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止まらない世界」(2007/05/20 (日) 21:03:42) の最新版変更点

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<dl><dd> 『止まらない世界』 <br /> じゃあね。彼女はそういって歩きだした。僕は君においすがる。 <br /> <br /> ジ「蒼星石ー!ごめんまった?」 <br /> 僕は桜田ジュン。大学4年生だ。 <br /> 蒼「そんなことないよ。じゃ、いこうか?」 <br /> 彼女は蒼星石。中性的な顔立ちをした、とても気立てのいい、 <br /> ジ「そうだね。じゃぁ、早速買い物に行こうか」 <br /> &hellip;僕には持ったいなすぎる女性。正直、どうして僕なんかと付き合ってるのかわからない。 <br /> 蒼「うん。今夜はご馳走を作るよ。」 <br /> 今日は晩御飯をつくりに来てくれる。料理もとても上手で、正直、どうして(ry <br /> ジ「あれ?あれベジータじゃないか?」 <br /> 蒼「そうみたいだね。相変らず、元気ないね」 <br /> ジ「ベジータ!!」 <br /> ベジータとは、僕らの大学での友人だ。僕は中学からずっと腐れ縁だ。 <br /> 最近ベジータは付き合っていた一つ年上の彼女が、大学を卒業して地元に帰ってから元気がない。 <br /> もっとも、知り合いが見てないところでは、だが。僕らの前では何も変わらないように振る舞っている。 <br /> 僕もこの間紹介されて、今度蒼星石にもあってもらおうと思っていたところだったのに。 <br /> なんでも就職が急に決まってしまったとか。今では音信不通になってるらしい。 <br /> 確かに、あんなに美人で気立てのいい彼女と別れることになったら誰でもへこむだろう。 <br /> いや、並の男なら首をくくるだろうな。 <br /> たしか、水銀燈とかいったっけ&hellip; <br /> べ「ん&hellip;?おう!ジュンに蒼嬢か!相変らず熱いな!」 <br /> ジ「はは、冷やかすなよ。」 <br /> べ「いやー、うらやましいな!今夜は一緒に晩飯食うんだろ?あんまりヤり過ぎるなよ!」 <br /> ジ「おいベジータ、俺たちはまだ&hellip;」 <br /> べ「フハハハハ、わかってるとも!じゃあ、またな!」 <br /> 蒼「いっちゃたね&hellip;。」 <br /> ジ「行っちまったな&hellip;」 <br /> 蒼「さぁ、気を取り直して買い物しようか」 <br /> ジ「そうだな。うん。確かにまだ買い物終わってなかったもんな。」 <br /> <br /><br /></dd><dd> <br /> 相変わらす、蒼星石の料理はうまい。 <br /> 蒼「どう?おいしい?」 <br /> ジ「ああ、うまいよ。相変らず。」 <br /> 蒼「本当?よかった。」 <br /> ジ「それにしても、舌平目のムニエルなんかよく作れるよな&hellip;」 <br /> 僕はカレーで精一杯だってのに&hellip; <br /> 蒼「今度教えてあげるよ。結構簡単なんだよ」 <br /> ジ「ありがとう。」 <br /> たわいない話で、いつもどうり盛り上がっていたとき。 <br /> <br /> <br /> <br />   ブーンブーンブーン <br /> 蒼「ちょっとごめん」ピッ <br /> 電話が鳴ってきて。運命がきしみ始める。そして僕は気づくんだ。 <br /> 変わらぬものなど何も無いと。 <br /> すべてのものは、光なんか目じゃないぐらいの速さで、未来に向かって疾走してるんだって。 <br /><br /></dd><dd>蒼「お父さん?!?」 <br /> 蒼「うん&hellip;でも&hellip;うん&hellip;うん」 <br /> 蒼「わかったよ。」 <br /> ピッ <br /> <br /> <br /> ジ「お父さんはなんのようだったの?」 <br /> 事の始まりは一本の電話だった <br /> なにやら、蒼星石の様子がただ事ではない <br /> 蒼「うん&hellip;、大学はもういいから帰ってこいっていわれたんだ&hellip;。