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Another RozenMaiden 第3話  誤解」(2006/05/31 (水) 21:50:50) の最新版変更点

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<p><a title="anotherrozenmaiden3" name= "anotherrozenmaiden3"></a>         Another RozenMaiden<br>            第3話 誤解 <br> 翌日。面談の時間。<br> 囚人達が群れを成し、刑の執行をただただ待つ。そんな表現が似合う教室内。<br> 既に罰を受けた者は呻き、執行を待つ者はいずれ来るべき運命を嘆いている。<br> 金「何で私が怒られるのかしらー。」<br> また一人、罰を受けた物が机に突っ伏し、呻きを上げる。<br> 紅「敗者とは哀れなものね。」優雅に紅茶を啜る真紅。だが、その手は震えている。<br> 真紅のそれは、迫り来る恐怖からなのだろうか。<br> 金「次は雛苺の番かしらー。」目を回しながら、金糸雀が次の犠牲者の名を告げる。<br> 雛「うにゅ~。行ってくるのー。」フラフラと歩く雛苺。これはもうダメだろう。<br> 紅「雛苺。貴女の骨は拾ってあげるわ。」真紅の見解でも雛苺は死亡確定らしい。<br> JUM「ところで、金糸雀はどう答えたんだよ。」<br> 参考までに一応聞いてみる。まともな回答が来るかすら、怪しいが。</p> <br> <p>翠「お、お腹すいたですぅなんか食いにいくです」<br> ジ「そうだな、なにくいたい?」<br> 翠「う~ん・・・ハンバーグがいいです!」<br> ジ「ハンバーグか、んじゃあの店だな」<br> <br> レストラン「槐」<br> <br> 翠「花丸ハンバーグのセットを一つ」<br> ジ「んじゃ僕はこのラプラスの姿焼きというのを一つ」<br> 白崎「はい、花丸ハンバーグとラプラスの姿焼きですね、少々お待ちください」<br> ラ「また食われるのか・・・」<br> <br> 18分後<br> <br> ウェイた-「お待たせしましたこちら花丸ハンバーグのセットになります」<br> 翠「はいです」<br> ウ「こちらラプラスの姿焼きになります」<br> ジ「で、でかいな」<br> 翠「美味しそうですぅ、いっただきますです」ムシャムシャ<br> 翠「こいつは中々見所があるですね」モグモグ<br> ジ「翠星石ホッペにケチャップがついてるぞ」と翠星石のホッペからケッチャップを直に舐めとる<br> 翠「な、なにするですか・・(///)」<br> ジ「いや何って翠星石のホッペからケッチャップを取り除いただけだぞ?」<br> 翠「だからなんで」<br> ジ「翠星石を舐めたくなったからw」<br> 翠「翠星石は舐めるものじゃねぇ~ですよ(///)ボッ」</p> <br> <p> 金「薔薇大学に進学して事務のパソコンをハッキング。<br>   楽してズルして大卒資格ゲット!かしらー!!」<br> 椅子から降り、決めポーズをつけて語る金糸雀。反省の色、無しである。<br> 蒼「それを口に出しちゃったんだね。」呆れ顔の蒼星石。<br> 翠「おめーは、ただのアホですぅ。」ダメ人間を前に得意げになる翠星石。<br> 金「言い返せないかしらー。」金糸雀はすっかり打ちのめされ、床に伸びてしまう。<br> JUM「さて、何と答えたものかな。」自分も余り考えていない身分だったりする。<br> 紅「JUMは、まだ悩んでいるの?」<br> JUM「ああ。実はな・・・・・。」このままでは、金糸雀の二の舞になるかも知れない。<br> 紅「全く・・・・ダメな家来ね。」お決まりの文句を言われてしまう。<br> JUM「真紅はどうなんだ?」<br> こう言うからには、真紅は面談で発言するネタがあるのだろう。<br> 紅「わ、私のことは関係ないのだわ。」<br> 途端に声が震え始める真紅。