密室(前編)
目が覚める・・・此処は何処だ?白い白い部屋?・・・いや、血が所々こびり付いてやがる。其処に何故か人が横たわっている・・・はぁ・・・早く帰りたい。僕はしがない高校生の桜田ジュン、ただ違うのは頭脳明晰、そして感情欠落症で恐怖を感じない。・・・記憶では、部屋で寝た以降の記憶が散漫だ。
J「・・・何だ?コレは・・・死体だ、しかも生暖かい。」J「うぷっ・・・死んでやがる・・・まだ膨らんで赤鬼に成ってないって事は、死んでからそんなにたってない。」
取り合えず回りを見渡す、広さは・・・学校の教室くらいか。上にはスピーカーが付いている、益々気味が悪い。取り合えず、そこら辺を散策する事に。死体の中には一人だけ生きてる人も居た、しかも生憎知り合いだったから立ちが悪い。名前は蒼星石、哀れに・・・こんな訳も判らない所に連れて来られて・・・俺もか。彼女と僕の関係は、友達ぐらいだが、生憎何か問題を聞く以外は余り話さない。残りの死体も全部、僕の学校の知り合いのようだ。安心したのは、真紅達(蒼星石を除く)が居なかった事か。他には謎のドア、耳を付けると風の音がする、其処から先は外らしい。
J「畜生・・・何何だ・・・此処は・・・」蒼「う~ん・・・」蒼「ふぁ・・・あ・・・」
起きたようだ、取り合えず持っていたハンカチで目隠しをする、驚いている様だが恐らく寝起きなので余り動けない。
蒼「だ、誰だ!?」J「僕だ・・・桜田ジュンだ・・・幾つか聴いてほしい、之から何が起きても驚くな。」J「そして叫ぶな、後は余り動かないでくれ。」蒼「あ、うん・・・判った・・・判ったから目隠しを外して欲しいんだけど・・・」J「叫ぶなよ?」
そう言うと、ジュンは目隠しを外した。すると、蒼星石は驚きの余り口から声が出ないようだ。約15秒の時が流れる、誰も動く物はいない。
J「・・・落ち着いたか?」蒼「此処は何処何だ!?そしてあの死体は何何だ!?」J「黙れ。」
重くてキツイ言葉がジュンから発せられた、その響きに蒼星石は立ちすくんだ。
J「俺だってそれは知りたい、しかしあのスピーカーから何か出てこない限り、俺らは良くは成らない。」蒼「そんな・・・」J「取り合えず、このゲームに招待した馬鹿が出てこない限り、俺等はこの部屋から出られない。」蒼「・・・うん、それもそうだね・・・」J「取り合えず動くな、動かずジッとしてろ、動けば動くほど無駄なエネルギーを消費する。」蒼「・・・冷静・・・だね・・・」J「病気何だ、感情が無い。」蒼「そう何だ・・・」
そして、暫く静寂が訪れる、10分経っただろうかウトウト眠くなってきた。ガー・・・ガーガーピー・・・行き成りスピーカーの音がする、それでも2人はジッとしていた。もし精神欠陥のジュンが居なかったら、発狂していただろう。
スピーカー「ハロー?元気ぃ?」
拍子抜けの明るい声がする。
J「・・・誰だ?」ス「おっとっと~、行き成り名乗り出ないのは失礼でしたかね?」J「良いから名乗れ。」ス「全く~カリカリしちゃってぇ・・・可愛くないなぁ・・・」ス「僕は、グリーンアップル、コレで大体誰か判った?」蒼「グリーンアップルって!連続誘拐殺人魔の?」ス「正解正解、大~正~解~」
巷では噂になっている、謎の連続誘拐魔グリーンアップル。何でも、噂によると殺された死体の匂いが、緑色の林檎のような爽やかな香りがするので。そう言う名前がついたが、死体は剥製にされ。肉は繊維までバラバラにしてまで、人体模型にし。臓器を密売し、骨を飾り物にしてるそうだ。この行動から、精神障害者とされるも。未だに見つからず、行方もわからないらしい。・・・最悪の一言に尽きる。
ス「今日は御2人さんに、ゲームをしてもらおうと思いましてね?」J「ルールは?」ス「もう、せっかちですねぇ・・・そんなのでは女の子に持てませんよぉ?」J「ルールは?」ス「はいはい、言いますよ。」ス「ルールは簡単、相手を殺すだけ。」蒼「なっ!?」ス「その密室で、相手を殺すと僕がその部屋の何処かに隠した、鍵を言いまーす!」ス「制限時間は無いから、せいぜいどっちが死ぬか、それとも前のお馬鹿さんみたいに、両方死ぬかじっくり考えるんだねー!」蒼「そ・・・そんな・・・」ス「武器は、そこら辺に落ちてる物なら、何でも良いから使いなよ!せいぜい僕を楽しませてくれよ?」J「そうかそうか、ならお前の殺し方でも考えながら、じっくり考えさせてもらうよ。」ス「威勢が良いね?まぁ何でも良いよ僕を楽しませてくれればぁ!アハハハハハハ!」
ブツン・・・また無音の世界が戻ってくる。ジュンはカベに耳を当てて、カメラの位置を探したが、何処にも見つからなかった。