何でも庭木の世話をする人が足りなくなっちゃったらしくて&hellip;」 <br /> なかなか口を開かなかったけれど、しばらくしてもう一度聞くとぽつりぽつり事 <br /> 情を話してくれた。 <br /> 蒼「大学に入った時からいわれてたんだ。家業の造園業を手伝えって。」 <br /> 姉の翠星石は造園ではなく地元で花屋をやっているらしい。 <br /> いわゆるよせ植えが評判で親も花屋を続ける事を容認しており、結局蒼星石が手伝いに戻ることになったとか。 <br /> 蒼「大学に入ったときからわかってはいたことなんだけど&hellip;」 <br /> 僕は来年から大学院にいく。名門の。海外から誘ってくれている大学もある。学者として生きていこうと考えていた。 <br /> とにかく、僕が行こうと考えている大学院はすべて彼女の実家から遠い。 <br /> 蒼「明後日の朝にはつくように帰ってこいって。あいさつにはまたきたらいいからとにかく帰ってこいって。 <br /> たぶんもうこっちにはこれそうにないよ。どうしよう?」 <br /> こころなしか彼女の瞳がゆれている。気のせいかな?気のせいだろう。 <br /> 僕でも気丈な彼女が泣いてる姿は数えるほどしかみたことないんだから。 <br /> &hellip;&hellip;でも、ないてるとしたら? <br /> 僕は今なんて声をかければいいんだろう?よかったななんていえそうにない。 <br /> そんなのいやだだろうか?俺はどうなるんだか?それじゃあ仕方ない、か? <br /> それとも頑張れよとでもいっておくか?どうすりゃいいんだよ。明日だって? <br /> いくら何でも早すぎだろう?たのむよ、もう少し時間をくれよ。 <br /> いっその事俺と一緒に外国にいこうと叫ぼうか?いや、そんな勝手なことは&hellip;。 <br /> そんな、僕の顔を見て、なにを思ったのか寂しげなため息を君は吐いて <br /> 蒼「僕、帰るよ。明日の用意もしなくちゃいけないしね。家具は午前中に宅配便にだしとくよ。もともと多くないし。きっと、一人で片付けられる。」 <br /> ジ「そうか。」 <br /> 気が付くとそういっていた。畜生、もっと他にいうことがあるだろう?何してるんだよ俺は。せめてもう少し気のきいたことがいえるだろう?もっと大切なことがあるだろう? <br /></dd><dd></dd><dd><hr style="width: 100%; height: 2px;" /></dd><dd> ジュン君の家で食事を作り、どうしようもない話で盛り上がっていると携帯に電話がかかってきた。 <br /> きっと翠星石だろう。今だに妹離れできてないんだから。翠星石もなんとかしなくちゃ。 <br /> 電話に出ると、懐かしい声と、忘れていた約束が聞こえてきた。 <br /> 元「蒼星石か?」 <br /> 蒼「&hellip;お父さん?」 <br /> 元「元気そうだな。安心したよ。ところで、大学に入ったときの約束、覚えているか?」 <br /> 蒼「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;うん」 <br /> 元「それなんだが、悪いがすぐ来てもらわないといけなくなったんだ。明後日の朝には着くようにかえってきてくれ。」 <br /> 蒼「そんな!いくら何でも急すぎるよ!そ、それにほら、えーと、そうだ!友達にもあいさつとかしなくちゃならし&hellip;」 <br /> 元「また行ったらいいじゃないか。じゃあよろしく頼むぞ」プツッ <br /> 電話もきられうかない顔をしていると、ジュン君が声をかけてくれた <br /> ―どうしたんだ? <br /> お父さんからだった <br /> <br /> 彼の顔がわずかに陰る <br /></dd><dd> ―それでお父さんはなんのようだったの? <br /> かねてからの約束を話す。僕自身忘れていた約束を。それから翠星石の話をする <br /> 。話している間に腹が立ってきた。なぜ僕が?姉さんだけなんで好きなことがで <br /> きるのさ?僕もしたいこと、一緒にいたい人がいるのに!ああ、泣きそうだよ、 <br /> 助けてジュンくん。お願い、安っぽいメロドラマは嫌いだけど、でも、何かいってよ! <br /> &hellip;彼の方を向くと、黙ったまま何か頻りに考えている。