『とある少女とユーノ・スクライア、最後の会話』より 



「………………ユーノ。ユーノは、何故」


「愛玩動物(ふぇれっと)に、なっちゃったの」


「────?」


「……罵迦だな、私は。ああなったユーノに問いかけて、答えなんて────」


「────────────────────────────────────────
 ─────────────────────────────それはね、フェイト。答えを見たからだよ」


「え────」


「答えを見たんだ、フェイト。僕は答えを見た。そして誰かも、いつかはその果てに辿り着くだろう」


「まともな頭脳を持つ男性会員ならば、いつか辿りつける。僕たちは魔法使いたちのような出し惜しみはしない。
 ちゃんと相手(なのは)の全てを知り、きちんと計算をすれば誰だってたどり着けるよ。その、変えようのない終わりというものに。
 TFC(タカマチ・ファン・クラブ)は男性局員の穴蔵なんだ。未来に避けられない滅びがあると知り、あらゆる手段をもって対抗策(デートプラン)を作る。
 けれど対抗策を作れば作るほど、滅びはおぞましさを増して僕達を打ちのめした。何をしようと救いなどない。
 僕達は、ナノハと結ばれる世界をもたらす為、未来を読んでファンクラブを運営しようとした。
 なのに、まず初めに出てきたのは滅び(しつれん)なんだ。
 考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。
 考えた、考えた、考えた、考えた考えた、考えた考えた考えた……!!そう、あらゆる方法をシミュレートした!
 なのに手を尽くせば手を尽くすほど、僕たちは余計ひどくてメチャクチャでグロテスクな失恋を経験するだけだったんだ!
 狂った。滅びの未来に至った仲間達はみな狂った。狂ったようにナノハに挑んだ。そして本当に気が触れた。
 ───ああ、君もファンクラブ会員の名を冠したのなら、いずれあの穴蔵に落ちるだろう。
 歴代の会長達、狂いながら新しい滅びを計算する恋愛脳を押し込めたあの地獄に!
 僕は───それに挑んだんだ。どんな危険なロストロギアも発掘するのがスクライアの誇りだ
 結論として知性のない動物種となり自身の立場を逆行させ、ペットへと至る事だった」


「……ユーノ、貴方は……」


「キ……キキ、キキキキキキキ!タベロタベロタベロタベロ、缶ノ隅マデ食イ尽クセ!
 救いナンテありはシナイ結婚なんてアリハしない、ツマらないツマラナイ、恋愛ナンテツマラナイ!
 ツマラナイクダラナイ、シャベイアイアイシアイ!ソウシテ失恋シロ失恋シロ、ツマラナイナラ離婚シロ!
 キ、キキ、キキキ、キキキキキキキキキキキキキ───キキ、キ、キ。ひ。ひひひ、あははははははは!
 ソウダ、ボク、ボくハ、そウ───ただ、嫁の立場こそガ、欲しかった────」


「うん――――――――ゴメン。それは譲れない」

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最終更新:2010年07月18日 16:31