「第五話 『Dear My Friend』」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<p> <br>
――どこからか、途切れ途切れにグランドピアノを弾く音が、流れてくる。<br>
初めて耳にする旋律なのに、なんだか……ずっと以前に聞いたことがあるような。<br>
そのくせ、記憶を辿ろうとすると、ちぐはぐなメロディしか浮かんでこない。<br>
<br>
「うーん……なにか引っかかるんですけどぉ……思い出せませんわねぇ」<br>
<br>
そう口にする雪華綺晶は、しかし、大して考え悩んだ様子でもなかった。<br>
漏れ聞こえるピアノに合わせ、ふんふんとハミングしながら、腰を揺らしている。<br>
彼女は今、コリンヌの部屋を掃除している最中だった。<br>
<br>
窓辺に据え置かれた広い机の上を、おろしたての布巾で丁寧に拭いてゆく。<br>
ひととおり拭いた後で、布巾を裏返してみても、塵芥は殆ど付いていなかった。<br>
埃が積もる間もないほど、頻繁に使われているのだろう。<br>
<br>
「本当に勤勉な方ですのね、マスターは」<br>
<br>
雪華綺晶は感嘆の息を吐きながら、机の隣に鎮座している書架に顔を向けた。<br>
そこには多くの本が並び、どれも背表紙が薄汚れている。<br>
中でも、目立って痛んでいる本が一冊、雪華綺晶の眼に付いた。<br>
<br>
「これは……『レ・ミゼラブル』。ヴィクトル・ユーゴーの小説ですわね」<br>
<br>
痛みが激しいのは、裏を返せば、それだけ手に取られている――ということ。<br>
興味を惹かれた雪華綺晶は、腕を伸ばして、その本に指をかけた。<br>
そして、何の気なしに広げた途端、ソレを見つけてしまった。<br>
<br>
<br>
<br>
第五話 『Dear My Friend』<br>
<br>
<br>
<br>
あっ! ソレが現れるや、雪華綺晶は、可愛らしい声を出していた。<br>
パカッと割れるように開いた本の間に、封筒が挟み込まれていたのだ。<br>
物語はちょうど、19年の徒刑生活で憎悪の塊と化したジャン・ヴァルジャンが、<br>
ミリエル司教の慈悲により、正直な人間として生まれ変わる道を示される場面だった。<br>
<br>
「これは……マスターに宛てた手紙ですわね」<br>
<br>
手にして、矯めつ眇めつしてみる。封は切られていた。<br>
つまり、コリンヌが、この手紙を読んだことを意味している。<br>
でも、誰が、どこから?<br>
封筒に差出人の記載はなく、消印は、雪華綺晶にとって見慣れない文字だった。<br>
<br>
「海外郵便――栞代わりに挟んで、忘れてしまったのでしょうね」<br>
<br>
こんな扱われ方をするくらいだから、あまり重要ではないのだろう。<br>
――とは思うものの、海外からの郵便物という点が、雪華綺晶の興味をくすぐる。<br>
<br>
「今なら誰も居ませんし……ちょっとだけ、読んでみちゃったりして♪」<br>
<br>
イケナイこととは解っていても、秘密を暴きたくなるのは、人間の性。<br>
響きのいい言葉に置き換えるなら、知的探求心の充足という行為である。<br>
雪華綺晶は机に本を置くと、震える指で、封筒から便箋を抜き取った。<br>
そして、呼吸を整え、さあ読もうかと意気込んだ矢先――<br>
<br>
「きっらきーっ! お掃除、もう終わったなのーっ?」<br>
<br>
ノックも無しに、雛苺がドアをバァン! と開けて飛び込んできたから寿命が縮む。<br>
雪華綺晶は「ひぁっ?!」と息を呑んで、ビクーン! と飛び上がった。<br>
しかも、指先に巻いた包帯で紙が滑り、便箋を取り落としたから、さあ大変。<br>
<br>
<br>
かさりと床に舞い落ちた紙片に、雛苺の碧眼が吸い寄せられた。<br>
彼女は、じぃっと便箋を見つめ……続いて、雪華綺晶の顔を、じぃっと覗き込んできた。<br>
<br>
「――いけないのよ。コリンヌお嬢様のお手紙を、盗み読むなんて」<br>
「えと……あの……こ、これは……そのぉ~」<br>
「きらきーは悪い子なのね。お嬢様に言いつけちゃうのっ」<br>
「ま、待って! マスターには内緒にしてください! お願いですからぁ」<br>
「えー? どうしよっかなぁ♪」<br>
<br>
雛苺はニタリと笑って、雪華綺晶の足元に落ちた便箋を拾った。<br>
雪華綺晶はと言えば、肩を竦め、捨てられた子犬みたいに、ぶるぶる震えている。<br>
そんな彼女の前で、雛苺は便箋を広げて、瞳を走らせた。<br>
<br>
「元気かい、コリンヌ……って、書いてあるのよ」<br>
「――え?」<br>
「へへ……。ヒナも、お手紙を勝手に読んじゃった。だから、ヒナも同罪なのよ。<br>
