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プロローグ●アルティカ・リクロアス ******************************** ―――果てしなく続く深い闇――― 「う・・・・此処は・・・・。」 薬品の香り漂う理科準備室で、一匹のジバコイルが目を覚ました。彼の名はアルティカ・リクロアス。某国で、15歳にして天才科学者と呼ばれた男だ。 しかし、人体実験や解剖などの酷い手段も躊躇せず行うため、影ではこう呼ばれる。・・・・「マッドサイエンティスト」と。 ガガッ! 短いノイズ音に、アルティカはハッとして壁上方のスピーカーを見上げた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 低くも高くもなく、また、感情さえ感じられない声が告げた内容をアルティカが理解するのに、時間はかからなかった。 「なん・・・・だと・・・?」 何故こんなコトになったのか、何故自分が選ばれたのか。そんなことがアルティカに分かるはずもなかった。 しかし、生き残りの10匹にならなければ、自分が死ぬ。その事実を理解したアルティカには、最早恐怖も絶望も感じられなかった。 「ククク・・・・・アハハハハ!!!」 誰も居ない理科準備室にアルティカの狂ったような笑い声が木霊する。 「いいだろう!僕を殺しに来るがいい!全員僕の薬の餌食にしてやる!」 そう宣言すると、アルティカは電子ロックのかかった薬品庫をいとも簡単に開いた。 そして、空のビーカーと薬品数種類をつかむと、手際よく調合し始めた。 地獄のように恐ろしい、この死合を勝ち抜くために・・・。 ---- プロローグ マリア編   色々なポケモンが 倒れていた。 短いノイズ音がした。     『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』  ―スピーカーから流れる声。     一匹のポケモンが、喜んでいた。 夜の理科室、さっきのアルティカが去った後、そのポケモンが現れた。 そして、待ち伏せして、通りかかったポケモンを、骸骨で驚かせ、気絶させた。     うっすらと、月明かりが学園を照らしていた。     そこにあった窓に、一匹の“黒いキルリア”と、一匹のマッスグマがいた。 “黒いキルリア”は、真紅の液体が付いたナイフを取り出した。 気絶していくマッスグマの喉に、ナイフを突きつける。 ナイフを掴んでいる右手に、ゆっくりと力を入れていく。           ゆっくりと、ゆっくりと。 傷から血が出てきたのを合図に、キルリアは、急激に右手に力を入れて、マッスグマの喉を突いた。 首の筋肉が裂けて飛び出る血飛沫。その血は部屋中に飛び散り、 窓、床、扉、キルリアの顔や肌までにも血がとんだ。 傷から溢れる真紅の血。どんどんに冷たくなっていくマッスグマの体。 体の冷たさを 指で触れて感じて、キルリアは快感を感じた。            「あははッあははははははははははははは!!!!!」     ―満月の夜空に、狂った笑い声が響いた ---- 波楼 プロローグ   闇。 闇。 闇。 真っ暗な部屋の中で、一匹のポケモンがおびえていた。 教材室。電気がないと小さい窓から入ってくる月明かり以外は真っ暗闇である。 そしておびえていたポケモンは、ルカリオ。 彼の名は時闇 波楼。 世にも珍しい白いルカリオだった。 ガガッ!! いきなり入った放送のノイズに、思わず飛び上がってしまいそうになる。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 「―――殺・・・す?」 答えは返ってくるわけもなく、ブツンと放送の切れる音がした。 それと同時に、ドンドン、ドタドタという足音と、誰かの笑い声が聞こえた。 ―――殺レ・・・ 殺スンダヨ・・・波楼――― 声が 聞こえた。 ―――そうだ。 行かなくちゃ。 誰かが俺の前に立つ前に――― ドアは開いていた。 そして波楼は、暗く、血にまみれたステージに足を踏み入れるのだった・・・ ---- 気が付くと、見慣れぬ場所に倒れていた。 そして、私は人間になって……いなかった。 冗談はここまでにしておこう。 「え、ちょ・・・此処ってどk・・・ぁイだぁあッ!!」 がンッッ!! 「痛・・・顔ごとぶつけた・・・」 壁にぶち当たったのだろうか。 ・・・だけど、そこに見えたのは、闇。 私の体よりも、ずっと暗かった。 ガガッ!… 短いノイズ音がした。 そして、淡々とした声が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 感情の無い、低くも高くも無い声だった。 「…バトロワフラグ?学校か、此処・・・帰らなきゃね…」 今頃私はとぼけた。 だけど、何も起こらない。 暗い闇。私の体よりも、ずっと暗い――…… 其の上、もっと困ったことが起こった。 ―「道・・・どっち??」 道が分からない。 右に行けばいいのか、左に行けばいいのか・・・。 其の時。 「あははッあははははははははははははは!!!!!」 狂気の笑い声。 其の声に、私は嫌気が差したような感じがした。 「うわぁ、ウザ・・・」 そう呟いてみたが、何も起こらなかった。 その傍には、異臭が漂っていた。 血・・・ではない。 ゴミ、だった。 ---- どこまでも深い闇。 それは、出口の分からない迷路。 どうせ分からないくらいなら、ない方がましではなかろうか―――― プロローグ【ココ=ルーン】    *   *   * 気づけば、闇の中に居た。 心なしか頭が少しクラクラする。……ここはどこだろう。 昨日、ミオに相談されたのは覚えていた。巴巳にも会ったっけ。 ガガッ! リオルのココ=ルーンが暫く冷静に考えていると、短いノイズ音が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 それは感情のない、冷たく恐ろしい声だった。 ココは僅かに眉を顰めただけで、特に何も言わなかった。……否、表面上では反応していないだけ。 心の中では、怒りの炎が燃え滾っていた。 (殺しあう……? そんなこと、やっていいハズがない!!) それは、今まで沢山の命を奪ってきてしまったからこそだった。 命が尊いのは知っている。 命が重いのは知っている。 そして何より、殺しあう為に生まれた命なんてないことを知っている。 (兄上……) ココは心の中で、どこにいるかも分からない兄に小さく祈った。 (兄上。どうかぼくに、力をほんの少しだけでいいので分けてください。そして……                     どうか、こんな馬鹿げた場所にはいないでください……) 祈り終わると、まずは自分がどこにいるのかを確認する為に少し周囲を探ることにした。 ---- 小学校の屋上にピカチュウがいた……… 祐樹「何か………嫌な気が…」 そこにタイミング良く ~今から君達に、この学園を舞台に十匹になるまで殺し合ってもらう~ 祐樹「……………………」 そして祐樹はこう言った 祐樹「えええええぇぇぇぇぇえええええ!!!!」 祐樹「ま…………まじかよどうしよう………めんどくさいからいいや」 そう言って彼はそこから一歩も動かなったが 「あははっあははははははははは!!!!!!!!」 祐樹「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」 そういって彼は飛び降りた しかも屋上から地上へ 祐樹「ん?………やば」 ドシャ そして祐樹は死んだ………しかし 裏祐樹「アハハハハハハハ!!!!皆殺しダア!!!」 祐樹は校舎へと歩いて行った ---- プロローグ~エンメイ&メイ~ 二人は気づくと教室の中にいたそこで… 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう』 そう低いノイズ音がした… エンメイ「どういうことなんだ?」 