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「高校受験」(2006/03/27 (月) 13:07:17) の最新版変更点
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<p><a title="koukouzyuken" name=
"koukouzyuken"></a>「終わったぁー!手応えあり!!」<br>
僕、桜田ジュン。第一志望の県立○△高校の入試がたった今終わったんだ!<br>
(今日から遊ぶぞ~♪まずは久しぶりの通販やって~)<br>
ドンッ ドザー<br>
「いってぇ…」<br>
誰かがぶつかってきた。その拍子に互いのカバンの中身が地面に散らばる。<br>
「うわっ、カバンの中身がっ!おい前むいて歩け…ってあれ!?」<br>
「ご、ごめんなさいですぅ…っ」<br>
(うわっ、綺麗な瞳…しかも可愛い…)<br>
彼女の瞳は左右で色が違い、栗色の長い髪によく映えて見えた。<br>
「す、すぐに拾うですから!」<br>
「いや…こちらこそ、きみは大丈夫?」<br>
「だ、だ大丈夫ですから、あの、その、ぶつかってごめんなさいですぅ!」<br>
彼女はそう言うと、立ち上がって走り去ってしまった。<br>
(ガーン、びびらせちゃった?名前きけばよかった…たぶん同じ高校受けたんだよな?入学したら会えるかなー…)</p>
<p>「ただいまー」<br>
「あら、お帰りジュンくん!入試どうだった?」<br>
「まぁまぁかな、落ちることはないと思うよ」<br>
「あらぁ、おねぇちゃん嬉しいわ。ジュンくんと同じ高校に通えるんですもの。今晩はお赤飯ね!」<br>
「何で赤飯なんだよ、しかも気が早い」<br>
一応突っ込んどく</p>
<p><br>
桜田家は海外にいる両親、ねぇちゃん(名前はのり)そして僕の四人家族だ。いつもいない両親に代わり、家事など身の回りのことはねぇちゃんがしてくれる。<br>
「いつもの花丸ハンバーグでいいよ」<br>
そう伝えて僕は二階の自室にあがる。机の上には封筒が置いてあった。<br>
「真剣ゼミ?受験終わったばかりだし関係ないや。」<br>
そして夕食後<br>
「じゅんくん?」<br>
「んっ?なに?」<br>
「ジュンくんは将来どうするか決めてるぅ?」<br>
「将来かー…まだ決めてないよ。それに受験終わったばっかだし、入学までは楽にしてたいし。もちろん入学したら勉強するつもりだよ」<br>
「そっかー。ジュンくん中学では成績よかったしねぇ。でも入学式からでいいやぁておもってたら、あっという間に周りから取り残されるわよ!同じぐらいのレベルの人が集まるんだから。」<br>
「そ、そう言うもんなの?」<br>
「そうよー!甘く見てたら痛い目に会うんだから!この春休みが勝負よ、ジュンくん!まずは中学3年間の復習と、高校での勉強法を身につけることから始めなさい」<br>
「わかったよ、でもそんなに沢山、二週間そこらで出来るもんなの?」<br>
「ふっふっふ、そこで秘密兵器よ。」<br>
そう言って姉は何かを取り出す。<br>
「ジャーン!真剣ゼミよ!!おねぇちゃんもお世話になったわぁ。」<br>
(あっ、さっきの封筒…)<br>
「どうかしらジュンくん?これなら五教科の復習が、一日60分×7日で出来てしまうのよぅ!それに続ければ大学に合格する力もつくんだから。やりたいことも自然と見つかるわよぅ」<br>
(そっか、そうだよな、大学入ってからでも遅くないよな…よしっ!)<br>
「ねぇちゃん俺やるよ!!」</p>
<p><br>
数日後</p>
<p>
今日は発表の日だ。ゼミも昨日とどいた。あとは受かるだけだ!十時の鐘と同時に掲示板が張り出される。<br>
希望を胸に掲示板を覗く…<br>
(186…187…189…189…191…んっ?186…187…189…189…191…えっ!?まじっ!?俺の番号ねぇー!!!!)</p>
<p><br>
