ばらしーと銀ちゃんとカナリー特製ホレ薬
時は朝5時。殆どの学生が眠りに付いてる時間帯。そんな時間帯に、私の家のドアをノックする音が聞こえた。ノックの音は10回。11回目のノックの音が聞こえた時、私は立ち上がり玄関へ向かった。そして扉を開く・・・・・「お早う金糸雀。朝早くからありがと」金「薔薇薔薇お早うかしらぁ~・・・・ふわぁ~っ・・・(大欠伸をする)」薔「とりあえず上がって・・・・お茶くらい出すから」金「おっお邪魔しますかしらー」薔薇水晶の自宅へ入る金糸雀。(ちなみに薔薇水晶の両親は旅行中という事で)そのまま薔薇水晶の部屋に入る二人。金「ほー。中々いい部屋かしらー」薔薇水晶の部屋を見ながら声を出す金糸雀。大体7畳くらいの部屋に、ベッドと机。部屋の色は薔薇水晶らしい淡い紫で統一されている。薔「・・・・部屋の感想はいいから。例の物をプリーズ」金「ぁっ・・・了解かしらー。はい」そういい、金糸雀は薔薇水晶に小さな小瓶を渡す。小瓶にはしっかりと蓋がしてある。小瓶の中には薄ピンク色の液体が入っていた。
小瓶を見つめながら薔薇水晶は金糸雀に問う。薔「これ、使っても平気だよね?」金「勿論双子に実験済みかしら!」薔「・・・・双子じゃ効果がよく判らないよ」金「・・・・・orz」薔「まぁいいや。これは有り難く貰っとく。有難う」金「あっ・・・後使う時は十分に注意してかしら!一番初めに見た相手しか効果が出ないから・・」薔「了解・・・」薔薇水晶はそういうと、自分がいつも持ち歩いてるポーチに金糸雀から貰った小瓶(液体入り)を入れる。薔「フフ・・・これで銀ちゃんのハートは全て私の物・・・・・・・」金「・・・・じゃあカナはそろそろ帰るかしら。あ!もしその薬が失敗作だとしてもカナに責任を押し付けては駄目かしら」薔「チッ・・・・・」金「今舌打ちが聞こえたのは気のせいかしら?」薔「・・・空耳だよ」金「・・・そういう事にしとくかしら。じゃっカナは変えるかしらー!じゃっまた学校で」薔「また・・・後で・・・フフ♪」
時刻は8時5分。通学路には登校中の学生達が沢山居る。そんな中、銀髪の美少女はとてもイライラしてた。銀「全く・・・薔薇水晶ったら自分から誘っといて待ち合わせに遅れるなんて・・・・」彼女の名は水銀燈。高校生にしては良過ぎるスタイル。とても綺麗な顔にサラサラの銀髪を持つ・・・所謂美少女。その水銀燈が携帯電話片手に非常にイライラしていた。水銀燈は携帯電話の待ち受けに目をやる。時刻は8時5分。銀「あ~っ・・・薔薇水晶ったら5分も遅刻してるわぁ・・・・・・・・ん?」その時水銀燈の耳に、誰かが自分を呼ぶ声が聞こえた。水銀燈は声がする方に体を向ける。すると・・・薔「銀ちゃーーーん!」銀「・・・・・・」ダッシュで此方にやってくる薔薇水晶が居た。そして薔薇水晶は水銀燈の前に来て・・・・急ブレーキ!!薔「ギリギリセーフ」薔薇水晶はセーフのポーズをとるが・・・・銀「残念だけど5分の遅刻よぉ」薔「・・・・惜しい」銀「惜しくないわぁ・・・・まあいいわ。とりあえず早く行きましょう」薔「らじゃー」