メイ「…エンメイ、怖いよ…」 恐怖に包まれる、それほど怖い場所… メイ「ねえ、ここからどうするの?」 エンメイ「わからない…だけど誰かいるはずだよ」 誰かいてくれ、それだけでもいい… そして二人は彼らは部屋をでて誰かいるか… だが…その時いきなり笑い声が聞こえた… 「あははッあはははははははははは!!!!!」 エンメイ「誰かいるのか?」 メイ「血…血の匂い…」 この場所で血の匂い?ここは理科室らしい… このドアを開けたら駄目だ…そう思うさなかおそるおそる開けてみた… そこには…血まみれの黒いキルリア…そこにはマッスグマの死体… そこで何があるのだろうか…まだ誰にもわからない… エンメイ「な…なんなんだ、なんでこんな事に…」 メイ「血…血が…」 エンメイ「見るな、相手はまだこっちには気づいてはいない」 しかしその時… マリア「誰なの?そこにいるのは?」 エンメイ「やばい!逃げるぞ!」 ふとメイを見るとメイは足がすくんで立てれない状況だった… メイ「あ…足が…す…すくんで…」 エンメイ「どうする…どうすれば…!」 ---- プロローグ デビット&編 「く・・・一体全体何なんだよ!?」 「真っ暗で何も見えないこの学園で何が起こるって言うんだ・・・」 このピカチュウの名は、デビット・フロシア。 いつの間にかこの学園にいた一人でもある。 ガガッ! その時、短いノイズ音が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 デビットは驚いた。 それは人がいるという安心感と、殺し合うという拒否感。 彼は人殺しはしたくない。だが彼には戻らなければいけない理由がある。 そう悩んでいたその時。 「つまり10人になるまで戦えるって事か!そいつぁラッキーだ!」 「だ、誰だ!?」 後ろから声が聞こえた。 「お、その声は・・・お前、デビットだろ?」 「まさかお前・・・ガンナー・ロック!?」 「ああ、そうだぜ!俺様だ!」 出てきたのはガンナー・ロック。 デビットの古い友人である。 「お前もここにいたのか?」 「そうだ、だがそれだけ俺様が楽しめるって事だ!・・・もっともお前と楽しめればそれはそれでいいけどな」 「一緒に行け、って事か?」 「そうなるけどな、ぐはははははは!!」 そういうと、二人は歩き始めた・・・。 ---- ふと扉を見た。 さっきまで閉まっていたのに・・・開いている。 それに、その扉の奥に・・・気配がする。 「きっと気のせいですぅ~」 さっきの「あははッあははははははははははははは!!!!!」っていう学園中の誰もが聞いた声とは違う、とても間延びした声がした。 ここで紹介しておくが、あの黒いキルリアの名前はマリア。本名は「聖風 マリア」らしい。 ・・・でも、勝手に扉が開くなんて、不自然だ。 きっと、誰かがいたんだろう。 マリアは殺人衝動を抑えきれずに、体中が震えていた。      ―殺ル.殺ル.殺リタイ―                 ―殺シテヤル...絶対ニ... マリアは扉に向かって歩いていった。 ---- プロローグ 冥羅刻皇 十数年前とある建物内で起きた原因不明の爆発により大量の人やポケモンが死んでいった。しかしその中にまだ息は有るものの、命が殆ど消えかかった一匹のフーディンがいた。 彼の名は冥羅刻皇、生まれつき超人的な頭脳を持った天才ポケモンだったが、その頭脳を一度も他人の為に使う事はせず、自分の楽しみである、人やポケモンの命を弄ぶ殺戮ゲームを作りそして実行していく事にだけ使っていった。 しかしそのような悪者でも死は平等に訪れるのだった――――― (フッ・・・・・・どうやら、おれはもう助かりそうに無いか・・・・・・) 自分の終わりを悟ったのか、至極冷静にそう考えていた。 (おれの逝く先は、間違いなく地獄だろうな・・・・・・まあ別に後悔はしていないが・・・・・・) その時瓦礫が自分の所に落下してきたと同時に彼の視界は閉ざされた。 「・・・・・・ん?」 周囲から聞こえる機械音に、刻皇はふと目を覚ました。とにかく頭を振り回し、脳を覚醒させて辺りを見た。やや広い薄暗い部屋に電源の付いたパソコンが二十台程置いてあるところから人間の場所というのは理解できた。 しかし一つだけ解らない事が有るとすれば、なぜ自分は生きていてこの場所に居るのかという事だけだった。 「どういうことだ?おれはあの時死んだはず・・・」 何気なく呟いた後、取り敢えず立ち上がり体を動かしてみて、どうやら自分はまだ生きている事を確認する。 (あの爆発の中、誰かに助けられたのか?) ガガッ! 突然聞こえて来た短いノイズ音に、刻皇は視線を自分の体から音の方に向けた。ふと見るとホワイトボードの上に設置されてあるスピーカーを見つけた。先ほどのノイズ音はそこから聞こえたのだろうという事を確認したと同時に、ここは何処かの学校のパソコンルームだと言う事も把握した。最初はパソコンが二十台近く置いてあった事から何処かの会社のオフィスかとも思ったが、ホワイトボードを発見した時その考えはすぐに消えた。会議室ならともかく、会社のオフィスにホワイトボードが置いてある事なんてまず在り得ないからだ。 そんな考えを余所にスピーカーから淡々とした声が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に十匹になるまで殺し合ってもらう。』 「・・・・・・何?」 刻皇が言葉の内容を理解するのに時間は全く掛からなかったが、途端に不機嫌になり始めた。別に命は惜しくないし、自分以外のポケモンを殺すのに躊躇は全く無い、しかし問題なのは先程の声の主である主催者らしき人物の言うままに動かされるのが余りにも癪だという事だけ。はっきり言って自分は他人を利用するのは好きだが、他人に利用されるのは大嫌いな性格なので、結果最終的に導き出した結論は――――― 「取り敢えず・・・・・・あの主催者殺すとするか」 ―――――と、まるで近くのコンビニでおにぎりを買いに行くかの様な口調で言い放った。 ふと窓から外を見てみたが、校舎の周りは高い塀で囲まれているだけで、一見空を飛べる、あるいは地面にもぐれる奴ならいつでも出られる様に見えた。しかし恐らく強固なバリアシステムでも張ってあるのだろう、脱出しようとして失敗したゴミどもが彼方此方で見える。あの様子では自分のテレポートを使っての脱出もおよそ無理だろう。しかし逆を言えばあのバリアシステムが機能しなくなれば、少なくとも主催者の切り札を一つ潰せるという事だ。ニヤリと笑みを浮かべた刻皇は、早速これからの行動方針を決める事にした。 ---- プロローグ・ミライ 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 先刻聞こえた放送に、竜崎優華、否、港未来は無関心な様子で、グラウンドに佇んでいた。 「全く・・・ワタシはそんなに暇ではないのだけれど・・・。」 背後から襲い掛かってきたカイリキーをまるで何事もないようにサイコキネシスで絞め殺した。 グラウンドには、様々なポケモンがいる。弱いために、強いポケモンに脅え逃げ惑う者、弱いために、強いポケモンに媚びへつらい護ってもらおうとする者。 「馬鹿みたい・・・・。」 誰も聞いていないため、ミライは1人呟いた。 「この惨劇の中・・・・とても歩いては行けないわね。」 ミライは、悪タイプのポケモンが居ないことを願いつつ、校舎内にテレポートした。 「っと・・・・。」 ミライが着地したところは、どこかの教室のようだ。側にあった机を見ると、掠れてはいたが確かに何者かの名前が書いてあった。 「中等部一年・・・・ダメだわ。読みとれない。」 相当昔の物なのだろうか、名前は読みとることが出来なかった。 この階には誰も居ないようで、ミライは廊下を見回し歩き始めた。 カツン・・・・・カツン・・・・・カツン・・・・・ 「!!」 何者かの足音が聞こえる。ミライ以外の誰かの。 足音はランチルームの中から聞こえた。外に向かって居るようだ。 ガラス窓から姿が見えない辺り、背は低いようだ。 