「『チョコは行方不明』」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

『チョコは行方不明』」(2006/02/28 (火) 18:59:28) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<p>『チョコは行方不明』</p> <p> 年に一度の、バレンタイン。そわそわする男子。キャーキャー言う女子。<br> 登校拒否する人たち。まあ、色々な過ごし方をする人がいるだろう。<br> バレンタイン前日、金糸雀は一生懸命になって、チョコを作っていた。<br> 金「これで、男子のハートを射止めてみせるかしらぁ」<br> み「張り切ってるわねぇ。私も、手伝おうか?」<br> 先輩であるみっちゃんは、心配で見に来ていた。<br> 金「大丈夫、かしらぁ。一人で作らないと意味がないもん」<br> み「……チョコを作るカナも、プリチィーだわ!写真撮らなきゃ!」<br> 写真部であるみっちゃんは、金糸雀を撮るのが大好きだ。<br> 金「みっちゃん、カメラがうるさくて、集中できないかしらぁ…」<br> み「あと、十枚だけ!ね、お願い?」<br> 金「…しょうがないなぁ、かしらぁ……」<br> 普段の彼女なら、楽してズルしてが座右の銘だから、デパートで<br> 買ったチョコを手作りと言って、渡すのだが、今回は違った。<br> 金「(がんばって、自分の気持ちをチョコに込めるかしらぁ)」</p> <p> 金糸雀が渡す相手は、ジュンだった。ジュンはもてるから、敵は多い。<br> だからこそ、手作りにしないといけないのだ。<br> 一方その頃、別の場所では……。<br> 薔薇「……手作りなんて、馬鹿らしい」<br> そう言って、薔薇水晶はコンビニでチョコを買っていた。<br> 誰に渡すかは、あみだくじで決めるみたいだ。あまりやる気はない様子。</p> <p> バレンタイン前日の深夜、やっと完成したチョコを、包みに入れて<br> カバンに詰めた。これで、明日はばっちりだ。<br> 金「明日は、人生で一番のバレンタインにするかしらぁ…」<br> そう言いながら、彼女は眠りについていった。</p> <p> 一方、違う場所では、怪しい会議をしている男子達が…。<br> 水銀党員と、蒼星石ファンの連中だ。<br> 男1「明日は、バレンタインだ。気合入れていくぞ」<br> 男2「蒼星石は俺にチョコをくれるのかな……」<br> 男1「もらえるさ!銀様は…どうだろうか?」<br> 男2「水銀燈だって、お前にくれるさ!」<br> 男1「お前、いい奴だな」<br> 見事に、傷を舐めあいながら、馴れ合っていた。</p> <p> 薔薇水晶はというと、紙にあみだくじを書いていた。全校生徒分の1<br> の確率で、選ばれた幸運な男子は、オタククラスの生徒だった。<br> 薔薇「……まあ、良いか」<br> 薔薇水晶にとって、バレンタインなんてものは、ゲームだった。</p> <p> こうして、それぞれのバレンタイン前日が過ぎていった。</p> <p> 朝は見事に晴れていた。金糸雀は、張り切って制服に着替えて<br> 外に飛び出していった。手作りのチョコを早く渡したい。<br> 気持ちを早く伝えたい。その一身で、学校へ走っていく。<br> 金「早く行かなきゃかしらぁ!」</p> <p> 薔薇水晶はというと、ぼんやりしながら、カバンを空に向かって<br> 投げながら、登校していた。まるでボールを扱うように。<br> 薔薇「……オタククラスなんて、初めて行くなぁ」</p> <p> そんな二人が、曲がり角に差し掛かった時、事件は起きた。<br> 走っていた金糸雀と、ぼんやりしていた薔薇水晶が、ぶつかった。<br> お互いのカバンが、宙を舞った。<br> 金「いたたぁ…。気をつけて歩いて欲しいかしらぁ」<br> 薔薇「…それは、こっちのセリフだよ」<br> 金「うぅ…。ごめんかしらぁ。と、とにかく、急いでるから行くかしらぁ」<br> 薔薇「……うん」<br> 金「じゃあ、また学校で会いましょう、かしらぁ」<br> 金糸雀は、そのまま、また走り去っていった。<br> 薔薇「……何をそんなに急いでたんだろう?」</p> <p> この時、二人のカバンは入れ替わっていた。二人はまだ<br> そのとことに、気付いてはいない。</p> <p> 学校に到着すると、もうすでに、チョコを渡している人がたくさん。<br> 金糸雀は、呼吸を整えながら、席に着いた。みんなの様子を眺めてみる。<br> 翠「ジュン、私が愛を込めて作った義理チョコ、くれてやるですぅ」<br> ジュン「愛のある義理チョコって…なんだか微妙だなぁ」<br> 翠「なんですか!?私のチョコは受け取れねーんですか!?」<br> ジュン「いや、ありがたくもらっとくよ」<br> 翠「そ、そうですか。家宝にでもしろです!」<br> 翠星石は照れくさそうに、チョコを渡して席に戻っていった。</p> <p> 雛「とぅもえ~、雛もチョコが欲しいのぉ、食べたいのぉ」<br> 巴「…雛苺、バレンタインのこと、わかってる?」<br> 雛「チョコがいっぱい食べられる日なのぉ!」<br> 巴「やっぱり、わかってないや…」</p> <p> 金糸雀は、一通り教室の様子を眺めながら、自分のカバンを<br> ぎゅっと抱きかかえた。<br> 金「カナ、緊張しちゃダメかしら。翠星石には負けないかしら」<br> 真「あら、金糸雀もチョコを誰かに渡すのかしら?」