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赤を基調とした出で立ちの女はツカツカと甲高い足音を立て進む。年のころは30~40歳程に見えるが
あるいはもっと上かも知れない。肩まで伸びる黒髪は若々しく、女の表情は溌剌としていた。
昼下がりの夕闇が迫ってくる頃、女はとある一軒の店の前に立っていた。
その店の看板を前に女は、小さく笑う。

「私は、中華が比較的好みなんだけど、ね」

店のドアを開けるとカラン、カランと軽い音。

「いらっしゃいませ、翠屋へようこそ」

弾むような声で女を出迎えたのは栗色の髪をした女の子。女はそんな女の子の様子に興味を持ったのか
じっくり観察するように無言で上から下から視線を這わす。

「あ…あの~お一人様ですか?」

不躾な態度をとる客には馴れたつもりでいるので、女の子の笑みが簡単に崩れるようなことはないが、
変わった所があったとすれば、第一声で少し意外な発言したことくらいだろうか。

「今はそれはいいわ、それより、大きくなったわねなのは、桃子の小さい頃にそっくりよ」
「は…い?」

女はにんまりと笑う。女の子、高町なのはは目の前の赤い美人とその言動の意味を合わせ、
脳をフル回転させると、確信は持てないものの、あるぼんやりとした答えを導きだした。

「さて、私が誰かわかる?」
「…もしかしてお婆ちゃん?」
「流石私の孫、良い答えよ。5年ぶりなのによくわかったわね。前あった時はまだ幼稚園に行ってたのに偉い、偉い」


 そうやって、私の頭を撫でてくれた女の人は遠坂凛さん、おかーさんのお母さんでつまりは私のお婆ちゃん。
この日は数年ぶりに日本に帰ってきて、末の娘のおかーさんにフラッと会いに来たんだとか。

「もう、こんな時間、なのはは寝なさいね」
「はーい」

母に急かされ自室へ向かうなのはを見送ると高町夫妻と遠坂凛の談笑が高町家に響く。

「ロンドンでは世話になりました。その節はあまり例もできずに申し訳ないと思っていましたが」
「まぁ、死なないでくれてよかったわ。あんたみたいな名前の人間は無茶するって相場が決まってるしね。
私としては桃子が幸せに暮らせて孫も元気に育ってるなら何の文句はないし、逆にこっちが感謝するとこよ」
「あらあら、またお母さんの士郎さんの話ですか、私の士郎さんはあげませんからね」
「あんな馬鹿は願い下げよ、まだ、桜を待たせて…て、この話はパス」
「桜叔母さんはまだ…あ、ちょっとお茶汲んできます」

桃子が去るのを確認すると士郎は声のトーンを落とす。

「失礼ですが、今回来られたのは、なのはを…」
「それはないわ、なのはが魔術師として優れた素質を持っているといっても桃子を一般人として暮らさせると決めた時から
その娘のあの子を魔術師にする気はないわ、単に母親として、祖母として訪ねただけよ」
「失礼しました」
「じゃ、なのはの寝顔でも見たら私も寝るから」

そして凛がなのはの部屋で見たものは

「どうしたのレイジングハート?」
「マスター、強烈な悪意が正面に、下がってください」
「…その気配、まさか腐れ愉快型魔術礼装!」

その夜、局地的な魔術戦が高町家の二階で繰り広げられたとか。