流石のミライも恐怖を感じたらしく、逃げることも考えたが、敵は一匹でも多く潰した方が良い。 サイコキネシスの用意をしたその時。 ガララッ! 引き戸が開く。その瞬間、ミライは相手の姿を見ずにサイコキネシスを放った。 ---- 祐樹「ドコダアアアドコダアアア」 半分叫びながら進む祐樹 そしてドアを開けた瞬間 ?「サイコキネシス!!!」 祐樹「ウギャアアアアアア」 <ドクシヤアアアアン>←は効果音 しかし 祐樹「甘いンダヨ!!」 祐樹はいきなり何かし始めた ---- わらにんぎょうに わらにんぎょうに わらにんぎょうに ごっすん ごっすん ごすんくぎ~ イーアルサンイーアルサンわんつすりわんつすりいちにぃさーん イーアルサンイーアルサンわんつすりわんつすりいちにぃさーん (中略) 嫌いキライ 大人共(あんああんあんああんあん) なんで綺麗事ばっかりなのさ ホントに苛立ってくる(あんああんあん) お前等全員いなくなれよ 知らないよ そんなゲーム 殺し合いなんてまっぴらごめん お前等とは違うから ボクの日常を簡単に盗まないで ココ「奴は大変なものを盗んでいきました…」 ミオ「……?」 ココ「それは……あなたの日常です!」 ミオ「……はい!」 ~主催者は大変なものを盗んでいきました~ 歌:白雪 水於 演奏:ココ=ルーン 元ネタ:魔理沙は大変なry 「……ハッ。ボクは何を……」 妙な夢から覚めた場所は、暗闇の中でした。 プロローグ~ミオ~    *   *   * 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 夢から覚めた直ぐ後に、その冷たい声は聞こえてきた。 もしかしなくてもさっきの夢と関係があるような気がする。 「まさか予知夢……。ていうか、なんだったんだろうさっきの……」 ♪チャチャチャチャラララーン ミオは 「たいへんなものをぬすまれたひと」のしょうごうを てにいれた! ▼ 「と、とりあえず……ここはどこだろう」 廊下……だろうか。すぐそこに教室がある。 ……何やら騒がしい気がするのは気のせいだろうか。 「甘いンダヨ!!」 否、気のせいではなかった。しかも直ぐそこの教室と来た。 気がつくとミオは、その誰か分からない「それ」に向かって水の波動を放っていた。 (何やってんだろ、ボク……) しかし、ここで止まったら自分が殺されるかもしれない。 ミオは水の波動の「ある効果」を願いつつ、教室に飛び込んだ。 (うわ、ピカチュウかよ…) 飛び込んだ瞬間、自分が水の波動を放った相手を確認する。 よりによって電気タイプのピカチュウだ。シャワーズのミオにとっては天敵である。 ますます水の波動の「効果」を願うしかない。 「クラエ!!」 相手のピカチュウが十万ボルトを放った。――この距離は、かわせない―― とっさにミオは「守る」を使い、十万ボルトを防いだ。 (しくじった――!?) もしもう一度十万ボルトを撃たれたら、助からないかもしれない。 「守る」は連続で使えば使うほどその成功率は下がっていくのだ。……次は失敗するかもしれない。 次は、死ぬかもしれない。 ミオは悔しさのあまり、唇を噛んだ。余計なことに首をつっこまなければこうはならなかった。 後悔と悔しさ、相手のピカチュウに対する怒りが頭の中を走り回る。 もう、どうすればいいか分からなかった。 ……が、しかし。 「ニゲテモムダダ!!」 「……は?」 突然叫んだかと思うと、そのピカチュウは教室を飛び出して廊下を走っていった。 ――そう、「混乱」していた。 助かったんだと改めて自覚すると、全身の力が一気に抜けていくような気がした。心臓の音がやけに煩い。 (…コレが……殺し合い……。ココが毎日のようにやってたのが、これだったんだ…) 「……アナタは誰? 敵なの?」 ゆっくり振り向くと、そこにはサーナイトが立っていた。 「……さあね。いやいやとはいえあんたを助けたんだから、味方かもしれないよ」 今言える、精一杯の皮肉だった。 ---- プロローグ■ミミアン 「あいったぁぁぁぁ…く、暗いです…怖いです…だれかいませんかー?」 小さなミミロルの女の子、ミミアンは真っ暗な場所で目を覚ました。 真っ暗なので前が見えなかったらしく、四角いものにぶつかってこけてしまったらしい。 ここは…?ミミアンは真っ暗な部屋のなかをキョロキョロと見渡す。 目が慣れてきたからか、薄っすらと部屋が見渡せる。 たくさんの本が並ぶ大きな本棚。横にも前にも後ろにも、大きな木のように立っている。 ああ、そうだ、ここは図書室か…。ミミアンは立ち上がる。 と、その途端、 ガガッ!! 短いノイズ音。ミミアンは耳鳴りかな?と耳を押さえてみる。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 何処からか淡々とした声。ミミアンは押さえていた手を離す。 「殺す…?人を…?」 ミミアンの綺麗なマリンブルーの瞳に影がかかっていく。 「殺す……」 ミミアンは催眠術にかかったかのように呟く。 マリンブルーの丸い瞳に明るさが戻ったかと思うと、いきなり立ち上がり、窓のカーテンを開ける。 シャッと軽い音。途端に暗かった図書室に日が差し込む。 眩しい…。暗闇に慣れていたミミアンは目をパチパチとさせる。 運動場にはたくさんのポケモン。燃やされて息絶えるポケモンも、凍らせて生き延びるポケモンもたくさんいた。 「ほんとうに、…やってる…」 ミミアンはぽつんと呟く。太陽の光が目にしみる。 とりあえず、他のみんなのところへいこう。ミミアンは廊下のほうへと重い足取りで歩いていく。 ぺた、ぺた、ぺた… ミミアンの歩く音。 耳をすますと、下の廊下のほうから走る音。 ミミアンはだんだん怖くなってきて、その場にしゃがみこんでしまった。 「ポケモンを殺すなんて…できないよおっ!」 マリンブルーの瞳から、綺麗な水色の涙が零れ落ちる…… ---- ちなみに祐樹は壁にぶつかって元に戻った 祐樹「あいたたたたたたたた」 祐樹「さてどうし………」 皆さん忘れていないだろうか 彼は死んで裏になったのだ しかしうちどころかよくぎりぎり助かった しかし 祐樹「うっ」 傷がひどい上に混乱+ダメージ 祐樹「とにかく保険室に………」 そういって彼は保険室に向かった ----   ガチャ ドアを開けた そこに映った光景を見たマリア。 「グレイシアと・・・バシャーモ?」 メイとエンメイが、うずくまっていた。 「・・・そんな所でなにをしてるんですか?」 殺す気が無くなったマリア。 「こ・・・こ・・・殺さないで・・・」 「いや・・・殺す気無くなったんですけど・・・。あなた達も聞きましたか?あのスピーカーの声」 「はい・・・」 「『10人になるまで』っていってたよな」 「10人になるまで、殺し合いが続くって事かな・・・?」 「・・・生き残りたいなら、殺し合いに参加しなければいけませんよ」 そういうと、緑色の液体が入った瓶を二人に渡し、立ち去ろうとするマリア。 「では、私は・・・」 「ま、待って!」 「・・・え」 「一緒に・・・一緒に行こう」 「・・・仕方がないですね。あなた達、名前は?」 「メイ。で、こっちがエンメイ」 「メイさんに・・・エンメイさん・・・ですか。私はマリアと申します。じゃ、行きましょうか」 「うん!」 メイ・エンメイがマリアと合流した。 ---- 刻皇が考え始めたその時。 「あははッあははははははははははははは!!!!!」 と、校舎全体に物凄い大きな笑い声が響き渡った。しかし刻皇は特に驚く事はなく冷静に分析し始めた。 (あいつ正気か?今この状況で大きな声を出したら、どうぞ狙ってくれと言ってるようなものだ。あまりの恐怖にパニックに陥ったか、あるいは殺しが楽しくてしょうがない快楽殺人鬼なのか、いずれにせよあれは使える駒に入らんな) すぐさま考えを切り替えた刻皇は、これからの行動方針を決めるためルールを再確認してみた。とはいうもののルールは『十匹になるまで殺しあう』という極めて単純な物、だが刻皇はそこに妙な不自然さを感じ始めた。