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ずっと傍らに…激闘編 第二十二章~翠星石side~」(2008/06/08 (日) 01:09:06) の最新版変更点

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──チュンチュン、チュンチュン… 翠「…ふぁぁ…」 朝を迎えました。 ジュンの部屋に朝の光が差し込んできています。 ジ「Zzz…」 …ジュンの奴ぅ~…。 あのあと、変なタイミングで寝返ったから、 思いっきり舌を噛んじまったじゃねぇですかっ! 翠「…」 ちょっとほっぺに…ってしてやろうと思っただけですのに…。 翠「…」 それに、昨日転んだところもまたズキズキ痛むです…。 ジュンの家のお風呂で膝が浴槽のお湯に入らないようにするのも苦労しましたし、 しかも…こういうタイプの擦り傷って…まぁこれは小さい方だと思うんですが、 痕が残るんですよね…。 …最悪ですぅ。 蒼「…ん…んぁ…もうそんな時間?」 翠「とっとと家に帰るですよ」 ~~~~~ 家に帰って、さっさとシャワーを浴びました。 寝てる間、ひたすらに暑かったですからね…。 あぁ…膝にしみるです…。 それから今日の学校の準備をして、 巴と合流して、 ジュンの家に寄らずに学校に到着…。 今日も朝からCの奴がAやBと共に例の写真を見せびらかしてやがるです。 最初の「裁縫ヲタク」がどうとかってのは、もう遥か彼方ですか…。 ABCたちはジュンを苛めることが出来るなら何でもいいって感じです。 C「な?やっぱあいつ変態だろ?」 A「社会不適合者なんだよ」 B「引き篭もってる時点で既にそうだろwwwww」 ──ふつふつと怒りが湧き上がってくるのですが、 学校なんかで顔面を殴ったら、おあいこですからね。きっと。 私も校長室送りになったら、間抜けにも程があるですぅ… しかし、そろそろトドメを差すですよ。 梅岡が何もアクションを起こさないのなら、 こっちから攻めに出るしかないみたいですからね。 …とは言えど、梅岡と私が直接接触するのも何かイヤな感じですし、 出来れば第三者を介してサプライズを起こしてやりたいと思うのですが… …う~ん。 ~~~~~ ──というわけで、昼休みにクラスの委員長を教室からつまみ出して、 協力要請したです。 委「──ひぃぃ!何だよ…急に引っ張ってきて…」 翠「今日のHRでイジメについてひとつ言わせてくれです」 委「…あ、桜田のこと?」 翠「当たりめぇです!」 委「…ひぃ!」 翠「こぉら!ビビリすぎです!おめぇはジュン以下ですかっ!」 委「君の声が大きすぎなんだよ!」 翠「…はっ!」 おっとっと…声のボリューム下げないと、あいつらにバレるかもです…。 廊下で…誰もこっちを見てないですね? ──じゃああとは…教室にいるABCにさえ聞かれてなければ…。 翠「…お前は翠星石の言うように動けばいいんです!   ABCの奴らに何を問われようと、何も答えるなですよ!   秘密裏に事を運ぶです」 委「わ、わかったよ」 翠「それでこそ委員長です。   あ、心配ですから、HRまでお前の行動を監視させてもらうです」 委「ええ?」 翠「大丈夫です。ABCが接触してくるかどうかだけに注目しますから。   あと、翠星石の方は絶対見てはダメです」 委「…何が大丈夫なのかさっぱり──」 翠「黙れですこのポンコツが!」 委「ひっ!」 ふっふっふ~。 委員長を押さえたです。 些か手荒だったことは許せです── ~~~~~ 委員長を解放して、教室に戻り、 ちゃっかりABCと委員長をチラチラと確認できる範囲に席をとって、 教室で昼食タイムです。 …。 …。 …ごちそうさまです♪ U「お前、今日は食うスピード速いな」 T「そこまで早いと身体に悪いぞ」 翠「いや、明日はちゃんと普通に食べますから心配いらんです」 …。 …。 e「ねぇねぇ、さっきから何ジロジロ向こうの方を見てるの?」 翠「今日は監視強化デーです」 k「はぁ?」 