上で、全体を覆うプロテクションならゲイ・ボルクを防げても理屈としてはおかしくないっていうのが
あったから、ちょっとその部分だけ文章にしてみた。
……しかし、こうやって防いじゃうと叩かれそうだなぁ。
頭使って、それが一番有効だと判断したとはいえ、結局は力押しで解決しちゃうことになるから。





「"―――刺し穿つ"」

大気が震える。
ランサーの持つ必殺の宝具の真名が今、

「"―――死棘の槍―――!"」

開放された。

なのははその場から動けない。
槍兵のサーヴァントの猛攻により、限界まで追い詰められ、自由に動く箇所は身体の一辺たりとも存在しない。
本来、前衛型ではない純粋な魔道師であるなのはがこれまで凌いでいただけでも賞賛に値する。
それは、彼女もまた人間の領域を踏み越えていることの査証。
たとえ相手が英霊であろうが、易々と地に伏す醜態を曝しはしない。

―――だが、それもここまで。

刺し穿つ死棘の槍。
放てば必ず相手の心臓を貫くとされる魔槍。
因果を逆転させるという"原因の槍"は、行動不能の現状を抜きにしても回避が許させる代物ではない。
既に心臓を貫いているという結果がある以上、回避は愚か防御すら無意味と化す。
故に、それは無慈悲に死を宣告するためになのはの心臓を目掛けて疾駆する。

なのはの勝機は宝具を使わせないことが大前提。
対セイバー戦を目撃したなのはは事前にランサーの能力を知りえていた。
かの大英雄アーサー王は自らの強大な加護により致命傷は免れたが、なのははそのような守りを持ち合わせていない。
なればこそ、いかに真名を開放させないで勝つかに全霊を注いだ上での戦いをせざるを得なかった。
しかしそれは叶わず、逃れられない死が迫り来る。

それを、

『oval protection』

決死の執念で抗った。

それを貫かんと障壁を削り、火花を散らす赤き槍。

オーバルプロテクション。
それは保護対象の全方位を球状に覆う防御魔法である。
本来ならばこの状況で使うようなものではない。
相手の攻撃を防ぐだけならば、その方向にだけ防壁を張れば事足りることで、そのほうが魔力効率も良く、硬度も高い。
では、何故この魔法を選択したのか。
それは、概念を破るために他ならない。
ゲイ・ボルクは既に心臓に命中しているという結果を先に作り出すものであって、あくまでも結果の捏造ではない。

ならば―――その結果を生み出せなくするまでだ。

いかな魔槍であろうがそれが槍である以上、相手を打倒する手段は守りを掻い潜り、貫くか切り刻むのみ。
四方八方に張られ、死角も無く、強力な防壁も突破できず、なのはの心臓を貫くことは一辺たりとも叶わないという結果を作り続ける。

概念は概念によって破られる。
しかし、自らにそれを打倒する概念がない以上―――それを濁流の如き力押しで押し通す!

魔道師特有の並列思考を駆使して導き出したのは、結局のところ原初のぶつかり合いという単純明快な解となった。

カートリッジをロードする。
いかな鉄壁の守りを誇るなのはであっても、宝具を受け止める強度の、さらにそれを360度全てに展開するのは軽く限界を突破している。
構わない、これを防がなければ次はない。
ならば魔力でもカートリッジでも、いくらだって使おう。
それでも足りなければ、命でもなんでもそぎ落とせ。
なにがなんでも、高町なのはの心臓貫くことは叶わないと目の前の魔槍に現実を叩き込め!

「――――――っ!! ああああああああああああああっ!!!!」

両者の間に爆音がおこる。
なのはのバリアバーストによって、互いの距離が開いた。
本来ならば、これは相手のみを弾き飛ばす攻性魔法なのだが、足場固定をする余裕など無く、自らも弾き飛ばす幼き頃の性能となった。

「―――貴様。凌いだな、俺の宝具を」

感情を隠そうともせず、憤怒の表情を浮かべるランサー。
自らを英雄たらしめていた、最も信頼する宝具を真正面から破られたのだ。
その屈辱は、言葉では計り知れない。
追撃も忘れて、目の前の満身創痍で、しかしそれでも闘う意志をとやさない、正体不明の魔術師を睨みつけた。




……どうだろう、こういうのアリだと思う?

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年05月19日 16:16