ど、どうしよう。滑り止めなんて受けてないよ…。</p>
<br>
<p><br>
①僕は帰りの電車に突っ込んだ…</p>
<p><br>
②<br>
僕は引き込もった<br>
だけど引きこもりはじめてから3日目<br>
の「じゅじゅんくん~!!!」<br>
うるさい海苔だ・・・ジ「うるさい!!静かにしてくれ」<br>
の「いいいま学校から電話きてジュン君補欠合格したそうよ!」<br>
ジ「ちょwまじで?」<br>
の「お姉ちゃんうそいわないわよ」<br>
ジ「生きてればいいことあるな~」</p>
<p>③<br>
電車に突っ込もうとしたら、誰かに背中をつかまれた。<br>
あの日ばったり逢った、女の子だった。<br>
翠「あぶねぇーです!落ちたらどうするですか!?」<br>
ジュン「……良いんだよ、僕はもうダメだ」<br>
翠「もしかして、受験に落ちたんですか?」<br>
ジュン「ああ、そうだよ…。クソ!」</p>
<p>
僕がそう言うと、いきなり殴られた。しかも、すごい強さで。<br>
僕は思わず、倒れこんだ。<br>
翠「何を落ち込んでるですか!受け入れろです!」<br>
ジュン「じゃあ、ニートになれと?」<br>
翠「本当に頭の悪い奴ですね。浪人して、もう一度やれば良いんです」<br>
ジュン「で、でも高校浪人なんて……」<br>
翠「恥ずかしがるなです!私が、教えてやるから立ち直れです!」</p>
<p>そう言うと彼女は、僕の手を取ってくれた。<br>
ジュン「ねえ、君の名前は?」<br>
翠「私は翠星石です」<br>
ジュン「……僕は、ジュン…」<br>
こうして、僕は彼女ともう一度逢えた。そして、また歩き出すんだ。<br>
あきらめたら、負けだ。もう一度、受験という戦いに挑むんだ。<br>
彼女と一緒なら、今度は…勝てる気がするんだ……。</p>
<p>④<br>
駅のホームで、涙を流す少女を見つけた。<br>
あぁ、あの子も落ちたのかな。<br>
ん?あの子って・・・<br>
「きみ、あの時の・・・キミも」<br>
「泣いてなんかねーですよ!」<br>
「いや、まだ何も・・・」<br>
「あんな高校、こっちから願い下げです!!ぐすっ・・・」<br>
なんか、よくわからんけど、放っておけなかった。<br>
「一緒に、海とか見に行かない?」<br>
「・・・?な、何を突然・・・というか誰ですかですぅ」<br>
しまった、と思った。<br>
ちょっと廊下でぶつかっだけ、お互い名前も知らない。<br>
慣れなれしくしすぎたな。<br>
「いいですよ、もうなんでもやってやるです」<br>
意外な返事にびっくりしたが、とりあえず平然を装った。</p>
<p>
海に向かう途中はずっとうつむいていたが、到着すると少しだけ元気を取り戻したようだった。<br>
夕方、二人で砂浜を・・・なかなか悪くないシチュエーションだと思った。<br>
まだ寒いからだろう、砂浜には僕ら以外誰もいなかった。<br>
彼女は突然歩く足をぴたりと止め、海に向きなおす。<br>
「ばっかやろーですぅ!!!」<br>
うるさいと思うよりも先に、よく通る素敵な声だと思った。<br>
「ふふ、一度海に向かって叫んでみたかったですぅ」<br>
そういって彼女は、今日始めての笑顔を見せてくれた。<br>
「海にばかやろーなんて言うやつ、噂には聞いてたけど実物は始めてみたよ」<br>
皮肉っぽいことを言いながらも、僕は夕日を浴びる少女に釘付けだった。<br>
「・・・あなた、名前は?」<br>
「え、あ・・・桜田、ジュン」<br>
「ジュンくん、今日はどうもありがとうですぅ。ちょっとだけ、元気がでたです」<br>
「ん、いや、僕も来たかったし・・・君の、名前は?」<br>
海からこちらへ振り返り、彼女は微笑みながら言った。<br>
「翠星石、やがて人類を支配する者ですぅ」<br>
あ、電波だこいつ。なんか台無しな気分だった。</p>
<p>⑤<br>
重い足を引きずるように帰った僕に、姉ちゃんは何も訊かなかった。<br>
そりゃあ、こんなシケた面してれば、落ちたって事ぐらい誰にだって判るよな。<br>