このこと、二人だけのヒミツよ? お嬢様には、内緒にしておいてあげるの」<br>
「あ……」<br>
「いい、きらきー? もう二度と、こんなコトしちゃ、めっめっーなのよ」<br>
「雛苺さん…………あ……ありがとうございますっ!」<br>
<br>
雪華綺晶は、感激した勢いそのままに、雛苺をひしと抱き締めた。<br>
よしよし、いい子いい子。<br>
雛苺は、子供っぽい外見に似合わず、大人びた余裕で雪華綺晶の髪を撫でる。<br>
<br>
「さあ。お掃除を終わらせたら、コリンヌお嬢様とお茶しに行くのー」<br>
「……はぁい」<br>
<br>
涙の滲んだ目元に、雪華綺晶は思わず、机を拭いた布巾を押し当てていた。<br>
<br>
<br>
~ ~ ~<br>
<br>
<br>
――その夜、寝床の中で、雪華綺晶は夢を見た。<br>
なんだか、全体的に色褪せた、古い映画のような夢だ。<br>
とりとめなく彷徨わせていた彼女の隻眼が、背を向けて佇む人影を捉えた。<br>
男性だろう。肩の幅が広い。短く刈り揃えた褐色の頭髪が、清潔そうだ。<br>
<br>
あら? あなたは……。雪華綺晶の胸に、そこはかとない懐かしさが甦ってきた。<br>
この人とは、以前にも会っている気がする。<br>
名前が、すんなりと出てこないけれど……確かに、見憶えのある背中だった。<br>
<br>
まるで、彼女のココロの声が聞こえたように、人影が振り返る。<br>
とても優しそうな面持ちの男性で、雪華綺晶の姿を認めると、にこり……<br>
並びの良い真っ白な歯を見せて、微笑みかけてきた。<br>
<br>
なんて、心が暖かくなる微笑。<br>
雪華綺晶は、奇妙な胸の昂りを抑えきれなくなって、走り出していた。<br>
ああ……ずっと会いたかった…………あなたに。<br>
触れ合いたい。あなたの温もりが欲しい。あなたの胸に、この身を預けたい。<br>
ただ、その一心で雪華綺晶は走り続け、腕を伸ばした。<br>
<br>
<br>
――だが。<br>
突如として、足元から飛び出してきたナニかが、彼女の腕に絡みつく。<br>
避ける暇もあればこそ。たちまち、腕のみならず、脚を、身体を、束縛されていた。<br>
なにか尖ったものが、雪華綺晶の柔肌に幾つも突き刺さり、耐え難い激痛をもたらす。<br>
<br>
「痛ぁっ!」<br>
<br>
堪えきれず絶叫して、左眼を見開いた雪華綺晶が、潤んだ瞳に映したモノ――<br>
それは、長く鋭い棘を無数に突きだした、太くどす黒い荊の蔓だった。<br>
<br>
<br></p>
<hr>
<br>
<br>
第五話 終<br>
<br>
<br>
【3行予告?!】<br>
<br>
百万の薔薇のベッドに埋もれ見る夢よりも芳しく、私は生きてるの――<br>
きっと、忘れたままの方が……今のままでいる方が、幸せだったのでしょう。<br>
でも、わたしは思い出してしまったのです。この胸を疼かせる、仄かな想いを。<br>
<br>
次回、第六話 『Shapes Of Love』<br>
<p> <br>
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――どこからか、途切れ途切れにグランドピアノを弾く音が、流れてくる。<br>
初めて耳にする旋律なのに、なんだか……ずっと以前に聞いたことがあるような。<br>
そのくせ、記憶を辿ろうとすると、ちぐはぐなメロディしか浮かんでこない。<br>
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「うーん……なにか引っかかるんですけどぉ……思い出せませんわねぇ」<br>
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そう口にする雪華綺晶は、しかし、大して考え悩んだ様子でもなかった。<br>
漏れ聞こえるピアノに合わせ、ふんふんとハミングしながら、腰を揺らしている。<br>
彼女は今、コリンヌの部屋を掃除している最中だった。<br>
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窓辺に据え置かれた広い机の上を、おろしたての布巾で丁寧に拭いてゆく。<br>
ひととおり拭いた後で、布巾を裏返してみても、塵芥は殆ど付いていなかった。<br>
埃が積もる間もないほど、頻繁に使われているのだろう。<br>
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「本当に勤勉な方ですのね、マスターは」<br>
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雪華綺晶は感嘆の息を吐きながら、机の隣に鎮座している書架に顔を向けた。<br>
