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Another RozenMaiden 第9話  間奏」(2006/03/26 (日) 11:56:40) の最新版変更点

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<p><a title="anotherrozenmaiden9" name= "anotherrozenmaiden9"></a>        Another RozenMaiden <br>           第9話 間奏   <br> <br> 銀「何だか外がうるさいわねぇ。」五分ほど前から、断続的に何かを叩く音が聞こえる。<br> 私は音の正体を探るべく、辺りを見回す。すると窓辺で赤く光る物体を見つけた。<br> 私は、それに見覚えがあった。あれは真紅の・・・・・。<br> 銀「ホーリエぇ?」窓を叩いていたのは真紅の人工精霊、ホーリエだった。<br> 銀「窓を開けられないのぉ。真紅と一緒で、おばかさんねぇ。」<br> 私はホーリエを無視することにした。<br> 真紅が私に何の用があってホーリエを遣してきたかなど、興味はない。<br> 私は視線を机に向け直し、勉強を再開する。<br> 何かに集中していないと、JUMのことが頭によぎって辛い。<br> ペンが走り始めた頃、窓を叩く音がまた鳴り出す。<br> 銀「邪魔すると、容赦しないわよぉ。」ホーリエの方を向き、睨みつける。<br> すると驚いたのかホーリエが後ろに飛び退き、音が止む。<br> その様子を見ると、安心した私は勉強を再開する。<br> すると、またもや集中し始めた頃に窓を叩く音が鳴り出す。<br> 銀「うるさいわねぇ。窓を開ければいいんでしょぉ。」<br> 余りの騒音に、仕方なく窓を開けてやる。<br> 窓が開くと、ホーリエは待ち侘びていたかのように素早く部屋へと入る。<br> 銀「一体何の用なのよぉ。早く言いなさいよぉ。」<br> そう言ったものの、ホーリエは喋ることなどできはしない。<br> ホーリエは数回ほど私の周囲を旋回すると、私の頬に触れる。<br> 触れた頬を通じてホーリエに込められた何かが、私に流れ込む。<br> 銀「これは真紅の想い?」それは、とても寂しげで冷たい。<br> そんな雰囲気と共に一言のメッセージが浮かぶ。<br></p> <br> <p>紅「水銀燈。今夜0時に学園まで来て頂戴。」<br> 銀「今夜0時に学園に来い?」思わず真紅の言葉を繰り返してしまう。<br> けれども、物言わぬホーリエは私の問いに答えない。<br> そして、役目を終えたのかホーリエは窓から外に飛び去る。<br> 後に残されたのは、私と真紅のメッセージだけ。<br> 今夜0時に学園まで来て頂戴。心の中に、真紅のメッセージが蘇る。<br> それだけでは、何の意図があるのかすら分からない。<br> 銀「一体何なのよぉ・・・・もう・・・・。」<br> 真紅の言葉で私は時間が気になり、時計を見てみる。<br> 時計の針は、既に23時を回っていた。<br> 銀「もう23時ぃ。寝ちゃおうかなぁ。」集中するほど、時間が経つのは早いものだ。<br> 私は先程のことを忘れようとベッドに潜り込む。<br> たった一人のベッド。以前なら寂しい時は、JUMの布団に潜り込むこともあった。<br> でもここ数日、どれだけ寂しくても私は一人きり。一向に慣れない。<br> JUMのいないベッドの隙間がそのまま心の隙間となり、どうにも落ち着かない。<br> 10分、20分と時間だけがただ過ぎて行く。目を閉じても浮かぶのはJUMのことばかり。<br> 離れれば離れるほど、その距離を埋めるように想いが膨らんでゆく。<br> 銀「もぉダメねぇ。全然寝られそうにないわぁ。」<br> 私は自嘲の笑みを浮かべると、電灯に手を伸ばす。<br> 何気なく見た時計、時間は23時30分。<br> 『今夜0時に学園まで来て頂戴。』不意に真紅のメッセージを思い出してしまう。<br> 銀「仕方ないわねぇ。暇潰しに行くだけよぉ。」<br> 私は自分に言い訳をすると支度を整え、<br> JUMに気づかれないよう学園へと向かった。<br></p> <br> <p>薔薇学園。校庭の中央に一人佇む私。<br> 紅「水銀燈は来るかしら。」誰も答えない虚空に問う。<br> 蒼星石の言葉が心をよぎる。<br> 蒼「ねえ真紅。こう思うことはできないかな?<br>   愛する人と、その人が愛する人の為に尽くそうって。」<br> 蒼星石の言葉で私は決心がついた。そして私は、考えられるだけ考えた。<br> JUMのアリスになれない私が、JUMにしてあげられることを探して。<br> その結果、思いついたのはこの方法しかなかった。<br> 紅「覚悟は決まったけど、いざとなると震えてしまうものね。」<br> 気がつくと私の体は震えていた。寒さにではない。<br> 理性では覚悟を決めても、体は言うことを聞かない。<br> 不意に足音が聞こえる。私は立ち上がり校門の方を向く。足音の主は水銀燈だ。<br> 紅「ホーリエ!」水銀燈に背を向け、私は人工精霊を呼び出す。<br> 私はホーリエにそっと口付けをし、JUMへのメッセージを託す。<br> 紅「行きなさい、ホーリエ。私の想いを乗せて。」<br> 私はホーリエを送り出す。あとはJUMがここに来てくれさえすれば・・・・・。<br> 気を取り直すと私は向き直り、キッと水銀燈を睨む。<br> 紅「来てくれて嬉しいわ、水銀燈。」<br> 銀「余り睨むと、しわが増えるわよぉ。」水銀燈は茶化すが、私はそれを受け流す。<br> 銀「私をこんな時間に呼び出すなんて、どういうつもりぃ?」<br> ここで真意を悟られるわけにはいかない。<br></p> <br> <p> 紅「他でもない、アリスゲームの為よ。」私は表情を変えずに答える。<br> 銀「アリスゲーム?」水銀燈が聞き返す。<br> 紅「そうよ。その決着を付ける為に、貴女を呼んだ。」<br> 感情を消すよう勤め、できるだけ淡々と喋る。<br> 銀「どういうつもり?」対して表情が硬くなる水銀燈。<br> 紅「貴女を倒して、私がJUMのアリスになる。それだけよ。」<br> 銀「何を言っているのぉ。私はJUMのこと嫌いになったのよぉ。」<br> 普段の口調に戻し、水銀燈が答える。<br> 銀「だから真紅がJUMをどうしようと、私には関係ないわぁ。」<br> 水銀燈の声が僅かに震える。これは嘘だ。水銀燈は嘘をついている。<br> 放課後に見た、あの涙は紛れもなくJUMへのもの。<br> あえて、水銀燈の嘘を信じた振りをする。<br> 紅「それは知っているわ。でもJUMは、貴女への未練を捨てきれていない。<br>   だから貴女を倒す。JUMに私の方が優れていることを思い知らせるのよ。」<br> 私は虚空へ腕を伸ばすと愛用のステッキを呼び出す。<br> 銀「その為に、私を倒すというのねぇ。」<br> 紅「覚悟なさい、水銀燈。」私は水銀燈へ真っ直ぐにステッキを向ける。<br> 銀「本気なのね。」水銀燈が鋭い目付きで私を睨む。<br> 紅「当然よ。」私も負けじと水銀燈を睨み返す。<br> 雨の降り始めた薔薇学園、二人の戦いの幕が切って落とされた。<br> Another RozenMaiden 第9話  間奏 終<br> <br> Another RozenMaiden 第10話  激突 に続く。<br></p>

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