はぁ……気が重い。なんにもする気になれず、ベッドに倒れ込んだ。<br>
このまま眠りに就いて、目が覚めたら合格発表前に戻れてたらいいのにな。</p>
<p>それから、どれだけ眠ってたか分からない。<br>
窓の外は、既に真っ暗だった。</p>
<p>「……気晴らしに、ネット通販でもすっか」</p>
<p>
部屋の明かりを点けて、パソコンのスイッチを押したとき、<br>
机の上に見慣れないハガキが載せられている事に気付いた。</p>
<p>「これって……受験票じゃないか」</p>
<p>私立薔薇学園高等学校、入学試験票。<br>
こんな高校の願書を書いた憶えはない。その筆跡は、よく見れば姉ちゃんのものだった。</p>
<p>
「そう言えば…………最近、姉ちゃんバイトしてたっけ。あれって、まさか――」</p>
<p>
この受験料を稼ぐために? 無駄になるかも知れないって、思わなかったのかよ!</p>
<p>
「姉ちゃん……なんで、そんなにバカなんだよ……僕なんかの為に、こんなっ!」</p>
<p>涙で滲む目を擦って確認した受験日は、明後日。<br>
もう少し、頑張ってみよう。僕はパソコンの電源を切って、受験勉強を始めた。</p>
<p><br></p>
<p><a title="koukouzyuken" name=
"koukouzyuken"></a>「終わったぁー!手応えあり!!」<br>
僕、桜田ジュン。第一志望の県立○△高校の入試がたった今終わったんだ!<br>
(今日から遊ぶぞ~♪まずは久しぶりの通販やって~)<br>
ドンッ ドザー<br>
「いってぇ…」<br>
誰かがぶつかってきた。その拍子に互いのカバンの中身が地面に散らばる。<br>
「うわっ、カバンの中身がっ!おい前むいて歩け…ってあれ!?」<br>
「ご、ごめんなさいですぅ…っ」<br>
(うわっ、綺麗な瞳…しかも可愛い…)<br>
彼女の瞳は左右で色が違い、栗色の長い髪によく映えて見えた。<br>
「す、すぐに拾うですから!」<br>
「いや…こちらこそ、きみは大丈夫?」<br>
「だ、だ大丈夫ですから、あの、その、ぶつかってごめんなさいですぅ!」<br>
彼女はそう言うと、立ち上がって走り去ってしまった。<br>
(ガーン、びびらせちゃった?名前きけばよかった…たぶん同じ高校受けたんだよな?入学したら会えるかなー…)</p>
<p>「ただいまー」<br>
「あら、お帰りジュンくん!入試どうだった?」<br>
「まぁまぁかな、落ちることはないと思うよ」<br>
「あらぁ、おねぇちゃん嬉しいわ。ジュンくんと同じ高校に通えるんですもの。今晩はお赤飯ね!」<br>
「何で赤飯なんだよ、しかも気が早い」<br>
一応突っ込んどく</p>
<p><br>
桜田家は海外にいる両親、ねぇちゃん(名前はのり)そして僕の四人家族だ。いつもいない両親に代わり、家事など身の回りのことはねぇちゃんがしてくれる。<br>
「いつもの花丸ハンバーグでいいよ」<br>
そう伝えて僕は二階の自室にあがる。机の上には封筒が置いてあった。<br>
「真剣ゼミ?受験終わったばかりだし関係ないや。」<br>
そして夕食後<br>
「じゅんくん?」<br>
「んっ?なに?」<br>
「ジュンくんは将来どうするか決めてるぅ?」<br>
「将来かー…まだ決めてないよ。それに受験終わったばっかだし、入学までは楽にしてたいし。もちろん入学したら勉強するつもりだよ」<br>
「そっかー。ジュンくん中学では成績よかったしねぇ。でも入学式からでいいやぁておもってたら、あっという間に周りから取り残されるわよ!同じぐらいのレベルの人が集まるんだから。」<br>
「そ、そう言うもんなの?」<br>
「そうよー!甘く見てたら痛い目に会うんだから!この春休みが勝負よ、ジュンくん!まずは中学3年間の復習と、高校での勉強法を身につけることから始めなさい」<br>
「わかったよ、でもそんなに沢山、二週間そこらで出来るもんなの?」<br>
「ふっふっふ、そこで秘密兵器よ。」<br>