まるで僕なんていないみた <br /> いに。そうか、彼にとって僕はその程度の存在だったのか。思わずため息が漏れ <br /> る。帰るよ。そういっても彼は動かない。帰るよ。もう一度僕は言って、家まで走って帰る。 <br /> 荷物を片付けながら、喉が破れるくらい、泣いた。 <br /> <br /> <hr style="width: 100%; height: 2px;" /><br /> <br /> 彼女は帰っていった。僕はしばらく立ち尽くしていた。カノジョガイナクナル? <br /> そんな馬鹿な!彼女は『僕の魂の一部』なんだ。悪い夢だ。朝はいつ来るんだ? <br /> 現実から逃げようと鏡に写る自分の顔をたたきわって片っ端からCDをかけてみる。窓ガラスが震えるぐらい音量を上げて。 <br /> <br /> オカシイナ。夢じゃないのか?朝日が昇ってくる。 <br /> 蒼星石の話を思い出す。背筋が凍る。 <br /><br /></dd><dd><br /> 夢から覚めると昼過ぎだった。いつのまにか眠っていたらしい。 <br /> やっぱり昨日のことは夢だったんだ。そんなことあるわけないのに。&hellip;念のため、電話してみるか。 <br /> ジ「もしもし?僕だけど」 <br /> <br /> 蒼「&hellip;&hellip;&hellip;」 <br /> どうしたんだ?彼女の声が聞こえない。もういないのか?やっぱり昨日のことは夢じゃないのか? <br /> じわりと赤い手が心臓をつかむ。 <br /> 真っ黒な爪が心臓に、脳に、肺に食い込む。 <br /> あまりに情けない悲鳴がのどもとに駆け上がってくる。 <br /> 感情が破裂しかけたとき。 <br /> <br /> 蒼「ジュン君?」 <br /> <br /> ああ、彼女は、蒼星石はまだいるんだ。安心感が血液とともに全身に駆け巡る。 <br /> ジ「やっぱり、実家に帰っちゃうの?」 <br /> 自分の口下手さを呪う。 <br /> 蒼「&hellip;うん。仕方ないよ」 <br /> 蒼星石の声は仕方ないとは言ってない。 <br /> ジ「やっぱり昨日のことは夢じゃなかったんだ&hellip;」 <br /> 蒼「夢ならよかったのにね。僕も信じられなくて、朝おきてから確認の電話入れたぐらいだよ」 <br /> ジ「そうなんだー。あ、そうだ。何で帰るの?」 <br /> これだけは絶対に聞いておかねば。 <br /> 蒼「うん。お金振り込んでくれてあったから特急で。」 <br /> ジ「おお、すごいなww」 <br /> 蒼「でしょ?wwww」 <br /> はあ、夢じゃねーのかよ。仕方ない?そんなわけない。夢?残念ながら違うらしい。 <br /> ジ「あのさ、もしよかったら駅まで送っていくよ」 <br /> 違う違う違う!そんなことがいいたいんじゃないんだ『蒼星石』! <br /> 言いたいことは、伝えたいことは山ほどあるんだ。 <br /> けれど、けれどなぜかそれ以上の言葉が思いつかない。 <br /> <br /> ジ「ボストンバッグも宅配便で送っちゃいなよ。手荷物だけ持って玄関に立ってて。四時には着くように行くから」 <br /> <br /> うん、という声が聞こえ電話は切れた。そっと目を閉じ、さっき見ていた夢を思 <br /> い出す。とても、美しい夢だった気がする。蒼星石もでてきたようなきもするが <br /> はっきり思い出せない。くやしくて、目から汗が流れてくる。 <br /> この部屋は暑い、窓を開けよう。 <br /><br /></dd><dt></dt></dl><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><dl><dt></dt><dd><br /> ジュンくんから、電話がかかってきた。 <br /> もうかかってこないと思ってたのに。 <br /> しばらく答えに迷っているとジュン君はうろたえていた。 <br /> 返事をしてあげよう <br /> <br /> ―電話を切った。なぜか安堵のため息が出る。 <br /> 荷物を送って外に立っていよう。 <br /> やっぱり僕は、一人じゃないんだ。