水銀燈と薔薇水晶は、二人揃って通学路を歩いていた。すると薔薇水晶が何かに気が付いた様子で水銀燈に声をかける。薔「そうだ・・・銀ちゃん」銀「ん?なぁに?薔薇水晶」薔「手、つないで」銀「へ?」水銀燈は行き成り言われたんで少し吃驚した。薔薇水晶の顔をチラリと見ると、何時もと同じ無表情だが、頬が赤くなってるのが判った。銀「でも何で・・・?」薔「嫌・・・・?」銀「イヤ、別に嫌とかそうじゃ無くて・・・・女の子同士ってのはちょっと・・・って薔薇水晶!?」水銀燈はもの凄く焦った。なぜかって?普段は無口無表情な彼女の瞳が薄っすら濡れてたから。よーく見ると眼帯も湿ってるのが判る。
薔「そうだよね・・・・女の子同士なんて。。。。・・」銀「ぅ・・・(正直うる目と上目遣いは・・・」薔「御免ね・・・変な事言って・・・・あ」銀「////」薔「銀ちゃん・・・手・・・」銀「これでいいのよねぇ?」薔薇水晶の左手を水銀燈が右手で握っていた。薔「ん~・・・照れた銀ちゃんナイス」銀「ッ!?騙したのぉ!?」薔「騙すことは生きること」銀「・・・よく判らないわぁ」薔「さぁ学校に行こー(いつ金糸雀から貰った薬を使おう?」何だかんだいいながら、水銀燈は学校に着くまで薔薇水晶の手を握ってました。
薔薇水晶はずっとずっと考えてた。HR中も一時間目も二時間目も三時間目も・・・そして今、4時間目もずっと悩んでいた。どうやって水銀燈にあの薬・・・もとい『ホレ薬』を使うか。昼食中に使う。とは決意してた。でもどのタイミングで使うか・・そう悩んでいた。数学の授業で先生にこの問題を黒板に書け。そう言われたとき黒板に『薬』と書いてしまった程悩んでいた。先生に『ここはXを・・・』と言われたとき『どうしようどうしよう』と呟いてたほど悩んでいた。薔「はぁ・・・」薔薇水晶がため息を一つついたとき、授業終了のチャイムが鳴った。先生が『今日は此処までー』というと、皆立ち上がり仲のいい友達の所へ行く。周りを見ると真紅、雛苺、金糸雀が机を並べていた。真紅の後ろ辺りで、JUMが真紅のマイカップに紅茶を入れてるのが見えた。
薔「よし・・・じゃあ行こう」薔薇水晶がスクッと立ち上がり、水銀燈の席へ向かう。余談だが、ホレ薬の実験台になった双子は学校を欠席してるとか。薔薇水晶は水銀燈の席まで行き、水銀燈に声をかける。薔「銀ちゃん。起きて。お昼一緒に食べよ」銀「・・・ん・・・ふわぁ~・・・・・お早う」薔「おはよう。じゃあ屋上行こう」銀「ぇ?なんでお昼食べるのに屋上にぃ・・??」薔「昼は屋上。これ基本」銀「ぇ~・・・寒いわよぉ」すると薔薇水晶は瞳を潤ませ、『お願い』のポーズをとる。薔「駄目?」銀「・・・ぅ・・・判ったわよぉ。屋上に行くわよぉ」薔「わーい(屋上なら寒いから人居ないし、ホレ薬使うには絶好のチャンスだ」銀「・・・(私って薔薇水晶に関しては凄く弱いのよねぇ・・・・」
薔薇水晶が屋上の扉を開き、水銀燈と屋上へ入る。今日は風が少し強く気温も低いので、屋上には誰も居なかった。薔「よかったね。人居なくて」銀「・・・?よかったねって如何いう意味よぉ?」薔「そのまんまの意味だよ・・・・」銀「はぁ・・・」薔薇水晶は心の中でガッツポーズをして、屋上にポツンと置いてあるベンチを指差す。濃い目の青色の、何処にでもある様な普通のベンチ。薔「あそこで昼食食べよう」銀「・・・いいわよぉ」二人は揃って歩き、ベンチに向かう。