そう言って姉は何かを取り出す。<br>
「ジャーン!真剣ゼミよ!!おねぇちゃんもお世話になったわぁ。」<br>
(あっ、さっきの封筒…)<br>
「どうかしらジュンくん?これなら五教科の復習が、一日60分×7日で出来てしまうのよぅ!それに続ければ大学に合格する力もつくんだから。やりたいことも自然と見つかるわよぅ」<br>
(そっか、そうだよな、大学入ってからでも遅くないよな…よしっ!)<br>
「ねぇちゃん俺やるよ!!」</p>
<p><br>
数日後</p>
<p>
今日は発表の日だ。ゼミも昨日とどいた。あとは受かるだけだ!十時の鐘と同時に掲示板が張り出される。<br>
希望を胸に掲示板を覗く…<br>
(186…187…189…189…191…んっ?186…187…189…189…191…えっ!?まじっ!?俺の番号ねぇー!!!!)</p>
<p><br>
ど、どうしよう。滑り止めなんて受けてないよ…。</p>
<br>
<p><br>
①僕は帰りの電車に突っ込んだ…</p>
<p><br>
②<br>
僕は引き込もった<br>
だけど引きこもりはじめてから3日目<br>
の「じゅじゅんくん~!!!」<br>
うるさい海苔だ・・・ジ「うるさい!!静かにしてくれ」<br>
の「いいいま学校から電話きてジュン君補欠合格したそうよ!」<br>
ジ「ちょwまじで?」<br>
の「お姉ちゃんうそいわないわよ」<br>
ジ「生きてればいいことあるな~」</p>
<p>③<br>
電車に突っ込もうとしたら、誰かに背中をつかまれた。<br>
あの日ばったり逢った、女の子だった。<br>
翠「あぶねぇーです!落ちたらどうするですか!?」<br>
ジュン「……良いんだよ、僕はもうダメだ」<br>
翠「もしかして、受験に落ちたんですか?」<br>
ジュン「ああ、そうだよ…。クソ!」</p>
<p>
僕がそう言うと、いきなり殴られた。しかも、すごい強さで。<br>
僕は思わず、倒れこんだ。<br>
翠「何を落ち込んでるですか!受け入れろです!」<br>
ジュン「じゃあ、ニートになれと?」<br>
翠「本当に頭の悪い奴ですね。浪人して、もう一度やれば良いんです」<br>
ジュン「で、でも高校浪人なんて……」<br>
翠「恥ずかしがるなです!私が、教えてやるから立ち直れです!」</p>
<p>そう言うと彼女は、僕の手を取ってくれた。<br>
ジュン「ねえ、君の名前は?」<br>
翠「私は翠星石です」<br>
ジュン「……僕は、ジュン…」<br>
こうして、僕は彼女ともう一度逢えた。そして、また歩き出すんだ。<br>
あきらめたら、負けだ。もう一度、受験という戦いに挑むんだ。<br>
彼女と一緒なら、今度は…勝てる気がするんだ……。</p>
<p>④<br>
駅のホームで、涙を流す少女を見つけた。<br>
あぁ、あの子も落ちたのかな。<br>
ん?あの子って・・・<br>
「きみ、あの時の・・・キミも」<br>
「泣いてなんかねーですよ!」<br>
「いや、まだ何も・・・」<br>
「あんな高校、こっちから願い下げです!!ぐすっ・・・」<br>
なんか、よくわからんけど、放っておけなかった。<br>
「一緒に、海とか見に行かない?」<br>
「・・・?な、何を突然・・・というか誰ですかですぅ」<br>
しまった、と思った。<br>
ちょっと廊下でぶつかっだけ、お互い名前も知らない。<br>
慣れなれしくしすぎたな。<br>
「いいですよ、もうなんでもやってやるです」<br>
意外な返事にびっくりしたが、とりあえず平然を装った。</p>
<p>
海に向かう途中はずっとうつむいていたが、到着すると少しだけ元気を取り戻したようだった。<br>
夕方、二人で砂浜を・・・なかなか悪くないシチュエーションだと思った。<br>
まだ寒いからだろう、砂浜には僕ら以外誰もいなかった。<br>
彼女は突然歩く足をぴたりと止め、海に向きなおす。<br>
「ばっかやろーですぅ!!!」<br>
うるさいと思うよりも先に、よく通る素敵な声だと思った。<br>
