「Merry Christmas, Mr.Vegita-After Yellow Comes Purple- Phase3.」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら
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<p>夢ってのは体が寝ている状態で、脳みそがギンギンな時に見るもんらしい。昔どっかで聞いたな。<br />
ギンギンってのもなんだかやらしい表現だが、わかりやすいからよしとしておこう。だから変態呼ばわりされるのか、俺は。<br />
さて、なんで夢の話になってるかってーと・・・今俺は恐らく夢ん中にいるからだろう。昔懐かしい学生服着てるあたりがなんとも言えないのだが。<br /><br />
で、ここはどこだ？夢の中のどこなんだ？<br /><br />
－おやおや、夢も現も迷子になられたようで御座いますね。困ったものです。<br />
どこからか、執事の様な渋い声が聞こえる。あくまでイメージだが。<br />
「誰だ？」<br />
－誰？と申されましても困ります。私には、名前などございませんので。強いて言いますと、道化のようなものでしょうか？<br />
「んで？そのピエロ野郎が俺に何の用だ？あ？それに困ってんのはこっちでお前に迷惑かけた謂れは全くないんだ。<br />
－夢は、ご自身を映す鏡のようなもの。私が出てくるのに理由などありませぬ。<br />
－私は、存在でも意識でも空間でもない、飽くまで"ご自身"なのです。<br /><br />
何をわけのわからんことを言ってるんだこいつは？まったくもって意味がわからん。わかりたくもないがな。<br />
「いい加減にしないとギャリック砲をぶち込むぞ？そろそろ姿を現したらどうだ？」<br /><br />
－申し上げたはずです。私はあなた"ご自身"だと。姿かたちなどは、現実世界で必要なものであってこの世界では通用しないのです。<br />
「じゃあ何故"俺自身"とやらがお前と会話してるんだ？それにな、何でいまさら高３の時の制服を俺が来ているんだ？」<br />
－その理由は、貴方が一番ご存知かと思いますが。困りました。もう少し自分と向き合う時間をとられてはいかがでしょうか？<br />
「言っていることの意味がさっぱりわからん。ストレスで額の面積が広がるのは避けたい。お前も"俺自身"ならわかるだろう？」<br />
－現実での姿など、仮初のもの。ですがこれ以上進行が進むのも確かに考え物です。<br />
「なら質問に答えろ。"俺自身"のことなら俺が望むように答えるはずだ。違うか？」<br />
－やれやれ・・・困りました。よろしいでしょう。お答えできる範囲でお答えします。<br />
「何故俺は高校の制服を着ている？」<br /><br />
あれ？何で俺はこんなしょうもないことから聞いたんだ？<br /><br />
－一つの起点、すべての始まりです。思い出すことは多々あるはずですが。<br /><br />
思い出すこと？何だそりゃ？高校時代の思い出なら卒アル見たら済む話じゃねーのか？まぁいい。<br />
「それから、何故お前は今俺と話をしているんだ？」<br />
－鏡をごらんになられたことは御有りだと存じますが、如何でしょう。<br />
なんのこっちゃさっぱり分からん。質問の返答にすらなってない。もうわからん、訳がわからん。<br /><br />
「もう意味が分からん。鬱陶しい。ギャリック砲ぶち込んでやるから今すぐ面出せ。」<br />
－おっと、そろそろ時間が来たようです。ではまたどこかでお会いしましょう。<br /><br />
俺は、二度と会いたくないんだがな。全く変な夢を見たもんだ。天気の良さに反比例して、目覚めは最悪。<br /><br />
「ふぅ・・・」<br />
これほどけだるい朝も珍しい。こんな朝はちゃんとした朝飯とコーヒーが飲みたいもんだ・・・。<br />
