深き森の中心で。 第〇話
プロローグ -夢の始まり-
ここはどこだ?見渡す限りの木、木、木・・・森の中か?ふと周りを見ると、近くに無数の人影が見える、皆が体から赤い液体が流れ出て池を作っている、よく見ると友人たちだ、なぜ倒れてるのだろう、なぜ赤い液体が・・・
グサッ、グサッ
音のするほうを見ると別の友人が赤い液体を噴出しながら倒れてゆく、手が何かを求めるように俺に向けられる、だがそれも数秒と持たず崩れるように地面に堕ちてしまった、次第に目から光が無くなり、ついに動かなくなった、その光景を見つめているとその横から友人の液体を浴びた見知った顔の女が歩いてくる、顔が良く見えない、よく見ようとするが目が動かない、その姿に恐怖を覚え逃げようとするが足が動かない、精一杯の抵抗しようとするが手が動かない、命乞いしようと喋ろうとするが口が動かない、ふと気づくといつの間にかその女が目の前に立ち、銀に光るナイフを振り上げ俺の喉を・・・
グサッ
「うぶぉわっ!!」意味不明な声を上げベッドから転げ落ちる、「・・・。」朦朧とする意識の中今の状況を整理する、
・・・あれ?今何時だ?確か今日は月曜日・・・うげっ9時半、体中から冷や汗が吹き出る、そういえば今年から一人暮らしを始めたんだっけ、新しく買った目覚ましの効果はないみたいだ、夕方また買いに行こう、そんなことを思いつつクローゼットの中から制服を・・・ん?無い、そういえば昨日雨上がりの道でトラックに泥をかけられたんだっけ、やばい、予備の制服を出してなかった、急いで押入れから「服」と雑な字で書かれたダンボールを取り出す、これはもうだめかもしれん・・・
学校に着いたのは10時過ぎだった、2時間目の授業が終わるまで校舎裏で暇をつぶし、チャイムが鳴り、先生が出て行ったのを見計らい教室に入る、窓際の自分の席まで行きそっと座ると鞄の中身を片付け始める、ふと隣の席から声が聞こえる、「遅刻かい?君にしては珍しいね。」彼女は同じクラスの蒼星石、彼女とは高校に入った直後に知り合ったのだがすぐに仲の良い友達になれた。「いやぁ、実は寝坊しちゃってさぁ、何かの夢を見ていた気がするんだけどよく思い出せないや。」「でもこんな時間まで寝てるなんて目覚ましはセットしたのかい?」「うーむ、目覚ましが壊れて安い目覚ましを買ったんだがどうも音が小さくて起きれなくてね。」「あはは、君らしいや。」「うるさいやい。」そうして僕の日常がまた始まった・・・
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