質屋のお客達その1
質屋のお客達暇だなぁ。質屋なんて今時流行らないよ。まったくボケ姉はさっさと就職しちゃって…。大体質屋なんて利用する人間がいるのかも怪しい。。楽といえば楽だからいいけどな。金は株で儲けまくってるし。「といってもこうも暇だとなぁ…。」「あらぁ同級生はみんなせっせと働いてるのに貴方は暇してるのねぇ。」肘をカウンターに突き僕を笑うように見つめる。長い銀髪に真っ赤な瞳…。…また厄介なお客が来たもんだ。「…いつ入ってきたんだよ…。水銀燈」「年上にため口、呼びすてぇ?ホント貴方っていい度胸してるわよねぇ。」「…それで何しにきたんですか?水銀燈さん。」「あはははは、冗談じゃなぁい。本気にしちゃダメよぉ。」どっちなんだよ。まあいいや。呼び捨てということで。しかし本当に何しにきたのやら。めんどくさいことじゃなきゃいんだけど…。「ちょっとお金がねぇ。貸してくれなぁい?」「まあ何か持って来てるのであれば貸してあげられるけど…」どれくらい貸せるかは物にもよるけどな。「指輪なんてどうかしらぁ?とっても高価な物よぉ。ほらこれよぉ。」「……ふ~ん。で水銀燈はどれくらいだと思ってるんだ?」「あらぁそれは貴方が計ることでしょぉ?」 たしかにそうだが…別に宝石の知識があってやってるわけでもないしな。まあ大体は教わってるけど…「そうだな…。20万前後ってところかな。」「えっ?そんな程度なの?」「買った値段はどうだったか知らないけど売る時はかなり値段が下がるんだぞ。」預かるといったほうが正しいかな。あいにく僕には預かっても販売ルートがない。だからお金を返すのであればいつでも預かった品物は返す。案外お金には困ってないしね。「ジュン。もうちょっとあげてくれなぁい。もうちょっとだけでいいからぁ。」「残念だが僕に色仕掛けは効かないぞ。どれほど耐性ついてると思ってるんだよ。」水銀燈はかなりの美人だ。その水銀燈が胸を机に乗せながら顔をギリギリまで近付けてくる。常人ならこれだけで値段を上げるだろうが…。あいにく誰かさん達のせいで僕の耐性は限界まであがってる。だから値段は上げない。「まったくからかいがいが無い上に非情ねぇ。」「まあ何でそんなにほしいかはわからないけ……いや大体わかる。」「そうぅ?なら上げてくれてもいんじゃなぁい?」上げる上げないの前に宝石の書類とかいるんだけど……まあ知り合いだし仕方ないか。「どれくらい上乗せすればいいんだ?」「そうねぇ。1.5倍くらいかしらぁ。」「はいはい。仕方ないな。ちゃんと返せよ?」「わかってるわよぉ。それじゃあありがとねぇ。」そういいながら手をひらひらと振り店を出ていく水銀燈。…たぶんめぐさんのためだろうな。まったく友達思いもいいけど度が過ぎてるというかなぁ。まあそれか水銀燈のいいところなんだろうけど……僕も今度お見舞いにいくかな。続く
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