もし自分が主催者の立場ならそんな中途半端な危機的感情しか引き出せない程度のルールを作ったりしない、むしろもっと厳しく設定するはずだ。 そう考えた刻皇はかつて自分が作った殺戮ゲームの数々を思い出した。捕まったら即死刑の『リアル鬼ごっこ』、動いた瞬間に蜂の巣にされる『リアルダルマさんが転んだ』等等、その作ったゲームの数は百・・・いや考えた数だけなら数万個は下らないだろう。そして、そのゲームに強制的に参加させたポケモン達が死んでいくのを見て楽しんでいた時代があったのだ。そして今もその殺戮ゲームが実行されているが、唯一の相違点はかつてゲームの主催者をやっていた自分が、このゲームの参加者になっている事である。 しかしその経験のおかげで、今自分はこうしてこのゲームの主催者の心理がある程度分析できる。単純に考えれば自分とあの主催者はいわゆる『同じ穴のムジナ』と言った所だろう、他人の命をゲームの駒のように扱う性格は自分と良く似ているし、多少の親近感も沸く(だからと言って自分を駒扱いした事には、許す気など微塵も無いのだが)、しかしだからこそ、このゲームのルールの緩さには全く理解できない点が多いのだ。 第一に―――――生き残る数が十匹である事 普通の奴から見れば少ないと思うが、自分から見ればこの人数は余りにも多すぎる。それだけの生き残りの枠が有るならば、グループを作る参加者が増えるのは至極当然の事だ。ただその人数が二・三匹程度なら特に問題はない、だが五・六匹も集まれば『他の参加者を殺すよりも、みんなで協力して主催者をやっつけよう』と考える者も少なからず存在するだろう、・・・いや絶対と言っても良い、ポケモンだろうが人間だろうが生き物というのは、一匹でいるよりも大勢でいる方が強気になれる存在だ、もしそんな事になってしまったらゲームが滅茶苦茶になり、主催者にとっては全く面白くない展開になってしまう。それだったら生き残る数を一匹だけにしてしまえば、グループを作りにくくなるし参加者の死亡数も増える等、主催者にとっては良い事尽くしだ。だがリスクを負ってまで十匹にするのは、その十匹で何かするつもりなのだろうか? 第二に―――――禁止エリアが設置されていかないこの学園内はいささか広すぎるという事 もし自分が主催者なら、参加者の数が少なくなっていく、あるいは時間が経てば禁止エリアの様な立ち入り禁止区域を設置していき、行動場所を制限させ参加者同士の遭遇率を高めるような事をするはずだ。しかしその様なルールが無いとなると最初の方は兎も角、時間が経って参加者の数が少なくなれば遭遇率が低くなり、殺し合いが起きる回数が減って観戦している側には余りにもつまらない筈だ。まあその為には禁止エリアに入ると爆発する小型の爆弾のような物を、心臓近くか脳内に埋め込ませるか、それがダメなら見渡しの利く場所でゲームを実行するか、兎に角幾らでも方法は在る筈だ。それともここで無ければならない理由があるとでもいうのだろうか? 第三に―――――制限時間が無いという事 はっきり言って何故これが無いのかが解らない、これは即ち時間無制限と言う事だが自分だったらそんなに長く待てるほど気の長い方ではない、むしろ1ゲームに時間が掛かるようだったら、参加者を全員殺してゲームをとっとと終わりにした方が手っ取り早い、そうならない為にも大抵のゲームには制限時間が付き物だ。例えば『五日以内に十匹の優勝者が決定しなければ学園にミサイルを撃ち込み全員死亡』等と言ってやれば参加者達は死に物狂いで殺し合いを始めるだろう。その様なルールが無いのは、あの主催者には自分達を自由に殺せる術が無いのか、それとも制限時間が付くと何か不都合な点があるのだろうか? いずれにせよ以上の三点から考えられるのは、主催者の考えを自分の物差しだけで計るのは良くないと言う事だけ、しかしどう考えても参加者側が有利なこの状況を利用しない手は無かった。兎に角あの厄介なバリアシステムさえ解除できれば、主導権はほぼこちらの方と言ってもいい、あとは利用できる駒を集めて主催者を殺せば万事解決である。 と、以上の内容をわずか0,1秒でまとめた刻皇は、これからの行動方針を決定した。 「おれが今やるべき事は・・・使える駒の入手と使えない駒の処分、バリアシステムの解除、そして主催者の真の狙いを探る事・・・だな。取り敢えずここのパソコンは使えるかどうか試してみる価値はあるか」 早速パソコンに手を伸ばした刻皇は、物凄い速さでキーボードを叩いていった。色々試してみた結果、このパソコンでは学園外と放送室そしてバリアシステムの中枢へのアクセスは不可能だが、一部を除く校舎内全体のシステムへの侵入は特に労せず成功できたようだ。早速、校舎内の不必要なシステムを削除していき、セキュリティのOSを書き換え警報レベルMAXに設定、これにより校舎内の教室や渡り廊下に高性能センサーがびっしり張り巡らされた。次に素早く警報ブザーの音量をミュートに切り替え、センサーに掛かった者の時間と場所の情報をこの部屋のパソコンに転送されるようにしておいた。 「これで校舎内限定だが、ゴミ共の動きが手に取るように解る様になったな。後はこの場所を離れても良い様に、ここのパソコンと同じ機能の小型レーダーを作っておくか、幸い先程の狂気の笑い声に近づくどころか、恐れているゴミ共が多いおかげで、付近に反応は少ないようだし、駒の選別は後回しでも良いだろう」 すぐさま刻皇はレーダーの作成に取り掛かった。部品の方はここを使っていた生徒の忘れ物だったのだろう、隅っこに落ちてあったポケギアを拾い改造を始めた。 「まあ何にせよ、ゲームというのは今も昔も情報を多く持った者が勝つように出来ているからな。・・・・・・クククク、見てろよ主催者、最後に笑うのはこのおれ冥羅刻皇だ!」 そして冥羅刻皇の殺戮ゲームが開始された。 ---- 「クソッ・・・・クソッ・・・・・!!」 アルティカは、理科準備室を抜けて4階の廊下を走っていた。 「何なんだ・・・・さっきの高笑いは・・・!」 アルティカは薬を作り終えた後、理科準備室を抜けた。 その直後、聞いた。ゾッとするような笑い声を。 アルティカは数秒間動けないで居たが、薬を持ってそのまま走り去った。 図工室に駆け込み尖った彫刻等を2本つかむと、アルティカは用心して廊下に出た。 そして足音を立てずに、否、アルティカは浮いているので元々足音はないが、理科室と反対の方向に歩き始めた。 「・・・?」 廊下に何か・・・いや、”誰か”がうずくまっている。 彫刻刀を背に隠し、恐る恐る近づいた。 「オイ。」 声を掛けるとビクッと”誰か”は肩を震わせ、ゆっくりとアルティカの方を向いた。 それは、フリフリのワンピースを着て、リボンをつけた幼いミミロルだった。 涙の溜まったマリンブルーの瞳がじっとアルティカを見つめている。 「敵ならば殺そうと思ったが・・・・ガキか。」 ”殺す”の言葉に反応したのか、ミミロルは怯えた目でアルティカを見た。涙は相変わらず流れている。 「・・・・・やりにくいなぁ・・・・・。オイ、泣くな。」 だが、ミミロルは泣き続けている。 アルティカは、日頃から子供と接することが無い。だから、子供の扱いは知らない。 その為、泣いているミミロルをみてアルティカは段々苛立ってきた。 「・・・・・泣くなッ!!」 「ひっ・・・・。」 ミミロルは、思わず泣くのを止めた。 「お前のようなガキを殺す気は無い。僕は其処まで墜ちちゃあ居ないからね。」 アルティカはそう言い放つと、ミミロルの小さな手に、隠し持っていた彫刻刀を握らせ、立ち去ろうとした。 「・・・あ・・・・待って。」 「・・・何だ。」 「・・・一緒に・・・行こう?」 「・・・・仕方ないな・・・・。」 アルティカが渋々言うと、ぱぁぁっとミミロルは笑顔になった。 「わたしはミミアンだよ~。よろしくね!」 「凄い変わり様だな・・・・。僕は天才科学者のアルティカ・リクロアス。アル様とでも呼ぶがいい。」 「宜しくね!アルティカ!」 「なっ・・・・。」 アルティカの顔が引きつったが、ミミアンは全く気にしなかった。 アルティカは自分が生き残れるか、少し不安になったとか・・・。
