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「第十話「SHINE」」(2007/08/31 (金) 06:43:59) の最新版変更点
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<p>夢をみていたいのさ あきらめたりせずに<br>
出来るだけの事を 時が足りない程さ<br>
<br>
夢を見ていられたなら 時々は壊れよう<br>
この胸に刻んだ この熱は冷めやしない<br>
<br>
<br>
ドサッ。ジュンが倒れた。<br>
私は混乱しながらも、なんとか救急車を呼ぶ。<br>
ジュンの手を握り、ジュンの名を呼びながら、私はこんなことを思い出していた。<br>
<br>
LUNA SEA 第十話 「SHINE」<br>
<br>
犬が死に、ジュンにてつだってもらってお墓を作った時。泣きながら犬を埋めたその時。<br>
終わった後、二人で話をした。<br>
「ねぇ。ジュンはどこにも行ったりしないですよねぇ?」<br>
「は?どうしたんだよ。いきなり」<br>
「答えるです。突然ジュンはいなくなったりしないですよね?」<br>
「うーん。どうかな?」<br>
「はっきり答えるです!くんくんみたいにジュンも、いなくなったりしないですよね!<br>
くんくんがいなくなって、悲しいのに、ジュンまでいなくなってしまったら、<br>
翠星石はどうしたらいいですかぁ!」 <br>
<br>
<br>
「う~ん、多分。約束してやるよ。<br>
ずっと一緒にいてやるから、な?<br>
泣きやめって。いつもの性悪なほうがお前らしいぞ」<br>
「な、なに言うですか!このチビ!ふざけるなです!こんな時に!」<br>
<br>
ここからはいつも通りのケンカになってしまった。<br>
まぁ、ジュンは私を元気づけようとしたんだろう。<br>
やり方は悪かったが、確かに私は調子を取り戻したんだった。<br>
<br>
シャリシャリ。よくある1シーンのように、林檎を剥いている。<br>
一応持ち直したものの、予断を許さない状況だそうだ。<br>
<br>
「ごめんな、翠星石。心配かけて」<br>
「いいんですよ。まだこうしてくれているんですから」<br>
「でもなぁ、もう少しもってくれると思ってたんだけどなぁ」<br>
「そんなこと言わないで欲しいです。一緒にいられるだけでも、翠星石は幸せなんですから」<br>
<br>
<br>
<br>
彼の話によると、ガンが発覚し、すぐに手術で取り除いたらしい。<br>
そして二週間ほどで退院、それからは抗がん剤の治療のため、三週間は通院。<br>
だが、その抗がん剤が合わなかったため、今の経口剤に切り替わったとのこと。<br>
医者からはガンの詳しいことは教えられなかったが、<br>
のりの様子を見て、これはおかしい、と気付き、問い詰めた所、知ったそうだ。<br>
<br>
…一時は自殺まで考えた。<br>
<br>
その言葉が私に重くのしかかる。<br>
<br>
そうして、自暴自棄になっている所を、蒼星石と、<br>
例のジュンにアプローチをかけている上司のおかげでなんとか立ち直れたらしい。<br>
<br>
その後、その二人への恩返しで一ヶ月半、今までに関わった人への別れを告げるのに、一週間ほど、<br>
私の所へは、一番最後。<br>
一番別れを告げにくかったと言う。<br>
<br>
私は怒りたかった。けど、怒れなかった。<br>
ジュンの気持ちは、はっきりと伝わってくる…。<br>
切ないほどに、哀しいほどに。<br>
<br>
<br>
<br>
話は変わるが、お見舞いには、のり、蒼星石、そして、例の上司が来る。<br>
真紅さんというらしい。<br>
彼女と初めて会った時、私は本当に見とれてしまった。<br>
綺麗な人…。<br>
まぁ、私自身、極度の人見知り、というのもあるのだが。<br>
会話にはならなかった。<br>
何度か会うにつれ、少しずつ慣れてきたが。<br>
話して分かったことだが、本当にできる人なんだな、と思った。<br>
女王様のような威厳の中に、ふと見せる優しさ。<br>
彼女は上に立つ人間であることは強く印象づけられた。<br>
…よくこの人にジュンはなびかなかったな。<br>
きっと彼はこんな人には弱いと思うのに…。<br>
<br>
他にもお見舞いではなく、雛苺という看護師がよく遊びに来る。<br>
仕事ではなく、本当に遊びに、だ。担当ではあるそうなのだが…。<br>