<br> 金「え!?ま、まあ、そうかしら。真紅は渡さないのかしら?」<br> 真「私はこういうの、興味ないのだわ」<br> 金「そう…かしら。(ライバルが一人、減ったかしらぁ!)」</p> <p> 真紅が席に戻っていき、また自分のカバンを抱きしめる。そこで、違和感<br> を感じた。カバンに、アッガイのキーホルダーがついていた。<br> まさかと思い、カバンの中を確認すると……。<br> 金「これ、カナのじゃないかしらぁああああああああ!!」</p> <p> まずいことになってしまった。薔薇水晶とぶつかった時、カバンを<br> 間違えたんだ。<br> ジュン「どうしたんだ?大声なんか出して」<br> 金「な、なんでもないかしらぁ!ほっといて欲しいかしらぁ!」<br> ジュン「?そうか、じゃあ良いんだけど」<br> 金「まずいかしらぁ…。薔薇水晶は朝マックしてから来るから、その後<br> になってしまうかしらぁ…。いや、その前にカバンをなんとかしないとかしら」</p> <p> 金糸雀が焦っている頃、別の場所では、幸せな空気が充満していた。<br> 蒼「僕のチョコ、翠星石の作ったあまり物だよ?それでも良いの?」<br> 男2「良いんです!蒼星石の手からもらえれば、それは君のチョコだから!」<br> 蒼「よくわかんないけど、はい。僕からの義理チョコだよ」<br> 男2「よっしゃああああああああああああ!キタコレ!キタコレ!」<br> 蒼「そんなに嬉しそうにされると、僕も嬉しいよ」</p> <p>男1「ちくしょう!やはり水銀党員の俺には……」<br> その時、男1の足元に、チョコが飛んできた。<br> 男1「こ、これは?」<br> 水「勘違いしないでねぇ、ただの義理チョコだからぁ」<br> 男1「く、くれるんですか!?」<br> 水「そうよぉ。ありがたく、受け取ってちょうだぁい」<br> 男1「はい!ありがたくもらいます!」<br> 水「あっ、手で拾っちゃダ~メ!口で拾いなさぁい♪」<br> 脇役キャラのみんなにも、春が来たようだ…。</p> <p> 薔薇水晶は、もうすでに学校に到着していた。まっすぐその足で<br> オタククラスに向かっている。金糸雀はというと、必死で探していた。<br> 金「薔薇水晶、どこに行ったのかしらぁ…。早く見つけないと…」<br> ガラガラ、とオタククラスのドアが開いた。<br> 薔薇「頼もう!……オタク1はいるか?」<br> オ1「え!?ぼ、ぼ、僕ですが何か御用でしょうか?」<br> 薔薇「……チョコレートは好きなりか?」<br> オ1「あ、甘いものは大好きですけど…。まさか…」<br> 薔薇「……目を閉じて、お口を開けてみて。チョコ、入れてあげる」<br> オタク1は、素直に口を開けた。薔薇水晶は、金糸雀の手作りチョコを<br> 口に入れようとする。気づいてないみたいだ。その時、教室のドアが開いた。<br> 金「ちょっと待ったあああああああ!かしらぁ!」<br> 光の速さで、薔薇水晶を捕まえて、オタククラスから去っていった。<br> オ1「……まられすか?」</p> <p>金「はぁ…はぁ…やっと見つけたかしらぁ」<br> 薔薇「……どうかしたの?今、良いところだったのに」<br> 金「薔薇水晶、それは私のカバンかしらぁ…。返して欲しいかしらぁ」<br> 薔薇「……ほんとだ。あの時、取り違えたんだね」<br> 二人は、お互いのカバンを元通りに、返しあった。ここまで来るのに<br> どれだけ、時間を食っただろうか。<br> 金「……これでやっと、ジュンに渡せるかしらぁ……」<br> 薔薇「……まあ…グッドラック」<br> 金糸雀は、急いでジュンの元へと走っていった。時間はもう昼休み。<br> ジュンは屋上にいた。</p> <p> ジュンは、屋上でぼんやりと空を眺めていた。金糸雀は、勇気を出して<br> ジュンに話しかけた。スカートの後ろに、チョコを隠し持って。<br> 金「ジュ、ジュン…」<br> ジュン「おう、金糸雀か…。どうしたんだ?」<br> 金「…あのね、渡したいものが…」<br> そう言いかけて、ジュンの足元にある大きな袋を見てしまう。<br> 中には、チョコがいっぱいあった。<br> 金「……チョコ、いっぱいもらったんだね…」<br> ジュン「ああ、これ全部、義理チョコだよ。真紅も翠星石も、他の女子も」<br> 金「そ、そうなんだ…かしらぁ(真紅、やっぱり渡してたんだ…)」<br> 金糸雀は、なんだか居心地が悪くなり、その場から去ろうとした。<br> 金「じゃあ、また教室で…かしらぁ」</p> <p> ジュン「金糸雀、その後ろで持ってるのって、チョコレート?」<br> 金「…え!?あの、その、そうかしらぁ……」<br> ジュン「……よかったらさ、僕にくれないかな?」<br> 金「え?でも、ジュンはチョコいっぱいもらってるから、いらないかしら?」<br> ジュン「本命のチョコは、まだ一つも、もらってないよ?」<br> 金「ば、馬鹿なこと言わないで欲しいかしらぁ。本命なんて一言も…」<br> ジュン「本命じゃないの?」<br> 金「……うぅ…本命かしらぁ…」<br> ジュン「じゃあ、僕にくれないかな?他の男に食わせたくないからさ」<br> 金「…恥ずかしいかしらぁ…。じゃあ、受け取ってください…かしらぁ」<br> ジュン「喜んで!」<br> …完。</p>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: