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おべんとう」(2006/02/28 (火) 19:02:44) の最新版変更点

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<p>おべんとう</p> <p>金糸雀はいるですかー?」<br> 「え?なにかしらー?」<br> 「ちょっとやめなってば翠星石!」<br> 「蒼星石は黙ってるです!」<br> 「?」<br> 「えー、こほんっ。実は明日、みんなで一緒に屋上でお弁当を食べるです」<br> 「(あぅ・・・また仲良し自慢かしらー・・・)」<br> 「それで、明日は金糸雀も一緒にいかがかと思って誘いに来たですぅ」<br> 「・・・え?え?カナも一緒に食べていいの?」<br> 「当然ですぅ。ねぇ蒼星石」<br> 「・・・」<br> 「そ、それじゃあ明日のお昼休み、空けとくですよ金糸雀」<br> 「うん!」<br> 「あ、それとみんな手作りだから、金糸雀も自分で作ってくるですよー」<br> 「わかったかしらー!ありがとうかしらー!」</p> <p>「みっちゃん、明日のお弁当は一緒に作る」<br> 「え!?どうしたのよカナ、雪でも降らせる気?やめてよね」<br> 「全然違うのかしら!」<br> 「冗談よ。で、明日何があるの?」<br> 「あのね、明日みんなで自作のお弁当を持ってきて一緒に食べようって、翠星石が誘ってくれたの」<br> 「あー、なるほど。翠星石って子は、お友達?」<br> 「えっと・・・うん、そうよ!まったくカナってばもてもてで困っちゃうのかしら」<br> 「そっかそっか、カナも友達出来たんだね」<br> 「な、何言ってるのよみっちゃん!カナほどの実力者なら、友達の100や200、簡単なのかしらー」<br> 「うん。カナは友達作るの苦手な性格だから、ちょっと心配してたんだ」<br> 「まぁ、オールOKなのかしらー!何にも心配ないのかしらー」<br> 「よし、それじゃあ、卵焼きいっぱい作ろうね!」<br> 「あ、みんなの分も作るのかしらー!」</p> <p> 「みんなお待たせかしらー!ちょっと先生に呼び出されてて・・・」<br> 「あ、金糸雀だー!」<br> 「あら、この子も呼んだの?」<br> 「そうなんですー。教室で蒼星石とこの話をしてたら、どうしても来たいってしつこかったんですぅ」<br> 「・・・」<br> 「え?あの・・・」<br> 「まぁいいじゃない。多いほうが楽しいわぁ」<br> 「・・・もぐもぐ」<br> 「あ、薔薇水晶!食べるのはいただきますしてからなのー!」<br> 「ふぅ、まぁどうでもいいわ。それじゃ、いただきましょ」<br> 「そうですいただきますですぅ!」<br> 「いただきますなのー!」<br> 「・・・い、いただきますかしらー」<br> 「はぁい、ヤクルト配布よぉ」<br> 「あら、気が利くじゃない水銀燈」<br> 「金糸雀もはぁい、これ」<br> 「え、でも、水銀燈の分・・・」<br> 「私は教室に行けば予備があるからいいわ」<br> 「うん、ありがと・・・カナが、いきなりきちゃったから・・・ごめんなさいかしら・・・」<br> 「あー!蒼星石のサラダおいしそうなのー!ヒナの練乳苺と交換しよーなのー!」<br> 「うん、みんなも食べて」<br> 「真紅・・・から揚げ・・・シウマイ・・・」<br> 「交換したいの?まぁいいわ、はい」<br> 「チビ苺!タコさんウインナやるから翠星石にも練乳苺をよこすです!」<br> 「あ、カナも卵焼きをたくさん作ってきたのよ。自信作かしらー!交換するかしら」<br> 「いらないわ。あなたの卵焼きは甘すぎるんですもの」<br> 「え、あ、そっか・・・真紅は甘いのあんまり食べないもんね。