</dd><dt></dt></dl><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><dl><dd> 四時。僕は彼女の家に着いた。蒼星石は外に立って待ってくれていた。 <br /> 声をかけると、寂しげな、けれど嬉しそうな笑いを顔に張りつけて近づいてきた。 <br /> ジ「駅まであるいていこう」相変わらず間が悪い。もう少しさらっと言えそうなものだ <br /> 蒼「いいね。歩いていこう」 <br /> 断られるかと思ったのに。やや遅れて彼女が着いてくる。 <br /> <br /> 君はなにを想い、考えているんだろう? <br /> 今ほど君のすべてを、感情を、思い出を、欲望を、苦しみを、喜びを、嘆きを知りたいと思ったことはない。 <br /> しゃべらなきゃ話さなきゃ、焦れば焦るほど言葉は逃げてしまう。 <br /> 商店街の方から、曲が聞こえてきた。 <br /> 蒼「ゆずだね。これ。」 <br /> 蒼星石が口火を切ってくれた。ありがたい。 <br /> ジ「うん。でも、あんまり聞いたことないな、これ。結構古い奴じゃないかな?」 <br /> <br /> ♪予定時刻は6時 あとわずかで僕らは別々の道 <br /> <br /> 君は僕の少し後ろ 涙ぐんで下を向き歩く♪ <br /><br /></dd><dd><br /> なんだ、これ。洒落にもならねぇ。思わず振り返ったじゃないか、くそっ。 <br /> 蒼「&hellip;はは、いい曲だね」 <br /> ジ「&hellip;そうだな。&hellip;&hellip;ところで家業の造園業ってやっぱり日本庭園?」 <br /> あー、そんなことどうでもいいだろ。口が勝手に動く。 <br /> 蒼「そうだよ。柴山造園っていって結構大きいんだ。」 <br /> <br /> <br /> いつからなんだろう 互いに素直になれぬまま <br /> <br /> 大切に思うほど大事な事が見えなくなって <br /> <br /> <br /> うざい。ゆずは嫌いじゃないが今聞きたい曲じゃない <br /> 蒼「温室もあるし庭も広いんだ。品種改良もやっててスターストーンっていう青と緑の花びらがきれいなあれは、 <br /> そこで生まれたんだ。だから最近は日本庭園ばっかりじゃないんだよ」 <br /> ジ「あー、あれか。ネットに写真あったな。すごいな」 <br /> くそっ、そんなところの跡ついだらほんとに二度と会えねぇじゃねぇか。 <br /> これで今生の別れか。縁起でもねぇ。 <br /> 蒼「うん、あれは僕と翠星石の名前からとったんだってさ。」 <br /> ジ「へぇー、そうだったんだ」 <br /> 蒼「うん。&hellip;あっ駅&hellip;着いちゃったね。」 <br /> ジ「あ、ああ。そ、そうだ。この駅ってあくまで特急が止まるだけじゃない?」 <br /> 蒼「うん、そうだね」 <br /> ジ「だからさ、もう少し歩いてバスに乗ってさ、新幹線の出てる駅まで行って新幹線で帰ったら?今晩中にはつけるかもよ?」 <br /> 蒼(&hellip;この駅から急行でその駅まで行くのでいいのではという疑問はあえて口に出すのはやめておこう) <br /> 蒼「&hellip;そうしようかな。新幹線なら向こうについて電話して迎えに来てもらうのにちょうどいい時間につけるし」 <br /> ジ「そうだろ?」 <br /></dd><dd></dd><dd></dd><dd> サヨナラバスはもうすぐ 君を迎えにきて <br /> <br /> 僕の知ることのできない明日へ君を連れ去ってゆく <br /> <br /> <br /> おいおい、ほんとに洒落にならねぇぞ。さっきから何なんだよ。 <br /> どうしてこうも商店街に流れてる曲ってのは遠くまでよく届くんだ? <br /> どうしてこうも同じ曲を同じタイミングで流してる店がいくつもあるんだ? <br /> 蒼「あ、あれ見てジュン君!」 <br /> 『商店街にBGMを流そう <br />  今月の曲 <br />  サヨナラバス <br /> <br />  なお、これに違反すると罰金1万円徴収します』 <br /> ジ「なるほど」 <br /> 蒼「いい運動だね」 <br /> ジ「そうか?」 <br /> 蒼「そうだよ」 <br /> <br /> <br /> サヨナラバスよ どうか来ないでくれないか <br /> <br /> やっぱり君が好きなんだ <br /> <br /></dd><dd> そういや、最後に蒼星石に『好きだ』っていったのいつだっけな? <br /> 蒼「もう少しだね」 <br /> ジ「そうだな&hellip;」 <br /> 一ヶ月?いや、もっとまえか? <br /> 蒼「残念だね、もう着いちゃったよ。」 <br /> ジ「ああ、結構早かったな。」 <br /> 当たり前すぎてすっかり忘れていたな&hellip;。 <br /> <br /> <br /> 今ならまだ間に合う ほんの少しの言葉も出ないまま <br /> <br /> <span></span><br /> 蒼「&hellip;まだ流れてるよ。」 <br /> ジ「&hellip;これで何回目だろうな。商店街はとっくに抜けたってのに&hellip;」 <br /> 蒼「えっ?あれは商店街同盟。あっちこっちに加盟してる店があるってうわさだよ」 <br /> ジ「そうなのか&hellip;。バス、もうすぐ来るな。」 <br /> 蒼「うん&hellip;」 <br /> いまならまだ間に合う。蒼星石、君に伝えたいことがあるんだ。 <br /> ジ「そうせいs&hellip;」 <br /> 蒼「あっ、バスが来たみたいだ。」 <br /> ジ「えっ?もう?」 <br /> <br /> <br /> おつりを待ってる君の振り向いた最後の笑顔 <br /> <br /> どうしてなんだろう 気付くのが遅すぎて </dd><dt></dt><dd><br /> 蒼「うん。ジュン君ともこれでお別れか。じゃあね。また&hellip;きっとあえるよね?」 <br /> ジ「おう」 <br /> くそっ、さっきから何なんだよ?この曲は?俺の邪魔ばっかしやがって!ゆずなんか、バスなんか大嫌いだ!! <br /> 蒼「じゃあね」 <br /> そういって君はタラップを上る。 <br /> 今声をかけなきゃ、もう話せやしない。そのことに気づいた僕は、君に追いすがる。 <br /> 光よりも早く、世界が疾走しているなら、僕はそれに逆らい、それよりも速く走る。君に追いつけるまで。 <br /> ジ「蒼星石!!」 <br /> 君がゆっくり振り返る。君は、君は本当に&hellip; <br /> 蒼「なに?」 <br /> ジ「好きだ!」 <br /> 君は、相変わらず美しい。 <br /> 蒼「えっ?」 <br /> ジ「愛してるよ」 <br /> そういい終わるとバスの扉が閉まる。それと同時に君の目から涙がこぼれだす。 <br /> 声は聞こえなかった。でも君は確かにこう言っていた。 <br /> 『僕も愛してるよ』と。 <br /> <br /> <br /> さようなら さようなら また笑って話せる <br /> <br /> その日まで僕は僕らしくいるから <br /> <br /> <br /> ふん。サヨナラなんて、くそくらえ。 <br /> 僕は携帯を取り出すと、僕の、一番大事な、一番頼りになる、友人に電話をかけ、君に追いすがる。 <br /> 世界が、時という弾丸を撃ち込んできても、僕は走るのをやめない。 </dd><dd><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><br /> 君はいつも何か考えている。 <br /> さあ、これで彼ともお別れだな。 <br /> なんていって別れよう。 <br /> 大学院、がんばってね、かな? <br /> 僕のこと忘れないでね、でも。 <br /> いい人早く見つけちゃいなよ、僕のことなんか早く忘れて。とでも言ってやろうか? <br /> いろいろ考えているうちに、バスが来ちゃった。 <br /> 何も言い出せない間に。 <br /> 仕方がないからありきたりな言葉を並べてタラップを上る。 <br /> 後ろから君の声がした。 <br /> 信じられない。今まさに、望んでいる言葉を君がかけてくれた気がした。 <br /> 思わず振り向くと君ははっきりといってくれた。 <br /> 『愛してるよ』 <br /> 待ち望んでいたその一言。ずるいよ。最後の最後に。 <br /> 扉は閉まってしまったけど、涙をこらえ僕もこう答えるんだ。 <br /> 『僕も、愛してるよ』 <br /> だめだ、こらえきれない。 <br /> 涙が、次から次にあふれてくる。もう二度と、彼みたいにすばらしい人には会えないんだろうな。 <br /> さようなら、君という名の僕の魂よ。 </dd><dd><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><br /> ジ「もしもし?ベジータか?」 <br /> べ「ん?なんだジュンか。どうした?ついに梅岡を闇討ちにする気になったか?」 <br /> ジ「やりたいけどな」 <br /> べ「ちがうのか。残念だな。で、何のようだ?」 <br /> ジ「実は&hellip;」 <br /> 事情を話した。ベジータに。あいつなら、きっと&hellip;。 <br /> べ「そうか。それでお前はどうするんだ?」 <br /> ジ「どうしようか?」だめだ、何にも思いつかない! <br /> べ「バカヤロウ!そこは迷うべきところじゃない! <br /> 大学院のことはあとでじっくり後悔しろ!とにかく追え!住所は分かってるのか?」 <br /> ジ「ああ。一応聞いといたんだが何しろ方向音痴なもんで&hellip;」 <br /> べ「わかった。俺もついていってやる。住所を聞いておいたのは正解だったな。 <br /> 俺は銀ちゃんが地元に戻ったとき、それをしておかなかった。おかげで今は音信不通だ。」 <br /> ああ。そういえば。水銀燈は携帯もってなかったんだな。友人も案外少なかったから全部にあたってみても、 <br /> まったくわからなかったとか言ってたっけ。 <br /> べ「俺は、今あのときに戻れるなら何が何でも水銀燈をひきとめるか、俺もついていくかして絶対に離れなかった&hellip;。 <br /> 何であの時分かれてしまったのか。たった一つ年が違う。それだけで、大学から早くいなくなって、地元の企業に <br /> 就職しちまう&hellip;。やりきれないぜ。俺はあの時水銀燈より学生生活を選んだ。世間から見ればそっちが正しいんだろう。 <br /> 現に俺もその時はそう思ったしな。だけどな、彼女が消えて、俺の一部も消えてしまったんだよ。 <br /> 彼女は『俺の魂の一部』なんだよ。 <br /> お前にとっての蒼嬢、いや、蒼星石もきっとそうなはずだ!お前は追うんだ!俺と違って、後悔しないためにも!」 <br /> ジ「わかった。とにかく、すぐに僕の家まで来てくれ。蒼星石の実家まで行く!お前の言葉で踏ん切りがついた。 <br /> ありがとう。」 <br /> べ「ふん、友人として当たり前のことをしたまでだ。梅岡をつぶすまえにおまえに自殺でもされたら困るしな。」 <br /> </dd><dd><br /> べ「よし、ジュン。お前もバイク持ってたよな?」 <br /> ジ「ああ。あんまり乗ってないけどな。」 <br /> べ「飛ばすぞ。」 <br /> <br /> 飛ばした。本当に。暴走族が絡んできたりしたが、すべてベジータが峠で谷底に叩き落していた。 <br /> 普段はなんだかんだ言ってても、やっぱりベジータは頼りになる。いい奴だ、本当に。何でもてなかったんだろう? <br /> <br /></dd><dd> </dd><dd></dd><dd>べ「この家か?」 <br /> ジ「そうみたいだな。」 <br /> べ「あそこにいるの&hellip;蒼星石だろ?」 <br /> ジ「&hellip;&hellip;そうみたいだな。」 <br /> べ「いってこいよ。」 <br /> ジ「&hellip;おう。ありがとう、ベジータ。」 <br /> べ「気にするな。」 <br /> ジ「行ってくる!」ダッ <br /> べ「ちょっとまて。」 <br /> ジ「なんだよ?」 <br /> べ「俺が水銀燈に渡そうとおもってかったんだが、その時うっかり別のも一組頼んじまったらしくてな&hellip;金は後で払ってくれればいい。払わないでいいとかっこよくいいたいんだが、さすがにそれは高すぎるんでな&hellip; <br /> 俺はもう少しこの公園に居る。がんばれよ。」 <br /> ヒュン <br /> ジ「これは&hellip;ありがとう!」タッ <br /> <br /> べ「本当にがんばれよ&hellip;ジュン。