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<p><a title="anotherrozenmaiden5" name=
"anotherrozenmaiden5"></a> Another RozenMaiden<br>
第５話 愛憎<br>
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銀「ただいまぁ。」玄関の扉を開ける。だが、誰の返事もない。<br>
何気なく時計を見ると、時計の針は既に午前９時を回っていた。<br>
銀「JUM・・・。」一人で家を出ている間、時間はとても長く感じた。<br>
何も無い牢獄に閉じ込められているとさえ、思えた。<br>
ふとテーブルを見ると、JUMの朝食が手付かずのまま残されていた。<br>
銀「JUM。朝ご飯、食べてないのねぇ。<br>
遅刻しても良いから、ちゃんと食べて行ってほしかったわぁ。」<br>
気付けば、またJUMのことを考えている自分がいる。<br>
銀「JUM・・・。」私はもう一度その名を呟き、寂しさを埋めようと試みる。<br>
でも、それだけでは心の隙間を埋め切ることはできない。<br>
私はJUMの温もりを求め、ふらつく体を引きずり二階へと向かった。</p>
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廊下を歩き、JUMの部屋の前に立つ。ノックをせずに、少しだけ扉を開ける。<br>
部屋の中にJUMが居ても、それは構わない。私は、こっそりと部屋の中を覗き込む。<br>
銀「JUMぅ･････。」返事は戻ってこない。やはりJUMは学園に行っているのだ。<br>
ゆっくりとJUMの部屋に入る。JUMの領域に入り、部屋の中央で大きく息を吸い込む。<br>
すると、JUMとの一体感を僅かに得られる。でも、まだ足りない。<br>
机の椅子に座り、JUMのPCを起動してみる。こうすればJUMの領域に入り込めるから。<br>
PCの起動が終わると、ファイルの履歴を見てみる。<br>
JUMが何をしているのかを知りたかった。ごく最近のものに幾つかの画像があった。<br>
私はそれを開いてみる。画面に出てきたのは私の全裸画像。<br>
合成して作ったものだろうと思った。JUMが私を見ている。<br>
そう思うと私は衝動的に一体感を求め、JUMのベッドに入り横たわる。<br>
銀「JUMぅ･････。」心の空白を埋めようと、もう一度愛しい人の名を呼ぶ。<br>
返らない返事が孤独感を膨らませ、私の心を一杯にする。<br>
そして、私は無意識の内に自分を慰め始める。</p>
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私は寂しくなると、こうしていつの間にか自分を自分で慰めている。<br>
以前、JUMが両親に引き取られ、遠くへ行ってしまう。<br>
それを知った時にも、今と同じ様にこの行為に耽っていた。<br>
それ以来、寂しさに負けそうになる度に自分を慰めることで乗り切ってきた。<br>
この行為はいけないこと、背徳感を覚えつつも孤独感には勝てない。<br>
JUMのベッドで、この行為に耽るは初めてだ。<br>
それが刺激になるのか、いつもより感情が昂ってしまう。<br>
JUMも私と同じように、自分を慰めたりするのだろうか。<br>
もし、そうしているのなら、その時に想う相手は自分なのだろうか。<br>
PCにあった私の画像を見て、JUMは自分を慰めているのだろうか。<br>
JUM「ただいま。」不意に聞こえたJUMの声で、私は現実に引き戻される。<br>
もし、今JUMが部屋に入ってきたら、このあられもない姿を見られてしまう。<br>
JUMに見られてもいい。いっそのこと、この姿を見られてしまいたい。<br>
そう思うと、私の感情は更に高ぶってゆく。<br>
銀「JUMぅぅぅ･･･････！！」JUMの名を呼び、直後私の体から力が抜ける。<br>
我に返ると、私に残るのは背徳感と孤独感だけ。<br>
私はふらつく体を引きずり、JUMの部屋を後にする。<br>