どうやら僕と同じで、何も考えていないらしい。<br> 紅「だ、大体からして貴方は・・・・・・・。」<br> 僕に説教を始める真紅。このままでは色々と文句を言われそうだ。<br> JUM「水銀燈は、どう答えるんだ?」とっさに会話の相手を変えることにする。</p> <br> <p>銀「私ぃ?専業主婦っていうのも悪くないわぁ。」<br> 水銀燈の回答も、やっぱり参考にならない。<br> 翠「相手が居なければ、ただの無職ですぅ。」<br> 銀「うるさいわねぇ。私にはJUMが居るのよぉ。」<br> 公衆の面前で、平然と抱きついてくる水銀燈。<br> これから水銀燈も裁きを受けるというのに、のん気なものだ。<br> 銀「料理関係の専門学校もいいわねぇ。<br>   JUMが薔薇大学に進学するなら、私も進学してみてもいいわぁ。」<br> 悪い気はしないが、結局のところ僕頼りらしい。<br> 雛「うにゅ~。怒られたの~。」目を回した雛苺が教室に戻ってくる。<br> JUM「雛苺は、どう答えたんだ?」<br> 雛苺を見れば敗者なのは一目瞭然だが、一応聞いてみる。<br> 雛「うにゅ~って答えたの~。」言い終わると床に伸びてしまう雛苺。<br> 紅「雛苺。余りバカなことを言って、主人である私に恥をかかせないで頂戴。」<br> 翠「チビチビが苺大福になったら、真っ先に翠星石が食べてやるですぅ。」<br> 真紅と翠星石による波状攻撃を受ける雛苺。<br> 雛「うにゅ~。」すっかり打ちのめされた雛苺は、辛うじて席に着く。<br> 雛「次はJUMなのー。」雛苺が次の犠牲者を告げる。それは僕だった。<br> 紅「JUM。私に恥を欠かせないように気をつけなさい。」<br> 自分の名でなかったからか、ほっとしている真紅。<br> 蒼「JUM君。気をつけてね。」死地に行く者を見送るような目をする蒼星石。<br> JUM「行ってくる。」今更焦っても仕方がない。僕は覚悟を決め教室をでる。<br> 銀「気になるから、覗きに行ってくるわぁ。」<br> 僕は緊張していた為か、こっそりと水銀燈が付いてきていることに気が付かなかった。</p> <br> <p> JUM「よろしくお願いします。」ゆっくりと面談屋の扉を開ける。<br> 梅「次は桜田か。」普段は威厳の無い教師というイメージがある梅岡。<br> だが、こうして二人だけになると、それが一転してしまう。<br> JUM「はい。」正直言って欝だが仕方がない。<br> 昨日は真面目に調べてしまったが、大した情報がない。<br> 適当に薔薇大学に進学するとでも答えれば良いだろう。<br> 梅「それで、桜田は今後の進路。将来について、どのような道を進もうと思っている?」<br> 将来か。ここで薔薇大学の進学、そう答えたとしてもそれは過程だというオチか?<br> 思考を重ねた結果、当たり障りの無い程度に小出しで情報を伝えることにした。<br> これなら十分、間も持つだろう。<br> JUM「人形師やそれに関連した方向を目指そうと思っています。」<br> 梅「そうか、夢を持つことは良いことだな。」軽く笑顔で返してくれる梅岡。<br> 否定はされなかった。思ったより、良い奴なのかも知れない。<br> 梅「具体的に今後はどうなるんだ?」少し厳しい顔で梅岡が続ける。<br> ここまで突っ込んで聞かれるとはな。ここから先の情報がないというのに。<br> これなら金糸雀や雛苺では、ボロが出ても不思議ではない。<br> JUM「外国に渡って、住み込みで修行とか・・・・・そうなると思います。」<br> 僅かな情報から、今後の見通しを予想して伝える。それが僕のできる限界だった。<br> </p> <br> <p>JUM「やっと終わったか・・・・・疲れたな。」<br> 面談は無事終了し、疲労感が僕を襲う。<br> 予想以上に梅岡が突っ込んだことを聞くものだから、<br> 僕はすっかり気圧されてしまった。<br> 落ち着くと、面談室の傍に水銀燈がいることに気がつく。<br> JUM「水銀燈・・・・・。覗いていたのか?」僕の問いに水銀燈は答えない。<br> 心なしか水銀燈の顔が青ざめて見える。<br> 面談を覗いていたことで、僕に怒られるとでも思っているのだろうか。<br> JUM「どうした?覗いていたとしても、僕は別に怒ったりしないぞ。」<br> またも僕の言葉に反応しない水銀燈。目が泳いでいるようだ。<br> JUM「おい!水銀燈!!」水銀燈の両肩に手を置く。僅かに手が揺れる。<br> 水銀燈が震えているのか?<br> JUM「!」水銀燈が、突如僕の手を払いのける。<br> そのままの体勢で2、3歩後退すると、水銀燈は近くの階段を駆け下りる。<br> JUM「水銀燈!?」慌てて追いかけるが、水銀燈の姿は既に見えない。<br> どうやら見失ってしまったようだ。<br> JUM「一体何なんだ?」不可解だが、後で水銀燈宛にメールでもしておけば良いだろう。<br> そう思い、僕は次の順番を伝える為に教室へと戻った。</p> <br> <p>全生徒の面談が終了し、HRが始まろうとしている。<br> JUM「水銀燈は何所に行ったんだ?」だが、水銀燈の席に主の姿は無い。<br> 梅「HRを始めるぞ。みんな席に着け!」梅岡が教室に入り、HRが始まる。<br> 梅「水銀燈はどうした?面談の時も居なかったが。」<br> 教室内の空白に気づき、梅岡が誰ともなく尋ねる。やがて梅岡の目が僕に留まる。<br> 梅「JUM。何か知らないか?」水銀燈のことなら、僕に聞くのがてっとり早いのだろう。<br> JUM「僕は・・・・何も・・・・。」本当に僕は知らない。面談後以来、水銀燈の姿を見ていない。<br> メールを送り、水銀燈からの返信を待っている状態なのだ。<br> 蒼「水銀燈は、具合が悪くなったので早退しました。」<br> 言葉の詰まる僕に代わり、蒼星石が答えてくれる。<br> 梅「そうだったのか。分かった。」優等生である蒼星石は、教員からの信頼も厚い。<br> 梅岡も蒼星石の言葉を信じたようだ。<br> それにしても、水銀燈はいつの間に早退したのだろう。<br> JUM「蒼星石。今、言ったことは本当なのか?」<br> 梅岡に注意しつつ、蒼星石に話しかけてみる。<br> 蒼「違うけど、この場を何とかしないとね。」<br> どうやら蒼星石は、気を回してくれたらしい。<br> JUM「気を遣わせてしまったのか。ありがとう。」<br> 蒼「どういたしまして。」蒼星石の機転でこの場はしのげた。<br> だが、水銀燈が行方不明なのに変わりはない。<br> JUM「それにしても水銀燈。・・・・・本当にどうしたんだ?」苛立ちが不安へと変わる。<br> 蒼「JUM君。本当に何も知らないの?」<br> JUM「ああ・・・・・。僕の面談を、外で聞いていたらしいんだが。」<br> 僕は最後に水銀燈と会った時のことを蒼星石に伝えた。<br> JUM「その後、水銀燈を見失って・・・・・。それ切りだよ。」<br> 蒼「そうなんだ・・・・。」<br> JUM「携帯にも反応が無いしな。心配だ。」携帯はいまだに沈黙を保っている。</p> <br> <p> 翠「水銀燈水銀燈って、いけ好かねーヤローですぅ。」<br> 蒼星石とのやり取りを、横から聞いていた翠星石が口を挟む。<br> 翠「きっと逃げたのですぅ。」ビシッと人差し指を僕に向ける翠星石。<br> JUM「逃げたって、何からだよ?」<br> 水銀燈は、僕から逃げた様に見えなくもなかった。でも、まさかな・・・・・。<br> 翠「チビ人間が面談で無様な姿を晒すところ見て、怖気づいたのですぅ。」<br> 先の面談が好調だった翠星石は得意げだ。<br> まあ、蒼星石と二人一緒に面談をしたのだから当然だろう。<br> JUM「そんな理由だと良いんだけどな。」<br> 水銀燈の性格なら、面談程度で逃げたりしないだろう。<br> 翠「水銀燈も、真紅の様に潔く散れば良かったのですぅ。」<br> 蒼「真紅は、こういう事が得意そうに見えるんだけどね・・・・・。」<br> 紅「私がジャンク・・・・?そんな筈はないわ・・・・ジャンクは水銀燈よ。」<br> 一体、梅岡に何と言われたのだろう。<br> 小声でジャンクと呟き続ける真紅は、まるで廃人そのものだ。<br> 蒼「とにかく、HRが終わり次第探した方がいいね。僕も手伝うよ。」<br> JUM「助かる。」気が着くと周囲の人影は疎らになっていた。<br> 蒼星石と話す間にHRが終わったらしい。<br> 蒼「それじゃ、僕と翠星石は学園内を探してみるよ。」蒼星石が翠星石の手を取る。<br> 翠「しゃーねーなーですぅ。翠星石も手伝ってやるから感謝するですよ。」<br> JUM「頼む。僕は一度家を見てくる。」性悪の言葉に構っている暇はない。<br> 僕は鞄を手に、家へと駆け出した。<br> Another RozenMaiden 第3話  誤解 終<br> <br> Another RozenMaiden 第4話  異変 に続く。<br></p>
<p><a title="anotherrozenmaiden3" name= "anotherrozenmaiden3"></a>         Another RozenMaiden<br>            第3話 誤解 <br> 翌日。面談の時間。<br> 囚人達が群れを成し、刑の執行をただただ待つ。そんな表現が似合う教室内。<br> 既に罰を受けた者は呻き、執行を待つ者はいずれ来るべき運命を嘆いている。<br> 金「何で私が怒られるのかしらー。」<br> また一人、罰を受けた物が机に突っ伏し、呻きを上げる。<br> 紅「敗者とは哀れなものね。」優雅に紅茶を啜る真紅。だが、その手は震えている。<br> 真紅のそれは、迫り来る恐怖からなのだろうか。<br> 金「次は雛苺の番かしらー。」目を回しながら、金糸雀が次の犠牲者の名を告げる。<br> 雛「うにゅ~。行ってくるのー。」フラフラと歩く雛苺。これはもうダメだろう。<br> 紅「雛苺。貴女の骨は拾ってあげるわ。」真紅の見解でも雛苺は死亡確定らしい。<br> JUM「ところで、金糸雀はどう答えたんだよ。」<br> 参考までに一応聞いてみる。まともな回答が来るかすら、怪しいが。</p> <br> <p> 金「薔薇大学に進学して事務のパソコンをハッキング。<br>   楽してズルして大卒資格ゲット!かしらー!!」<br> 椅子から降り、決めポーズをつけて語る金糸雀。反省の色、無しである。<br> 蒼「それを口に出しちゃったんだね。」呆れ顔の蒼星石。<br> 翠「おめーは、ただのアホですぅ。」ダメ人間を前に得意げになる翠星石。<br> 金「言い返せないかしらー。」金糸雀はすっかり打ちのめされ、床に伸びてしまう。<br> JUM「さて、何と答えたものかな。」自分も余り考えていない身分だったりする。<br> 紅「JUMは、まだ悩んでいるの?」<br> JUM「ああ。実はな・・・・・。」このままでは、金糸雀の二の舞になるかも知れない。<br> 紅「全く・・・・ダメな家来ね。」お決まりの文句を言われてしまう。<br> JUM「真紅はどうなんだ?」<br> こう言うからには、真紅は面談で発言するネタがあるのだろう。<br> 紅「わ、私のことは関係ないのだわ。」<br> 途端に声が震え始める真紅。どうやら僕と同じで、何も考えていないらしい。<br> 紅「だ、大体からして貴方は・・・・・・・。」<br> 僕に説教を始める真紅。このままでは色々と文句を言われそうだ。<br> JUM「水銀燈は、どう答えるんだ?」とっさに会話の相手を変えることにする。</p> <br> <p>銀「私ぃ?専業主婦っていうのも悪くないわぁ。」<br> 水銀燈の回答も、やっぱり参考にならない。<br> 翠「相手が居なければ、ただの無職ですぅ。」<br> 銀「うるさいわねぇ。私にはJUMが居るのよぉ。」<br> 公衆の面前で、平然と抱きついてくる水銀燈。<br> これから水銀燈も裁きを受けるというのに、のん気なものだ。<br> 銀「料理関係の専門学校もいいわねぇ。<br>   JUMが薔薇大学に進学するなら、私も進学してみてもいいわぁ。」<br> 悪い気はしないが、結局のところ僕頼りらしい。<br> 雛「うにゅ~。怒られたの~。」目を回した雛苺が教室に戻ってくる。<br> JUM「雛苺は、どう答えたんだ?」<br> 雛苺を見れば敗者なのは一目瞭然だが、一応聞いてみる。<br> 雛「うにゅ~って答えたの~。」言い終わると床に伸びてしまう雛苺。<br> 紅「雛苺。余りバカなことを言って、主人である私に恥をかかせないで頂戴。」<br> 翠「チビチビが苺大福になったら、真っ先に翠星石が食べてやるですぅ。」<br> 真紅と翠星石による波状攻撃を受ける雛苺。<br> 雛「うにゅ~。」すっかり打ちのめされた雛苺は、辛うじて席に着く。<br> 雛「次はJUMなのー。」雛苺が次の犠牲者を告げる。それは僕だった。<br> 紅「JUM。私に恥を欠かせないように気をつけなさい。」<br> 自分の名でなかったからか、ほっとしている真紅。<br> 蒼「JUM君。気をつけてね。」死地に行く者を見送るような目をする蒼星石。<br> JUM「行ってくる。」今更焦っても仕方がない。僕は覚悟を決め教室をでる。<br> 銀「気になるから、覗きに行ってくるわぁ。」<br> 僕は緊張していた為か、こっそりと水銀燈が付いてきていることに気が付かなかった。</p> <br> <p> JUM「よろしくお願いします。」ゆっくりと面談屋の扉を開ける。<br> 梅「次は桜田か。」普段は威厳の無い教師というイメージがある梅岡。<br> だが、こうして二人だけになると、それが一転してしまう。<br> JUM「はい。」正直言って欝だが仕方がない。<br> 昨日は真面目に調べてしまったが、大した情報がない。<br> 適当に薔薇大学に進学するとでも答えれば良いだろう。<br> 梅「それで、桜田は今後の進路。将来について、どのような道を進もうと思っている?」<br> 将来か。ここで薔薇大学の進学、そう答えたとしてもそれは過程だというオチか?<br> 思考を重ねた結果、当たり障りの無い程度に小出しで情報を伝えることにした。<br> これなら十分、間も持つだろう。<br> JUM「人形師やそれに関連した方向を目指そうと思っています。」<br> 梅「そうか、夢を持つことは良いことだな。」軽く笑顔で返してくれる梅岡。<br> 否定はされなかった。思ったより、良い奴なのかも知れない。<br> 梅「具体的に今後はどうなるんだ?」少し厳しい顔で梅岡が続ける。<br> ここまで突っ込んで聞かれるとはな。ここから先の情報がないというのに。<br> これなら金糸雀や雛苺では、ボロが出ても不思議ではない。<br> JUM「外国に渡って、住み込みで修行とか・・・・・そうなると思います。」<br> 僅かな情報から、今後の見通しを予想して伝える。それが僕のできる限界だった。<br> </p> <br> <p>JUM「やっと終わったか・・・・・疲れたな。」<br> 面談は無事終了し、疲労感が僕を襲う。<br> 予想以上に梅岡が突っ込んだことを聞くものだから、<br> 僕はすっかり気圧されてしまった。<br> 落ち着くと、面談室の傍に水銀燈がいることに気がつく。<br> JUM「水銀燈・・・・・。覗いていたのか?」僕の問いに水銀燈は答えない。<br> 心なしか水銀燈の顔が青ざめて見える。<br> 面談を覗いていたことで、僕に怒られるとでも思っているのだろうか。<br> JUM「どうした?覗いていたとしても、僕は別に怒ったりしないぞ。」<br> またも僕の言葉に反応しない水銀燈。目が泳いでいるようだ。<br> JUM「おい!水銀燈!!」水銀燈の両肩に手を置く。僅かに手が揺れる。<br> 水銀燈が震えているのか?<br> JUM「!」水銀燈が、突如僕の手を払いのける。<br> そのままの体勢で2、3歩後退すると、水銀燈は近くの階段を駆け下りる。<br> JUM「水銀燈!?」慌てて追いかけるが、水銀燈の姿は既に見えない。<br> どうやら見失ってしまったようだ。<br> JUM「一体何なんだ?」不可解だが、後で水銀燈宛にメールでもしておけば良いだろう。<br> そう思い、僕は次の順番を伝える為に教室へと戻った。</p> <br> <p>全生徒の面談が終了し、HRが始まろうとしている。<br> JUM「水銀燈は何所に行ったんだ?」だが、水銀燈の席に主の姿は無い。<br> 梅「HRを始めるぞ。みんな席に着け!」梅岡が教室に入り、HRが始まる。<br> 梅「水銀燈はどうした?面談の時も居なかったが。」<br> 教室内の空白に気づき、梅岡が誰ともなく尋ねる。やがて梅岡の目が僕に留まる。<br> 梅「JUM。何か知らないか?」水銀燈のことなら、僕に聞くのがてっとり早いのだろう。<br> JUM「僕は・・・・何も・・・・。」本当に僕は知らない。面談後以来、水銀燈の姿を見ていない。<br> メールを送り、水銀燈からの返信を待っている状態なのだ。<br> 蒼「水銀燈は、具合が悪くなったので早退しました。」<br> 言葉の詰まる僕に代わり、蒼星石が答えてくれる。<br> 梅「そうだったのか。分かった。」優等生である蒼星石は、教員からの信頼も厚い。<br> 梅岡も蒼星石の言葉を信じたようだ。<br> それにしても、水銀燈はいつの間に早退したのだろう。<br> JUM「蒼星石。今、言ったことは本当なのか?」<br> 梅岡に注意しつつ、蒼星石に話しかけてみる。<br> 蒼「違うけど、この場を何とかしないとね。」<br> どうやら蒼星石は、気を回してくれたらしい。<br> JUM「気を遣わせてしまったのか。ありがとう。」<br> 蒼「どういたしまして。」蒼星石の機転でこの場はしのげた。<br> だが、水銀燈が行方不明なのに変わりはない。<br> JUM「それにしても水銀燈。・・・・・本当にどうしたんだ?」苛立ちが不安へと変わる。<br> 蒼「JUM君。本当に何も知らないの?」<br> JUM「ああ・・・・・。僕の面談を、外で聞いていたらしいんだが。」<br> 僕は最後に水銀燈と会った時のことを蒼星石に伝えた。<br> JUM「その後、水銀燈を見失って・・・・・。それ切りだよ。」<br> 蒼「そうなんだ・・・・。」<br> JUM「携帯にも反応が無いしな。心配だ。」携帯はいまだに沈黙を保っている。</p> <br> <p> 翠「水銀燈水銀燈って、いけ好かねーヤローですぅ。」<br> 蒼星石とのやり取りを、横から聞いていた翠星石が口を挟む。<br> 翠「きっと逃げたのですぅ。」ビシッと人差し指を僕に向ける翠星石。<br> JUM「逃げたって、何からだよ?」<br> 水銀燈は、僕から逃げた様に見えなくもなかった。でも、まさかな・・・・・。<br> 翠「チビ人間が面談で無様な姿を晒すところ見て、怖気づいたのですぅ。」<br> 先の面談が好調だった翠星石は得意げだ。<br> まあ、蒼星石と二人一緒に面談をしたのだから当然だろう。<br> JUM「そんな理由だと良いんだけどな。」<br> 水銀燈の性格なら、面談程度で逃げたりしないだろう。<br> 翠「水銀燈も、真紅の様に潔く散れば良かったのですぅ。」<br> 蒼「真紅は、こういう事が得意そうに見えるんだけどね・・・・・。」<br> 紅「私がジャンク・・・・?そんな筈はないわ・・・・ジャンクは水銀燈よ。」<br> 一体、梅岡に何と言われたのだろう。<br> 小声でジャンクと呟き続ける真紅は、まるで廃人そのものだ。<br> 蒼「とにかく、HRが終わり次第探した方がいいね。僕も手伝うよ。」<br> JUM「助かる。」気が着くと周囲の人影は疎らになっていた。<br> 蒼星石と話す間にHRが終わったらしい。<br> 蒼「それじゃ、僕と翠星石は学園内を探してみるよ。」蒼星石が翠星石の手を取る。<br> 翠「しゃーねーなーですぅ。翠星石も手伝ってやるから感謝するですよ。」<br> JUM「頼む。僕は一度家を見てくる。」性悪の言葉に構っている暇はない。<br> 僕は鞄を手に、家へと駆け出した。<br> Another RozenMaiden 第3話  誤解 終<br> <br> Another RozenMaiden 第4話  異変 に続く。<br></p>

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