プロローグ●アルティカ・リクロアス ******************************** ―――果てしなく続く深い闇――― 「う・・・・此処は・・・・。」 薬品の香り漂う理科準備室で、一匹のジバコイルが目を覚ました。彼の名はアルティカ・リクロアス。某国で、15歳にして天才科学者と呼ばれた男だ。 しかし、人体実験や解剖などの酷い手段も躊躇せず行うため、影ではこう呼ばれる。・・・・「マッドサイエンティスト」と。 ガガッ! 短いノイズ音に、アルティカはハッとして壁上方のスピーカーを見上げた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 低くも高くもなく、また、感情さえ感じられない声が告げた内容をアルティカが理解するのに、時間はかからなかった。 「なん・・・・だと・・・?」 何故こんなコトになったのか、何故自分が選ばれたのか。そんなことがアルティカに分かるはずもなかった。 しかし、生き残りの10匹にならなければ、自分が死ぬ。その事実を理解したアルティカには、最早恐怖も絶望も感じられなかった。 「ククク・・・・・アハハハハ!!!」 誰も居ない理科準備室にアルティカの狂ったような笑い声が木霊する。 「いいだろう!僕を殺しに来るがいい!全員僕の薬の餌食にしてやる!」 そう宣言すると、アルティカは電子ロックのかかった薬品庫をいとも簡単に開いた。 そして、空のビーカーと薬品数種類をつかむと、手際よく調合し始めた。 地獄のように恐ろしい、この死合を勝ち抜くために・・・。 ---- プロローグ マリア編   色々なポケモンが 倒れていた。 短いノイズ音がした。     『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』  ―スピーカーから流れる声。     一匹のポケモンが、喜んでいた。 夜の理科室、さっきのアルティカが去った後、そのポケモンが現れた。 そして、待ち伏せして、通りかかったポケモンを、骸骨で驚かせ、気絶させた。     うっすらと、月明かりが学園を照らしていた。     そこにあった窓に、一匹の“黒いキルリア”と、一匹のマッスグマがいた。 “黒いキルリア”は、真紅の液体が付いたナイフを取り出した。 気絶していくマッスグマの喉に、ナイフを突きつける。 ナイフを掴んでいる右手に、ゆっくりと力を入れていく。           ゆっくりと、ゆっくりと。 傷から血が出てきたのを合図に、キルリアは、急激に右手に力を入れて、マッスグマの喉を突いた。 首の筋肉が裂けて飛び出る血飛沫。その血は部屋中に飛び散り、 窓、床、扉、キルリアの顔や肌までにも血がとんだ。 傷から溢れる真紅の血。どんどんに冷たくなっていくマッスグマの体。 体の冷たさを 指で触れて感じて、キルリアは快感を感じた。            「あははッあははははははははははははは!!!!!」     ―満月の夜空に、狂った笑い声が響いた ---- 波楼 プロローグ   闇。 闇。 闇。 真っ暗な部屋の中で、一匹のポケモンがおびえていた。 教材室。電気がないと小さい窓から入ってくる月明かり以外は真っ暗闇である。 そしておびえていたポケモンは、ルカリオ。 彼の名は時闇 波楼。 世にも珍しい白いルカリオだった。 ガガッ!! いきなり入った放送のノイズに、思わず飛び上がってしまいそうになる。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 「―――殺・・・す?」 答えは返ってくるわけもなく、ブツンと放送の切れる音がした。 それと同時に、ドンドン、ドタドタという足音と、誰かの笑い声が聞こえた。 ―――殺レ・・・ 殺スンダヨ・・・波楼――― 声が 聞こえた。 ―――そうだ。 行かなくちゃ。 誰かが俺の前に立つ前に――― ドアは開いていた。 そして波楼は、暗く、血にまみれたステージに足を踏み入れるのだった・・・ ---- 気が付くと、見慣れぬ場所に倒れていた。 そして、私は人間になって……いなかった。 冗談はここまでにしておこう。 「え、ちょ・・・此処ってどk・・・ぁイだぁあッ!!」 がンッッ!! 「痛・・・顔ごとぶつけた・・・」 壁にぶち当たったのだろうか。 ・・・だけど、そこに見えたのは、闇。 私の体よりも、ずっと暗かった。 ガガッ!… 短いノイズ音がした。 そして、淡々とした声が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 感情の無い、低くも高くも無い声だった。 「…バトロワフラグ?学校か、此処・・・帰らなきゃね…」 今頃私はとぼけた。 だけど、何も起こらない。 暗い闇。私の体よりも、ずっと暗い――…… 其の上、もっと困ったことが起こった。 ―「道・・・どっち??」 道が分からない。 右に行けばいいのか、左に行けばいいのか・・・。 其の時。 「あははッあははははははははははははは!!!!!」 狂気の笑い声。 其の声に、私は嫌気が差したような感じがした。 「うわぁ、ウザ・・・」 そう呟いてみたが、何も起こらなかった。 その傍には、異臭が漂っていた。 血・・・ではない。 ゴミ、だった。 ---- どこまでも深い闇。 それは、出口の分からない迷路。 どうせ分からないくらいなら、ない方がましではなかろうか―――― プロローグ【ココ=ルーン】    *   *   * 気づけば、闇の中に居た。 心なしか頭が少しクラクラする。……ここはどこだろう。 昨日、ミオに相談されたのは覚えていた。巴巳にも会ったっけ。 ガガッ! リオルのココ=ルーンが暫く冷静に考えていると、短いノイズ音が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 それは感情のない、冷たく恐ろしい声だった。 ココは僅かに眉を顰めただけで、特に何も言わなかった。……否、表面上では反応していないだけ。 心の中では、怒りの炎が燃え滾っていた。 (殺しあう……? そんなこと、やっていいハズがない!!) それは、今まで沢山の命を奪ってきてしまったからこそだった。 命が尊いのは知っている。 命が重いのは知っている。 そして何より、殺しあう為に生まれた命なんてないことを知っている。 (兄上……) ココは心の中で、どこにいるかも分からない兄に小さく祈った。 (兄上。どうかぼくに、力をほんの少しだけでいいので分けてください。そして……                     どうか、こんな馬鹿げた場所にはいないでください……) 祈り終わると、まずは自分がどこにいるのかを確認する為に少し周囲を探ることにした。 ---- 小学校の屋上にピカチュウがいた……… 祐樹「何か………嫌な気が…」 そこにタイミング良く ~今から君達に、この学園を舞台に十匹になるまで殺し合ってもらう~ 祐樹「……………………」 そして祐樹はこう言った 祐樹「えええええぇぇぇぇぇえええええ!!!!」 祐樹「ま…………まじかよどうしよう………めんどくさいからいいや」 そう言って彼はそこから一歩も動かなったが 「あははっあははははははははは!!!!!!!!」 祐樹「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」 そういって彼は飛び降りた しかも屋上から地上へ 祐樹「ん?………やば」 ドシャ そして祐樹は死んだ………しかし 裏祐樹「アハハハハハハハ!!!!皆殺しダア!!!」 祐樹は校舎へと歩いて行った ---- プロローグ~エンメイ&メイ~ 二人は気づくと教室の中にいたそこで… 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう』 そう低いノイズ音がした… エンメイ「どういうことなんだ?」 メイ「…エンメイ、怖いよ…」 恐怖に包まれる、それほど怖い場所… メイ「ねえ、ここからどうするの?」 