水銀燈は?」<br> 「私も甘いのはちょっとぉ・・・」<br> 「ヒナは苺があればいいのー!」<br> 「・・・シウマイこそ、人類の偉業・・・」<br> 「みんなひどいですぅ、翠星石はいただくですよ」<br> 「翠星石・・・」<br> 「ぱくっ、もぐもぐ・・・ふむふむ・・・ま!!ぺっぺっ!まっずいですぅ、人類の食べ物じゃないですぅ」<br> 「え、そんな・・・」<br> 「翠星石、そろそろやめときなってば」<br> 「こんなもので人のおかずと交換しようなんて、おこがましいにも程があるですぅ」<br> 「そんなはずないわ!みっちゃんとカナで一生懸命作ったのに・・・」<br> 「あーあ、金糸雀なんか呼ばなきゃよかったですぅ。口直しにから揚げ頂戴です真紅」<br> 「・・・うぐ・・・うぅ」<br> ダッ!<br> 「待って!金糸雀!」<br> 「な、何も泣くことないですぅ・・・これだからチビチビは・・・」</p> <p>タッタッタッタ・・・<br> 「金糸雀!待って!金糸雀!」<br> 「はぁ、はぁ・・・ぐすっ・・・はぁ・・・」<br> タッ・・・<br> 「はぁ、はぁ、ごめん、金糸雀・・・」<br> 「ふぅ・・・な、なんのことかしらー。カナは何にも気にしてないのかしら」<br> 「僕が、もっと早く翠星石を止めてれば・・・ごめん」<br> 「きっとホントに卵焼きがまずかったのよ。翠星石は悪くないかしら」<br> 「・・・」<br> 「あ、しまったかしら!?屋上にお弁当箱置いてきちゃったかしら!」<br> 「・・・あとで、夜にでも届けるよ、忘れ物として」<br> 「そうしてくれると助かるかしら。お弁当箱が無いと、みっちゃん変に思うから」<br> 「うん・・・」<br> 「まったくみっちゃんは心配性で、お弁当作るときも付きっきりで」<br> 「・・・」<br> 「お砂糖の分量とか・・・卵の巻き方とか教えてくれて・・・ぐすっ」<br> 「・・・ごめん」<br> 「一緒に・・・一生懸命・・・みんなに・・・うぅ、ぐすっ・・・うぅ」<br> 「ごめん・・・」</p> <p> 「泣いてたこと、みっちゃんには言わないでほしいかしら。心配、かけたくないから」</p> <p>ピンポーン<br> 「はーい、今出まーす」<br> がちゃ<br> 「はい・・・あら、薔薇学の・・・カナのお友達?」<br> 「はい。金糸雀がお弁当箱を教室に忘れてるの見つけて、届に来ました」<br> 「あらそうなの?わざわざありがとね。あなたが翠星石ちゃん?」<br> 「いえ、翠星石は姉のほうで、僕は蒼星石っていいます」<br> 「僕?あれ?女の子・・・よね?スカートだし」<br> 「ふふ、よく男っぽいって言われます」<br> 「美少年て感じよね。でも、よかった」<br> 「え?」<br> 「カナが、友達いっぱいって言ってたの、嘘じゃなくて」<br> 「・・・えぇ」<br> 「昨日は大はしゃぎだったのよ。今日の朝、お弁当作るときも」<br> 「・・・」<br> 「今日は帰ってきてすぐ寝ちゃったけど・・・学校で、何かあったりしないよね」<br> 「・・・えぇ、大丈夫です。金糸雀を嫌いな人なんていません。みんな、仲間ですから」</p> <p> 「(蒼星石がお弁当箱届に来てくれたのかしら・・・大丈夫だよね)」<br> 「(・・・あ、そういえば・・・あのお弁当箱・・・)」<br> 「(洗うときに中を見たら・・・卵焼きがいっぱい残ってるのを見たらみっちゃん・・・)」<br> 「みっちゃん・・・」<br> 「あらカナ、今蒼星石ちゃんが来てくれてたのに。ほら、お弁当箱届けてくれたのよ」<br> 「あの、みっちゃん・・・」<br> 「明日ちゃんとお礼言いなよ。じゃ、洗い物するよ。お料理したら洗い物までして一人前だからね」<br> 「あ、待ってみっちゃん!」