「み~なみちゃん」
「きゃあ!!」
彼女を見つけた俺は驚かそうと思い、後ろから抱きついてみた。自分でも子供じみたことだとはわかっていてもやりたくなってしまう。
そして案の定、彼女は驚いた。その瞬間血の気がひいた。
「あ、あの、すみません!!人違いでした!!!」
いやぁ、もう謝り倒したよ。
しかし、あの後ろ姿は似過ぎだって、今度からはちゃんと気をつけよう……

「先輩さっきの女の人誰ですか?」
「えっ…」
修羅場フラグ?
さっきの女の人って?俺が聞きたいくらいだ。
「後ろから抱きついていた人です」
「あっ…」
さっき彼女と間違って抱きついた人のことだ。
「やっぱり、心当たりがあるんですね」
非難するような視線がイタい…ていうかオーラが恐い、なんか音が聞こえてきそうだ…
「あれは、みなみちゃんと間違って」
「先輩は私と他の人の見分けもつかないんですね」
「だから、みなみちゃんを驚かそうと思ったら…」
「ええ驚きました、先輩があんなことするなんて」

もう知りません、と言って彼女は背中を向けてしまった。
もう、なす術が無い俺は背中を向けてる彼女の髪をいじりながら、ごめんと言ったり、もう何がしたいんだ?
「ふふ…」
彼女が不意に笑った。その意味は?最後通告、それとも…
「知ってます…そういう人がいるの、ゆたかも間違ったことがあるって言ってました。ゆたかもそうなんですから先輩が間違うのもしょうがないです」
え……
「ごめんなさい先輩、ちょっとイジワルしちゃいました」
彼女が少しうつむいて言う
「けど…許すのは今回だけです…」
「みなみちゃん」
今度こそ間違えず抱きついた。

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最終更新:2008年05月16日 20:30