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第36話「今まで~之から」」(2006/06/04 (日) 19:21:04) の最新版変更点

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<p>家に帰ってみると、家の中では何も変化は無かった。<br> しかし、ジュンの周りを囲む空気だけは、何故か妙に重々しく迂闊な質問をさせない。<br> ジュンは、例の8人(雪華綺晶以外)皆を呼び出し、今までの事を話し始めた。</p> <br> <p> J「・・・最初っから単刀直入に言おう、俺はホムンクルスだ。」</p> <br> <p> ざわめきが広がる、今日のこの調子だ、嘘を言ってるわけではないため、対応に困ったのだろう。<br> 雪華綺晶は、この事を勿論知っている。</p> <br> <p> J「俺は、今までそして之からも、二度と作られる事は無い産物だと。」<br> J「俺は、入隊して直ぐ特殊な実験体として、保管された。」<br> J「何でも俺の体は特殊だったらしい、神は俺の何処が憎いんだろうな?」</p> <br> <p>その時、誰かが生唾を飲む音がした。</p> <br> <p> J「その後、様々な薬物投与、改造、筋肉の圧縮・・・様々な事をされた。」<br> J「悲惨だ・・・あの時はそう思えた、しかし日が進むに連れてそういった感情も消え失せて行った。」<br> J「狂わなかったのは、俺の体の特別な作用で俺が受ける、精神的ダメージすら削っていたらしい。」<br> J「その時は、俺と同じような人が数人居た、どいつもこいつも大抵は死んでいった。」<br> J「哀れな事に、そいつ等の中には人身売買で、よこされた奴もいたらしい。」<br> J「6ヶ月だ・・・6ヶ月の実験の末、今の俺(ホムンクルス)ができた。」<br> J「暫くは体が変化し続けて、自分でも中々使いこなせなかった。」<br> J「何もかもが厭になって、その後あそこで暴れる気にもなれなかった。」<br> J「実験が終わる日まで、いろんな人が遊びに来てくれた。」<br> J「どの人も良い奴ばかりだった、国に帰れば家族も居る奴も居た。」<br> J「結局、残ったのは俺だけだった、後にも先にも俺だけ、他の数人は中途半端な身体で逃げていった。」<br> J「その後は、軍の特殊中位として任務に付いた。」<br> J「そして今に至る。」<br> J「あんな馬鹿げた事は、人がするべき行為ではない、あれ以来俺のような、ホムンクルスを作るのは中止になった。」</p> <br> <p> 皆が黙りこくる、普通の人だと思っていたジュンが(確かに身体能力は異常だが)。<br> ホムンクルス(人造人間)だった事に、聞いていた8人は驚いた。</p> <br> <p> J「暫くしてここに来て、それ以降俺は人には出来ない事が、出来るようになってしまったのが判った。」<br> J「200キロの弾が、止まって見えて。」<br> J「トラックの衝突が昔感じた、子供のパンチ位しか効かなく。」<br> J「鋼鉄を豆腐の様にバラバラにし、硬球は握るとBB弾ぐらいのサイズに。」<br> J「その力は実に、巨大すぎた・・・いつの間にか俺の人格は、それを非常事態と認識し。」<br> J「自分の中に様々な人格を生成し、その各人格にその力を隠し、俺は自分の力も隠す事にした。」<br> J「いつか、今日のような日が来るまで、何日も・・・何ヶ月も・・・」<br> J「決して、この引き継いではいけない、ストーリーを揉み消すために。」</p> <br> <p>其処まで言うと、ジュンは立ち上がった。</p> <br> <p>J「・・・質問は?」</p> <br> <p> 素っ気無い一言だった、しかし其れは余りに疲れて聞こえてしまった。<br> とても、余りに寂しい話だった。</p> <br> <p> J「・・・無いのか・・・それでは、講習会を終わる。」</p> <br> <p> それだけ言うと、ジュンは自分の部屋に入っていった。<br> 余りに急な話だった、余りこういう話に耐性が無い雛苺と金糸雀は、ただただ呆然と立ち尽くしていた。</p> <br> <p> 雛「・・・ジュン、話している途中何か寂しそうだったの・・・」<br> 金「確かに、そうだったかしら・・・」</p> <br> <p> しかし皆何も言わない、言うにも言い出せない空気のまま、皆は解散した。<br> 各自は自分の部屋の戻り、自分に出来る事は無いかと探したが。<br> 生憎何も見つかる事は、出来なかった。<br> その中で、雛苺は感情が失せる事について考えていた。<br> ジュンが、感情が失せていくという言葉が、酷く印象に付いたのだろう。</p> <br> <p> 雛「感情が無いってことは・・・うにゅーとか食べても、美味しいとか思えないのかなぁ?」<br> 雛「それは・・・嫌だなぁ・・・ちょうちょさんを見ても、綺麗と思えないのかなぁ?」<br> 雛「どんなに友達が居ても、楽しくも無いのかなぁ?それは・・・哀しいなの・・・」</p> <br> <p> いつの間にか雛苺は寝ていた、見たのは何故か変な夢で。