みがましくそう言いつつも、彼女は懸命に教科書に書いている言葉を黒板に書き写す。
しかし、そんな彼女の努力にもかかわらず、後ろのほうの席に座る者たちはお喋りを止めようとしなかった。
そんな彼らを見て、ベリーベルは勇気を奮い立たせ、こう注意した。


ベリーベル「あの…授業に集中して…下さい。お願いだから…」
オドオドと時々視線をはずしながらそう言う彼女に対し、彼は面倒くさそうにこう答えた。
男子B「え?だって、黒板は誤字だらけだし、何言ってるか全然聞き取れねーんだもん。これだったら、寝てるほうがマシだって。なあ、みんな!」
その声に「そうだそうだ!」と呼応する、ほかの男子生徒たち。
そして、彼らは寝だしたり、おしゃべりをしたりと思い思いの行動をとり始めた。
そんな生徒たちの行動に、彼女はただおろおろするばかり。
女子生徒の中には「もうやめなよ…」と注意する者もいたが、それでも彼らは一向にそれを止める気配がなかった。
もはや授業崩壊寸前の教室…。その時、教室のドアを静かに開け、ある人物が教室に入ってきた。
そして一通り教室を眺め終わると、彼女はそんな状況にため息をつき、呆れたようにこう言った。
?「…お姉様が言われたとおりですね…。子供相手に何て情けない…。」
その声に、教室がしんと静まり返った。


男子B「(…あれ…?急に静かになったな…。)」
重苦しい雰囲気が漂う中、問題を最初に起こした当事者だけは状況がいまいち飲み込めなかった。
男子B「(とりあえずこのまま寝たふりを続けて、何が起こっているかを確認するとするか…)」
そう考えると、彼は耳を澄ませ周囲をうかがう。
どうやら誰かがこの教室に現れたらしいが、その相手もベリーベルに負けないくらい小声で喋っているので、誰が来たのかはよく分からない…。
とにかく、話し方から判断するしかない…。そう考えると、彼は全神経を耳に集中させた。
かすかに聞こえる声…それはこんな内容だった。
?「…お姉様に言われてきたんですよ…。それにしても、聞く気がない者に授業をしても意味が無いと何度も言っているのに、あなたは一体何をしているのですか…。」
ベリーベル「そ、それでも…みんなに授業聞いてもらいたいし…」
?「だったら、彼らの望みどおり成績を最低まで下げてやればいいだけの話です。一度前例を作っておけば、どんな愚か者でも逆わなくなりますよ…。まして、この大事な時期には特にね…。」
その言葉に、彼は思わず飛び起きた。
興味のなさそうな、その淡々とした喋り方…
そして必要とあらば簡単に人を切り捨てる、現実主義的で冷淡な態度…
生徒B「メ…メイメイさん!俺が悪かったです!!だから、どうかそれだけは…!!」
その言葉に、彼女は天使のような笑顔を浮かべながらこう言った。
「ほら…効果てきめんでしょう? 」
と。


確かに、それは効果てきめんだった。
問題の生徒たちはみな下を向き、なるべく彼女と目を合わせないようにしていた。
しかし、そんな彼女の対応に反発する者があらわれた。
そう、ベリーベルだ。
彼女はそんなメイメイのやり方に戸惑いつつも、その手を引っ張り必死にこう訴えた。
ベリーベル「だ…だめ!!そんな力で押さえつけるようなやり方では…。もっと、みんな仲良く…」
対するメイメイは、その言葉を鼻で笑うと冷ややかにこう呟いた。
メイメイ「…どうも、この学校には夢や理想に生きる方が多いようですね…。そんな事は不可能に決まっているのに…」
ベリーベル「…確かにそれは不可能かもしれない…。それに私は頭も良くないし、要領も悪い…。でも、何もしないで諦めることだけは嫌…!私はヒナちゃんが目指すような、みんなが楽しんで参加できるような授業をやりたいの…!!」
それは、先ほどまでの弱々しいものとは全く違う強く、はっきりした口調…
そして、まっすぐ自分を見つめたまま動じない彼女に対し、メイメイはため息をつきながらこう言った。
「…ふぅ。これ以上、この点について議論しても無駄なようですね…。そこまで言うのならご自由に…。でも、私にも『使命』というものがありますので、その点だけはお忘れなく…」
その言葉に、ベリーベルは思わず身構えた。


ベリーベル「…さいぼーしゅーきの中の、まきの特徴として…」
メイメイ「…間期(かんき)です。」
ベリーベル「う…。間期の特徴として、何が挙げられますか?わかる人…」
その声に、一斉に手を上げる生徒たち。
そして生徒たちが答えたものを、メイメイは1つのミスもなく黒板に書き記した。
そういえば、彼女は最初にこう言っていた。「お姉様に言われたから、あなたを助けに来た」と。
「そっか…別に喧嘩をしにきたわけじゃないんだ…」と、ベリーベルは先ほどの勘違いを恥じつつ、彼女と共に一生懸命に授業を進めた。
…その後、この話は口コミで生徒たちに広がり、彼女が変わりに授業に来てもそれをからかう者や反抗する者は誰もいなくなった。
そう…それは、彼女が勇気を出して言った一言が、みんなに届いた証拠…
それを見て、ベリーベルは親友の雛苺にこんな相談をした。
「今空いてるH組…私が担当しちゃダメかなぁ…」
と。
そこには過去に授業を嫌がっていた姿など、微塵も存在しなかった。