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娘よ」(2009/12/28 (月) 22:59:47) の最新版変更点

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<p>前略 薔薇水晶へ<br /><br /> 元気でやっているかい?<br /> お前がいなくなってから随分な日がたったね。<br /> 毎朝起きると、お前の姿が無くて少しだけ寂しくなるよ。<br /><br /> 桜田くん……いや、ジュンくんとはうまくやれているか?<br /> 困ったことがあれば、いつでも相談してくれ。<br /><br /> ……勘の良いお前のことだ、今日こんな手紙を送ったのは、他に何か訳があると気づいているだろう。<br /><br /><br /> 笑わないでくれ……実は、父さんには今好きな人がいる。<br /><br /> しかもその人は、お前と同じくらいの年齢の人なんだ。<br /> 先週、六本木という街のある店で、偶然にも……いや、運命だろう、出会ったんだ。<br /><br /> ……薔薇水晶、むろん父さんはお前を愛している。<br /> もちろん、ジュンくんも今となってはかけがえの無い息子だ。<br /><br /> だけど、六本木のその人は、すごい美人なのに……誰よりも、父さんに優しくしてくれるんだ。<br /> 口下手な父さんがする、どんなつまらない話でも笑顔で聞いてくれるんだ。<br /> 帰ろうとすると必ず袖をつかんで<br /> 「あと1時間いいじゃなぁい?」って言ってくれるんだ。<br /><br /> いいか薔薇水晶……父さんは、恥ずかしくなんかない。父さんは目が覚めたんだ。<br /> やっと愛というものが何か気づいた気がするんだ。<br /> 父さんは……私は、これから本当の人生を生きようと思うんだ。……彼女と共に、ね。ははは、少し気が早いかな。<br /><br /> ……長くなったけど、この辺りにしておこう。ジュンくんに、よろしく言っておいてくれ。  ○月×日 槐<br /><br /><br /> 前略 薔薇水晶へ<br /><br /> 元気でやっているかい?<br /> ……実は父さんは、あまり元気ではないんだ。<br /><br /> お前の言うとおりだった。<br /> 先日の手紙に書いた人……あの人は、ひどい女だった。<br /> 父さんのお金だけが目当てだったんだ。<br /><br /> 父さんが、ちょっとだけ、ちょっとだけ二人の愛を確かめようとしたら、<br /> 「カン違いしないでよねぇ。オジサン」だなんて言われたんだ。<br /><br /> 今思うと、なぜ娘であるお前よりも、あの女を信じたのかわからない。<br /> すまない、薔薇水晶。ふがいない父さんを許してくれ。<br /><br /><br /> ……でも薔薇水晶、父さんはもっと優しい人に出会ったんだ。<br /> 疲れた体をもみほぐしてもらおうと思って入った、<br /> 歌舞伎町という街の、S……マッサージ店で、偶然にも……いや、運命だろう、出会ったんだ。<br /><br /> 語尾に「です」という言葉をつける癖のある、とても上品で素敵な女王s……いや、女性なんだ。<br /><br /> 狭い部屋で60分しか会えないけど、父さんの悪いところを次々と口にして指摘してくれるんだ。<br /> 特製の鞭でマッサージもしてくれる。そして、父さんを……天国へと導いてくれたんだ。<br /><br /> いいか薔薇水晶……父さんは、恥ずかしくなんかない。父さんは目が覚めたんだ。いや、性的な意味でなく。<br /> やっと愛というものが何か気づいた気がするんだ。<br /> 父さんは……私は、これから本当の人生を生きようと思うんだ。彼女と共に、ね。……ははは、少し気が早いかな。<br /><br /> ……長くなったけど、この辺りにしておこう。ジュンくんに、よろしく言っておいてくれ。  △月□日 槐<br /><br /><br /> 前略 薔薇水晶へ<br /><br /> 父さんは駄目な男だ。<br /> お前の言うとおり……実は、あの人もひどい女だった。<br /><br /> 父さんのことを愛していると信じきっていたのに、<br /> その店に行ったとある友人が、父さんに自慢してきたんだ。<br /> 彼女は、誰にでも同じことをしていたんだ。<br /><br /> ……今思うと、なぜ娘であるお前を信じられなかったのかわからない。<br /> ふがいない父さんを許してくれ、薔薇水晶。<br /><br /><br /> ……優しいお前のことだ、この手紙を読んで、きっと私の身を案じてくれていることだろう。<br /> でも、平気だ。父さんは、傷つくのには慣れている。<br /><br /> それに、人はダマされるより、ダマす方が辛いものだ。<br /> きっと今頃彼女たちも自分の過ちを悔んで、<br /> 父さんのことを思って苦しんでいるはずだ。<br /><br /> いいか、薔薇水晶、父さんは大丈夫だ。<br /> 傷つくことなど、とっくに慣れているんだ。<br /> 多少、紙の端にシミができてしまったが、ただの汗だ。男は目から汗を流すものなんだ。<br /><br /> いつもどおりの、お前の父さんなんだ。<br /><br /> ……今日はこの辺りにしておこう。ジュンくんに、よろしく言っておいてくれ。 ×月△日 槐</p>

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