<br> ジュンが虚ろな目をして、ただ座っている夢だった。<br> 周りは皆楽しそうなのに、一人だけ虚ろな目をして、ただジッと座っていた。<br> その周りをちょうちょが舞っても、花が咲き乱れていても、眉一つ動かさない。<br> そしてジュンは何処からか湧いた手に、連れ去られてしまった。</p> <br> <p> ・・・目が覚める・・・最初に見たのは、白い天井・・・徐々に脳が覚醒する。<br> 起き上がって、最初に見たのは翠星石で。<br> 目が覚めて、一番最初に言われたのは、翠星石の大丈夫ですか?で。<br> 第二声が、とっとと用意をするですよ、だった。<br> じっくりと考えてみる、寝る前の記憶は無い。<br> 雛苺はどうやら、うなされていたようだ。</p> <br> <p>その頃のジュンはと言うと・・・</p> <br> <p>J「さぁ・・・覚悟と我慢の時間だ・・・」<br> ア「さっさと用意しろよ、あの姿のほうが早いな。」<br> J「・・・出来ればこういう理由で、使いたくなかった。」<br> ア「早くしろ、バレて移動手段がなくなるぞ?」</p> <br> <p>それもその筈、使えるのは家にある大型防弾車のみ。<br> おまけに、何処が安全なのか判らないため、迂闊な雪華綺晶のテレポートは出来ない。<br> おまけに何時から、こうなったのか判らないため、何時陸軍が来るのか判らない。<br> しかも生憎誰一人、陸海空軍のレーダーの番号を知る者も居ないため、陸軍との会話もまま成らない。<br> 相手もコレを読んでるであろうがため、追い討ちになるのは目に見えている。<br> まさに、地獄だ。</p> <br> <p> 翠「つまり、この家が見つかるのも時間の問題、とっとと出て安全な所に逃げてしまう、と言う事です。」<br> 雛「うゅ?それじゃあ、この家ともさよならなの?」<br> 翠「お馬鹿苺にしては、随分いい線をつきますね、判ったらとっとと家を出る用意をするです。」<br> 雛「雛は馬鹿じゃないもん!」<br> 翠「はいはい、さっさと用意するですよ?」<br> 雛「うぃー・・・」<br> 翠「さてと、私も用意をしないといかんです・・・」</p> <br> <p>そう言うと、翠星石はさっさと行ってしまった。<br> さっさと用意をする雛苺、持ってきたのが基本的に少なかったため、用意する量は他の人より無かったが。</p> <br> <p>雛「ふぅ・・・やっと終わったの・・・」</p> <br> <p> ふと何処からか甘い香りがする、匂いを辿っていくと・・・ジュンの部屋のようだ。<br> 最初は入る事に良心が咎めたが、余りある好奇心に勝てなくなったのか、入っていく。<br> 其処に居たのは、白いコートのようなよく判らない、丈夫そうな服を着て長い黒髪の人が居た。<br> 胸の膨らみから、女性である事が雛苺にも判った。(用途はよく知らないが。)<br> どうやら、匂いはこの人から出てるようだ。</p> <br> <p> 雛(うゅ・・・甘ーくて優しい、とても良い匂いなの・・・)<br> 雛「うゅ・・・おじゃましますなのー。」<br> ??「えーっと?・・・あれ?貴女はだぁれぇ?」<br> 雛「うゆ?雛は雛苺って言うのよ、あなたは?」<br> メ「私はメグ、姉崎メグ!雛苺ちゃんかぁ・・・良い名前ね、それじゃあ用事があるからじゃあねぇ?」</p> <br> <p> 少し雛苺を舐め回す様に見た後、もの欲しそうな顔をした後。<br> メグは、颯爽と廊下を駆けて行ってしまった。<br> 此処の先には男子トイレと、掃除用入れしかない。</p> <br> <p>雛「あ・・・誰だったんだろう?まぁいいか。」</p> <br> <p> その後をゆっくり追うように、雛苺は其処を出て行った。<br> メグの行った方に進んでいて、水銀燈に会った。</p> <br> <p>雛「うゆ?」<br> 銀「あらぁ、雛ちゃんじゃない、用意は出来たのぉ?」<br> 雛「うい!雛はもう用意は出来たのよ。」<br> 銀「良い子ねぇ。」<br> 雛「えへへー・・・あ!此処を黒くて長ーい髪の人は、通らなかった?」<br> 銀「うーん・・・生憎そういう人は、見てないわぁ、ごめんねぇ?雛ちゃん。」<br> 雛「うゆ?うーん・・・判ったの!それじゃあ、また後で会うの!」<br> 銀「はーい、また後でねぇ?」</p> <br> <p> そう言うと、雛は自分の部屋に戻り、荷物を持って広間に上がっていった。<br> 暫くすると、皆が上がってきたが、やはりメグの姿を見ることは無かった。</p> <br> <p>J「さて・・・後は、車に乗って行くだけだ。」<br> 翠「本当に、大丈夫なんですかぁ?こんなチビ人間と一緒なら、心配で心配で堪らんのです!」<br> J「なっ!お前の方が・・・まぁいいや、とっとと行くとしよう。」<br> 翠「・・・何か物足りんです・・・」<br> 薔(翠星石Mだ・・・)</p> <br> <p> そう言うと、全員は車の所に行き、荷物と乗せ整理すると全員は車に乗り込み、点検をすると出発した。</p>

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