タンク型ACが、追加ブースタを装備した中量二脚ACに翻弄されている。
――戦況は、一対四。チームメイトは全機、撃墜されてしまった。
四機総掛りでタコ殴りにされるのかと思いきや、向かって来たのは一機のみ。
残りの三機は全て、高みの見物を決め込んでいる。
――戦況は、一対四。チームメイトは全機、撃墜されてしまった。
四機総掛りでタコ殴りにされるのかと思いきや、向かって来たのは一機のみ。
残りの三機は全て、高みの見物を決め込んでいる。
――圧倒的な、差。それを嫌という程味わされながら、タンクACは大破していった。
『試合終了です。見事勝利を収めたのは…レイヴン三銃士+(プラス)っ!』
『勝者、レイヴン三銃士+には…決勝へと勝ち上がっていく権利を得ました!』
『さあ、後はどのチームが決勝へと昇ってくるのか。楽しみですね!』
アナウンスと共に、盛大な拍手が観客席から飛んでくる。
観客席はアリーナの巨大スクリーンを囲むように作られている為、非常に広い。
その為拍手の音も凄まじい音量となるが、出場選手達へと届く事は無い。
『勝者、レイヴン三銃士+には…決勝へと勝ち上がっていく権利を得ました!』
『さあ、後はどのチームが決勝へと昇ってくるのか。楽しみですね!』
アナウンスと共に、盛大な拍手が観客席から飛んでくる。
観客席はアリーナの巨大スクリーンを囲むように作られている為、非常に広い。
その為拍手の音も凄まじい音量となるが、出場選手達へと届く事は無い。
「…改めて実感したよ」
控え室(と言ってもVRシミュレータ室の入り口前だが)に戻ったプロジェクターが呟く。
「何をさ?」
先程の試合で敵ACを思う存分翻弄し、上機嫌なラッシュが問う。
「レイヴン三銃士殿のお手並みにさ。正直俺がいなくても、決勝まで行けたんじゃねえか?」
『チーム戦』に関して言えば、三銃士はエキスパートだった。
予選から準決勝まで危なげ無く、圧倒的な差で駒を進めていった。
そしてその殆どが三銃士達の功績であり、いくら遊撃担当とは言え大した戦果をあげていない自分。
一対一の戦闘と、多数対多数の違いを見せ付けられた気分だった。
控え室(と言ってもVRシミュレータ室の入り口前だが)に戻ったプロジェクターが呟く。
「何をさ?」
先程の試合で敵ACを思う存分翻弄し、上機嫌なラッシュが問う。
「レイヴン三銃士殿のお手並みにさ。正直俺がいなくても、決勝まで行けたんじゃねえか?」
『チーム戦』に関して言えば、三銃士はエキスパートだった。
予選から準決勝まで危なげ無く、圧倒的な差で駒を進めていった。
そしてその殆どが三銃士達の功績であり、いくら遊撃担当とは言え大した戦果をあげていない自分。
一対一の戦闘と、多数対多数の違いを見せ付けられた気分だった。
しかし、悪い気は全くしない。むしろ三銃士が敵ではなかった事を神に感謝したい位だ。
(…優勝も十分に狙えそうだな)
頼もしい仲間達を得た事の喜び…レイヴンという職業柄、滅多に味わう事は出来ないだろう。
(…優勝も十分に狙えそうだな)
頼もしい仲間達を得た事の喜び…レイヴンという職業柄、滅多に味わう事は出来ないだろう。
「決勝は実戦でやるんだろう?最初から実戦なら、息苦しい思いをする事も無いのによ~」
「へへっ、このまま優勝まで頂いてやるぜ!」
「今まで相手は拍子抜けもいい所だったからな。決勝なら少しは期待できますかね?」
チームメイトの口から、頼もしい言葉が次々と発せられる。
これほど心強い仲間がいれば、優勝も現実感を増して行く。
「へへっ、このまま優勝まで頂いてやるぜ!」
「今まで相手は拍子抜けもいい所だったからな。決勝なら少しは期待できますかね?」
チームメイトの口から、頼もしい言葉が次々と発せられる。
これほど心強い仲間がいれば、優勝も現実感を増して行く。
「よっしゃぁ!ここまで来たら優勝以外の結末以外御免だ!絶対優勝するぞ!」
逆関節ACから放たれる高反動、高熱量弾が、一定のリズムで着弾し、
敵ACを衝撃の沼へと引きずり下ろして行く。――搭乗しているレイヴンの平常心と共に。
三次元機動を巧みに使い、死角へ死角へと動き回わるシュライク。
構成を変更したシュライクの両手には、同一のアサルトリニアライフルが握られている。
平常心を失い、照準を合わせる事だけを考えた敵ACの動きは単純で、脆い。
回避行動を考えない敵ACは、もはや単なる的でしかない。
敵ACを衝撃の沼へと引きずり下ろして行く。――搭乗しているレイヴンの平常心と共に。
三次元機動を巧みに使い、死角へ死角へと動き回わるシュライク。
構成を変更したシュライクの両手には、同一のアサルトリニアライフルが握られている。
平常心を失い、照準を合わせる事だけを考えた敵ACの動きは単純で、脆い。
回避行動を考えない敵ACは、もはや単なる的でしかない。
「………ッ!」
シュライクの放った弾丸が合計六発着弾した瞬間、遠方のスナイプサーキットから光の柱が放たれる。
凄まじい熱量とダメージを受けた敵ACは、その機能を停止。VR空間とのリンクが断たれる。
シュライクの放った弾丸が合計六発着弾した瞬間、遠方のスナイプサーキットから光の柱が放たれる。
凄まじい熱量とダメージを受けた敵ACは、その機能を停止。VR空間とのリンクが断たれる。
高機動ACによる撹乱と高火力ACによる一撃。
『飛ん・で・レイヴン』の最も得意とする連携の一つ。
『飛ん・で・レイヴン』の最も得意とする連携の一つ。
「クソッ!」
機体の熱量が凄まじい勢いで上昇し、ラジエータが悲鳴を上げる。
緊急冷却装置の作動により、機体へのE供給が一時的に激減する。
オーバーヒート状態のACは、まともな機動性を持たない。
状況によっては、そのまま熱量の海を沈んで行く。
機体の熱量が凄まじい勢いで上昇し、ラジエータが悲鳴を上げる。
緊急冷却装置の作動により、機体へのE供給が一時的に激減する。
オーバーヒート状態のACは、まともな機動性を持たない。
状況によっては、そのまま熱量の海を沈んで行く。
機動性を優先し、軽装のクイックトリガーにACを仕留める火力は無い。
しかし、最大の武器である機動性を生かし、
軽量で高熱量を誇るアサルトハンドガンを用いた撹乱戦においては十分な戦闘力を持つ。
「これで…ッ!」
動きの鈍った敵ACに向かい、腕部フレーム上部の装甲が展開し、『何か』が飛び出す。
独立した発射機構を持ち、FCSの影響を受けないインサイドロケットは、ハンドガンの雨と共に飛来する。
しかし、最大の武器である機動性を生かし、
軽量で高熱量を誇るアサルトハンドガンを用いた撹乱戦においては十分な戦闘力を持つ。
「これで…ッ!」
動きの鈍った敵ACに向かい、腕部フレーム上部の装甲が展開し、『何か』が飛び出す。
独立した発射機構を持ち、FCSの影響を受けないインサイドロケットは、ハンドガンの雨と共に飛来する。
「熱量が…!チャージング!?」
着弾と同時に発火したナパームロケットは、敵ACを熱量の海から逃さない。
――後は、ただ沈めるのみ。
着弾と同時に発火したナパームロケットは、敵ACを熱量の海から逃さない。
――後は、ただ沈めるのみ。
一度でも片足を突っ込めば、逃れられない熱量の海。
まともな回避行動を取る事も出来ないまま沈み、溺れて行くだけ。
まともな回避行動を取る事も出来ないまま沈み、溺れて行くだけ。
最後の敵ACは、そのまま熱の海へと沈んでいった。
『試合終了!これで決勝のカードが決まりました!』
『勝者、飛ん・で・レイヴンッ!愉快なチーム名とは裏腹に、素晴らしい連携技術で圧勝!』
『さあ、多数対多数の頂点に立つのは、果たしてどちらのチームでしょうか!?』
『明日の決勝で全てが決まるでしょう。皆様、ご家族、友人をお誘いの上…』
『勝者、飛ん・で・レイヴンッ!愉快なチーム名とは裏腹に、素晴らしい連携技術で圧勝!』
『さあ、多数対多数の頂点に立つのは、果たしてどちらのチームでしょうか!?』
『明日の決勝で全てが決まるでしょう。皆様、ご家族、友人をお誘いの上…』
「…ここまでは順調だな」
何時もの硬い表情でスウィフトが呟く。
彼等も三銃士+と同じく、決勝まで危な気無く勝ち進んできた。
何時もの硬い表情でスウィフトが呟く。
彼等も三銃士+と同じく、決勝まで危な気無く勝ち進んできた。
「ええ、ここまでは…ですが」
同じく、圧倒的な強さで勝ち上がってきた三銃士+が決勝の相手。
これまでの様な相手とは違う、自分たちと同じ、集団戦のエキスパート。
同じく、圧倒的な強さで勝ち上がってきた三銃士+が決勝の相手。
これまでの様な相手とは違う、自分たちと同じ、集団戦のエキスパート。
「それでも、負ける訳にはいかないよ。私達の標的は、この大会の向こう側にいる」
選定試験…キサラギ反対派の情報には、そう記されていた。
この試験を突破した先に、バルガス攻略戦は行なわれる。
あの時、標的を目の前にして味わった退却。その借りを、必ず返す。
選定試験…キサラギ反対派の情報には、そう記されていた。
この試験を突破した先に、バルガス攻略戦は行なわれる。
あの時、標的を目の前にして味わった退却。その借りを、必ず返す。
「勝って、そして貫く…ッ!あんなものは、この世にあっちゃいけないんだ。
KYKなんかに負けるもんか!あの怪物の細胞一つ、この世に残さない!絶対にッ!」
ヘクトの咆哮は、溢れる闘志と覚悟を表し、それがチームメイトの闘志を奮い立たせる。
KYKなんかに負けるもんか!あの怪物の細胞一つ、この世に残さない!絶対にッ!」
ヘクトの咆哮は、溢れる闘志と覚悟を表し、それがチームメイトの闘志を奮い立たせる。