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<div class="mes">『保守かしら』<br /> 2007年9月1日<br /><br />  今日から2学期の始まり。けど、そんなことよりみっちゃんかしら。<br />  <br />  始業式が終わったら、みっちゃんが走ってこっちに来てくれたかしら。<br />  「カナに最初に聞いてもらおうと思って」<br />  みっちゃんがそう言ったから、二人で中庭まで移動したかしら。<br /> そうそう、向日葵はまだまだ元気。<br />  あたりに人がいないことを確認してから、みっちゃんは話し始めたのよ。<br />  まだご両親としか話してないみっちゃんの秘密の話。わくわくしながら聞いたかしら。そしたらもうびっくり!<br />  みっちゃんはイタリアに服飾の修行に行くことにしたんだって!!<br />  もう今月中にも単身ふにんでイタリアにいるお父様のところへ。お父様は大歓<br /> 迎らしいかしら。<br /><br />  でもどうして急にって聞いたの。<br />  えへへーとみっちゃんは笑ったんだけれど、なんだか元気がなさそうだったかしら。<br />  「神の子の実力を見ちゃったからかな」<br />  「神の子ってジュン?」<br />  「うん」</div> <p><a name="47"></a></p> <div class="header"> </div> <div class="mes"> 「ほら、ちょっと前にカナにあげたハートの髪飾りってあったでしょ?」<br />  カナは思わず「う」って言っちゃったかしら。あの髪飾りはすっごく好きだったけれど、最近見つからないの。どこにやっちゃったのかしら…。<br />  「アレと同じものをジュンジュンが作ったんだけれど、も、比べ物になんない」<br />  みっちゃんは指の間に指を挟んでXみたいにさせて、わきわき動かしてた。<br />  「同じ形をしているはずなのに、あっちのほうが良く見えて。<br />  自分のほうが時間をかけているのに、あっちのほうがすばらしい出来なのよねー」<br />  ほぅ、ってみっちゃんが息を吐いた。<br />  「悲しいのかしら?」<br />  ってカナが聞いたら、みっちゃんはニカッと笑ったかしら。<br />  「まさか!」<br />  みっちゃんは言葉を切って、腕を前にぱっと突き出してから、手を組んで祈るみたいな姿勢。<br />  「あの時!あの場所の作品達がどれだけ素晴らしかったか」<br />  みっちゃんはうっとりとして、そのまま動かなくなっちゃったかしら。<br />  「だからね、私はあそこにたどり着きたいなーって思っちゃった」<br />  「それで、修行?」<br />  「うん。私みたいな凡人は努力しないとね」<br />  みっちゃんが言うと、ふつうは暗くなるような言葉でも、そうならないのは、なん<br /> でだと思うピチカート?<br /> それはきっとみっちゃんの目がきらきら光っているからかしら。<br /> 心の中で情熱の炎が燃えてて、それをそのまま目からちらついているんだわ。<br />  こうなった時のみっちゃんはもう止まらない。まっすぐに目標に突き進んで、山の頂上にだってあっという間かしら。<br /><br /><br /><hr /></div> <p><br /><br /> 『保守かしら』<br /> 2007年9月12日<br /><br />  みっちゃんがイタリアに行っちゃった…。<br />  始業式で話を聞いてから毎日ずーっと一緒に遊んでたけれど、この日はさみしさで<br /> いっぱいだったかしら。<br />  カナは朝から泣かないようにするので精いっぱい。<br />  けどそんな顔してたら、みっちゃんに思いっきりまさちゅられて、それからは他の見送り<br /> の人たちとわいわい騒げたかしら。<br />  すぐに時間が来ちゃって、みっちゃんは胸を張って搭乗口に向かっていったの。<br /><br />  飛行機が青空の中を飛んでいって、点になって、消えてしまうまでずっと見てた。<br />  じつはその時ちょっと泣いちゃった。これは2人の秘密よピチカート。<br /><br />  空港でおねえちゃんとみっちゃんのお母さんと弟達とでご飯を食べたかしら。<br />  みっちゃんのお母さんは<br />  「特にキビしいところに放り込むから、すこしはおしとやかになって帰ってきたらもうけ物だわー」って笑ってた。<br />  <br />  帰りの車でおねえちゃんが「良いご両親ね」だって。<br />  みっちゃんのお母さんは、みっちゃんそっくり。一番似ているのは心配なことがあっても明るくふるまうところ。<br />  みっちゃんはいつも人のことを気遣ったり励ましたり。<br />  そんなみっちゃんが、どうしてもなりたいと思ったのが職人さんなのかしら。<br /><br />  どうかみっちゃんが見事な職人さんになれますように。<br />  一生懸命なみっちゃんの道にどうか幸運がありますように。</p>