<br> 「あら?カナ・・・全部食べるなんて、流石じゃない」<br> 「あい?あれ?どうなってるのかしらー?」<br> 「さ、明日もお弁当作るんでしょ。ちゃっちゃとやるわよ!」<br> 「サーイエッサーかしらー・・・?」</p> <p> 「はぁ、今日も大量に卵焼きを作ってきてしまったかしらー。・・・みっちゃんには心配かけられないものね」<br> 「ちょっと蒼星石!押すなです!」<br> 「いいから早く!」<br> 「う、えー、金糸雀!ちょっと来るです!」<br> 「あぅ、翠星石・・・き、昨日のことなら、全然気にしてないのかしら!」<br> 「うん、そのことで翠星石が謝りたいって、昨日泣きついてきてね」<br> 「泣きついてなどいないですぅ!・・・その、昨日は少々やりすぎたですぅ」<br> 「そんな、あれはカナの卵焼きが・・・」<br> 「バカ言うんじゃないこんちくしょうです!」<br> 「ビクッ!な?え?」<br> 「あの卵焼きは昨日帰ってから翠星石が全部いただいたですぅ。なかなかの美味でしたですぅ」<br> 「え、じゃあ・・・あれは翠星石が・・・」<br> 「それで今日は翠星石も真似して作ろうと思ったのですが・・・こんな黒こげになってしまったですぅ」<br> 「こ、これは食べたら、癌で即死かしらぁ・・・」<br> 「やっぱり金糸雀レベルの至高の卵焼きを作るには、達人の技が必要ですぅ」<br> 「ふふ、で、実は僕ら今日、この消し炭のような卵焼きしか食べるものが無いんだ」<br> 「そうなのです。つまるところ、今日も卵焼きをいっぱい作ってあるなら、食べてやらないこともないですぅ」<br> 「えっと、今日もカナおとっときの卵焼きは大量発生かしらー」<br> 「昨日のことは・・・許してくれるですか?」<br> 「・・・許すも何も、仲間のことを怒ってなんかいないのかしらー!」<br> 「金糸雀・・・な、仲間とか恥ずかしいこと言うんじゃないです!」<br> 「ふふ、じゃあ屋上へ急ごう!みんなが待ってる!」<br> 「かしらー!」</p> <p>「えっと、あの、今日も甘い卵焼きなんだけど」<br> 「昨日翠星石が全部卵焼きたべちゃったのー!ヒナも食べたかったのー!」<br> 「そうね、体育の後で疲れてるし、甘い卵焼きがちょうどいいのだわ」<br> 「はぁいヤクルト、今日はちゃんと全員分あるのよ」<br> 「卵焼き・・・シウマイ、あげるから・・・」<br> 「みんな・・・こうなったらみんなで交換し放題かしらー!翠星石も蒼星石も早く食べるのかしらー!」<br> 「まぁ、元気になってよかったですぅ」<br> 「なかなかの褒めっぷりだったよ。やればできるじゃない」<br> 「う、うるさいです!あれは、まぁ、仲間だから・・・」<br> 「あら、なかなかおいしいじゃない。明日からも作ってきてちょうだい」<br> 「もぐもぐ・・・美味・・・もぐもぐ」<br> 「あー!薔薇水晶!食べながら喋っちゃダメなのー!」<br> 「そんなにおいしいのぉ?私も頂こうかしら、どうしよう・・・」<br> 「水銀燈も食べるのー!水銀燈はやせてるから大丈夫なのー!」<br> 「ちょっと聞き捨てならないわね雛苺。水銀燈はってどういう意味なの」<br> 「ちょっと静かに食べれないですか!今卵焼きの秘術を聞き出すところです!」<br> 「あ、僕も聞いておこうかな。いや、むしろ今度一緒に作って教えてよ」<br> 「え・・・うん!任せるのかしらー!!」</p> <p> みっちゃん、カナは幸せよ。なんたって薔薇乙女一の頭脳派だもの。<br> それに、素敵な仲間がいるから。何も心配することなんてないのかしら・・・</p> <p>おしまい。</p>

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