今日は12月24日、クリスマス・イヴ。
今までは彼女がいない奴らと傷の舐め合いをする寂しい日だったけど、今年は違う!
今の俺にはつかささんという最愛の彼女がいる!つまり、今年のイヴは最高のイヴになること間違いなし!
だったのだが……
「体温は…38.5度か。はぁ、マジ最悪だよ……ぶぇっくしょんっ!」
そう、見ての通り俺は風邪をひいてしまったのだ。
話は昨日の放課後、つかささんと一緒に帰っていた時まで遡る。
「ねぇつかささん」
「うん?どうしたの、ゆうくん」
「明日ってクリスマスイヴじゃん?よかったら一緒に過ごせないかな~って。予定あいてるかな?」
「うん、全然大丈夫だよ。もし予定あったとしてもあけちゃうもん!それに…私もゆうくんと一緒に過ごせたらな~って思ってたし……えへへ」
そう言うとつかささんは顔を赤くしながら照れ笑いを浮かべた。
ヤバい、超可愛いんですけど!しかもこんな可愛い子が俺の彼女なわけで、しかもクリスマスイヴを一緒に過ごしたいと思っていてくれたわけで!
「…うくん?ゆうくん!」
「ふゎっ!?な、なに?」
危ない危ない。思わず妄想スイッチが入りそうになっちゃったよ。って、最近田村さんの症状がうつってる気がするぞ……。
「そ、それはそうと明日は何しようか?とりあえず、学校終わったら一旦帰って私服に着替えた方がいいよね」
「うん。あっ!そういえばお母さんから聞いたんだけど隣町の駅前、クリスマスイルミネーションがすっごい綺麗なんだって!」
「へぇ~、じゃあ見に行ってみようか。それと後は…クリスマスイヴなんだし、どっかでケーキ食べよっか」
「えっ!?ダ、ダメっ!ケーキ食べるのはダメだよっ!」
「えっ?けどせっかくだし」
「け、けどけど……と、とにかくダメなの!」
「?つかささんがそこまで言うなら…」
「うん、ありがとね。ゆうくん」
その後もあれやこれやと話をしてると、いつの間にかいつもの別れ道についてしまっていた。
俺とつかささんは、名残惜しそうな顔をしながら繋いでいた手を離した。
「それじゃまた明日、だね」
「うん。ってか、楽しみすぎて夜寝れるかちょっと不安かも」
「うぅ、私もだよ~。遠足の時とかも、いっつも明日の事考えて夜寝れなくなっちゃうの」
「あはは、つかささんらしいや。」
「うぅ…ゆうくんも人のこと言えないくせに~っ」
「違いないや。それじゃね、つかささん」
「うん。バイバイ、ゆうくん」
こうして俺とつかささんは互いに家路についたのだった。
それから時間は少し進み……
「う~ん……」
ベッドの中で、もう何度目か分からない寝返りをうつ。明日の服の用意を終えて、さぁ寝ようとベッドに入ってから既に一時間近くたっていた。
「……眠れない」
俺は最悪の事態に陥っていた。そう、明日が楽しみで全く眠れないのだ。
なんたって、生まれて初めて出来た彼女との初クリスマスイヴなんだよ!?そりゃワクワクして眠れなくもなるさ。
とはいえ、このままでは流石にまずい。
「……軽く体でも動かそうかな。」
俺は、上着を羽織りランニングに出かけることにした。しかし……
一時間半後……
「ゼェ…ハァ…た、ただいま……」
軽い運動どころか汗びっしょりになって帰宅するはめになってしまっていた。
因みに何があったのかというと、軽くランニング→ランニング中に明日の事を考え出しニヤニヤ→一時間してようやく我に返る→慌てて来た道を全力で帰宅、というわけだ。
我ながら不審者極まりないと思う。