翠「あ、教室を出て行ったです」 U「…誰を見てんだ?…あw」 S「あはぁ…お前、ジュンはどうした?w」 ~~~~~ ──とまぁ、暇そうにしてたSとUを無理やり護衛にして、 委員長をこっそり監視し続けたです。 翠「…」 U「何かストーカーみたいだなw」 ギュウウウウウ… U「痛っ痛い!顔つねるなよ!」 翠「シッ!」 委員長が職員室に入っていったです。 委員長が提案という形で梅岡に伝われば、 今日のHRは緊急討論でほぼ決まりですね。 …上手くやってくれてることを祈るです…。 S「…」 ~~~~~ 5時間目が終わった後の休み時間。 翠「…」 頬杖つきながら、横目でしっかり確認するです。 委員長は絡まれる気配がありませんね。 ふふふ。 S「だいたい、委員長が言わないとHRの議題にされないってのが問題なんだよ」 後ろからSがこっそりと囁いてきました。 思わず振り返ったです。 翠「…なっ…何で…」 S「何がやりたいか、よく分かったよ」 翠「…そうですか」 まぁ…この奇襲はABC陣営に対してですから、 別にこっち陣営に秘密にしててもしょーがないんですよね…。 S「俺たちが背後にいるんだから、肩の力を抜いて自由に発言しろ」 翠「…あ…ありがとうです」 ~~~~~ ──6時間目のHRが始まったです。 梅「はい、突然ですが、今日は話し合いをしようと思います」 ……よっしゃ!です。 梅「実はこの連休が終わってから先生はずっとこれをするつもりでいました。   それで今日は委員長からも提案を受けて、ちょうどHRもあるので、   今日、この機会を設けることにしました。では委員長、前へ」 委員長はゆっくり立ち上がり、教卓の方へ向かいました。 委「え~、今日話し合おうと思ったことについてですが、   この件に関しては僕よりも詳しい人がいます…」 委員長がアイコンタクトを掛けてきたです… 出番ですか。 S「…」 おめぇら、何かあればフォロー頼むですよ? 委「お願いします」 起立、ですね。 翠「あの」 立ち上がった瞬間、クラスじゅうの注目が一気に集まったです。 そして急激にざわつき始めました。 翠「…」 でもここで頑張らないと…。 翠「…あの…みんなに聞きたいことがあるんですが…」 ──くっ…。 翠「ジュンが…」 やはっ…! ジュン…じゃなくて── B「ジュン~?」 A「あれぇ~?」 クラスじゅうがさらにざわつき始めたです。 こんな時に限って…くぅぅ。 梅「はいはい静かに」 梅岡の一声でようやく静まるクラスの生徒たち。 小学生の頃を思い出したんですが、 授業中に五月蝿い時の先生の気持ちがちぃと分かった気がしたです…。 翠「桜田君が…今ちょっと不登校気味なんですが…」 ──突き刺さる視線。 睨みつけるように見てくる奴までいるです。 …くたばれです。 翠「…あいつの…どこが気に入らないのか教えてくれです!」 この教室のABC寄りの空気に心からムカついたので、 思い切って核心にスパッと切り込んでやったです。 思惑通り、向こうサイドの人間の間でどよめきが起きて混乱し始めたです。 そんな中でもABCがニヤニヤしてるのがホント気に入らねぇですが… 翠「…」 ──しかし待てども待てども誰も何も言ってこねぇです…。 相変わらず睨みつけてくる野郎は岩のごとく何も言わねぇですし… 何か…涙ぐんできました…。 文句あるのなら何か言いやがれです! …でもこんな場面で泣いたら泣いたで話し合いが進みませんし、 「ワザとだろ!」とか、イヤな方向に捉えられたくないですし… ここでグッとこらえて頑張るしかないんですか── 翠「あの…反応がないので、引き篭もりの原因について触れてやるです」 ふぅーっ…。 落ち着け…落ち着くです…翠星石…。 翠「あいつは…お裁縫が得意だということで冷やかされたんです」 …落ち着くどころか…怒りがこみ上げてくるです…。 翠「1人から罵られるだけなら、まだマシだったかもしれないのですが、   どうやら多数の人間から罵られて引き篭もったそうです」 C「うるせぇなぁ。だから何だって言うんだよ。   