そう言えば２、３年前はでこの広いちっこいのが朝飯作ってくれてたように思う。<br /><br />
ﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝ・・・<br />
そうそうこんな感じでリズムのいい包丁の音が聞こえ・・・って。あ？<br />
寝ぼけ眼を擦るとどっかで見た後姿がいた。幻か何かか？<br />
「・・・金糸雀か？」<br />
んなわけないのに、思わず口にしてしまったその名前。あーあ、もう勘弁してくれ。俺はまだ夢ん中か？<br />
だがよく見ると・・・-と言うかよく見なくても金糸雀なわけはないんだが-昨日俺に文字通り一杯食わせた女がいる。<br />
薔薇水晶、お前はホントに・・・何を考えてんだ。<br /><br />
「・・・何やってんだおまえ？てかどうやって入ったんだ？そもそも何で俺の家にいるんだ？てか何で俺の家知ってるんだ？」<br />
聞きたいことと言うか尋問すべきことは山ほどあるが、先に聞いておくべき事柄だけはまとめておくべきだろう。<br /><br />
「・・・細かいことはいいでしょ、この際。朝ごはんできたよ？」<br />
「よくNEEEEE!!」<br />
「早く食べよ？冷めちゃうよ？」<br />
「お、おう・・・って人の話を聞けぇぇぇえ！」<br />
ひとつ忘れてたことがある--こいつは話の通じる奴じゃあなかった。以前俺を出し抜いてくれたこともあったなぁ・・・高校んときか。<br /><br />
「いただきまーす♪」<br />
「い、いただきます。」<br />
もうアレだ、考えたり気にしたら負けなんだ。そうなんだ。と、言うかほかの選択肢はあえて考える気もなかったのだが。<br />
まぁ、豪勢な朝飯に免じて何も突っ込まないようにしておこう。そういや、いつかジュンが言っていたな。<br />
－アイスクリームにピザ、とにかく色々巻き上げられた、と。<br />
それを考えるとまだ巻き上げられたわけでも・・・昨日巻き上げられてるなそう言えば。<br />
ってことはまだ序章に過ぎないってか？御免だぜ！<br /><br />
「よくわかってるねｗ給料日いつー？」<br />
「お前なぁ・・・勘弁してくれよ。今月ちょっとしんどいんでな。」<br />
「ケチー。こんなにおいしい朝ごはん作ってあげてるのにー。むぅー。」<br />
確かに美味い。クロワッサンにミックスオムレツ、何だか知らんがやたら豪勢だ。まるで一流ホテルの朝食・・・言い過ぎか。<br />
最近まともな朝飯食ってないから、ありがたいことに変わりはないからいい。<br /><br />
「で？何で俺の家にいるんだ？」<br />
朝食もひと段落して薔薇水晶が入れてくれたコーヒーを啜りながら尋問タイムに入る。<br />
「最近料理の腕揮うところなかったんだよねー。それに今日暇だったしー。」<br />
「昨日と今日でえらいキャラの違いだな。暇だからって人ん家に不法侵入もいただけんのだが。」<br />
「いいじゃん。仕様だよ。それに、最近まともな朝ごはん食べてなかったんでしょ？」<br />
反論できない。まぁコイツがどこの馬の骨とも分からんやつで危害を加えられる恐れのあるモンなら始末していたところだが・・・。<br />
そう言うわけにもいかん。なんせコイツはよぉぉぉく知ってる人間だからな。しかし俺も本気で焼きが回ってきたもんだ。<br />
コイツの侵入を許し、挙句台所を勝手に使われたわけだ。あの変な夢のせいで訳が分からんことになってる。<br /><br />
「夢・・・見たんだね。」<br />
「あぁ・・・変な夢だったぜ。ってなんで知ってるんだ！？」<br />
「言わなかったっけ？私人の心が」<br />
「わかった、もういい。確かに見た。胸糞悪い夢だったぜ。」<br />
「ねぇ・・・ウサギは？出てこなかったの？」<br />
「ウサギ？なんだそりゃ？意味が分からん。」<br />