エンメイ「わからない…だけど誰かいるはずだよ」 誰かいてくれ、それだけでもいい… そして二人は彼らは部屋をでて誰かいるか… だが…その時いきなり笑い声が聞こえた… 「あははッあはははははははははは!!!!!」 エンメイ「誰かいるのか?」 メイ「血…血の匂い…」 この場所で血の匂い?ここは理科室らしい… このドアを開けたら駄目だ…そう思うさなかおそるおそる開けてみた… そこには…血まみれの黒いキルリア…そこにはマッスグマの死体… そこで何があるのだろうか…まだ誰にもわからない… エンメイ「な…なんなんだ、なんでこんな事に…」 メイ「血…血が…」 エンメイ「見るな、相手はまだこっちには気づいてはいない」 しかしその時… マリア「誰なの?そこにいるのは?」 エンメイ「やばい!逃げるぞ!」 ふとメイを見るとメイは足がすくんで立てれない状況だった… メイ「あ…足が…す…すくんで…」 エンメイ「どうする…どうすれば…!」 ---- プロローグ デビット編 「く・・・一体全体何なんだよ!?」 「真っ暗で何も見えないこの学園で何が起こるって言うんだ・・・」 このピカチュウの名は、デビット・フロシア。 いつの間にかこの学園にいた一人でもある。 ガガッ! その時、短いノイズ音が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 デビットは驚いた。 それは人がいるという安心感と、殺し合うという拒否感。 彼は人殺しはしたくない。だが彼には戻らなければいけない理由がある。 そう悩んでいたその時。 「つまり10人になるまで戦えるって事か!そいつぁラッキーだ!」 「だ、誰だ!?」 後ろから声が聞こえた。 「お、その声は・・・お前、デビットだろ?」 「まさかお前・・・ガンナー・ロック!?」 「ああ、そうだぜ!俺様だ!」 出てきたのはガンナー・ロック。 デビットの古い友人である。 「お前もここにいたのか?」 「そうだ、だがそれだけ俺様が楽しめるって事だ!・・・もっともお前と楽しめればそれはそれでいいけどな」 「一緒に行け、って事か?」 「そうなるけどな、ぐはははははは!!」 そういうと、二人は歩き始めた・・・。 ---- ふと扉を見た。 さっきまで閉まっていたのに・・・開いている。 それに、その扉の奥に・・・気配がする。 「きっと気のせいですぅ~」 さっきの「あははッあははははははははははははは!!!!!」っていう学園中の誰もが聞いた声とは違う、とても間延びした声がした。 ここで紹介しておくが、あの黒いキルリアの名前はマリア。本名は「聖風 マリア」らしい。 ・・・でも、勝手に扉が開くなんて、不自然だ。 きっと、誰かがいたんだろう。 マリアは殺人衝動を抑えきれずに、体中が震えていた。      ―殺ル.殺ル.殺リタイ―                 ―殺シテヤル...絶対ニ... マリアは扉に向かって歩いていった。 ---- プロローグ 冥羅刻皇 十数年前とある建物内で起きた原因不明の爆発により大量の人やポケモンが死んでいった。しかしその中にまだ息は有るものの、命が殆ど消えかかった一匹のフーディンがいた。 彼の名は冥羅刻皇、生まれつき超人的な頭脳を持った天才ポケモンだったが、その頭脳を一度も他人の為に使う事はせず、自分の楽しみである、人やポケモンの命を弄ぶ殺戮ゲームを作りそして実行していく事にだけ使っていった。 しかしそのような悪者でも死は平等に訪れるのだった――――― (フッ・・・・・・どうやら、おれはもう助かりそうに無いか・・・・・・) 自分の終わりを悟ったのか、至極冷静にそう考えていた。 (おれの逝く先は、間違いなく地獄だろうな・・・・・・まあ別に後悔はしていないが・・・・・・) その時瓦礫が自分の所に落下してきたと同時に彼の視界は閉ざされた。 「・・・・・・ん?」 周囲から聞こえる機械音に、刻皇はふと目を覚ました。とにかく頭を振り回し、脳を覚醒させて辺りを見た。やや広い薄暗い部屋に電源の付いたパソコンが二十台程置いてあるところから人間の場所というのは理解できた。 しかし一つだけ解らない事が有るとすれば、なぜ自分は生きていてこの場所に居るのかという事だけだった。 「どういうことだ?おれはあの時死んだはず・・・」 何気なく呟いた後、取り敢えず立ち上がり体を動かしてみて、どうやら自分はまだ生きている事を確認する。 (あの爆発の中、誰かに助けられたのか?) ガガッ! 突然聞こえて来た短いノイズ音に、刻皇は視線を自分の体から音の方に向けた。ふと見るとホワイトボードの上に設置されてあるスピーカーを見つけた。先ほどのノイズ音はそこから聞こえたのだろうという事を確認したと同時に、ここは何処かの学校のパソコンルームだと言う事も把握した。最初はパソコンが二十台近く置いてあった事から何処かの会社のオフィスかとも思ったが、ホワイトボードを発見した時その考えはすぐに消えた。会議室ならともかく、会社のオフィスにホワイトボードが置いてある事なんてまず在り得ないからだ。 そんな考えを余所にスピーカーから淡々とした声が聞こえた。 『今から君達に、この学園を舞台に十匹になるまで殺し合ってもらう。』 「・・・・・・何?」 刻皇が言葉の内容を理解するのに時間は全く掛からなかったが、途端に不機嫌になり始めた。別に命は惜しくないし、自分以外のポケモンを殺すのに躊躇は全く無い、しかし問題なのは先程の声の主である主催者らしき人物の言うままに動かされるのが余りにも癪だという事だけ。はっきり言って自分は他人を利用するのは好きだが、他人に利用されるのは大嫌いな性格なので、結果最終的に導き出した結論は――――― 「取り敢えず・・・・・・あの主催者殺すとするか」 ―――――と、まるで近くのコンビニでおにぎりを買いに行くかの様な口調で言い放った。 ふと窓から外を見てみたが、校舎の周りは高い塀で囲まれているだけで、一見空を飛べる、あるいは地面にもぐれる奴ならいつでも出られる様に見えた。しかし恐らく強固なバリアシステムでも張ってあるのだろう、脱出しようとして失敗したゴミどもが彼方此方で見える。あの様子では自分のテレポートを使っての脱出もおよそ無理だろう。しかし逆を言えばあのバリアシステムが機能しなくなれば、少なくとも主催者の切り札を一つ潰せるという事だ。ニヤリと笑みを浮かべた刻皇は、早速これからの行動方針を決める事にした。 ---- プロローグ・ミライ 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 先刻聞こえた放送に、竜崎優華、否、港未来は無関心な様子で、グラウンドに佇んでいた。 「全く・・・ワタシはそんなに暇ではないのだけれど・・・。」 背後から襲い掛かってきたカイリキーをまるで何事もないようにサイコキネシスで絞め殺した。 グラウンドには、様々なポケモンがいる。弱いために、強いポケモンに脅え逃げ惑う者、弱いために、強いポケモンに媚びへつらい護ってもらおうとする者。 「馬鹿みたい・・・・。」 誰も聞いていないため、ミライは1人呟いた。 「この惨劇の中・・・・とても歩いては行けないわね。」 ミライは、悪タイプのポケモンが居ないことを願いつつ、校舎内にテレポートした。 「っと・・・・。」 ミライが着地したところは、どこかの教室のようだ。側にあった机を見ると、掠れてはいたが確かに何者かの名前が書いてあった。 「中等部一年・・・・ダメだわ。読みとれない。」 相当昔の物なのだろうか、名前は読みとることが出来なかった。 この階には誰も居ないようで、ミライは廊下を見回し歩き始めた。 カツン・・・・・カツン・・・・・カツン・・・・・ 「!!」 何者かの足音が聞こえる。ミライ以外の誰かの。 足音はランチルームの中から聞こえた。外に向かって居るようだ。 ガラス窓から姿が見えない辺り、背は低いようだ。 流石のミライも恐怖を感じたらしく、逃げることも考えたが、敵は一匹でも多く潰した方が良い。 サイコキネシスの用意をしたその時。 