そこには多くの本が並び、どれも背表紙が薄汚れている。<br>
中でも、目立って痛んでいる本が一冊、雪華綺晶の眼に付いた。<br>
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「これは……『レ・ミゼラブル』。ヴィクトル・ユーゴーの小説ですわね」<br>
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痛みが激しいのは、裏を返せば、それだけ手に取られている――ということ。<br>
興味を惹かれた雪華綺晶は、腕を伸ばして、その本に指をかけた。<br>
そして、何の気なしに広げた途端、ソレを見つけてしまった。<br>
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第五話 『Dear My Friend』<br>
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あっ! ソレが現れるや、雪華綺晶は、可愛らしい声を出していた。<br>
パカッと割れるように開いた本の間に、封筒が挟み込まれていたのだ。<br>
物語はちょうど、19年の徒刑生活で憎悪の塊と化したジャン・ヴァルジャンが、<br>
ミリエル司教の慈悲により、正直な人間として生まれ変わる道を示される場面だった。<br>
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「これは……マスターに宛てた手紙ですわね」<br>
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手にして、矯めつ眇めつしてみる。封は切られていた。<br>
つまり、コリンヌが、この手紙を読んだことを意味している。<br>
でも、誰が、どこから?<br>
封筒に差出人の記載はなく、消印は、雪華綺晶にとって見慣れない文字だった。<br>
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「海外郵便――栞代わりに挟んで、忘れてしまったのでしょうね」<br>
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こんな扱われ方をするくらいだから、あまり重要ではないのだろう。<br>
――とは思うものの、海外からの郵便物という点が、雪華綺晶の興味をくすぐる。<br>
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「今なら誰も居ませんし……ちょっとだけ、読んでみちゃったりして♪」<br>
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イケナイこととは解っていても、秘密を暴きたくなるのは、人間の性。<br>
響きのいい言葉に置き換えるなら、知的探求心の充足という行為である。<br>
雪華綺晶は机に本を置くと、震える指で、封筒から便箋を抜き取った。<br>
そして、呼吸を整え、さあ読もうかと意気込んだ矢先――<br>
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「きっらきーっ! お掃除、もう終わったなのーっ?」<br>
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ノックも無しに、雛苺がドアをバァン! と開けて飛び込んできたから寿命が縮む。<br>
雪華綺晶は「ひぁっ?!」と息を呑んで、ビクーン! と飛び上がった。<br>
しかも、指先に巻いた包帯で紙が滑り、便箋を取り落としたから、さあ大変。<br>
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かさりと床に舞い落ちた紙片に、雛苺の碧眼が吸い寄せられた。<br>
彼女は、じぃっと便箋を見つめ……続いて、雪華綺晶の顔を、じぃっと覗き込んできた。<br>
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「――いけないのよ。コリンヌお嬢様のお手紙を、盗み読むなんて」<br>
「えと……あの……こ、これは……そのぉ~」<br>
「きらきーは悪い子なのね。お嬢様に言いつけちゃうのっ」<br>
「ま、待って! マスターには内緒にしてください! お願いですからぁ」<br>
「えー? どうしよっかなぁ♪」<br>
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雛苺はニタリと笑って、雪華綺晶の足元に落ちた便箋を拾った。<br>
雪華綺晶はと言えば、肩を竦め、捨てられた子犬みたいに、ぶるぶる震えている。<br>
