最初の出会いから幾日か経ち、なのは、ゾーゲン、ユーノは
ジュエルシードを捜すことに決し一緒に行動しているのだった!
「今日は捜しに出ないのかの?」
「…疲れたからお休み~」
自室のベッドにてなのはは暖かな陽射しの下昼寝を満喫していた。
もう一人の声の主、ゾーゲンといえばどうしているかというと、
小さな虫が一匹、なのはの胸元で日光から逃れるように蠢いていた。
…この小さな胸元に潜む、小さな虫が間桐臟硯の昼用ポジションである。
「ホホ…そうか。で、な。なのはよ、胎盤として儂の家にこんか?
この紙に高町なのはと書けばすぐに儂のうちにこれるのじゃが」
ゾーゲンが言う方向を眠気眼で見上げる。そこには名前を書く欄が設けられ紙片があった。
「ん~胎盤てわからなかったからユーノ君に聞いたら真っ赤な顔して
ダメだダメだって言ってたの。本当はどういう意味なの?ゾーゲンさん」
目をこすりながら尋ねる少女はあまりにも無防備にゾーゲンには思えた。
「それはのぉ儂の家でいーっぱい楽しいことをすると言う意味じゃぞ?」
ニヤリと笑うゾーゲン、虫だから表情はわからないが。
「じゃあ、ジュエルシード捜しが一段落したら考えてもいいかなぁ」
「おお、おおそれで構わんぞ。ユーノもジュエルシード捜しを急かしたいのじゃろうからな」
と、その時、呼ばれて飛び出るフェレット一匹。
(この!!なのはから離れろ!何が胎盤だ!
この星の魔術師は倫理感がないのか!)
カンカンになっているユーノをベッドから見下ろし、なのは不思議そうに首を捻る。
「どうしたの?ユーノ君そんなに息を切らせて」
(なのはぁゾーゲンから離れるんだ。そいつは危険な魔術師なんだよ~)
危機感のない本人を前に本人以上に心を痛めるユーノの思いは切実なものとなっていたが
なのははキョトンとするだけだ。
「なのはよ、ユーノは何と言ってきてるのじゃ?
儂には聞こえなかったのでな」
「ゾーゲンさんが危ない魔術師だって…違うよね?」
「当然じゃ儂はなのはに迫る悪を全てなくしてやろうと考えてるくらいじゃぞ?」
「ほらほら大丈夫だよユーノ君。もう、こんなこと言ったらだめだからね
二人とも仲良く!」
ユーノとゾーゲンを見据えて大きく頷くなのは。もちろんユーノとゾーゲンは相容れないわけである。
(儂をどうにかしようなどとは甘いぞ若造)
(く…いつか必ず滅ぼしてやる…)
目の前の虫はゾーゲンの本体ではないのだ。そのことに唇を噛むも
今のユーノにはどうすることもできない。
困った顔をしているなのはを挟んで二人の思惑が対峙する。
はてさて、この三人の冒険はまだまだ始まったばかりである。
最終更新:2009年04月01日 19:29