『対決!』
【まえがき】
私は提案した。互いの山札で1d10を振って、出たキャラでSS書いたら面白くね?と。
そして相棒は見事に一回戦までに書き上げた。模擬戦と平行してだ!
マジかよ。俺まだ書いてないよ。
『対決!』
「まさかアタシに勝てるつもりじゃないだろうな」
鶉かなめは不敵に告げた。
「あたしにはお姉ちゃんがついてるもん!お姉ちゃんは誰にも負けないんだから!」
姉尾ノゾミも負けじと言い返す。
かなめは片足で地面を二度叩いた。
それだけでも今日の土の固さ、含んでいる湿気、あらゆるグランドコンディションが伝わってくる。
「ここは土のグラウンド。アタシの土俵だ。陸上をあんまナメてっと、子供といえど土葬だぜ。そうだろみんな!」
「ワオオオーーッ!!」
観客が歓声で答える!鶉かなめのバストは大きい。
特に相棒からそう聞いたわけではないが、設定に「いろいろデカイ」とあったのでそういう事にする。
スポーツ系のキャラがあまり大きすぎるのもどうかと思うが、
総合的に考えて大きめであるほうが有利ではないかと考え、そう結論した。
きっと汗かきでもあるだろう。素晴らしい!観客はより声を大きくする!
「うう~~~~」
こうなると面白くないのはノゾミのほうである。しかしノゾミには、いつだって愛するお姉ちゃんがついている。
こんな時、理想のお姉ちゃんなら。
妹をかばって前に出て相手に勝ち、世界から争いは消え、
株価は上昇し、生命の永続的な発展は約束される筈なのだ!
ノゾミは背中に背負っていた装置を下ろした。コインを入れる。
「お願い……助けて、お姉ちゃん!」
そしてレバーを、一回転した。
ガチャガチャ……ポン!
ノゾミのお姉ちゃん:【C】カゼイシロタ株 属性/乳酸菌。
健康を気遣ってくれる、おなかに優しいお姉ちゃん。愛を感じる……。
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えっと……マジか……。
「ただやすー」「乳酸菌ナメてんじゃねぇぞただやすー」
現れた乳酸菌は二、三言しゃべるとノゾミの口から生きたまま腸に達し、悪玉菌を瞬く間に退けた。
ノゾミの腸内環境がベストの状態に整えられる!
「感じるよ、お姉ちゃんの温もり……。あたし、頑張る!」
ノゾミが右腕を回す。
「へぇ、諦めないのかい。たいした根性だね」
かなめは目を細め、得物である大槌「バスターエッグ」を持ち上げると、先端を空に向けて構えた。
この構え……これは!
ハンマーの先端が示すのはバックスクリーン正面、スタンド一直線。ホームラン予告にほかならぬ!
観客のボルテージが最高潮に達する!
ノゾミは硬球を掴むと振りかぶった。かなめが片足を上げ、打撃フォームのタイミングをとる!
キャッチャーが構える。審判が最高のストライクを叫ぶべく息を吸い込む。
時が止まる。
そしてピッチャー第一球……ボールが少女の手を、離れた!
ボールはキャッチャーミットに収ま……らなかった。地面をころころと転がる。
当然だ!十歳女児である!
せめて人型のお姉ちゃんが引けてればよかったのに!
だいたい欲しいときに当たらないのがガチャってやつなんだ。大人の商売は汚いんだ!
かなめは唖然とした。既に大槌を振りかぶってしまっていたのだ。
ハンマーの遠心力はバットの比ではない。途中で止める事など不可能だ。
ここで野球のルールを思い出して頂きたい。
バッターが振ってしまうと?ちなみにこれは一球勝負である。
そして大槌は振り切られ、審判は会心の「スッットラァイィィィィク!!!」を叫んだ。
◆
ギィ、ギィ。
「うう、なんでアタシがこんな事を」
「しょーがないじゃない、賭けなんだから」
重たいレバーを押しながら愚痴るかなめと、それを監視するノゾミ。
負けた方がこれを回すという賭けだったのだ。
「そうだ、貴女にもお姉ちゃんがいればいいのよ!きっと手伝ってくれるわ!」
「そういうもんなの?」
ノゾミが突然、思い付いたように言った。
乳酸菌の事は忘れつつ、かなめはガチャに手を伸ばした。
鶉かなめのお姉ちゃん:【C】める 属性/霊。
妹を束縛するタイプで、一度憑いたらなかなか離れない。お姉ちゃんになら……いいかも?
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「…………。」
「…………。」
物理的な干渉能力を一切持たないそのお姉ちゃんを前に、二人は乾いた笑みを作った。
【RESULT】
チーム内お題「姉尾ノゾミ×鶉かなめ」clear!
GKお題「くちプロレス」「労働バー発電」「野球回」「ギャンブル」clear!
オールクリア!