そんな彼女の前で、雛苺は便箋を広げて、瞳を走らせた。<br>
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「元気かい、コリンヌ……って、書いてあるのよ」<br>
「――え?」<br>
「へへ……。ヒナも、お手紙を勝手に読んじゃった。だから、ヒナも同罪なのよ。<br>
このこと、二人だけのヒミツよ? お嬢様には、内緒にしておいてあげるの」<br>
「あ……」<br>
「いい、きらきー? もう二度と、こんなコトしちゃ、めっめっーなのよ」<br>
「雛苺さん…………あ……ありがとうございますっ!」<br>
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雪華綺晶は、感激した勢いそのままに、雛苺をひしと抱き締めた。<br>
よしよし、いい子いい子。<br>
雛苺は、子供っぽい外見に似合わず、大人びた余裕で雪華綺晶の髪を撫でる。<br>
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「さあ。お掃除を終わらせたら、コリンヌお嬢様とお茶しに行くのー」<br>
「……はぁい」<br>
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涙の滲んだ目元に、雪華綺晶は思わず、机を拭いた布巾を押し当てていた。<br>
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――その夜、寝床の中で、雪華綺晶は夢を見た。<br>
なんだか、全体的に色褪せた、古い映画のような夢だ。<br>
とりとめなく彷徨わせていた彼女の隻眼が、背を向けて佇む人影を捉えた。<br>
男性だろう。肩の幅が広い。短く刈り揃えた褐色の頭髪が、清潔そうだ。<br>
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あら? あなたは……。雪華綺晶の胸に、そこはかとない懐かしさが甦ってきた。<br>
この人とは、以前にも会っている気がする。<br>
名前が、すんなりと出てこないけれど……確かに、見憶えのある背中だった。<br>
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まるで、彼女のココロの声が聞こえたように、人影が振り返る。<br>
とても優しそうな面持ちの男性で、雪華綺晶の姿を認めると、にこり……<br>
並びの良い真っ白な歯を見せて、微笑みかけてきた。<br>
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なんて、心が暖かくなる微笑。<br>
雪華綺晶は、奇妙な胸の昂りを抑えきれなくなって、走り出していた。<br>
ああ……ずっと会いたかった…………あなたに。<br>
触れ合いたい。あなたの温もりが欲しい。あなたの胸に、この身を預けたい。<br>
ただ、その一心で雪華綺晶は走り続け、腕を伸ばした。<br>
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――だが。<br>
突如として、足元から飛び出してきたナニかが、彼女の腕に絡みつく。<br>
避ける暇もあればこそ。たちまち、腕のみならず、脚を、身体を、束縛されていた。<br>
なにか尖ったものが、雪華綺晶の柔肌に幾つも突き刺さり、耐え難い激痛をもたらす。<br>
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「痛ぁっ!」<br>
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堪えきれず絶叫して、左眼を見開いた雪華綺晶が、潤んだ瞳に映したモノ――<br>
それは、長く鋭い棘を無数に突きだした、太くどす黒い荊の蔓だった。<br>
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第五話 終<br>
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【3行予告?!】<br>
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百万の薔薇のベッドに埋もれ見る夢よりも芳しく、私は生きてるの――<br>
きっと、忘れたままの方が……今のままでいる方が、幸せだったのでしょう。<br>
でも、わたしは思い出してしまったのです。この胸を疼かせる、仄かな想いを。<br>
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次回、第六話 『Shapes Of Love』<br>