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「素直になりたい」(2009/04/03 (金) 20:39:42) の最新版変更点
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…はぁ…またやっちまったです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">今日、私はまたジュンと喧嘩をしてしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
いつもは次の日くらいに仲直りするが、今回はそういう訳にはいかなさそうだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「どうして…こうも素直になれないんでしょうか…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
ジュンと話すといつも素直になれない。そして、喧嘩になってしまう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「はぁ…もう嫌です…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんな素直じゃない自分が嫌になる。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">本心は、ジュンとたくさん話がしたいだけなのに…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「明日…ちゃんと謝るです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そう言って私は、日の沈みかけた帰路をトボトボと歩いていった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ただいまです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が家に帰ってきた時には、もう双子の妹、蒼星石が夕飯の準備をしていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「あ、おかえり翠星石！…どうかしたの？元気ないみたいだけど…またジュン君と喧嘩したの？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">その言葉に、私は小さく頷いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「はいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「まったく…明日ちゃんと謝るんだよ？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「分かってるです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そう言って、私はリビングのソファに膝を抱えて座り込んだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">テレビを見るわけでもなく、顔をうずめて少し泣いていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そして、明日どうやって謝ろうかと考えていると夕飯が完成していた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「じゃあ食べようか、いただきます」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「いただきますですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「もう、元気だしなよ翠星石。明日謝ればいいことじゃないか」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「それはそうですけど…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんな会話をしつつ、夕飯を食べ終わった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「翠星石、お皿はボクが洗っとくからいいよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「えっ…でも、準備も片付けも蒼星石にやらせる訳には…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「いいからいいから、今日くらいゆっくり休みなよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あ…ありがとです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石に感謝をし、今日はゆっくりと休むことにした。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
でも、ゆっくり休もうと思うと今日のことを思い出してしまう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「一体、どうしたら許してもらえるのでしょうか？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんなことをポツリと呟き今日は早めに寝た。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして次の日の朝、私は目を覚ました。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石は朝の部活で先に行っている。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
リビングへ行くと、テーブルの上にラップがしてある朝食があった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私はそれを食べ、学校へ向かう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">いつもはジュンと二人だが、今日は一人。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は一人でトボトボと学校へ行った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
学校へ着き、自分の席に座っているとジュンが登校してきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">でも、私と目が合うと、ジュンはそっぽを向いてしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">うぅ…やっぱりジュンは怒ってる…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">でも、早く謝らなければ…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
しかし、なかなか謝るタイミングが無く、昼休みも私は一人でしょんぼりと弁当を食べていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">ついに放課後になってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私はさっさと先に帰ろうとするジュンを呼び止めた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ジュン！！…その…ちょっと待ってほしいです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…なんだよ、何か用か？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">いかにもジュンは不機嫌そうに返してきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">でも…言わなければ…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…ええと…その…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">がんばれ、そのまま素直に謝るんだ私！</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「お…お前はどうしようもないやつなのです！だから…特別に仲直りしてやるです！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
あぁ…またやってしまった。素直になれなかった。本当に嫌になる。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">恐る恐るジュンの顔を見る。すると…怒りに震えていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…言いたい事はそれだけか？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ひっ…！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「僕は別にお前なんかと仲直りなんかしたくない！お前と一緒にいたくもない！それじゃあな！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そう言ってジュンは教室から出て行ってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">教室には私一人だけとなってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「どうして…どうして私は素直になれないですかぁ！！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は素直になれない自分を恨めしく思った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ひっく…グスッ…翠星石は…どうしたらいいですかぁ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そして一人で泣き続けた。涙でぐしゃぐしゃの顔を両手で押さえながら。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は家に帰ることにした。しかし、今日も私は一人だった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">夕焼けが痛いくらい体に染みる。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は昨日よりも寂しく家に帰った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">家に着くと、また蒼星石が先に帰ってきていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は”ただいま”も言わずリビングのソファで泣いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「うぅ…ひっく…どうして…どうして…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「その調子だと、上手くいかなかったみたいだね…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…ひっく…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は蒼星石に話しかけられてもそのまま膝を抱えて泣いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">暫くしてから私は口を開いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「…ひっく…翠星石は…グスッ…どうしたらいいですか？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…素直に自分の気持ちを伝えればいいんじゃない？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
その言葉に、私は今まで溜め込んできた自分への不満を放った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「そんなの分かってるです！！…それでも…グスッ…できなかったじゃないですかぁ…ひっく…翠星石はダメなやつなんです…自分の気持ちも素直に伝えられないんです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
分かっていることだが、やはり言葉に出すと余計に涙が出てきてしまう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は両手で顔を押さえたが、涙は零れていく。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「…そんなに一度に素直になろうとしなくてもいいよ、翠星石…。ちょっとずつ…ちょっとずつ…ね？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…はいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は本当にいい妹を持っていたと思う。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私のことを人一倍思ってくれている。それにとても優しい。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして、私たちは夕食を食べ、今日も早めに寝た。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">次の日の朝、</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が起きてリビングへ行くと、蒼星石がいた。今日は朝部活はないようだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あ、おはよう翠星石」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「おはようです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
まだ眠いが、朝食を食べ、支度をして、今日は二人で学校へ向かった。本当は三人がいいのだが…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">しかし、やはり登校中はジュンとは会わなかった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…やっぱり…いねぇですか…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「そんなに急がなくても…一日は長いんだし、学校でもう一度謝ればいいよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「そうですね、でも今日のうちにはしっかりと謝りたいです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんな会話をしているうちに学校へ着いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">暫くすると、ジュンも登校してきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ジュ…ジュン…えっと…あの…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私がジュンに話しかけようとしたら、私から逃げるようにどこかへ行ってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あっ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">また泣きそうになる。でも、ここはグッと堪えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…蒼星石ぃ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が泣きそうな目で蒼星石を見ると、コクリと頷いてジュンの方へ歩いていった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">数分が経つと、蒼星石が戻ってきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「翠星石、今日の放課後、教室に残ってくれるって。それと、ボクも一緒に残るよ。何かと心配だからね…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あ…ありがとです、蒼星石ぃ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして放課後、教室には三人だけとなった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…ところで、話って何だ？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">今日もやはり不機嫌そう…でも、言わなきゃ…素直に…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「えっと…その…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">後ろにいる蒼星石から”がんばって！”と聞こえてきそう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">勇気を振り絞って、素直に言うんだ！</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「その…こ…この前はごめんなさいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「えっ！？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「えっと…この前喧嘩しちゃったから…昨日謝ろうと…グスッ…思ったんですけど…グスッ…素直に言えなくて…うぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
思い出すと、また涙が零れてくる。伝えなきゃいけないのに…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「翠星石…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「グスッ…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が泣いてしまって何も言えなくなっていると、蒼星石がフォローしてくれた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「翠星石はね、この前から帰ってきたらずっと泣いてたんだ。いつもみたいな元気も無いし…よっぽどショックだったみたいだよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は泣きながら、一番言いたいことを伝えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「…グスッ…この前は…翠星石が悪かったです…グスッ…ごめんなさいですぅ…グスッ…お願いですから…また、前みたいに…皆で話が…グスッ…したいですぅ…許してほしいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私は泣いていて途切れ途切れになりながらも、必死で素直に自分の思いを伝えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">暫く間が空き、ジュンが沈黙を破った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…お前がここまで素直に言うってことは本気なんだな…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…グスッ…えっ？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「僕もちょっとカッとなっちゃったしな…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…グスッ…じゃ…じゃあ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あぁ…また前みたいに、楽しく、一緒に話したりしよう」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「うっ…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁ！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は今まで以上に泣きながら、ジュンに飛びついた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「うぅ…ごめんなさいですぅ…そしてありがとですぅ…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「僕のほうこそ、ゴメンな…冷たくあたって…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そう言ってジュンは優しく私の背中を撫でてくれた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石も優しく私たちを見つめていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして帰り道で、前のように三人で楽しく話していた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「じゃあ、明日からまた、朝にお前の家に迎えにいくからな」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「はいですぅ♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私はすっかり泣き止んで、元気よく言った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ふふっ…すっかり元気になって…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石が私を見てそう言った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「べ…別にいいじゃないですか！嬉しいんですから！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「あれ？いつもだったら”何いってるですか！”とか”お前には関係ないです！”とか言うのに…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">ジュンが私にそう言ってきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「い…いや、だって…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「だって…何だ？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
だって、素直なほうが…ジュンと一緒にいられるから！…何て言えない…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">これはまだ言わなくてもいい…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「まだこれはいうべきじゃないです！･･･まぁ時がきたら言うですよ♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「何だ？今日はいつもと違って素直だな…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「そんなの別にいいじゃないですかぁ♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">ジュンと…一緒にいられるのならば…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「じゃあ、また明日な！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「またあしたです～！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「またね、ジュン君！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そして自分たちの家に入り、いつものようにリビングのソファに座る。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「よかったね、翠星石！仲直りできて！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ありがとです！蒼星石のおかげです！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「い…いや、ボクは何も…それにしても、今日はどうしたの？機嫌いいけど…仲直りできたから？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「だから、そんなの別にいいじゃないですか♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「本当にどうしたんだろう？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">明日からはもっと素直になろう</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
伝えたいことを伝えようもっと…ジュンと一緒にいたいから…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
<p>私がさっき言わなかった言葉を言うときは、意外とすぐに来た…</p>
<p>そして、それからの私は二人のときだけは素直になれるようになった…</p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
<p> FIN</p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…はぁ…またやっちまったです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">今日、私はまたジュンと喧嘩をしてしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
いつもは次の日くらいに仲直りするが、今回はそういう訳にはいかなさそうだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「どうして…こうも素直になれないんでしょうか…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
ジュンと話すといつも素直になれない。そして、喧嘩になってしまう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「はぁ…もう嫌です…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんな素直じゃない自分が嫌になる。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">本心は、ジュンとたくさん話がしたいだけなのに…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「明日…ちゃんと謝るです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そう言って私は、日の沈みかけた帰路をトボトボと歩いていった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ただいまです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が家に帰ってきた時には、もう双子の妹、蒼星石が夕飯の準備をしていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「あ、おかえり翠星石！…どうかしたの？元気ないみたいだけど…またジュン君と喧嘩したの？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">その言葉に、私は小さく頷いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「はいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「まったく…明日ちゃんと謝るんだよ？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「分かってるです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そう言って、私はリビングのソファに膝を抱えて座り込んだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">テレビを見るわけでもなく、顔をうずめて少し泣いていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そして、明日どうやって謝ろうかと考えていると夕飯が完成していた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「じゃあ食べようか、いただきます」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「いただきますですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「もう、元気だしなよ翠星石。明日謝ればいいことじゃないか」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「それはそうですけど…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんな会話をしつつ、夕飯を食べ終わった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「翠星石、お皿はボクが洗っとくからいいよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「えっ…でも、準備も片付けも蒼星石にやらせる訳には…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「いいからいいから、今日くらいゆっくり休みなよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あ…ありがとです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石に感謝をし、今日はゆっくりと休むことにした。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
でも、ゆっくり休もうと思うと今日のことを思い出してしまう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「一体、どうしたら許してもらえるのでしょうか？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんなことをポツリと呟き今日は早めに寝た。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして次の日の朝、私は目を覚ました。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石は朝の部活で先に行っている。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
リビングへ行くと、テーブルの上にラップがしてある朝食があった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私はそれを食べ、学校へ向かう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">いつもはジュンと二人だが、今日は一人。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は一人でトボトボと学校へ行った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
学校へ着き、自分の席に座っているとジュンが登校してきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">でも、私と目が合うと、ジュンはそっぽを向いてしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">うぅ…やっぱりジュンは怒ってる…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">でも、早く謝らなければ…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
しかし、なかなか謝るタイミングが無く、昼休みも私は一人でしょんぼりと弁当を食べていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">ついに放課後になってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私はさっさと先に帰ろうとするジュンを呼び止めた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ジュン！！…その…ちょっと待ってほしいです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…なんだよ、何か用か？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">いかにもジュンは不機嫌そうに返してきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">でも…言わなければ…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…ええと…その…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">がんばれ、そのまま素直に謝るんだ私！</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「お…お前はどうしようもないやつなのです！だから…特別に仲直りしてやるです！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
あぁ…またやってしまった。素直になれなかった。本当に嫌になる。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">恐る恐るジュンの顔を見る。すると…怒りに震えていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…言いたい事はそれだけか？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ひっ…！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「僕は別にお前なんかと仲直りなんかしたくない！お前と一緒にいたくもない！それじゃあな！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そう言ってジュンは教室から出て行ってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">教室には私一人だけとなってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「どうして…どうして私は素直になれないですかぁ！！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は素直になれない自分を恨めしく思った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ひっく…グスッ…翠星石は…どうしたらいいですかぁ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そして一人で泣き続けた。涙でぐしゃぐしゃの顔を両手で押さえながら。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は家に帰ることにした。しかし、今日も私は一人だった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">夕焼けが痛いくらい体に染みる。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は昨日よりも寂しく家に帰った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">家に着くと、また蒼星石が先に帰ってきていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は”ただいま”も言わずリビングのソファで泣いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「うぅ…ひっく…どうして…どうして…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「その調子だと、上手くいかなかったみたいだね…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…ひっく…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は蒼星石に話しかけられてもそのまま膝を抱えて泣いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">暫くしてから私は口を開いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「…ひっく…翠星石は…グスッ…どうしたらいいですか？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…素直に自分の気持ちを伝えればいいんじゃない？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
その言葉に、私は今まで溜め込んできた自分への不満を放った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「そんなの分かってるです！！…それでも…グスッ…できなかったじゃないですかぁ…ひっく…翠星石はダメなやつなんです…自分の気持ちも素直に伝えられないんです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