ベンチまで着くと、ベンチに二人とも腰を降ろし、膝の上に弁当を置く。そして弁当箱を開く・・・・銀「・・・・」水銀燈は薔薇水晶の弁当を呆れた目で見ていた。銀「薔薇水晶・・・その弁当シウマイ多くなぁい?」薔「そう?たった7個しか入ってないけど・・・」銀「普通1個か2個じゃぁ・・・」薔「銀ちゃんだってヤクルトを3本も持ってきてる」銀「乳酸菌は大切なのよぉ?」薔「・・・それは毎日聞いてるから判ってる・・・」二人とも軽く雑談し、箸を右手に持つ。まずは薔薇水晶が自分の弁当の中に7個もあるシウマイの中で一番小さい物を箸でとる。薔「あーん」銀「・・・シウマイなんて脂っこい物食べたら太っちゃうわぁ」薔「大丈夫。銀ちゃんは痩せてるから1キロ2キロ体重が増えても無問題」銀「仕方ないわねぇ・・・・・じゃあ食べるわよぉ」薔薇水晶が口の前まで持っていったシウマイを、水銀燈はパクリ。と、食べた。口の中にシウマイの味が広がる。銀「・・・・・(あ、結構いけるわぁ。このシウマイ」薔「どう?」銀「うん。美味しいわぁ・・・・・・・・ん?」薔「如何したの銀ちゃん(キタ?薬効果キタ?」銀「なんだか・・・・とっても・・・」薔「・・・・・」銀「眠いわぁ・・・・おやすみぃ」薔「ぇ?」水銀燈は『おやすみ』と言った瞬間、瞳を閉じベンチに腰をかけたまま寝てしまった。薔「もしかしてこの薬・・・・失敗作?」
薔「銀ちゃん!起きて!」薔薇水晶は水銀燈の体を揺らす。容赦無く揺らす。そのお陰で水銀燈は最悪の目覚めを迎える。銀「・・・ぅ~・・・この起こし方は無いわよぉ」薔「お早う銀ちゃん。よいお目覚めですか?」銀「・・・最悪な目覚めよぉ・・・・そういう生意気な事する子には、こうよぉ♪」薔「!?」薔薇水晶は目を丸くした。何故なら行き成り水銀燈が薔薇水晶に口付けをしたから。薔「・・・」銀「どうしたのぉ?そんな顔してぇwそんな顔するともう一回するわよぉ」如何やら水銀燈にホレ薬がきいてるらしい。けれども薔薇水晶は微妙な気持ちだった。水銀燈とキスができたのは嬉しい事な筈なんだ。でも・・・キスする時自分が『受け側』に居たのが何だか微妙だった。薔「・・・(何だか受けって気分が悪い・・やっぱり攻めの方がorzホレ薬は効果あるけど攻めしか出来なくなるの・・・?」銀「なに微妙な顔してるのぉ?そんな子にはまた口付けしちゃうわよぉ?クスクス♪」薔「・・・」この時薔薇水晶は自分がホレ薬をしようした事を後悔した。同時に自分は『攻め派』なんだなぁ。という事を改めて理解した。薔「(やっぱ銀ちゃんにキスされるより私が銀ちゃんに何かして困ったような表情が見たい・・・」そう考え、薔薇水晶はホレ薬の効果を消そうと決意した。ある呪文をいえばホレ薬の効果が消えると金糸雀に教えてもらった。・・・・その呪文らしき言葉が少し言いにくいのだが、この際仕方なかった。銀「なぁに?そんなに苛められたいのぉ・・?薔薇水sy・・・」薔「金糸雀は天才ッ!!(・・・この台詞言いにくい・・・」薔薇水晶が呪文(?)を言った瞬間、水銀燈は紅い瞳を閉じ・・・眠りに付いた。この時薔薇水晶は、後で金糸雀を一発殴ろうかな?と心の中で呟いた。
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