ガララッ! 引き戸が開く。その瞬間、ミライは相手の姿を見ずにサイコキネシスを放った。 ---- 祐樹「ドコダアアアドコダアアア」 半分叫びながら進む祐樹 そしてドアを開けた瞬間 ?「サイコキネシス!!!」 祐樹「ウギャアアアアアア」 <ドクシヤアアアアン>←は効果音 しかし 祐樹「甘いンダヨ!!」 祐樹はいきなり何かし始めた ---- わらにんぎょうに わらにんぎょうに わらにんぎょうに ごっすん ごっすん ごすんくぎ~ イーアルサンイーアルサンわんつすりわんつすりいちにぃさーん イーアルサンイーアルサンわんつすりわんつすりいちにぃさーん (中略) 嫌いキライ 大人共(あんああんあんああんあん) なんで綺麗事ばっかりなのさ ホントに苛立ってくる(あんああんあん) お前等全員いなくなれよ 知らないよ そんなゲーム 殺し合いなんてまっぴらごめん お前等とは違うから ボクの日常を簡単に盗まないで ココ「奴は大変なものを盗んでいきました…」 ミオ「……?」 ココ「それは……あなたの日常です!」 ミオ「……はい!」 ~主催者は大変なものを盗んでいきました~ 歌:白雪 水於 演奏:ココ=ルーン 元ネタ:魔理沙は大変なry 「……ハッ。ボクは何を……」 妙な夢から覚めた場所は、暗闇の中でした。 プロローグ~ミオ~    *   *   * 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 夢から覚めた直ぐ後に、その冷たい声は聞こえてきた。 もしかしなくてもさっきの夢と関係があるような気がする。 「まさか予知夢……。ていうか、なんだったんだろうさっきの……」 ♪チャチャチャチャラララーン ミオは 「たいへんなものをぬすまれたひと」のしょうごうを てにいれた! ▼ 「と、とりあえず……ここはどこだろう」 廊下……だろうか。すぐそこに教室がある。 ……何やら騒がしい気がするのは気のせいだろうか。 「甘いンダヨ!!」 否、気のせいではなかった。しかも直ぐそこの教室と来た。 気がつくとミオは、その誰か分からない「それ」に向かって水の波動を放っていた。 (何やってんだろ、ボク……) しかし、ここで止まったら自分が殺されるかもしれない。 ミオは水の波動の「ある効果」を願いつつ、教室に飛び込んだ。 (うわ、ピカチュウかよ…) 飛び込んだ瞬間、自分が水の波動を放った相手を確認する。 よりによって電気タイプのピカチュウだ。シャワーズのミオにとっては天敵である。 ますます水の波動の「効果」を願うしかない。 「クラエ!!」 相手のピカチュウが十万ボルトを放った。――この距離は、かわせない―― とっさにミオは「守る」を使い、十万ボルトを防いだ。 (しくじった――!?) もしもう一度十万ボルトを撃たれたら、助からないかもしれない。 「守る」は連続で使えば使うほどその成功率は下がっていくのだ。……次は失敗するかもしれない。 次は、死ぬかもしれない。 ミオは悔しさのあまり、唇を噛んだ。余計なことに首をつっこまなければこうはならなかった。 後悔と悔しさ、相手のピカチュウに対する怒りが頭の中を走り回る。 もう、どうすればいいか分からなかった。 ……が、しかし。 「ニゲテモムダダ!!」 「……は?」 突然叫んだかと思うと、そのピカチュウは教室を飛び出して廊下を走っていった。 ――そう、「混乱」していた。 助かったんだと改めて自覚すると、全身の力が一気に抜けていくような気がした。心臓の音がやけに煩い。 (…コレが……殺し合い……。ココが毎日のようにやってたのが、これだったんだ…) 「……アナタは誰? 敵なの?」 ゆっくり振り向くと、そこにはサーナイトが立っていた。 「……さあね。いやいやとはいえあんたを助けたんだから、味方かもしれないよ」 今言える、精一杯の皮肉だった。 ---- プロローグ■ミミアン 「あいったぁぁぁぁ…く、暗いです…怖いです…だれかいませんかー?」 小さなミミロルの女の子、ミミアンは真っ暗な場所で目を覚ました。 真っ暗なので前が見えなかったらしく、四角いものにぶつかってこけてしまったらしい。 ここは…?ミミアンは真っ暗な部屋のなかをキョロキョロと見渡す。 目が慣れてきたからか、薄っすらと部屋が見渡せる。 たくさんの本が並ぶ大きな本棚。横にも前にも後ろにも、大きな木のように立っている。 ああ、そうだ、ここは図書室か…。ミミアンは立ち上がる。 と、その途端、 ガガッ!! 短いノイズ音。ミミアンは耳鳴りかな?と耳を押さえてみる。 『今から君達に、この学園を舞台に10匹になるまで殺し合ってもらう。』 何処からか淡々とした声。ミミアンは押さえていた手を離す。 「殺す…?人を…?」 ミミアンの綺麗なマリンブルーの瞳に影がかかっていく。 「殺す……」 ミミアンは催眠術にかかったかのように呟く。 マリンブルーの丸い瞳に明るさが戻ったかと思うと、いきなり立ち上がり、窓のカーテンを開ける。 シャッと軽い音。途端に暗かった図書室に日が差し込む。 眩しい…。暗闇に慣れていたミミアンは目をパチパチとさせる。 運動場にはたくさんのポケモン。燃やされて息絶えるポケモンも、凍らせて生き延びるポケモンもたくさんいた。 「ほんとうに、…やってる…」 ミミアンはぽつんと呟く。太陽の光が目にしみる。 とりあえず、他のみんなのところへいこう。ミミアンは廊下のほうへと重い足取りで歩いていく。 ぺた、ぺた、ぺた… ミミアンの歩く音。 耳をすますと、下の廊下のほうから走る音。 ミミアンはだんだん怖くなってきて、その場にしゃがみこんでしまった。 「ポケモンを殺すなんて…できないよおっ!」 マリンブルーの瞳から、綺麗な水色の涙が零れ落ちる…… ---- ちなみに祐樹は壁にぶつかって元に戻った 祐樹「あいたたたたたたたた」 祐樹「さてどうし………」 皆さん忘れていないだろうか 彼は死んで裏になったのだ しかしうちどころかよくぎりぎり助かった しかし 祐樹「うっ」 傷がひどい上に混乱+ダメージ 祐樹「とにかく保険室に………」 そういって彼は保険室に向かった ----   ガチャ ドアを開けた そこに映った光景を見たマリア。 「グレイシアと・・・バシャーモ?」 メイとエンメイが、うずくまっていた。 「・・・そんな所でなにをしてるんですか?」 殺す気が無くなったマリア。 「こ・・・こ・・・殺さないで・・・」 「いや・・・殺す気無くなったんですけど・・・。あなた達も聞きましたか?あのスピーカーの声」 「はい・・・」 「『10人になるまで』っていってたよな」 「10人になるまで、殺し合いが続くって事かな・・・?」 「・・・生き残りたいなら、殺し合いに参加しなければいけませんよ」 そういうと、緑色の液体が入った瓶を二人に渡し、立ち去ろうとするマリア。 「では、私は・・・」 「ま、待って!」 「・・・え」 「一緒に・・・一緒に行こう」 「・・・仕方がないですね。あなた達、名前は?」 「メイ。で、こっちがエンメイ」 「メイさんに・・・エンメイさん・・・ですか。私はマリアと申します。じゃ、行きましょうか」 「うん!」 メイ・エンメイがマリアと合流した。 ---- 刻皇が考え始めたその時。 「あははッあははははははははははははは!!!!!」 と、校舎全体に物凄い大きな笑い声が響き渡った。しかし刻皇は特に驚く事はなく冷静に分析し始めた。 (あいつ正気か?今この状況で大きな声を出したら、どうぞ狙ってくれと言ってるようなものだ。あまりの恐怖にパニックに陥ったか、あるいは殺しが楽しくてしょうがない快楽殺人鬼なのか、いずれにせよあれは使える駒に入らんな) すぐさま考えを切り替えた刻皇は、これからの行動方針を決めるためルールを再確認してみた。とはいうもののルールは『十匹になるまで殺しあう』という極めて単純な物、だが刻皇はそこに妙な不自然さを感じ始めた。もし自分が主催者の立場ならそんな中途半端な危機的感情しか引き出せない程度のルールを作ったりしない、むしろもっと厳しく設定するはずだ。 