<div class="mes">『保守かしら』<br /> 2007年9月1日<br /><br /> 今日から2学期の始まり。けど、そんなことよりみっちゃんかしら。<br /><br /> 始業式が終わったら、みっちゃんが走ってこっちに来てくれたかしら。<br /> 「カナに最初に聞いてもらおうと思って」<br /> みっちゃんがそう言ったから、二人で中庭まで移動したかしら。<br /> そうそう、向日葵はまだまだ元気。<br /> あたりに人がいないことを確認してから、みっちゃんは話し始めたのよ。<br /> まだご両親としか話してないみっちゃんの秘密の話。わくわくしながら聞いたかしら。そしたらもうびっくり!<br /> みっちゃんはイタリアに服飾の修行に行くことにしたんだって!!<br /> もう今月中にも単身ふにんでイタリアにいるお父様のところへ。お父様は大歓<br /> 迎らしいかしら。<br /><br /> でもどうして急にって聞いたの。<br /> えへへーとみっちゃんは笑ったんだけれど、なんだか元気がなさそうだったかしら。<br /> 「神の子の実力を見ちゃったからかな」<br /> 「神の子ってジュン?」<br /> 「うん」</div> <p> </p> <div class="header"> </div> <div class="mes"> 「ほら、ちょっと前にカナにあげたハートの髪飾りってあったでしょ?」<br /> カナは思わず「う」って言っちゃったかしら。あの髪飾りはすっごく好きだったけれど、最近見つからないの。どこにやっちゃったのかしら…。<br /> 「アレと同じものをジュンジュンが作ったんだけれど、も、比べ物になんない」<br /> みっちゃんは指の間に指を挟んでXみたいにさせて、わきわき動かしてた。<br /> 「同じ形をしているはずなのに、あっちのほうが良く見えて。<br /> 自分のほうが時間をかけているのに、あっちのほうがすばらしい出来なのよねー」<br /> ほぅ、ってみっちゃんが息を吐いた。<br /> 「悲しいのかしら?」<br /> ってカナが聞いたら、みっちゃんはニカッと笑ったかしら。<br /> 「まさか!」<br /> みっちゃんは言葉を切って、腕を前にぱっと突き出してから、手を組んで祈るみたいな姿勢。<br /> 「あの時!あの場所の作品達がどれだけ素晴らしかったか」<br /> みっちゃんはうっとりとして、そのまま動かなくなっちゃったかしら。<br /> 「だからね、私はあそこにたどり着きたいなーって思っちゃった」<br /> 「それで、修行?」<br /> 「うん。私みたいな凡人は努力しないとね」<br /> みっちゃんが言うと、ふつうは暗くなるような言葉でも、そうならないのは、なん<br /> でだと思うピチカート?<br /> それはきっとみっちゃんの目がきらきら光っているからかしら。<br /> 心の中で情熱の炎が燃えてて、それをそのまま目からちらついているんだわ。<br /> こうなった時のみっちゃんはもう止まらない。まっすぐに目標に突き進んで、山の頂上にだってあっという間かしら。<br /><br /><br /><hr /></div> <p><br /><br /> 2007年9月12日<br /><br /> みっちゃんがイタリアに行っちゃった…。<br /> 始業式で話を聞いてから毎日ずーっと一緒に遊んでたけれど、この日はさみしさで<br /> いっぱいだったかしら。<br /> カナは朝から泣かないようにするので精いっぱい。<br /> けどそんな顔してたら、みっちゃんに思いっきりまさちゅられて、それからは他の見送り<br /> の人たちとわいわい騒げたかしら。<br /> すぐに時間が来ちゃって、みっちゃんは胸を張って搭乗口に向かっていったの。<br /><br /> 飛行機が青空の中を飛んでいって、点になって、消えてしまうまでずっと見てた。<br /> じつはその時ちょっと泣いちゃった。これは2人の秘密よピチカート。<br /><br /> 空港でおねえちゃんとみっちゃんのお母さんと弟達とでご飯を食べたかしら。<br /> みっちゃんのお母さんは<br /> 「特にキビしいところに放り込むから、すこしはおしとやかになって帰ってきたらもうけ物だわー」って笑ってた。<br /><br /> 帰りの車でおねえちゃんが「良いご両親ね」だって。<br /> みっちゃんのお母さんは、みっちゃんそっくり。一番似ているのは心配なことがあっても明るくふるまうところ。<br /> みっちゃんはいつも人のことを気遣ったり励ましたり。<br /> そんなみっちゃんが、どうしてもなりたいと思ったのが職人さんなのかしら。<br /><br /> どうかみっちゃんが見事な職人さんになれますように。<br /> 一生懸命なみっちゃんの道にどうか幸運がありますように。</p>

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