十六章「メダル」
十六章「メダル」 ベジータ達が部屋から出てくるとジュン達が近づいてくる。ジ「どうなったんだ笹塚?」笹「まあ簡単に言えばイベント達成かな?」笹塚はそう言いながらメダルのある部屋の中央に移動する。真「何をするの笹塚?」水「解けたそうよバリアわぁ。」笹塚はやはり躊躇なくメダルに手を伸ばす。今回は弾かれることなくメダルに手が届き、笹塚の手のなかに入る。笹「取れたよ。…これは」翠「笹塚見せるですぅ。」笹塚がメダルを見ていると翠星石が横から奪い去る。翠「これは…なんのマークですか?」翠星石が首を傾げていると真紅達もメダルを見る。蒼「岩かな?」金「土の神殿だから岩かしら?」メダルには岩を形どったマークが両面に彫ってあった。真「単純でわかりやすいわね。…つまり属性の数だけあるようね。」翠星石達はメダルを回しながらそれぞれ考察する。ジ「つまり九つ全部集めろってことかな?」べ「そうだろうな。やっかいな話だ。」ベジータまで回ったところで全員は同じ結論に達する。水「それでぇ誰が持つのぉ?」蒼「笹塚君でいんじゃないかな?」笹「…まあそれ位しか役に立てないし。僕が持ってるよ。」 持つのは笹塚に決定したため、ベジータは笹塚にメダルを投げる。べ「それ位って…何いってるんだよ。お前はかなり役に立つぜ。」笹「はは、それならいんだけどね。」笹塚は投げられたメダルを受け取る。ジ「で?もうここにいる必要はないのか?」真「無いわね。じゃあ金糸雀帰りは頼むわよ。」金「えっ!?この人数をかしら!?」金糸雀はビクッとしながら真紅に問い掛ける。水「私は今回飛んでいくわよぉ。金糸雀無理そうだしぃ。」水銀燈は金糸雀を察してそういった。べ「俺もいいぜ。自分で降りるからな。」笹「ベジータがそう言うなら僕も普通に降りるよ。(それにたぶん…)」ベジータと笹塚も金糸雀を察する。真「そう…なら大丈夫ね。金糸雀」金「そんなこといって…あの目は何人でもやらせるつもりだったかしら。」金糸雀はそういいながらもピチカートをだし風を皆にまとわせる。蒼「ここから飛んでいくのかい?」金「外までなら全員いけるはずかしら。」全員を飛ばせて金糸雀は外に向かう。べ「へぇ。これは便利だな。」ベジータは感心しながら風に身を任せる。 金糸雀の風で外に出たジュン達はあることに気付く。ジ「あれ?笹塚は?」べ「あ~笹塚はやっぱり無理だったか…」ベジータは通路の方を見ながら頭をかく。ジ「どういうことだよベジータ?」真「……ジュン、笹塚の能力を思い出してみなさい。」そう言われたジュンは笹塚の能力を思い出す。ジ「あ~わかったよ。」ジュンはベジータと同じく通路の方を見る。蒼「厄介な能力だね。笹塚君は…」翠「まったくですぅ。」笹「そりゃあどうも」話していた翠星石達の後ろから突然笹塚の声がする。べ「まあ厄介な能力だ。だが移動は早いんだよな。」突然あらわれた笹塚にベジータ以外は驚きを隠せない様子だ。ジ「どうゆうことだ?ベジータ、笹塚?」笹「ここでの僕は存在しないも同然だ。だから移動は普通より早くできるわけだよ。」真「つまり?」ことの核心をなかなかいわない笹塚達に真紅は痺れを切らし問い掛ける。べ「つまり目に見える範囲くらいならすぐ移動できるのさ。」ベジータがそういうと笹塚は瞬時にベジータの隣に移動する。笹「まあそういうことだよ。攻撃できないからあんまり意味無いんだけどね。」 翠「それにしても存在感の無い能力ですぅ。便利なようで便利じゃないですし。」翠星石にそう言われて笹塚は困ったような顔をする。ジ「まあ笹塚は現実でもよくわからない能力あるからな。」水「へぇ~どんなぁ?」ジュンの言葉に水銀燈はもとより真紅達も食い付く。笹「…ジュン。人の気にしてることあんまり人に言うなよ…」笹塚はジュンを止めようとするが水銀燈達の壁により声が届かない。べ「まあいいじゃないか笹塚。それより俺達は降りるのに時間がかかるんだからさっさと降りようぜ。」ベジータはハンマーを担いだ状態で笹塚を急かしだす。笹「時間がかかるのはお前だけだろ?まあいいけどさ。」笹塚はベジータの方に行きながらジュン達に先に行くと告げる。ジ「わかった宿にいろよ?じゃあこっちも帰るか。笹塚のことは帰りながらでいいだろ?」真「そうね。じゃあ金糸雀お願いね。」真紅の言葉に金糸雀は頷く。金「ピチカートいくかしら~。」ピチカートは水銀燈以外の全員に風を纏わせ宙に浮かせる。水「私もさっさとしましょうかぁメイメイ」水銀燈もメイメイを取り込み翼を羽ばたかせ、金糸雀達についていく。 真紅達より少し遅れて笹塚が宿へと入る。