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彦星


―「あ、このオビもってあーれーってしていいよ!」
―「それは人型のときにいってくれ」
 飾り付けをしながら、缶とアリアンとの会話

藩国の庭で、あさぎは、七夕の飾り付けをしていた。
鼻歌交じりに折り紙を切って、短冊を書く。ついでに国民から預かった短冊も
つりさげようと用意していた。
一応、国民の願いをお願いするイベントらしいので織姫の格好をしている。

内容は【ぷりんたべたい】とか【水の巫女が強い心を持てますように】だとか
【はやく鬱がなおりますように】とか【早く戦争こねーかなぁ】とか
【七夕に雨が降りますように】だとか、一部大問題になりそうなものも見受けられたが、
ここ土場ではいたって普通の願いである。それぞれに真剣な願いが込められているといっていいだろう。

しかし、ここで問題が発生した。

「アリアン、たいへんだ!」
「どうした?」
「これ、手がとどかなくね?」
 短冊を片手に固まる缶。もっと早く気がつけよ、というツッコミは勘弁していただきたい。
なにせ知識が-5なのだ。割と本格的に脳がかわいそうな状態である。
「そ、そうだな」
 アリアンも、その件については完璧に失念していた。そもそも、みんなの前に出るときは缶でいてほしいな、と
言ってしまった手前、「じゃあもとにもどれ」ともいえずしばし缶と見つめあう。


「・・・・」
「・・・・・・」
 ふ、とアリアンが缶をつかんで自分の顔の高さまで持ち上げてみた。
 さすがコーヒー缶、おどろくほど軽い。脳の中身まで軽いのはいただけないが。

「え? え?」

 何がおきたのかわかっていない缶の着物の裾をなおしてやる。

「ありがと!」
「どういたしまして」

 じっと缶をみてみる。

「もー、おろしてー」

 じたばたと、何が起こっているのかいまひとつ理解していない缶。
 アリアンはしばらく考えると、缶を頭の上に載せてみた。

「これで届くか」
「お、おー、おまえあたまいいな!」

 いつか缶にいったセリフをそのまま返さ思わず苦笑する。

「よし、全部つけたら後でプリンおごってやるから」
「ほんとだなー、がんばるー」

 頭と身長以外にもいろいろ足りてない缶ではあったが、
ひとまずなんとかなりそうだった。

12-00258-01:あさぎ:SS
12-00265-01:矢上麗華:イラスト
12-00259-02:KBN:願い事考案
12-00205-01:シュワ:願い事考案