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「~文化祭~」(2006/06/02 (金) 18:56:46) の最新版変更点
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<li>~文化祭~1</li>
</ul>
~文化祭~<br>
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「じゃあ、ウチのクラスはシンデレラでいいわね?」<br>
文化委員の真紅は配布されたプリントに書き込みながら言う。<br>
私立薔薇乙女学園。<br>
この学園では三ヵ月後に文化祭を控えている。<br>
真紅達、三年生は演劇をやることに決まっている。<br>
今、ちょうどその演目がシンデレラに決まったとこである。<br>
「配役も決めちゃうのだわ。一通り書くから待っててちょうだい」<br>
シンデレラ、王子、魔女、継母、姉…<br>
つらつらとお決まりの配役が並んでいく。<br>
「こんなものね。シンデレラ役は投票で決めればいいと思うのだわ」<br>
補助として真紅の隣に立っていた雛苺が小さい紙を配る。<br>
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「それに適役だと思う人の名前を書くのー」<br>
表面上穏やかに、翠星石は燃えていた。<br>
――シンデレラは翠星石がなるです!そして王子は蒼星石がなれば…!<br>
数分後、真紅がその紙を集め、開票する。<br>
『真紅:7票。翠星石:4票。雛苺:10票。水銀燈:19票』<br>
――4票だったですぅ…。<br>
「シンデレラ役は水銀燈で決まりなのー」<br>
クラス中で小さく拍手が起こった。<br>
――王子役は絶対、絶対、絶対に蒼星石がなっちゃうです…。はぁ…。<br>
「…私、辞退するわぁ…」<br>
突然、水銀燈が呟いた。<br>
<br>
「な、何でなのー?」<br>
雛苺が水銀燈に問う。<br>
「だってシンデレラって主役でしょぉ?やーよ、そんな大役」<br>
水銀燈は苦笑しながら続けた。<br>
「私は翠星石が適役だと思うわぁ、だって一応、掃除好きじゃなぁい?」<br>
「シンデレラと掃除は関係あるのー?」<br>
「あら、だって最初は掃除してるじゃなぁい?」<br>
「それは好きでやってるわけじゃ、むぐっ…!?」<br>
鋭い突っ込みをする真紅の口を両手で塞ぎ、水銀燈は翠星石に目配せをする。<br>
――す、水銀燈!<br>
「ね、みんなどう?」<br>
怪しく光る瞳ににらまれては誰も反論しない。<br>
「みんな、賛成みたいよぉ。決まりね?」<br>
みんなはただただ、固まっていた。<br>
<br>
この後も配役はすらすら決まり、主要人物は決まった。<br>
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王子:蒼星石<br>
魔女:雛苺<br>
継母:真紅<br>
姉二人:金糸雀&水銀燈<br>
ナレーター:薔薇水晶<br>
家来:雪花綺晶<br>
<br>
翠星石の目論みどおり、蒼星石の王子役は満場一致だった。<br>
他のクラスメイトは大道具や衣裳、脇役をかって出た。<br>
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「水銀燈!」<br>
部活が終わり帰ろうとしていた水銀燈を翠星石が呼び止めた。<br>
「なぁに?」<br>
「こ、コレ!部活で焼いたクッキーです!やるです!」<br>
可愛くラッピングされたクッキーを翠星石は手渡した。<br>
「べ、別に今日のコト、感謝してるわけじゃないですよ!ただ余ったから…」<br>
「ありがたく受け取るわぁ。頑張ってね、シ・ン・デ・レ・ラ」<br>
最後にコツン、と額を人差し指で突いた。<br>
「あ、当ったり前です!別に蒼星石が相手だから頑張るわけじゃないですよ!」<br>
「僕がなんだって?」<br>
<br>
ひょっこりと水銀燈の後ろから蒼星石は姿を表した。<br>
「ひゃあっ!蒼星石、いたですか!?」<br>
慌てて、翠星石は尋ねた。<br>
「部活おわったから来てみればいないんだもの。探したよ」<br>
「それはスマンです…さぁ!ちゃっちゃっと帰るです」<br>
待ってよ、と追い掛ける蒼星石も気にせず翠星石はズンズンと歩いていった。<br>
「水銀燈、帰るのだわ」<br>
「今行くわぁ」<br>
二人を笑顔で見送った水銀燈は真紅にそう答えた。<br>
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<br>
「さっき、水銀燈と何話してたの?」<br>
やっと普通のペースで歩き始めた翠星石に蒼星石は尋ねた。<br>
「べ、別に何でもないですぅ!蒼星石は気にするなですぅ!」<br>
納得はいかないながらもこういう姉の姿は見慣れているので、ふーん、とだけ蒼星石は呟いた。<br>
「そういえば、今日、水銀燈が言ったコトはビックリしたなぁ」<br>
ドキッ、と翠星石の心臓が跳ねた。<br>
「な、何がです?」<br>
「ほら、シンデレラの役は翠星石がいいって言ったろう?少し驚いた」<br>
なんとか動揺を隠して、翠星石は会話をしていた。<br>
――蒼星石はどう思ってるのでしょう…?<br>
「そ、そ、蒼星石は!」<br>
加速していく心臓を押さえ付けて翠星石は続けた。<br>
「どう思ってるです?」<br>
<br>
きょとん、と翠星石の顔を少し眺め蒼星石は視線を戻した。<br>
「うーん、そうだなぁ。翠星石は少し感情の起伏が激しいけど…」<br>
少し考えながら蒼星石は言い、<br>
「シンデレラ役、あってる思うよ!」<br>
と、満面の笑みで翠星石に言った。<br>
その発言に顔を真っ赤に染めたが、下を向いて顔を隠して、ありがとです、と呟いた。<br>
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<br>
ちなみに<br>
「この金糸雀が楽してズルして台本書くかしらー」<br>
と、絵本を見ながら言う金糸雀の姿があった。<br>