あいつは引き篭もりになる要素を持ってたってだけだろ?」 A「だって女々しいし」 B「男のくせに裁縫やってるって、何か暗いしw」 …ブチッ 翠「人と違う趣味を持つことの、どこが悪いんですかっ!!」 …潰す。 B「あぁ悪いよ。あいつの趣味は最悪だよ」 C「ロリコンだし…てか、喧嘩売ってる?」 A「なんなら、やるか?」 ──目の前が真っ白になりました…。 翠「上等です!かかってきやがれです!!」 委「ちょっと待って!」 k「落ち着け!」 S「早まるな!」 梅「コラ!やめなさい!」 ───!! ~~~~~ 何とか6時間目のHRが終わり、 SHRが終わって、校長室の隣の狭苦しい会議室に呼ばれたです。 翠星石だけが…。 ABCの奴らは梅岡が呼び止める前にさっさと帰宅しやがったです。 それにしても…ただでさえ狭いこの空間。 カーテンは締め切られて薄暗く、 外からは野球部のアップの掛け声が聞こえるです。 …ガラガラガラ 梅岡が入ってきました。 一対一での対話。 邪魔の入らないこの方が翠星石には好都合です。 ABCなんかと一緒だと、たまらんですからね…。 梅「──さすがに机を投げ飛ばそうとしたのは良くないな」 翠「…」 ──実はその時のこと、ハッキリとは覚えてないんです…。 梅「中学生ってのはカッとなる人が急に増えだす年齢にあたるもんだからねぇ」 翠「…」 そうですね…。 それは本当の事だと実感したところです…。 梅「気持ちは判らなくはない。でも、あれで怪我させたら、   また別の問題を解決しなければならなくなったかもしれない──」 翠「…」 梅「まぁ、怪我人が出なくて何よりだったけどね…」 翠「すみません…でした」 ただただ反省しきりです…。 こちら側の人にも迷惑を掛けたかもしれないことを。 …ABCの肩を持つ奴らには何とも思ってないですねぇ。 あんなこと言われ続けて理性を保つなんて無理だと思うんです。 でも怪我をさせたらさせたで、イヤに五月蝿く言うんでしょうからね。 あいつらは…。 梅「それで…さっきの時間の話のことについてだけど、   それについては一応君のお母さんから話は聞いてるんだ」 翠「はい…」 梅「それでもちょっと放っておけないと思ったから、   ここに呼んだんだけど、時間の方は──」 翠「あっ…全然大丈夫ですから、とにかく話させてほしいです。   ジュン…あ、いや、桜田君がイジメられてる現状を…」 梅「へぇ…」 …なっ…何ですか? 梅「…桜田君とは仲がいいんだね」 にこやかに聞いてくる梅岡── 翠「…あっ…あの…」 …何でこんな時に心臓がバクバクしてくるんですか…! 翠「え~…お…幼馴染なんです。幼稚園の頃からの…」 梅「そうなんだ」 翠「家も近いんです。だから家族同士でも関係が深いんです…」 梅「それはあなたのお母さんからも聞いたよ」 翠「…そうですか」 …へぇ。 お母様はそこまで話してたんですか。 梅「それで、桜田君はどうして学校に来なくなったかっていうのは?」 翠「ジュンが不登校に…」 ひっ…やぁっ… また言っちまったです… 梅「はは」 笑うなです…! 梅「気にしなくていいよ」 翠「…えっ」 梅「ホントに仲いいんだね。別にここは教室じゃないし、大丈夫だから」 翠「…」 梅「自然体で話してくれていいよ──」 そ…そうですか。 そういうことに寛容だという点には感謝するです…。 翠「…ジュンが来なくなったのは、明らかにABCの3人のせいです。   あいつが昼休みにお裁縫が好きだってだけで…   ただそれだけの理由で冷やかされてイヤミ言われて…」 梅「…」 翠「さらにそれをみんなにそれを広めて、みんな悪乗りしたんですよ。   一斉にジュンを叩いたんです」 梅「…ほう」 翠「それから、ジュンは──」 梅「…」 …。 翠「──あいつらのカバンにジュンを盗撮した写真があるです!   …私の妹たちの相手をしてやってる画像なんですけど…」 梅「う~ん…」 翠「それを見せびらかして、ロリコンだのなんだのって五月蝿いんですよ!」 梅「…」 翠「そうやってまたイジメに掛かってるです!」 