魔法使い―その地には許されざる星々の種―


世界には、人から必要とされる物とされない物がある。
人は“知性”というものを持ったとき、それまで持っていた“野生”を捨てた。
人は“文明”というものを持ったとき、それまで持っていた“野蛮”を捨てた。

古来より人に恐れられた“魔法”もまた、人にとって不要とされた業である。
故に、魔法は異端とされ、魔法は狩り出され、遂に魔法は廃れて世界から消えた。

魔法使いとは即ち、世界の霊長たる人間から許されなかったもう一つの霊長。

だが、その許されざる霊長達は人の目の届かぬ場所で、ひっそりとその命脈を保っていた。
人の身では届かない神秘に至ること、不老不死、全知全能、世界征服、それらを可能とする魔法は、ごく限られた者達によって今へと受け継がれているのだ。

ここでは、今を生きる魔法と魔法使い達について、少しでも理解を深めて貰うために順を追って説明していこう。

  • 魔法とは
この世に存在するあらゆる神秘に至る技法、もしくは方法論。
本来、神秘に至ることのできない存在がそこに近づくための技術、許されない神秘の結晶を魔法と呼ぶ。
様々な種類があり、体系がつけられないものもある。

しかし、ある程度の魔法使いになると、この認識が少し変わってくる。
魔法使いは生きるために魔法を使わなければならない存在であるが故に、生きている限り魔法を実践し続けることになる。
即ち「魔法とは、自分が存在することによって発生する現象である」という認識に変わるのだ。
魔法を使うというより、もはや自身が魔法そのものであるとも取れるその考えは、魔法使いがいずれ達することになる境地である。

そして、魔法使い達の最終的な目的、それは前述の「自身を神秘そのものとなす」という場所は、この認識から通じるものである。
それは、自身を現象そのものとし、現象を司る神秘的存在へと祭り上げることに他ならない。
生命としての存在を捨てて、より高位の存在へと進化する道である。
しかし、既に幾人もの魔法使いがそこに挑み、敗れている。




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最終更新:2008年09月27日 15:07