「ふわああああ、あれ、朝?」
つかさが目をさめるなりつぶやいた。時刻は8時。こなた達も帰っていたころである。かがみは「よく寝られた?」とつかさにたずねる。つかさは「あ、あれー…私、寝ちゃってた。ごめんね、お姉ちゃん」と苦笑気味に言う。
「ううん、馴れないことして、疲れたのよ。もう、学校まで休んで、何やっているんだか」
「あはは…お姉ちゃん、風邪は大丈夫?」
「まだ熱はあるけど、だいぶ楽になったわ」
「よかった~」
「あしたは、学校いきなさいよね。私はまだちょっと、無理そうだけど」
「うん、わかってる。お姉ちゃんも元気なってきて、私も安心したし」
――違う。
そんなことじゃなくて、私がいま、言わなければいけないこと。朝から切実に感じてきた、私の思い。
「あ、あ、あのね、つかさ」
「? なあに?」
かがみは一呼吸置く。気恥ずかしさが、発声器官から声をだすことを憚らせる。少し黙ってしまう。
かがみはもう一度、つかさの顔をみた。不思議な顔をしてかがみの顔を見つめてくる。よし、言おう。かがみは心の中で強く決意した。
「つかさ、今日は本当にありがとう! 迷惑かけてごめん! でもね、でもね…
つかさ、大好き!」
急な告白にびっくりしたつかさも、すぐに泣いているような、笑っているような――少なくても言えることは、幸せな――表情をみせていった。
「うん、お姉ちゃん。私も、お姉ちゃんのこと大好き。だから、早く元気になって、また遊ぼうね。私、いつもお姉ちゃんに助けてもらったから――こんなときでしか、お礼ができないけど――私も、お姉ちゃん、いつもありがとう」
…ばか。あなたはお礼なんていわなくていいのに。悪いのは私。私なのに。
「えへへ、もう一回言っちゃうね。お姉ちゃん、大好きだよ」
―――もう、つかさったら!
我慢しなくてもいいや、とかがみは思った。
悲しみなんかでは決してない、喜びの――涙を、かがみは瞳からこぼした。
ありがとう、つかさ。
元気になったら、一緒にでかけようね。