分かっていることだが、やはり言葉に出すと余計に涙が出てきてしまう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は両手で顔を押さえたが、涙は零れていく。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「…そんなに一度に素直になろうとしなくてもいいよ、翠星石…。ちょっとずつ…ちょっとずつ…ね？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…はいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は本当にいい妹を持っていたと思う。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私のことを人一倍思ってくれている。それにとても優しい。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして、私たちは夕食を食べ、今日も早めに寝た。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">次の日の朝、</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が起きてリビングへ行くと、蒼星石がいた。今日は朝部活はないようだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あ、おはよう翠星石」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「おはようです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
まだ眠いが、朝食を食べ、支度をして、今日は二人で学校へ向かった。本当は三人がいいのだが…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">しかし、やはり登校中はジュンとは会わなかった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…やっぱり…いねぇですか…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「そんなに急がなくても…一日は長いんだし、学校でもう一度謝ればいいよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「そうですね、でも今日のうちにはしっかりと謝りたいです…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そんな会話をしているうちに学校へ着いた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">暫くすると、ジュンも登校してきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ジュ…ジュン…えっと…あの…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私がジュンに話しかけようとしたら、私から逃げるようにどこかへ行ってしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あっ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">また泣きそうになる。でも、ここはグッと堪えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…蒼星石ぃ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が泣きそうな目で蒼星石を見ると、コクリと頷いてジュンの方へ歩いていった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">数分が経つと、蒼星石が戻ってきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「翠星石、今日の放課後、教室に残ってくれるって。それと、ボクも一緒に残るよ。何かと心配だからね…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あ…ありがとです、蒼星石ぃ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして放課後、教室には三人だけとなった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…ところで、話って何だ？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">今日もやはり不機嫌そう…でも、言わなきゃ…素直に…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「えっと…その…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">後ろにいる蒼星石から”がんばって！”と聞こえてきそう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">勇気を振り絞って、素直に言うんだ！</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「その…こ…この前はごめんなさいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「えっ！？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「えっと…この前喧嘩しちゃったから…昨日謝ろうと…グスッ…思ったんですけど…グスッ…素直に言えなくて…うぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
思い出すと、また涙が零れてくる。伝えなきゃいけないのに…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「翠星石…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「グスッ…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私が泣いてしまって何も言えなくなっていると、蒼星石がフォローしてくれた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「翠星石はね、この前から帰ってきたらずっと泣いてたんだ。いつもみたいな元気も無いし…よっぽどショックだったみたいだよ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は泣きながら、一番言いたいことを伝えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「…グスッ…この前は…翠星石が悪かったです…グスッ…ごめんなさいですぅ…グスッ…お願いですから…また、前みたいに…皆で話が…グスッ…したいですぅ…許してほしいですぅ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
私は泣いていて途切れ途切れになりながらも、必死で素直に自分の思いを伝えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">暫く間が空き、ジュンが沈黙を破った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…お前がここまで素直に言うってことは本気なんだな…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…グスッ…えっ？…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「僕もちょっとカッとなっちゃったしな…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「…グスッ…じゃ…じゃあ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「あぁ…また前みたいに、楽しく、一緒に話したりしよう」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「うっ…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁ！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私は今まで以上に泣きながら、ジュンに飛びついた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「うぅ…ごめんなさいですぅ…そしてありがとですぅ…グスッ…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「僕のほうこそ、ゴメンな…冷たくあたって…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そう言ってジュンは優しく私の背中を撫でてくれた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石も優しく私たちを見つめていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">そして帰り道で、前のように三人で楽しく話していた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「じゃあ、明日からまた、朝にお前の家に迎えにいくからな」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「はいですぅ♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">私はすっかり泣き止んで、元気よく言った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ふふっ…すっかり元気になって…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">蒼星石が私を見てそう言った。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「べ…別にいいじゃないですか！嬉しいんですから！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「あれ？いつもだったら”何いってるですか！”とか”お前には関係ないです！”とか言うのに…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">ジュンが私にそう言ってきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「い…いや、だって…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「だって…何だ？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
だって、素直なほうが…ジュンと一緒にいられるから！…何て言えない…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">これはまだ言わなくてもいい…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「まだこれはいうべきじゃないです！･･･まぁ時がきたら言うですよ♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「何だ？今日はいつもと違って素直だな…」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「そんなの別にいいじゃないですかぁ♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">ジュンと…一緒にいられるのならば…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「じゃあ、また明日な！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「また明日です～！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「またね、ジュン君！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
そして自分たちの家に入り、いつものようにリビングのソファに座る。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「よかったね、翠星石！仲直りできて！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「ありがとです！蒼星石のおかげです！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
「い…いや、ボクは何も…それにしても、今日はどうしたの？機嫌いいけど…仲直りできたから？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「だから、そんなの別にいいじゃないですか♪」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">「本当にどうしたんだろう？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">明日からはもっと素直になろう</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
伝えたいことを伝えようもっと…ジュンと一緒にいたいから…</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
<p>私がさっき言わなかった言葉を言うときは、意外とすぐに来た…</p>
<p>そして、それからの私は二人のときだけは素直になれるようになった…</p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="left">
<p> FIN</p>
</div>