「じゃあこんなこと言ってなかった？道化がどうとか・・・。」 <br /><br />
俺は思わずコーヒーを薔薇水晶の顔にぶちまけそうになった。無理もない、何故か知らんがこいつはおれの夢ん中まで見れるらしい。そろそろ本気でどうにかなりそうだ。<br />
「・・・お前いったい何者なんだ？」<br />
「薔薇水晶、ばらしぃーちゃんだよ？」<br />
「そんなかわいく言われてもな、お前本当に人間なのか？」<br />
「可愛いだなんて・・・照れちゃう（はぁと。」<br />
「・・・はぁ。」<br />
思わずため息の一つでもつきたくなる。日本語が通じないのかこいつは。誰か助けてくれマジで。ジュンに助けでも求めようか？あいつなら来てくれそうな気がする。<br />
「ジュンなら今日おねーちゃんとどっか行ったよ？それに、ため息はついちゃダメ・・・幸せ逃げちゃうよ？」<br />
もう逃げてる。俺の平穏な日々はどこか遠くに消え去っていったんだろうか？まるでホームランボールのように。<br />
まぁ・・・朝飯が付いてくるなら悪くない気もするが・・・って駄目だ駄目だ！何乗せられてんだ俺は！<br />
俺は誇り高きサイヤ人の戦士ではなかったのか！？どうした俺！？何を現をぬかしてるんだ！<br />
「はい、ストップすとっぷー。コーヒーのお代わり入れるからカップ貸して？イライラは禿の進行を加速させるよ？」<br />
誰の所為だよ・・・全く。こいつには勝てそうにないな。<br />
「薔薇水晶」<br />
「何ー？」<br />
「カフェオレで頼む。胃に優しいもんが飲みたい。」<br />
「わかったー。」<br />
姉がコーヒー屋ということもあり、コイツのコーヒーは妙に美味い。喫茶店で出てくるもんと大差ないと言ってもいい。<br />
ますますカフェイン中毒になりそうだが・・・。まぁ、いいだろう。<br /><br />
「はい、おまたせー。ミルク入れといたよー。」<br />
「ありがとよ。ところで今日お前暇か？」<br />
「うーん・・・まぁ夕方まで暇かな？バイト6時からだし。」<br />
「今何やってんだ？」<br />
「おねーちゃんが働いてたとこ－。湖のそばの店だよ？」<br />
「あぁ・・・ジュンが一時期引き籠ってたとこか。どうしてアイツはどっかに引きこもりたがるんだろうな？」<br />
「そんな風に言っちゃダメだよ？」<br />
「冗談だよ、冗談。今のはフランス語だ。」<br />
「欧米か！」<br />
「古いな・・・おい。」 <br /><br />
「・・・ダメ？あ、何で予定聞いてきたの？」<br />
「ちょっと付き合ってくれ。行きたいところがある。」<br />
「？・・・いいけど、いきなりホテルはやだよ？」<br />
「ちょｗｗ何言ってんだお前ｗｗｗアホかｗｗ」<br /><br />
こいつはどうしても俺を吹かせたいらしい。危うくコーヒーが鼻ん中に入るとこだった。<br /><br />
天気もいいし、気温もそこまで低くなさそうだ。<br />
久しぶりに・・・気分転換のつもりで行ってみるか。<br /><br />
「で、どこ行くの？」<br />
「行けばわかる。その恰好じゃ寒いだろうから一回家に行って暖かい恰好して来い。」<br />
「・・・？うん、わかった。」<br /><br />
薔薇水晶を一旦家に帰らせ、俺は後片付けにいそしんだ。<br />
ある程度はやってくれていたので特になにをするってわけでもなかったのだけれども。<br /><br />
「さてと・・・お目覚めの時間だぜ？」<br />
必要なものは用意した。後はこいつが言うことを聞いてくれるかどうか・・・。<br />
「寒いからって、ひねくれんじゃねーぞ。」<br />
そう言って、火を入れると意外とすんなり目覚めてくれた。流石、世界を制しただけのことはある。<br /><br />
さて、行きますか。<br />
俺は薔薇水晶を拾いに、足を進めた。<br /><br />
Phase3 Fin.</p>