仕事の時は、かなり手際よく、要領がよいのだが、精神年齢が幼すぎる。<br>
本当に成人、いや、本当は小学生じゃないのか?と疑ってしまうほどに。<br>
だが聞くところによると、この性格に癒される人も多く、アイドル的な存在らしい。<br>
…う~ん。少しいじめたい。<br>
<br>
<br>
<br>
また、気になることもある。<br>
皆、妙にコソコソしている感があるのだ。一体何を?<br>
気にしないふりなんて、できるはずもなく、一人一人に問い詰めてみても知らんぷり。<br>
…寂しい。何で今になって私を除け者にするのだろう。<br>
泣きたいけど、泣いちゃだめだ。<br>
そう我慢し続けた。<br>
<br>
そんなこともあってか、私にはこんな気持ちが強くなった。<br>
<br>
彼との強い絆が欲しい。<br>
<br>
私のワガママだとは思っている。<br>
彼のためではなく、私のために。<br>
<br>
私には彼に伝えたいことがある。…出来ることなら、他の誰にも聞かれたくない。<br>
このことを、女である私から言い出すのも何か変な感じがするのだが。<br>
こんな状態の、それ以上に奥手である、彼からはきっと言ってくれないようなことを。<br>
<br>
ある日、私と彼しかいない病室。<br>
夕焼け色に綺麗に染まった部屋で、私は伝えることに決めた。<br>
<br>
<br>
<br>
ドクン、ドクン。<br>
<br>
彼は断るのだろう。それでも伝えたい。<br>
<br>
「ジュ、ジュン」<br>
「ん?なんだ?」<br>
<br>
いつもの間の抜けた返事。<br>
<br>
「聞いて欲しいことがあるんです」<br>
「何だ?言ってみて」<br>
「ジュン、す、す、翠星石と、け、け、け…」<br>
「あ、そうだ、翠星石」<br>
<br>
私が言い切れない所に声を割り込ませてくるジュン。<br>
<br>
「な、何ですかぁ?」<br>
完全に声が裏返ってしまった。<br>
<br>
「翠星石、いや、翠星石さん。僕と結婚してください」<br>
<br>
…え?<br>
<br>
<br>
第十話 「STORM」 了</p>
<p>夢をみていたいのさ あきらめたりせずに<br>
出来るだけの事を 時が足りない程さ<br>
<br>
夢を見ていられたなら 時々は壊れよう<br>
この胸に刻んだ この熱は冷めやしない<br>
<br>
<br>
ドサッ。ジュンが倒れた。<br>
私は混乱しながらも、なんとか救急車を呼ぶ。<br>
ジュンの手を握り、ジュンの名を呼びながら、私はこんなことを思い出していた。<br>
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LUNA SEA 第十話 「SHINE」<br>
<br>
犬が死に、ジュンにてつだってもらってお墓を作った時。泣きながら犬を埋めたその時。<br>
終わった後、二人で話をした。<br>
「ねぇ。ジュンはどこにも行ったりしないですよねぇ?」<br>
「は?どうしたんだよ。いきなり」<br>
「答えるです。突然ジュンはいなくなったりしないですよね?」<br>
「うーん。どうかな?」<br>
「はっきり答えるです!くんくんみたいにジュンも、いなくなったりしないですよね!<br>
くんくんがいなくなって、悲しいのに、ジュンまでいなくなってしまったら、<br>
翠星石はどうしたらいいですかぁ!」 <br>
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<br>
「う~ん、多分。約束してやるよ。<br>
ずっと一緒にいてやるから、な?<br>
泣きやめって。いつもの性悪なほうがお前らしいぞ」<br>
「な、なに言うですか!このチビ!ふざけるなです!こんな時に!」<br>
<br>
ここからはいつも通りのケンカになってしまった。<br>
まぁ、ジュンは私を元気づけようとしたんだろう。<br>
やり方は悪かったが、確かに私は調子を取り戻したんだった。<br>
<br>
シャリシャリ。よくある1シーンのように、林檎を剥いている。<br>
一応持ち直したものの、予断を許さない状況だそうだ。<br>
<br>
「ごめんな、翠星石。心配かけて」<br>
「いいんですよ。まだこうしてくれているんですから」<br>
「でもなぁ、もう少しもってくれると思ってたんだけどなぁ」<br>
「そんなこと言わないで欲しいです。一緒にいられるだけでも、翠星石は幸せなんですから」<br>
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彼の話によると、ガンが発覚し、すぐに手術で取り除いたらしい。<br>
そして二週間ほどで退院、それからは抗がん剤の治療のため、三週間は通院。<br>
だが、その抗がん剤が合わなかったため、今の経口剤に切り替わったとのこと。<br>
医者からはガンの詳しいことは教えられなかったが、<br>
のりの様子を見て、これはおかしい、と気付き、問い詰めた所、知ったそうだ。<br>
<br>
…一時は自殺まで考えた。<br>
<br>
その言葉が私に重くのしかかる。<br>
<br>
そうして、自暴自棄になっている所を、蒼星石と、<br>
例のジュンにアプローチをかけている上司のおかげでなんとか立ち直れたらしい。<br>
<br>
その後、その二人への恩返しで一ヶ月半、今までに関わった人への別れを告げるのに、一週間ほど、<br>
私の所へは、一番最後。<br>
一番別れを告げにくかったと言う。<br>
<br>
私は怒りたかった。けど、怒れなかった。<br>
ジュンの気持ちは、はっきりと伝わってくる…。<br>
切ないほどに、哀しいほどに。<br>
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話は変わるが、お見舞いには、のり、蒼星石、そして、例の上司が来る。<br>
真紅さんというらしい。<br>
彼女と初めて会った時、私は本当に見とれてしまった。<br>
綺麗な人…。<br>
まぁ、私自身、極度の人見知り、というのもあるのだが。<br>
会話にはならなかった。<br>
何度か会うにつれ、少しずつ慣れてきたが。<br>
話して分かったことだが、本当にできる人なんだな、と思った。<br>
女王様のような威厳の中に、ふと見せる優しさ。<br>
彼女は上に立つ人間であることは強く印象づけられた。<br>
…よくこの人にジュンはなびかなかったな。<br>
きっと彼はこんな人には弱いと思うのに…。<br>
<br>
他にもお見舞いではなく、雛苺という看護師がよく遊びに来る。<br>
仕事ではなく、本当に遊びに、だ。担当ではあるそうなのだが…。<br>
仕事の時は、かなり手際よく、要領がよいのだが、精神年齢が幼すぎる。<br>
本当に成人、いや、本当は小学生じゃないのか?と疑ってしまうほどに。<br>
だが聞くところによると、この性格に癒される人も多く、アイドル的な存在らしい。<br>
…う~ん。少しいじめたい。<br>
<br>
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<br>
また、気になることもある。<br>
皆、妙にコソコソしている感があるのだ。一体何を?<br>
気にしないふりなんて、できるはずもなく、一人一人に問い詰めてみても知らんぷり。<br>
…寂しい。何で今になって私を除け者にするのだろう。<br>
泣きたいけど、泣いちゃだめだ。<br>
そう我慢し続けた。<br>
<br>
そんなこともあってか、私にはこんな気持ちが強くなった。<br>
<br>
彼との強い絆が欲しい。<br>
<br>
私のワガママだとは思っている。<br>
彼のためではなく、私のために。<br>
<br>
私には彼に伝えたいことがある。…出来ることなら、他の誰にも聞かれたくない。<br>
このことを、女である私から言い出すのも何か変な感じがするのだが。<br>
こんな状態の、それ以上に奥手である、彼からはきっと言ってくれないようなことを。<br>
<br>
ある日、私と彼しかいない病室。<br>
夕焼け色に綺麗に染まった部屋で、私は伝えることに決めた。<br>
<br>
<br>
<br>
ドクン、ドクン。<br>
<br>
彼は断るのだろう。それでも伝えたい。<br>
<br>
「ジュ、ジュン」<br>
「ん?なんだ?」<br>
<br>
いつもの間の抜けた返事。<br>
<br>
「聞いて欲しいことがあるんです」<br>
「何だ?言ってみて」<br>
「ジュン、す、す、翠星石と、け、け、け…」<br>
「あ、そうだ、翠星石」<br>
<br>
私が言い切れない所に声を割り込ませてくるジュン。<br>
<br>
「な、何ですかぁ?」<br>
完全に声が裏返ってしまった。<br>
<br>
「翠星石、いや、翠星石さん。僕と結婚してください」<br>
<br>
…え?<br>
<br>
<br>
第十話 「SHINE」 了</p>