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めざせ歌姫!その3」(2007/11/22 (木) 15:32:50) の最新版変更点

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<p>~メグの日記~<br> <br> △月◎日。<br> <br> 季節も移り変わって、外の風景が随分と質素になった。草木が枯れ果てていく様を見るのはキライじゃなかったんだけど…今は微妙ね。<br> <br> そうそう、この前大きな検診をしたの。胸の痛みが前より強くなってきちゃったから。<br> <br> …その後からかな。佐原さんの態度が変わったのは。何処がって言えるほどじゃないんだけどね。まぁ、水銀燈と同じくらい私といる時間が長いものね。だから判っちゃうんだろうなぁ。<br> <br> それともう一つ。薬が新しいのに変わった。前も減らしたり増やしたりはあったけど、こんなに変わったのは初めて。<br> <br> で、その薬を飲んでたら、胸の痛みが来る頻度がぐんと減ったの。なによもう、こんないい薬があるなら早くくれればよかったのに。佐原さん達も意地悪なんだから。これで楽に生活できるわね!<br> <br> <br> …そんな風に喜ぶには、私はこの病院という場所に長居し過ぎたみたい。<br> あと、これらの意味が理解出来ないほど、頭は弱ってくれはしなかったから。 <br> <br> <br> <br> ガチャ…<br> 「あ~寒いわぁあ…この部屋はいいわねぇ…」<br> ふふふ、この病院自慢のスイートよ?年中快適なんだから。これでベッドがキングサイズの高級品なら文句ないのになぁ~。<br> 「どこにホテルのベッドを入れてる病院があるのよぉ…。ちょっと暖かい飲み物もらうわぁ…」<br> あら、ヤクルトじゃなくていいの?<br> 「こんな状態であの美味しさを楽しめるワケないでしょう。日本人はコタツに入りながら飲むって歴史があるのよぉ?」<br> 随分と浅い歴史もあったものね。…はい、おしるこ。小豆を残さず飲めたら褒めてあげる。<br> 「んぐっ…ぷは~…。で、何をしてるのさっきから?」<br> これ?のりさんから送られた曲を焼いてるのよ。<br> 「ああ、そういえばそんな事言ってたわねぇ。言語留学にイギリスに行って…ジュンへ歌を贈りたいから曲を作って…だったかしらぁ?」<br> そ。最近ジュン君しょげてたでしょ?やっぱり淋しいのね。<br> 「まぁ、真紅が居るから多少は紛れるでしょうけど。なんだかんだで仲良し姉弟だったしねぇ」<br> …ん、終わったわね。そうだ、せっかくだから聞いてみる?私とのりさんの合作。<br> 「そうね。のりさんの歌声なんて初めて聞くわぁ」<br> じゃあ再生するね。曲名は『you』よ。 <br> <br> <br> ウィイイ…<br> 『<br> 気付けば 満天の星。ジュンも 見上げるのかなぁ。<br> 夢 追い掛けた私に 言う資格は無いけれど<br> 体に気をつけてね 朝もちゃんと食べるのよぅ。<br> <br> 届けてこの想い 風よ星よ 全てを包み込むこの光り。<br> 守ってあの子を 風よ星よ 私の代わりにいつまでも…<br> <br> また、会えた時になら 「ジュン君」って呼んでいいよね?<br> あの家で過ごした日々が たまらなく愛しいから<br> そして、優しく抱きしめるの 恥ずかしがるの見たいから。<br> <br> 伝えてこの願い 風よ星よ 楽しみに頑張っている事を<br> 支えてあの子を 風よ星よ 私の代わりにいつまでも…<br> 』<br> <br> 「ふぅん…のりさん案外上手いわねぇ。気持ちが入ってて…いい曲じゃないの。これならジュンも喜ぶわねぇ」<br> そう思う?よかった。ならこのCDジュン君に渡してくれる?<br> 「ええ、了解したわぁ」 <br> <br> …あとね水銀燈。実はもう一曲作ってあるの。<br> 「あら、今度は誰の依頼?」<br> ううん…これは自分で。今度はジュン君からのりさんに向けての曲。<br> 「へぇ…貴方にしては珍しいわねぇ。それをジュンに歌わせる気?」<br> ふふっ、それは考えてないけど、ジュン君が気に入ってくれたらのりさんに贈ろうかなって。…ねぇ、この曲も聞いていってよ。私が歌うから。<br> 「あら、ライブ会場借りないの?」<br> うん。いいの。今、ここで。<br> 「…そう。なら、聞こうかしら」<br> ありがとう水銀燈。この題名は…『Thanks』よ<br> <br> <br> 瞳を閉じれば思い出す 鮮やかな日常の色。<br> 毎日一緒に話したね 楽しく笑ってたよね<br> <br> でも優しい言葉だけじゃない ちゃんと厳しく叱ってくれた。<br> 迷子になってたあの時も あなたが傍に居てくれたね<br> <br> 繋がり合った絆が作る奇跡 暗闇に輝いた貴方の手。<br> 照れ臭くて言葉に出来ないけど いつも思ってるよ ありがとう…<br> <br> <br> 私が歌い終わっても水銀燈は何も言わなかった。ただ、俯いているだけ。<br> だから私も何も言わず、水銀燈が何か言い出すのを待った。<br> …どのくらいたったかな。水銀燈が話す気配がないから、こちらから話してみた。 <br> <br> ねぇ、水銀燈?この歌、相手に想いは伝わると思う?<br> <br> すると水銀燈は目を擦りながらこちらを向いた。<br> 「ええ…。少なくとも、私はそう思うわぁ。のりにも聞かせてあげたいわね」<br> そう、笑いながら言った。…いや、笑おうとしながら言った。だって、笑えてないんだもの。目、真っ赤よ水銀燈。<br> <br> その後すぐに『用事を思い出した』って言って帰っちゃった。まぁ、聞いて欲しかった曲は聞かせたからいいんだけどね。<br> …ちゃんとCD渡してくれるかしら。<br> <br> <br> <br> 私が歌い終わった後、しばらく黙っていた水銀燈を見て、嬉しく思うのと同時に『やっぱり』って思った。<br> 嬉しく思うのは、私が意味する所をちゃんと汲み取ってくれたから。<br> やっぱりって思ったのは、私が意味する所をちゃんと汲み取ってしまったから。<br> <br> 検診の後態度が変わった佐原さん。そして、その数日後に同じ変化を見せたのが水銀燈だった。…だから気付いたってのもあるわね。ほんの些細な違いなんだろうし。<br> <br> さて、と。別に後悔なんてないけど、私には一つ、やらなきゃいけない事が残ってる。私にはその責任があると思うから。今度、ジュン君が来たら相談しよう。<br> <br> そして果たそう。私が自ら負った、最後の義務を。 <br> <br> <br> 元曲、『you(off vocal)』『Thanks(off vocal)』</p>

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