梅「…」 翠「だから…イジメに関わった奴全員を校長室に呼びつけて   徹底的に問い詰めて、反省文書かせて土下座させて、   最悪、そいつらの強制転校も考えてほしいんです!」 梅「…」 どうしても涙声になってしまうです…。 翠「お願いです!ジュンは追い詰められてるんですよ?」 梅「…」 でもここで必死に言わないと…梅岡に事の深刻さが100%伝わらないかもしれないです。 声が裏返っても…せめて…言葉が途切れ途切れにならないように頑張らないと…。 翠「こないだ窓から飛び降りようとしたんですよ!」 梅「…えぇ!?」 翠「とんでもなくあっさりしてましたよ。あいつは。   窓枠に足をかけたところで私の姉に取り押さえられましたけど…」 梅「…」 目を見開く梅岡。 翠「そうです。   ジュンは自殺でないって言い張ってますが、   そうでなければ窓枠に足を掛けるようなことなんてしないじゃないですか!   軽々しくそんなことが出来るってことは、   あいつ自身、既にきっと相当なほどに追い詰められてるんですよ!!」 梅「…」 梅岡は頭を抱えました…。 翠「…」 梅「何てことを…」 翠「だから、一刻も早くジュンが安心できる環境にして欲しいんです!!」 ~~~~~ ──ふーっ。 午後からの全力投球はさすがに身体にこたえたですぅ…。 それにジュンのいびきが五月蝿くて、途中まで眠れませんでしたし…。 今日は…独りで帰ったらまた取り囲まれるんでしょうね…。 さっきのHRで溜まったであろう理不尽な私怨か何かで── 剣道部が終わるのもサッカー部が終わるのも、おそらく7時くらいでしょうし…。 あと2時間強…。 お母様に車で迎えに来てもらえるのも、夕方6時前くらいになってから…。 う~ん。 あ、園芸部は今日やってるんでしたっけ? 部活の連絡黒板ではどうなってるんでしょう…。 …あ、今日、ありますね。 この時間からだと作業も殆ど無いですし、 身体も何とかもちそうです…。 それでもって、今日は蒼星石や巴たちとも帰れそうです。 そん時に車で迎えに来てもらうですかね。 今日ジュンの家に行くのはやめとくです…。 それからは…今日はさっさと寝るです──
──チュンチュン、チュンチュン… 翠「…ふぁぁ…」 朝を迎えました。 ジュンの部屋に朝の光が差し込んできています。 ジ「Zzz…」 …ジュンの奴ぅ~…。 あのあと、変なタイミングで寝返ったから、 思いっきり舌を噛んじまったじゃねぇですかっ! 翠「…」 ちょっとほっぺに…ってしてやろうと思っただけですのに…。 翠「…」 それに、昨日転んだところもまたズキズキ痛むです…。 ジュンの家のお風呂で膝が浴槽のお湯に入らないようにするのも苦労しましたし、 しかも…こういうタイプの擦り傷って…まぁこれは小さい方だと思うんですが、 痕が残るんですよね…。 …最悪ですぅ。 蒼「…ん…んぁ…もうそんな時間?」 翠「とっとと家に帰るですよ」 ~~~~~ 家に帰って、さっさとシャワーを浴びました。 寝てる間、ひたすらに暑かったですからね…。 あぁ…膝にしみるです…。 それから今日の学校の準備をして、 巴と合流して、 ジュンの家に寄らずに学校に到着…。 今日も朝からCの奴がAやBと共に例の写真を見せびらかしてやがるです。 最初の「裁縫ヲタク」がどうとかってのは、もう遥か彼方ですか…。 ABCたちはジュンを苛めることが出来るなら何でもいいって感じです。 C「な?やっぱあいつ変態だろ?」 A「社会不適合者なんだよ」 B「引き篭もってる時点で既にそうだろwwwww」 ──ふつふつと怒りが湧き上がってくるのですが、 学校なんかで顔面を殴ったら、おあいこですからね。きっと。 私も校長室送りになったら、間抜けにも程があるですぅ… しかし、そろそろトドメを差すですよ。 梅岡が何もアクションを起こさないのなら、 こっちから攻めに出るしかないみたいですからね。 …とは言えど、梅岡と私が直接接触するのも何かイヤな感じですし、 出来れば第三者を介してサプライズを起こしてやりたいと思うのですが… …う~ん。 ~~~~~ ──というわけで、昼休みにクラスの委員長を教室からつまみ出して、 協力要請したです。 委「──ひぃぃ!何だよ…急に引っ張ってきて…」 翠「今日のHRでイジメについてひとつ言わせてくれです」 委「…あ、桜田のこと?」 翠「当たりめぇです!」 委「…ひぃ!」 翠「こぉら!ビビリすぎです!おめぇはジュン以下ですかっ!」 委「君の声が大きすぎなんだよ!」 翠「…はっ!」 おっとっと…声のボリューム下げないと、あいつらにバレるかもです…。 廊下で…誰もこっちを見てないですね? ──じゃああとは…教室にいるABCにさえ聞かれてなければ…。 翠「…お前は翠星石の言うように動けばいいんです!   ABCの奴らに何を問われようと、何も答えるなですよ!   秘密裏に事を運ぶです」 委「わ、わかったよ」 翠「それでこそ委員長です。   あ、心配ですから、HRまでお前の行動を監視させてもらうです」 委「ええ?」 翠「大丈夫です。ABCが接触してくるかどうかだけに注目しますから。   あと、翠星石の方は絶対見てはダメです」 委「…何が大丈夫なのかさっぱり──」 翠「黙れですこのポンコツが!」 委「ひっ!」 ふっふっふ~。 委員長を押さえたです。 些か手荒だったことは許せです── ~~~~~ 委員長を解放して、教室に戻り、 ちゃっかりABCと委員長をチラチラと確認できる範囲に席をとって、 教室で昼食タイムです。 …。 …。 …ごちそうさまです♪ U「お前、今日は食うスピード速いな」 T「そこまで早いと身体に悪いぞ」 翠「いや、明日はちゃんと普通に食べますから心配いらんです」 …。 …。 e「ねぇねぇ、さっきから何ジロジロ向こうの方を見てるの?」 翠「今日は監視強化デーです」 k「はぁ?」 翠「あ、教室を出て行ったです」 U「…誰を見てんだ?…あw」 S「あはぁ…お前、ジュンはどうした?w」 ~~~~~ ──とまぁ、暇そうにしてたSとUを無理やり護衛にして、 委員長をこっそり監視し続けたです。 翠「…」 U「何かストーカーみたいだなw」 ギュウウウウウ… U「痛っ痛い!顔つねるなよ!」 翠「シッ!」 委員長が職員室に入っていったです。 委員長が提案という形で梅岡に伝われば、 今日のHRは緊急討論でほぼ決まりですね。 …上手くやってくれてることを祈るです…。 S「…」 ~~~~~ 5時間目が終わった後の休み時間。 翠「…」 頬杖つきながら、横目でしっかり確認するです。 委員長は絡まれる気配がありませんね。 ふふふ。 S「だいたい、委員長が言わないとHRの議題にされないってのが問題なんだよ」 後ろからSがこっそりと囁いてきました。 思わず振り返ったです。 翠「…なっ…何で…」 S「何がやりたいか、よく分かったよ」 翠「…そうですか」 まぁ…この奇襲はABC陣営に対してですから、 別にこっち陣営に秘密にしててもしょーがないんですよね…。 S「俺たちが背後にいるんだから、肩の力を抜いて自由に発言しろ」 翠「…あ…ありがとうです」 ~~~~~ ──6時間目のHRが始まったです。 梅「はい、突然ですが、今日は話し合いをしようと思います」 ……よっしゃ!です。 梅「実はこの連休が終わってから先生はずっとこれをするつもりでいました。   それで今日は委員長からも提案を受けて、ちょうどHRもあるので、   今日、この機会を設けることにしました。では委員長、前へ」 委員長はゆっくり立ち上がり、教卓の方へ向かいました。 委「え~、今日話し合おうと思ったことについてですが、   この件に関しては僕よりも詳しい人がいます…」 委員長がアイコンタクトを掛けてきたです… 出番ですか。 S「…」 おめぇら、何かあればフォロー頼むですよ? 委「お願いします」 起立、ですね。 翠「あの」 立ち上がった瞬間、クラスじゅうの注目が一気に集まったです。 そして急激にざわつき始めました。 翠「…」 でもここで頑張らないと…。 翠「…あの…みんなに聞きたいことがあるんですが…」 ──くっ…。 翠「ジュンが…」 やはっ…! ジュン…じゃなくて── B「ジュン~?」 