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『金糸雀堂』・その5」(2007/08/12 (日) 16:05:50) の最新版変更点

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<p>   『金糸雀堂』<br> <br> <br> 大きな草原の真ん中に小高い丘がありました。<br> 丘の頂上には大きな大きな木が一本、木の下には小さなお店がありました。<br> お店の名前は『金糸雀堂』。<br> <br> 今日はどんなお客さんがくるでしょう?<br> <br> <br>     その5<br> <br>  今日は曇り。<br> ドライアイスの様に冷たい霧で全て真っ白、何も見えません。<br> 準備をして待っていると、トントン・トントン、お客さんが来たようです。<br> <br> ドアを開けると大きなリュックを背負った、金髪に碧色の目をした女の人が立っていました。<br> <br> 「こんにちは。何方かいますか?」<br> 「いらっしゃい、貴女を待っていたかしら。」<br> 「私を待っていたの?」<br> 「だからおやつの準備をしておいたかしら。」<br> <br> 荷物を置いてもらい、苺大福とお茶を出してきました。 <br> <br> 「さてさて、貴女の探し物は何かしら?」<br> 「探し物?」<br> 「ここは『金糸雀堂』。答えを探す人が迷い込んでくるところ。なにか悩んでるから貴女はここに来たかしら。」<br> 「難しくてこんがらがりそうなの…」<br> 「さあ、何をお探しでしょう?」<br> 「私は世界を巡って絵を描いてるの。でも、最近満足いく絵が描けないのよ。…そう、私、絵の題材を探しているの。」<br> <br> それを聞くと立ち上がって壁に掛かっている扉の絵に近づいて。<br> <br> 「そこの棚からノブを1つ選んで持ってくるかしら。」<br> 「どれも素敵な色ね。ん~と…この色にするのよ。」<br> 「この絵にはめて回しなさい。」<br> <br> 女の人は恐る恐る絵にノブを差し込み回しました。<br> <br> ガチャリ<br> <br> 絵の扉の先はガランとした部屋になっていました。<br> 空虚な中、壁に1枚の写真が額縁に収められて飾られています。<br> <br> 写真の前に立ち、今までと打って変わって真剣な目で見つめると。<br> <br> 「…凄く人を惹きつける女の子なの。私…この子をモデルに描いてみたい…」<br> 「写真、お買い上げかしら~♪」<br> 「えっと、お幾らなの?」<br> 「ん~あのリュックに付けてたリボンはダメかしら?」<br> 「リボン?う~ん、友達から貰ったリボンなんだけど…貴女友達によく似てるの。うん、貴女にこのリボンつけて欲しいわ。」<br> <br> <br> <br> 女の人は写真をリュックに詰めてまた会いましょうと言いました。<br> 深い霧に薄れていく後ろ姿を見送ると、今日は店じまいです。<br> <br> 「どこかで見たような気がする…」<br> <br> つぶやくとリボンを見つめました。<br> 古ぼけていますがとても懐かしく、同じ物を誰か親しい人がつけていたような気がします。<br> <br> 「一体誰がつけていたかしら?」<br> <br> そう言うとパタンと扉が閉まりました。<br> <br> <br> つづく…?</p>

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