「ふふ、一度海に向かって叫んでみたかったですぅ」<br>
そういって彼女は、今日始めての笑顔を見せてくれた。<br>
「海にばかやろーなんて言うやつ、噂には聞いてたけど実物は始めてみたよ」<br>
皮肉っぽいことを言いながらも、僕は夕日を浴びる少女に釘付けだった。<br>
「・・・あなた、名前は?」<br>
「え、あ・・・桜田、ジュン」<br>
「ジュンくん、今日はどうもありがとうですぅ。ちょっとだけ、元気がでたです」<br>
「ん、いや、僕も来たかったし・・・君の、名前は?」<br>
海からこちらへ振り返り、彼女は微笑みながら言った。<br>
「翠星石、やがて人類を支配する者ですぅ」<br>
あ、電波だこいつ。なんか台無しな気分だった。</p>
<p>⑤<br>
重い足を引きずるように帰った僕に、姉ちゃんは何も訊かなかった。<br>
そりゃあ、こんなシケた面してれば、落ちたって事ぐらい誰にだって判るよな。<br>
はぁ……気が重い。なんにもする気になれず、ベッドに倒れ込んだ。<br>
このまま眠りに就いて、目が覚めたら合格発表前に戻れてたらいいのにな。</p>
<p>それから、どれだけ眠ってたか分からない。<br>
窓の外は、既に真っ暗だった。</p>
<p>「……気晴らしに、ネット通販でもすっか」</p>
<p>
部屋の明かりを点けて、パソコンのスイッチを押したとき、<br>
机の上に見慣れないハガキが載せられている事に気付いた。</p>
<p>「これって……受験票じゃないか」</p>
<p>私立薔薇学園高等学校、入学試験票。<br>
こんな高校の願書を書いた憶えはない。その筆跡は、よく見れば姉ちゃんのものだった。</p>
<p>
「そう言えば…………最近、姉ちゃんバイトしてたっけ。あれって、まさか――」</p>
<p>
この受験料を稼ぐために? 無駄になるかも知れないって、思わなかったのかよ!</p>
<p>
「姉ちゃん……なんで、そんなにバカなんだよ……僕なんかの為に、こんなっ!」</p>
<p>涙で滲む目を擦って確認した受験日は、明後日。<br>
もう少し、頑張ってみよう。僕はパソコンの電源を切って、受験勉強を始めた。</p>
<p><br>
思い起こせば3年前…<br>
初めての挫折、彼女との劇的な出会い、そして姉の優しさ…<br>
この日新しい桜田ジュンが生まれたのかもしれない。<br>
<br>
姉の優しさに触れてから試験までの二日、僕は必死に勉強した。もちろん先生は翠星石だ。あの拳はとても響いたもの<br>
<br>
彼女のおかげだろう。僕は見事に合格した。<br>
「おめでとうですぅ、ジュン!」<br>
「翠星石のおかげだよ。」<br>
「これで同じ学校に通えるですね♪」<br>
<br>
「へっ?」<br>
「だーかーらー、これで同じ学校に通えるですねと言ってるですぅ!」<br>
<br>
あとで聞いた話によると、彼女は七人兄弟の三女でとても人見知り、だからあの日の試験は慣れるために受けたそうだ。もともと薔薇学の中等部に在席していて、そのまま高等部に進学することにしていたそうだ。<br>
<br>
彼女と過ごす3年間はあっという間に過ぎてしまった。<br>
それでも振り替えればとても有意義な3年だった。<br></p>
<p>そんな僕も明日からは大学生。<br>
薔薇学で知り合った翠星石の姉妹達も一緒だ。<br>
きっと今日からの四年間は一生の宝になるだろう、そんな気がする。<br>
<br>
「なぁ~ににやにやしてるです、いやらしいことでも考えてるですか?♪」<br>
「翠星石…」<br>
「?」<br>
「ありがと」<br>
「へっ?」<br>
「ありがとな!」<br>
「?なっ!い、いきなりどうしたです?変なジュンですぅ」<br>
そう言う彼女の顔にはどことなく優しさが広がっていた<br>
<br>
<br>
そう、人は変われる<br>
姉と彼女が変えてくれた<br>
姉は優しさを、彼女は勇気を…<br>
<br>
ねぇさん、やりたいことが見つかった気がするよ</p>