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「苦難 四番目その壱」(2007/06/04 (月) 03:05:26) の最新版変更点
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<p> 歴史担当教員桜田潤は、人間ではなく……俗に妖怪だとか化物と呼ばれる存在。 <br />
遥か昔に生まれ今を生き行く壮齢の鬼なのである。 <br />
まぁその鬼が何故、歴史担当教員なんてしてるのか? と、まったく不思議なのだが…… <br />
生徒からのウケは良い。まるで見たかのように、面白く歴史を語ってくれると評判なのだ。 <br />
それもそのはず……潤は、世界中を旅していたのだから、歴史書大きく残る出来事と対面する事もあった訳である。 <br />
また、オカルト関係の知識も持っている為…… <br />
何故か、学校のオカルト研究会から目を付けられてたりするのはどうでもいい余談である。 <br />
<br />
現在、潤が鬼であると知っているのは八乙女のうち二人。 <br />
銀乙女の水銀燈に桃乙女の雛苺である。 <br />
八乙女全員が、担当の生徒であると言う時点でも潤にとっては毎日が緊張の毎日であり三食後の胃薬は外せない状況。 <br />
そんな状況で、二人にばれてしまったと……潤の胃薬摂取の量が、増えたのは当然である。 <br />
さて、先ほど余談で話したオカルト研究会から目を付けられていると言う話なのだが…… <br />
今回は、その余談をお話したいと思う。 <br />
まぁ……そのオカルト研究会に八乙女が一人……紫乙女の薔薇水晶が、部長として存在するあたりが <br />
潤の苦難をガッチリと約束している感じである。 <br />
<br />
では、桜田潤の苦難の始まりはじまり。 <br />
<br />
昼休みの廊下にて <br />
<br />
「あ~……薔薇水晶君? 何か用事かい?」 <br />
<br />
と、廊下を歩いていた潤はピタリとその足を止め後ろを振り向く。 <br />
丁度、曲がり角の壁に身を隠す様に潤を見る薔薇水晶が其処に居た。 <br />
潤に問いかけられ、小さく身体をビクッと震わせた後直ぐに身を隠す薔薇水晶。 <br />
そんな薔薇水晶を見て、困った様に肩をすくめる潤だったが……直ぐに歩き始める。 <br />
歩き始めた潤の後ろから小さな足音が、追いかけて来る。 <br />
ピタッと潤がその場に止まれば、その足音もピタッととまり……歩けばまた…… <br />
と、言った感じが……ほぼ毎日の日課と化している。 <br />
<br />
「先生……」 <br />
<br />
そして、幾許かしてからやっと薔薇水晶の方から話をかけてくるのだ。 <br />
かけてくるのだが……第一声が…… <br />
<br />
「オカルト研究会の顧問に……なって……」 <br />
<br />
である……ちなみに潤は、茶道部の顧問であり……オカルト研究会には梅岡が何故か顧問をしている。 <br />
<br />
「……いいかい? 薔薇水晶君……私は、茶道部顧問で……オカルト研究会顧問は梅岡先生だろ?」 <br />
<br />
と、毎度毎度の説明をすると薔薇水晶は、ぷぅと頬を膨らませる。 <br />
紫乙女の伝統かね? それは? と、昔の事を思い出しながら肩を落とす潤。 <br />
<br />
「梅岡……オカルトわかってないの……この前だって………部室に篭りっきりはいけない。さぁ、外へ繰り出そう…… <br />
だなんて……言うんだもん……オカルト研究会で何故……バトミントンしないといけないの?」 <br />
<br />
いや、それを私に言われてもなぁ……と、苦笑する潤。 <br />
まぁ梅岡の性格を考えると……本人は良かれと思ってやる事が、周囲の人にはとてつもなく迷惑だって事が多々ある。 <br />
実際、その被害は梅岡台風とか梅岡災害などと……この学校にて起こる自然災害と認識されている。 <br />
その自然災害の約七割の被害を受けているのが……潤だったりする訳だ。 <br />
その事を思い出して、ちょっぴり泣きたくなって来た潤。 <br />
<br />
「バトミントンしたければ……バトミントンの顧問になればいいのに……」 <br />
「まぁそれは私も賛同するとして……今の所、私は茶道部顧問って決定してしまったからね…… <br />
次の顧問を決める時じゃないと、顧問変更は無理なんだよ」 <br />
<br />
と、説明するとやっぱり薔薇水晶は、ぷぅと頬を膨らませて不満を主張する。 <br />
そんな薔薇水晶を見て苦笑を浮かべる潤。もう何度目の説明になるのだか……と、思う潤。 <br />
<br />
「先生……くすぐったい」 <br />
<br />
へ? と、薔薇水晶の言葉に自分の手がしている事を認識する。 <br />
薔薇水晶が膨らませていた頬を、両手でつっついてると言う状態。 <br />
しまった! と、潤は慌てて両手を提げすまないね。癖で……と、どんな癖なのかわからないが <br />
潤は、そう告げると頭を軽く掻く。 <br />
無意識のうちに、初代やら二代目にやってた事をやってしまうとは…… <br />
個々最近ついうっかりが多いなぁ……と、潤は眼鏡のズレを直しながらに思うのだった。 <br />
そして、五時間目開始の予鈴が鳴り響く。 <br />
<br />
「ほら、もう授業が始まるよ? 学生は学ぶ事が大事。さぁ教室に行きなさい」 <br />
「……はい」 <br />
<br />
トテトテと、軽い足音を立てながら教室に向かう薔薇水晶を見送る潤だったが…… <br />
自分もまさに急がなければ行けないのである。 <br />
五時間目に、歴史の授業があり……道具を使う授業に加えその授業のわかりやすい補足を纏めたプリントは職員室にある。 <br />
うわぁああ! と、心の中で叫びながら潤は急ぐのだった。 <br />
まぁ結果的に……ギリギリ間に合ったとだけ言っておこう。</p>