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かみひこうき」(2007/12/28 (金) 22:41:19) の最新版変更点

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<p>大掃除をしていたら意外なものを発見した。</p> <p>中学の時の英語の辞書。<br> そこに挟まれた一枚のラブレターを。<br> <br> それは三年前に出すことができなくて、ここに仕舞われていたものだった。<br> <br> 封を切って手紙を取り出す。<br> 目に入るのは思わず赤面するような言葉の羅列。<br> <br> 『小さいころからあなたが好きです』<br> <br> 確かに私の字で手紙にはそう書かれていた。<br> 恥ずかしすぎて死ねるかもしれない。<br> 思わず手紙をしゃくしゃにしたくなる衝動をなんとか抑えて、<br> 私は机の上に手紙を置いた。<br> 同じように机に突っ伏して目を閉じると、あの頃の情景が浮かんでくるようだった。<br> <br> 楽しくて、明るくて、切なくて、悲しくて。<br> たくさんの記憶を思い出して、私は最後に笑顔になった。<br> <br> そして何を思ったのか手紙を折りはじめると、<br> あっという間に紙飛行機が折り上がった。 <br> <br> 立ち上がり窓を開ける。<br> 私は勢いよく手を振り上げ紙飛行機を冬の空に飛ばした。<br> まっすぐに彼の部屋に向けて。<br> <br> 冷たい風に乗って飛行機は少し揺られながら、<br> それでも落ちることなく彼の部屋に飛び込んだ。<br> <br> 「いてっ!?なんだこれ?」<br> <br> 紙飛行機は同じく大掃除で開け放たれていたのだろう窓をくぐり<br> お隣りさんに直撃したらしい。<br> <br> 「おいこら!何投げてきてんだよ!掃除の邪魔すんなよな」<br> <br> 「なーにが掃除の邪魔です!どうせさぼってマンガでも読んでたに決まってるです」<br> 私は息をするよりも自然にそう返す。<br> 憎まれぐちの応酬だけはお互いに慣れたものだった。 <br> <br> 「さぼってたのはおまえの方だろ!こんな飛行機なんか作って」<br> そういう彼の手に紙飛行機が握られているのを見て私は急に取り乱した。 <br> <br> 「じじじ、ジュン!今からそっち行くですから絶対にそれ触るなです!読むなです!」 <br> <br> 「読む?」 <br> 不思議そうに飛行機を眺める彼に念を押して私は階下に駆けだした。</p> <p><br> <br>        桜田ジュン様へ<br> <br> 一緒にいると悪口しか言えなくてごめんなさい。<br> 本当は本当じゃないことばっかり私は言ってるです。<br> だから嫌いにならないでください。<br> 私はずっと、小さい頃からあなたが好きです。<br> これからもずっと、あなたが好きです。<br> だから嫌いにならないでください。<br> これからもずっと一緒にいてほしいです。<br> <br> <br> 中2の時ジュンが急に私に距離を置き始めた。<br> 一緒に学校から帰ったり、休日を共に過ごすことを避け始めたのだ。<br> 私は戸惑って、何度もジュンに理由を問い詰めて、<br> そのたびに素っ気なくされて罵声を浴びせることしかできなかった。 <br> <br> そして私は手紙を書いた。<br> このまま終わりたくなかったから、本当の気持ちを手紙に書いた。<br> だけどその手紙は出されないままだった。<br> <br> 出す前に二人の関係が修復されたから。<br> 男子のからかいに耐え切れなくて冷たくしていたのだと<br> ジュンが謝ってくれたおかげで、二人の関係は元に戻った。<br> <br> そして手紙は封印された。<br> 私の気持ちは宝箱の中にしまい込まれたのだ。<br> いつか自由に飛び立てる日を夢見て… <br> <br> <br> <br> 階段を登りきりジュンの部屋に飛び込む。<br> 慌てたように後ろ手に何かを隠す仕草のジュン。<br> <br> 「み、見やがったですねぇ!」<br> <br> ぶるぶると勢いよく首を振るジュンの顔は赤い。<br> 確実に読まれた。もうこうなったら開き直るしかない。<br> <br> 「嘘つくなです。」<br> ジュンににじり寄る私。<br> 窓際まで後ずさりするジュンは後がなくなってついには床にへたりこむ。<br> <br> よほど私は怖い顔をしているのだろうか、<br> 目を閉じてまるで殴られるような態勢で固まるジュン。<br> <br> 殴るわけないのに。<br> <br> 私はゆっくりとジュンに寄り添って、その頬にそっとキスをした。<br> 大きく目を開いて、心底驚いたような表情のジュン。<br> <br> 「おしおきは返事を聞いてからにするです。」<br> <br> 私がそう言って顔を離すと、<br> ジュンは少し俯いてから、まっすぐに私を見てくれた。 <br> <br> その吸い込まれるような視線に私が硬直していると、<br> 本当にジュンの顔が至近距離まで近づいてきた。<br> <br> 床に落ちた手紙が、窓から入る風により再び空に舞い、そして落ちるまで <br> <br> 二人の唇は重なったままだった。</p>

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