A「あれぇ~?」 クラスじゅうがさらにざわつき始めたです。 こんな時に限って…くぅぅ。 梅「はいはい静かに」 梅岡の一声でようやく静まるクラスの生徒たち。 小学生の頃を思い出したんですが、 授業中に五月蝿い時の先生の気持ちがちぃと分かった気がしたです…。 翠「桜田君が…今ちょっと不登校気味なんですが…」 ──突き刺さる視線。 睨みつけるように見てくる奴までいるです。 …くたばれです。 翠「…あいつの…どこが気に入らないのか教えてくれです!」 この教室のABC寄りの空気に心からムカついたので、 思い切って核心にスパッと切り込んでやったです。 思惑通り、向こうサイドの人間の間でどよめきが起きて混乱し始めたです。 そんな中でもABCがニヤニヤしてるのがホント気に入らねぇですが… 翠「…」 ──しかし待てども待てども誰も何も言ってこねぇです…。 相変わらず睨みつけてくる野郎は岩のごとく何も言わねぇですし… 何か…涙ぐんできました…。 文句あるのなら何か言いやがれです! …でもこんな場面で泣いたら泣いたで話し合いが進みませんし、 「ワザとだろ!」とか、イヤな方向に捉えられたくないですし… ここでグッとこらえて頑張るしかないんですか── 翠「あの…反応がないので、引き篭もりの原因について触れてやるです」 ふぅーっ…。 落ち着け…落ち着くです…翠星石…。 翠「あいつは…お裁縫が得意だということで冷やかされたんです」 …落ち着くどころか…怒りがこみ上げてくるです…。 翠「1人から罵られるだけなら、まだマシだったかもしれないのですが、   どうやら多数の人間から罵られて引き篭もったそうです」 C「うるせぇなぁ。だから何だって言うんだよ。   あいつは引き篭もりになる要素を持ってたってだけだろ?」 A「だって女々しいし」 B「男のくせに裁縫やってるって、何か暗いしw」 …ブチッ 翠「人と違う趣味を持つことの、どこが悪いんですかっ!!」 …潰す。 B「あぁ悪いよ。あいつの趣味は最悪だよ」 C「ロリコンだし…てか、喧嘩売ってる?」 A「なんなら、やるか?」 ──目の前が真っ白になりました…。 翠「上等です!かかってきやがれです!!」 委「ちょっと待って!」 k「落ち着け!」 S「早まるな!」 梅「コラ!やめなさい!」 ───!! ~~~~~ 何とか6時間目のHRが終わり、 SHRが終わって、校長室の隣の狭苦しい会議室に呼ばれたです。 翠星石だけが…。 ABCの奴らは梅岡が呼び止める前にさっさと帰宅しやがったです。 それにしても…ただでさえ狭いこの空間。 カーテンは締め切られて薄暗く、 外からは野球部のアップの掛け声が聞こえるです。 …ガラガラガラ 梅岡が入ってきました。 一対一での対話。 邪魔の入らないこの方が翠星石には好都合です。 ABCなんかと一緒だと、たまらんですからね…。 梅「──さすがに机を投げ飛ばそうとしたのは良くないな」 翠「…」 ──実はその時のこと、ハッキリとは覚えてないんです…。 梅「中学生ってのはカッとなる人が急に増えだす年齢にあたるもんだからねぇ」 翠「…」 そうですね…。 それは本当の事だと実感したところです…。 梅「気持ちは判らなくはない。でも、あれで怪我させたら、   また別の問題を解決しなければならなくなったかもしれない──」 翠「…」 梅「まぁ、怪我人が出なくて何よりだったけどね…」 翠「すみません…でした」 ただただ反省しきりです…。 こちら側の人にも迷惑を掛けたかもしれないことを。 …ABCの肩を持つ奴らには何とも思ってないですねぇ。 あんなこと言われ続けて理性を保つなんて無理だと思うんです。 でも怪我をさせたらさせたで、イヤに五月蝿く言うんでしょうからね。 あいつらは…。 梅「それで…さっきの時間の話のことについてだけど、   それについては一応君のお母さんから話は聞いてるんだ」 翠「はい…」 梅「それでもちょっと放っておけないと思ったから、   ここに呼んだんだけど、時間の方は──」 翠「あっ…全然大丈夫ですから、とにかく話させてほしいです。   