J「・・・ふむ・・・」蒼「ジュン君・・・一体如何するの?」J「・・・2人ともギリギリ無事に、出る方法がある。」蒼「それは?」J「・・・鍵を探す、だ。」蒼「でも・・・一体何処に・・・」J「今検討中だ、まぁ・・・時間は有る・・・食料は・・・辛うじて人の肉が有る。」蒼「人だよ!?食べるの!?」J「俺等が出れなくて、死んだらこの人が浮かばれないだろ?」J「それよりは、死んだ人の肉を食ってでも、此処を出なくてはならん。」J「それに、そうした方がその人の親族が、有り難いと言うもんだろ・・・」J「まともに葬式も挙げてやれず、悔やむよりは・・・」蒼「う・・・でも他に食べ物は無いの?」J「皆無だ・・・それだから困る・・・」蒼「う・・・仕様が無い・・・諦めるか・・・はぁ・・・」
そこら辺に落ちている物を探す・・・ナイフ、ペン、メス、紙、コイン、包帯、糸、出血止め、数個のコップ、ガスコンロ、お鍋、針・・・
J「・・・こいつは愉快犯だな。」蒼「え?」J「しかも、悪性の。」蒼「如何して判るの?」J「一つ逃げれるルートを確保してあるようだ。」J「普通に殺人ゲームなら、紙やコップなぞ置かん。」蒼「ああ・・・そういう事か・・・」J「はぁ・・・早く帰りてぇ・・・」
何時間経っただろうか、部屋の中は涼しく湿気が無いため、肉は腐らないでいる。
J「・・・しょうがない、食べるか・・・」蒼「どうしても食べるの?」J「・・・死にたいのか?」蒼「死にたくないけど・・・」J「甘えるな、死んだ人は人じゃない、唯の肉の塊だ。」蒼「う・・・うん・・・」
肉をジュンがバラバラにする、手つきは不慣れだが、理科の解剖図のようにではなく、食べれる所だけ的確に処理している。残っている血はコップに注いでいく、見る見る内にコップに血が溜まった。
J「はぁ・・・こんな日が来るとはなぁ・・・つくづくついてねぇ・・・」蒼(覚悟はしてたんだ・・・)J「取り合えず、分けたからコレを喰え。」蒼「う・・・い・・・頂きます・・・」J「はぁ・・・頂きます・・・」
2人とも顔が浮かない、そりゃそうだ死体を食べるんだから。まず肉を鍋とガスコンロで焼く、見る見るうちに肉が小麦色になっていく。それを食した、味は・・・不味くは無いが、嫌な感じがした。蒼星石は食べるのを躊躇している。そりゃそうか・・・女の子だもんなぁ・・・
J「・・・喰え。」蒼「どうしても?」J「喰わんと蹴っ飛ばすぞ?」蒼「それでも・・・あんまり・・・」J「はぁ・・・しょうがない。」
ジュンは肉を口にほうばると、目を反らしている蒼星石の口に、関節キスの要領で無理やり飲み込ませた。蒼星石は驚きの余り、行き成り口に入れられた肉を勢いの余り、飲み込んでしまった。
蒼「げほ・・・げほ・・・酷いよ・・・行き成り口に入れるなんて・・・」J「それしか最善の方法は無かったんだ、我慢しろ。」蒼「ううっ・・・判ったよ食べるよ・・・」
そう言うと、肉を恐る恐る噛り付いていた。・・・許せ、今はそう思いながら、思考をめぐらしていた。
蒼「・・・之からどうするの?」J「殺し合いで勝ったとしても、殺人犯で、2人で殺しあって、同士討ちでも其処で終了。」蒼「うー・・・」
暫く間が空く。何故犯人はこんな事を?何故犯人は僕達を選んだ?何故犯人は鍵をこの部屋の何処かに隠した?何故犯人は暫く持つ方法を選んだ?何故犯人は・・・
・・・しかし・・・眠い。少し寝てしまおうか?
J「・・・眠い・・・」蒼「よく眠いなんて言えるね・・・」J「犯人は、俺らが殺し合う以外の安全は保障してくれてるんだ、気長に行こうや、気長に。」蒼「プッ・・・ハハハ・・・良くそんな事いえるね・・・それを聞いて安心したよ、少し寝ようか・・・」J「そうそう・・・間違っても俺を殺そう、だなんて考えるなよ?」蒼「・・・うん、そうするよ。」J「ハハハ・・・それで良し、寝るか・・・」蒼「・・・御休み。」
そして暫く眠った、何時間経ったのかいまいち判らない。時計は持っていない。
J「・・・はぁ・・・如何するか・・・」蒼「すー・・・すー・・・」J「・・・」
暫く思考を巡らす・・・周りの空気は昨日と変わらない。そして、この部屋の変化も無い。この調子なら、あと4日は持つ。さて・・・如何したものか・・・昨日の仮定を更に練り上げる。何故犯人は、俺の学校の生徒を狙っているのか。何故犯人は、俺の知り合いを狙うのか。何故犯人は・・・
ただ黙々と仮定をたて、構想を練っていた・・・それは超密度の連立のように、何度も何度も・・・
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