廊下で声を上げないよう注意し、自分の部屋へと戻った。</p>
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JUM「水銀燈、居るのか？」JUMが私の部屋をノックしてくる。<br>
まだ、お昼前だというのにJUMがいる。<br>
きっとJUMは私を心配して、学園から帰ってきたのだろう。<br>
私は、あの後まだ着替えていない。<br>
この姿を見られれば、私が何をしていたのか気づかれてしまう。<br>
気が付かれる訳にはいかない。そう思い、私は黙っていることにした。<br>
黙っていれば、諦めて帰ってくれるかも知れない。<br>
JUM「入るぞ。」扉の開く音が聞こえ、JUMが部屋に入ってくる。<br>
とっさに部屋の扉と反対の方向を向き、寝たふりをする。<br>
寝ていれば、諦めて帰ってくれるだろう。<br>
JUM「水銀燈。･････寝ているのか。」JUMの足音が近づいてくる。<br>
やがて足音が止むと、暖かい手が私の頬を触れる。<br>
その手は頬から上へ少しずつ移動し、私の額で止まる。<br>
JUM「少し熱っぽいな。もしかしたら風邪かな。顔も赤い様だし。」<br>
JUMの遠ざかる足音が聞こえる。少し遅れて扉の閉まる音がする。<br>
一先ず危機は去った。でも、またJUMが戻ってくるかも知れない。<br>
私はベッドに潜ったまま、様子を見ることにした。<br>
程なくして、また扉の開く音が聞こえる。<br>
JUMが近づいてきたのか、息遣いを感じる。<br>
JUMが傍に居る。このまま時が止まってしまえば、ずっと離れることもないのに。<br>
突如水音が聞こえると、冷たい何かが額に触れる。<br></p>
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銀「きゃぁ。」思わず声が出てしまう。JUMに気づかれてしまっただろう。<br>
起き上がった拍子に、額から何かが落ちる。それは濡れタオルだった。<br>
JUMは風邪と思い込んでいたから、きっと私の為に････。<br>
JUM「起こしてしまったか？」JUMは私が眠っていたものと思い込んでいるらしい。<br>
銀「そうよぉ。」そんなJUMに、私は思わず嘘をついてしまう。<br>
JUM「そうか。すまない。」俯くとJUMが謝る。本当に悪いのは私なのに。<br>
銀「JUM。どうして戻ってきたのぉ？まだ授業があるでしょぉ。」<br>
私の為に戻って来たんだって、JUMに言葉にしてほしかった。<br>
JUM「水銀燈が、いつまでも学校に来ないからな。気になって探しに来た。」<br>
やっぱり私の為だ。JUMは優しい。<br>
JUM「何か飲むか？風邪を引いたなら水分も取らないとな。」<br>
JUMが私を気遣ってくれる。でも今は、JUMの優しさは私の心を抉る刃物でしかない。<br>
JUM「もっと甘えても良いんだぞ。いつも水銀燈に甘えているのは、僕の方だからな。」<br>
違う。甘えているのは私。私はただ、貴方に傍に居て欲しいだけ。<br>
それなのにJUM、貴方はどうしてこんなにも優しいの？<br>
でも、JUMはもうすぐ居なくなる。<br>
もし、これ以上好きになってしまえばJUMを失った時、私の心はジャンクになってしまう。<br>
銀「JUMなんか、大嫌いよぉ！」私は彼を拒絶する。私が私である為に。<br>
JUM「すまん。気に障ったか？」JUMの表情が暗くなる。そんな彼に私は背を向ける。<br>
またしても溢れ出した涙を見られないように。<br>
少ししてJUMの足音が聞こえ、次いで扉を開ける音が聞こえる。<br>
JUM「水銀燈を起こしてしまったのは俺なんだが･･････風邪なら、ちゃんと寝ろよ。」<br>
その言葉を残して扉が閉まる。彼は最後まで優しかった。<br>
そんな彼を私は嫌いになれるだろうか。<br>
無理にでも嫌いになるしかない。そう思い私は瞳を閉じた。<br>
Another RozenMaiden 第５話 愛憎 終<br>
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Another RozenMaiden 第６話 拒絶 に続く。</p>