土の街の宿は始めの街と違い設備が充実している。笹塚はジュンが自分のことを話したと覚悟していた。そしてジュン達に会うやいなや真紅達の可哀想なものを見る目で見られる。笹「(なんだこれは…まだ笑い飛ばされたほうが気が楽だよ…)」蒼「笹塚君…その廊下に立たされるくらい気にしないほうがいいよ…」翠「しかし蒼星石、毎時間立たされるなんて…プッ」唯一翠星石が笑いを堪えながら笹塚を見ていた。ジ「(あからさまだな。翠星石…)」笹「(微妙だな~。一番きつい空気なんだけど…)」水「どうでもいいわぁ。食事の前お風呂はいりましょうよぉ。砂埃にカビみたいなのまでついて気持ち悪いわぁ。」水銀燈は一番始めに食い付いて一番始めに飽きた。べ「なに風呂!?」ベジータの目が輝いた瞬間、真紅のグーが顔に翠星石の蹴が腹にめりこむ。ジ「せめて声に出すなよ。ベジータ…」べ「ぐっ。き、効いた…ぜ…」ベジータはその場に倒れこむ。翠「ちび人間に笹塚、覗いたら…わかってるですよねぇ?」翠星石はベジータを指差しながらジュン達に忠告する。 ジ「しないだろ。死にたくないからな。」笹「右に同じ」二人の答えを聞いて翠星石達は宿の露天風呂へと向かう。ジ「じゃあこのでかい荷物持っていくか?」笹「そうだな。」ジュン達はベジータを担いで部屋に行こうとする。ベ「何してるお前等?」気絶したと思っていたベジータは平然と起き上がる。ジ「ベジータ…嘘の気絶か?」ベ「フッ。油断させれば覗きやすいからな。」ベジータは満面の笑みでジュン達に親指を立てる。笹「あの一瞬でそこまで計算したのか…。まあがんばれよ。」ジ「じゃあ僕達は部屋に戻ってるからさ。」ジュン達はベジータを置いて部屋に戻ろうとする。ベ「おっと待て待てお前たち。お前たちは行きたくないのか。」ジ「いや僕は行きたいというより生きたいというか…ってこら待て…」ジュンがいい終わる前にベジータはジュンをはがい絞めにしながら露天風呂の方に歩いていく。ベ「どうせ笹塚は逃げるからな。お前だけでもこいジュン」ジ「待て、本気で待て死にたくないぞ僕は…。笹塚助けろよ」ジュン達を見送りながら笹塚は部屋に戻っていく。ジ「白状者~」ジュンの叫びが聞こえるが笹塚は気にしない。 笹塚が部屋に戻って数分後、露天風呂の方から真紅達の悲鳴とジュンの断末魔の叫びが聞こえてくる。笹「死んだがジュン…」笹塚が独り言を呟いていると部屋の扉が勢い良く開く。笹「ベジータ…逃げてきたのか。」ベ「ああ。なんかよく見えなかったが命には代えられないからな。」ベジータは少し息を切らせながら部屋の真ん中に座り込む。笹「じゃあ始めからやるなよ。ジュンはどうなったんだ?」ベ「それじゃあ男が廃るぞ。ジュンは…死んだ。」ベジータは深刻な顔をしながら呟やく。笹「まあ叫び声が響き渡ったからそうだとは思ったけど…」ベ「逃げるのが遅れてな。今頃は袋叩きだろう。」いたって冷静にベジータは説明する。笹「白状な奴だな。それになんでそんな冷静なんだよ。」ベ「だってよぉ。あいつたぶんくっきりはっきり見てるんだぜぇ。袋叩きなんて代償のうちに入らない!」ベジータはさっきとかわり少し興奮気味で言いだす。笹「じゃあお前も行ってくれば?」ベ「いやなんか鬼がいたからさ。無理」二人がそんな話をしている時部屋の扉が勢い良く開きジュンが飛んでくる。 飛んできたジュンを受けとめたベジータは扉の方に目をやる。翠「そのちび人間は人の風呂を覗いたですぅ。そうなって当然ですぅ。」翠星石が風呂あがり独特の湯気を出しながら入ってくる。笹「まあ知ってるけど…。死んでないこれ?」真「人聞きが悪いわね。半殺しで止めておいたわ。まったく下僕の分際で主人のお風呂を覗くなんて万死に値するわ。」翠星石の後ろから真紅が髪をタオルで拭きながら入ってくる。ベ「あ~そうなのか。まあジュンは俺達が見てるよ。だ、だから部屋に戻っていたらどうだ?」ベジータはジュンを見た瞬間に自分の考えの甘さを悔やんだ。翠「いわれなくてももう部屋に帰るですぅ。飯は自分達で食べろですよ。」翠星石はそう言うと真紅と一緒に部屋を出る。ベ「ボッコボコだな。」笹「ボッコボコだね。」ベジータと笹塚はジュンを布団に寝かせる。笹「ちなみに鬼って?」ベ「あの二人だ。」笹「やっぱり…」笹塚達はとりあえずジュンに向かって手を合わせる。その後一命を取り留めたジュンと食事をしながら状況を聞く。二人はジュンの説明に途中から食べる気力を失た。
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