そう考えた刻皇はかつて自分が作った殺戮ゲームの数々を思い出した。捕まったら即死刑の『リアル鬼ごっこ』、動いた瞬間に蜂の巣にされる『リアルダルマさんが転んだ』等等、その作ったゲームの数は百・・・いや考えた数だけなら数万個は下らないだろう。そして、そのゲームに強制的に参加させたポケモン達が死んでいくのを見て楽しんでいた時代があったのだ。そして今もその殺戮ゲームが実行されているが、唯一の相違点はかつてゲームの主催者をやっていた自分が、このゲームの参加者になっている事である。 しかしその経験のおかげで、今自分はこうしてこのゲームの主催者の心理がある程度分析できる。単純に考えれば自分とあの主催者はいわゆる『同じ穴のムジナ』と言った所だろう、他人の命をゲームの駒のように扱う性格は自分と良く似ているし、多少の親近感も沸く(だからと言って自分を駒扱いした事には、許す気など微塵も無いのだが)、しかしだからこそ、このゲームのルールの緩さには全く理解できない点が多いのだ。 第一に―――――生き残る数が十匹である事 普通の奴から見れば少ないと思うが、自分から見ればこの人数は余りにも多すぎる。それだけの生き残りの枠が有るならば、グループを作る参加者が増えるのは至極当然の事だ。ただその人数が二・三匹程度なら特に問題はない、だが五・六匹も集まれば『他の参加者を殺すよりも、みんなで協力して主催者をやっつけよう』と考える者も少なからず存在するだろう、・・・いや絶対と言っても良い、ポケモンだろうが人間だろうが生き物というのは、一匹でいるよりも大勢でいる方が強気になれる存在だ、もしそんな事になってしまったらゲームが滅茶苦茶になり、主催者にとっては全く面白くない展開になってしまう。それだったら生き残る数を一匹だけにしてしまえば、グループを作りにくくなるし参加者の死亡数も増える等、主催者にとっては良い事尽くしだ。だがリスクを負ってまで十匹にするのは、その十匹で何かするつもりなのだろうか? 第二に―――――禁止エリアが設置されていかないこの学園内はいささか広すぎるという事 もし自分が主催者なら、参加者の数が少なくなっていく、あるいは時間が経てば禁止エリアの様な立ち入り禁止区域を設置していき、行動場所を制限させ参加者同士の遭遇率を高めるような事をするはずだ。しかしその様なルールが無いとなると最初の方は兎も角、時間が経って参加者の数が少なくなれば遭遇率が低くなり、殺し合いが起きる回数が減って観戦している側には余りにもつまらない筈だ。まあその為には禁止エリアに入ると爆発する小型の爆弾のような物を、心臓近くか脳内に埋め込ませるか、それがダメなら見渡しの利く場所でゲームを実行するか、兎に角幾らでも方法は在る筈だ。それともここで無ければならない理由があるとでもいうのだろうか? 第三に―――――制限時間が無いという事 はっきり言って何故これが無いのかが解らない、これは即ち時間無制限と言う事だが自分だったらそんなに長く待てるほど気の長い方ではない、むしろ1ゲームに時間が掛かるようだったら、参加者を全員殺してゲームをとっとと終わりにした方が手っ取り早い、そうならない為にも大抵のゲームには制限時間が付き物だ。例えば『五日以内に十匹の優勝者が決定しなければ学園にミサイルを撃ち込み全員死亡』等と言ってやれば参加者達は死に物狂いで殺し合いを始めるだろう。その様なルールが無いのは、あの主催者には自分達を自由に殺せる術が無いのか、それとも制限時間が付くと何か不都合な点があるのだろうか? いずれにせよ以上の三点から考えられるのは、主催者の考えを自分の物差しだけで計るのは良くないと言う事だけ、しかしどう考えても参加者側が有利なこの状況を利用しない手は無かった。兎に角あの厄介なバリアシステムさえ解除できれば、主導権はほぼこちらの方と言ってもいい、あとは利用できる駒を集めて主催者を殺せば万事解決である。 と、以上の内容をわずか0,1秒でまとめた刻皇は、これからの行動方針を決定した。 「おれが今やるべき事は・・・使える駒の入手と使えない駒の処分、バリアシステムの解除、そして主催者の真の狙いを探る事・・・だな。取り敢えずここのパソコンは使えるかどうか試してみる価値はあるか」 早速パソコンに手を伸ばした刻皇は、物凄い速さでキーボードを叩いていった。色々試してみた結果、このパソコンでは学園外と放送室そしてバリアシステムの中枢へのアクセスは不可能だが、一部を除く校舎内全体のシステムへの侵入は特に労せず成功できたようだ。早速、校舎内の不必要なシステムを削除していき、セキュリティのOSを書き換え警報レベルMAXに設定、これにより校舎内の教室や渡り廊下に高性能センサーがびっしり張り巡らされた。次に素早く警報ブザーの音量をミュートに切り替え、センサーに掛かった者の時間と場所の情報をこの部屋のパソコンに転送されるようにしておいた。 「これで校舎内限定だが、ゴミ共の動きが手に取るように解る様になったな。後はこの場所を離れても良い様に、ここのパソコンと同じ機能の小型レーダーを作っておくか、幸い先程の狂気の笑い声に近づくどころか、恐れているゴミ共が多いおかげで、付近に反応は少ないようだし、駒の選別は後回しでも良いだろう」 すぐさま刻皇はレーダーの作成に取り掛かった。部品の方はここを使っていた生徒の忘れ物だったのだろう、隅っこに落ちてあったポケギアを拾い改造を始めた。 「まあ何にせよ、ゲームというのは今も昔も情報を多く持った者が勝つように出来ているからな。・・・・・・クククク、見てろよ主催者、最後に笑うのはこのおれ冥羅刻皇だ!」 そして冥羅刻皇の殺戮ゲームが開始された。 ---- 「クソッ・・・・クソッ・・・・・!!」 アルティカは、理科準備室を抜けて4階の廊下を走っていた。 「何なんだ・・・・さっきの高笑いは・・・!」 アルティカは薬を作り終えた後、理科準備室を抜けた。 その直後、聞いた。ゾッとするような笑い声を。 アルティカは数秒間動けないで居たが、薬を持ってそのまま走り去った。 図工室に駆け込み尖った彫刻等を2本つかむと、アルティカは用心して廊下に出た。 そして足音を立てずに、否、アルティカは浮いているので元々足音はないが、理科室と反対の方向に歩き始めた。 「・・・?」 廊下に何か・・・いや、”誰か”がうずくまっている。 彫刻刀を背に隠し、恐る恐る近づいた。 「オイ。」 声を掛けるとビクッと”誰か”は肩を震わせ、ゆっくりとアルティカの方を向いた。 それは、フリフリのワンピースを着て、リボンをつけた幼いミミロルだった。 涙の溜まったマリンブルーの瞳がじっとアルティカを見つめている。 「敵ならば殺そうと思ったが・・・・ガキか。」 ”殺す”の言葉に反応したのか、ミミロルは怯えた目でアルティカを見た。涙は相変わらず流れている。 「・・・・・やりにくいなぁ・・・・・。オイ、泣くな。」 だが、ミミロルは泣き続けている。 アルティカは、日頃から子供と接することが無い。だから、子供の扱いは知らない。 その為、泣いているミミロルをみてアルティカは段々苛立ってきた。 「・・・・・泣くなッ!!」 「ひっ・・・・。」 ミミロルは、思わず泣くのを止めた。 「お前のようなガキを殺す気は無い。僕は其処まで墜ちちゃあ居ないからね。」 アルティカはそう言い放つと、ミミロルの小さな手に、隠し持っていた彫刻刀を握らせ、立ち去ろうとした。 「・・・あ・・・・待って。」 「・・・何だ。」 「・・・一緒に・・・行こう?」 「・・・・仕方ないな・・・・。」 アルティカが渋々言うと、ぱぁぁっとミミロルは笑顔になった。 「わたしはミミアンだよ~。よろしくね!」 「凄い変わり様だな・・・・。僕は天才科学者のアルティカ・リクロアス。アル様とでも呼ぶがいい。」 「宜しくね!アルティカ!」 「なっ・・・・。」 アルティカの顔が引きつったが、ミミアンは全く気にしなかった。 アルティカは自分が生き残れるか、少し不安になったとか・・・。

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