ジュン…あ、いや、桜田君がイジメられてる現状を…」 梅「へぇ…」 …なっ…何ですか? 梅「…桜田君とは仲がいいんだね」 にこやかに聞いてくる梅岡── 翠「…あっ…あの…」 …何でこんな時に心臓がバクバクしてくるんですか…! 翠「え~…お…幼馴染なんです。幼稚園の頃からの…」 梅「そうなんだ」 翠「家も近いんです。だから家族同士でも関係が深いんです…」 梅「それはあなたのお母さんからも聞いたよ」 翠「…そうですか」 …へぇ。 お母様はそこまで話してたんですか。 梅「それで、桜田君はどうして学校に来なくなったかっていうのは?」 翠「ジュンが不登校に…」 ひっ…やぁっ… また言っちまったです… 梅「はは」 笑うなです…! 梅「気にしなくていいよ」 翠「…えっ」 梅「ホントに仲いいんだね。別にここは教室じゃないし、大丈夫だから」 翠「…」 梅「自然体で話してくれていいよ──」 そ…そうですか。 そういうことに寛容だという点には感謝するです…。 翠「…ジュンが来なくなったのは、明らかにABCの3人のせいです。   あいつが昼休みにお裁縫が好きだってだけで…   ただそれだけの理由で冷やかされてイヤミ言われて…」 梅「…」 翠「さらにそれをみんなにそれを広めて、みんな悪乗りしたんですよ。   一斉にジュンを叩いたんです」 梅「…ほう」 翠「それから、ジュンは──」 梅「…」 …。 翠「──あいつらのカバンにジュンを盗撮した写真があるです!   …私の妹たちの相手をしてやってる画像なんですけど…」 梅「う~ん…」 翠「それを見せびらかして、ロリコンだのなんだのって五月蝿いんですよ!」 梅「…」 翠「そうやってまたイジメに掛かってるです!」 梅「…」 翠「だから…イジメに関わった奴全員を校長室に呼びつけて   徹底的に問い詰めて、反省文書かせて土下座させて、   最悪、そいつらの強制転校も考えてほしいんです!」 梅「…」 どうしても涙声になってしまうです…。 翠「お願いです!ジュンは追い詰められてるんですよ?」 梅「…」 でもここで必死に言わないと…梅岡に事の深刻さが100%伝わらないかもしれないです。 声が裏返っても…せめて…言葉が途切れ途切れにならないように頑張らないと…。 翠「こないだ窓から飛び降りようとしたんですよ!」 梅「…えぇ!?」 翠「とんでもなくあっさりしてましたよ。あいつは。   窓枠に足をかけたところで私の姉に取り押さえられましたけど…」 梅「…」 目を見開く梅岡。 翠「そうです。   ジュンは自殺でないって言い張ってますが、   そうでなければ窓枠に足を掛けるようなことなんてしないじゃないですか!   軽々しくそんなことが出来るってことは、   あいつ自身、既にきっと相当なほどに追い詰められてるんですよ!!」 梅「…」 梅岡は頭を抱えました…。 翠「…」 梅「何てことを…」 翠「だから、一刻も早くジュンが安心できる環境にして欲しいんです!!──」 ~~~~~ ──ふーっ。 午後からの全力投球はさすがに身体にこたえたですぅ…。 それにジュンのいびきが五月蝿くて、途中まで眠れませんでしたし…。 今日は…独りで帰ったらまた取り囲まれるんでしょうね…。 さっきのHRで溜まったであろう理不尽な私怨か何かで── 剣道部が終わるのもサッカー部が終わるのも、おそらく7時くらいでしょうし…。 あと2時間強…。 お母様に車で迎えに来てもらえるのも、夕方6時前くらいになってから…。 う~ん。 あ、園芸部は今日やってるんでしたっけ? 部活の連絡黒板ではどうなってるんでしょう…。 …あ、今日、ありますね。 この時間からだと作業も殆ど無いですし、 身体も何とかもちそうです…。 それでもって、今日は蒼星石や巴たちとも帰れそうです。 そん時に車で迎えに来てもらうですかね。 今日ジュンの家に行くのはやめとくです…。 それからは…今日はさっさと寝るです──

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