さぁ、もう少しこの町を眺めて、ジュン達がどうなるかみてから帰るか&hellip;世界よりも速く走れるさ、お前なら、きっと&hellip;」</dd><dt></dt><dd><hr style="width: 100%; height: 2px;" /></dd><dd> ついに、着いちゃったか。ベジータ君の彼女にもとうとう会わずじまいだったな。 <br /> 大学も中退ってことになるのかな?卒論を送ったら一応卒業したことになるのかな? <br /> まぁ、そんなことどうでもいいや。ジュン君&hellip;ほかのことは諦めがつくけど君のことはなかなか&hellip;。 <br /> 考えていると、懐かしいはずの町の景色は目に映らず、いつのまにか家について、なんだかどうでもよくなって眠ってしまった。 <br /> その日の夢は、陽だまりのような懐かしい夢だった。 <br /> <br /></dd><dd> </dd><dd>次の日、久しぶりに町を朝から散歩をしていたら声をかけてくる人がいた。誰だろう? <br /> ?「あらぁ、蒼星石ぃ?久しぶりねぇ」 <br /> 蒼「ん?君は&hellip;水銀燈!久しぶりだね」 <br /> 銀「そうねぇ。あなた、画布浮威流土市(えぬのふいるどし)の大学に入ってたんでしょ?実は私もそこにはいってたのよぉ。 <br /> こないだ卒業してこっちにもどってきたんだけど。」 <br /> 彼女は水銀燈。僕の幼馴染。中学校まで一緒だった、とてもいい友人だ。ちなみに年は一つ上。 <br /> 高校も同じところに入ろうとしたんだけど試験日にインフルエンザにかかって結局別の高校に僕は入っちゃったんだ&hellip;。 <br /> 蒼「え?そうだったの?残念だな、わかってたら会いに行ったのに。」 <br /> 本当に残念だ。今、水銀燈が一緒だったら相談できるのにと思ったことが何度あったか。 <br /> 銀「昨日帰ってきたって聞いて会いにきたの。それにしても、浮かない顔してるわねぇ、あなた。 <br /> せっかくのかわいい顔がだいなしよぉ。」 <br /> そんなにひどい顔してるのかな?かわいい顔って&hellip;そんなところも変わらない。 <br /> 蒼「実は、彼氏とこのことで離れ離れになっちゃって&hellip;」 </dd><dd><br /> やっぱり、水銀燈に話すと気が楽になる。 <br /> でも、僕が話すにつれ、水銀燈の顔が曇っていく。なんでだろう? <br /> 銀「そうなのぉ。そういうのに奥手だったあなたがねぇ。 <br /> &hellip;私が卒業と同時にこっちに戻ってきて地元企業に就職したって話はしたわよねぇ?」 <br /> 蒼「うん。聞いたよ。」 <br /> 銀「実は私もその時付き合ってた一つ年下の彼氏とバラバラになっちゃってぇ。私も彼も携帯持ってなかったから、 <br /> 音信不通になっちゃったの。今までいろんな男に声をかけられた私だけど、 <br /> あんなに個性的で面白くって一緒にいて安らいだ気分になる人はいなかったわぁ。頼りがいもあったしねぇ。 <br /> もう一度、あの人に会いたい。そう思っても、彼は電話を持ってないから電話もかけられず、会いに行こうと思っても新入社員が休みをそんなに取れるはずもなく、 <br /> 会いにいけないままもう数ヶ月&hellip;風の便りで聞いたら別のアパートに引っ越したらしいわぁ。電話持ってないのよぉ。 <br /> 笑っちゃうでしょう?公衆電話がすぐそばにあるからとかいって&hellip;」 <br /> 蒼「そうだったんだ&hellip;」 <br /> あの水銀燈が&hellip;。あれだけ男性に対して厳しかった水銀燈のめがねにかなった日とってどんな人なんだろう&hellip;。 <br /> 銀「だから、あなたも連絡の取れるうちにとっておいたほうがいいわよぉ。私みたいになりたくなかったらねぇ。じゃ、私もういくわぁ」 <br /> 蒼「ありがとう、水銀燈。」 <br /> そうはいっても、何か用のあるときは直接会いに行ってたから電話番号知らないんだった&hellip;どうしよう&hellip; <br /> <hr style="width: 100%; height: 2px;" />家に近づくと、最後に聞いてからそんなにたってないのに、ものすごく懐かしい声が聞こえてきた。 </dd><dd><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><br /> 僕は君の家に走っていった。全力で。 <br /> ジ「蒼星石!」 <br /> 元「ん?君は誰じゃ?」 <br /> ジ「だれでもいいだろ!」 <br /> 元「そんな訳にはいかんだろうが。最近は老人目和えの詐欺も多いでの。おぬしは誰じゃ?」 <br /> ジ「おじいさん、あなたは世界より速く走れるのか!僕は走ってみせる!世界より疾く!蒼星石は!?」 <br /> 元「さ、散歩に行ったよ&hellip;」 <br /> くそっ、行き違いになったのか。速く、君にあいたい。 <br /> ジ「ありがとうございました!」ダッ <br /> <br /> 翠「ふぁぁぁあ&hellip;うーん、朝っぱらからやかましいですよ。せーっかく翠星石がとまってやったっていうですのに&hellip;」 <br /> 元「あ、ああすまなかった。来客が来ておってな。」 <br /> 翠「まぁいいですぅ。誰が来てたんですかぁ?」 <br /> 元「&hellip;さぁ?誰じゃろ?」 <br /> 翠「何でわかんないんですか!?」 <br /> 元「世界より速くとか&hellip;蒼星石を探しておったな&hellip;」 <br /> 翠(蒼星石!!蒼星石の身に危険が!?双子の姉としてほっておけんですぅ&hellip;) <br /> ダッ <br /> 元「翠星石?どこ行くんじゃ?」 <br /> 翠「ちょっとそこまでですぅ!!!」 <br /> 元「気をつけてなぁ&hellip;」 </dd><dd><br /> くそっくそっくそっ!!どこにいるんだ?早く君にあいたい&hellip; <br /> 気がつくと、いつの間にか公園に戻ってしまった。 <br /> ジ「ちくしょう&hellip;。蒼星石&hellip;。」 <br /> 小山のふもとにへたりこんでいると、ベジータの声が聞こえた。ような気がした。たぶん気のせいだろう。 <br /> べ〝あそこの木の下を歩いている女性は美人だな。本当に。うらやましいぜ、ジュン〟 <br /> 思わず顔を上げると、そこには君がいた。間違いなく。懐かしい君が、風にその髪をなびかせながら歩いていた。 <br /> 『蒼星石』! <br /> そう声をかけると君は振り向いてくれた。走った。世界よりも疾く。それはほんのわずかな時間かもしれない。 <br /> けれど、僕は確かに、世界を追い抜けた。 <br /> 蒼「ジュン君!!」 <br /> ジ「蒼星石!」 <br /> しっかりと抱きしめる。二度と、二度と離さない。 <br /> 蒼「もう、来てくれないかと思った&hellip;怖かったよぉ&hellip;ぐすっ。ふぇぇぇん&hellip;」 <br /> ジ「泣くなよ。大丈夫。」 <br /> そのまま、しばらく立ち尽くしていた。 <br /> ジ「蒼星石。大切な話があるんだ。聞いてくれるか?」 <br /> 蒼「え?何?」 <br /> ベジータからもらった、指輪を取り出す。 <br /> ジ「僕と、結婚してくれないか。」 <br /> 蒼「&hellip;&hellip;&hellip;うん!」 <br /> それから、しばらくどうでもいい話をした。いままでのように。 <br /> 翠「ぜー、ぜー、やぁーっと見つけたですぅ!そこのドチビ!蒼星石から離れやがれですぅ!」 <br /> えっ?誰だよ? <br /> ジ「どなたですか?」 <br /> 翠「蒼星石の双子の姉ですぅ!私の妹には指一本触れさせんですぅ!」 <br /> 性格はまったく違うな。そんなことを考えていたら。頭に何かがぶつかり。 <br /> 意識は世界から吹っ飛んでいた。 </dd><dd><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><br /> 蒼「ちょっと、翠星石!ハンマーなんか投げてあたったら死んじゃうじゃないか!」 <br /> 翠「別にかまわないですぅ!蒼星石に手を出そうとするほうが悪いんですぅ。それに、あたったですけど残念ながら死んでないですよ?」 <br /> 蒼「まったく。ジュン君?大丈夫?」 <br /> 翠「気を失ってるだけですぅ」 <br /> 蒼「家まで運ぶから手をかして <br /> 翠「しゃーないですね。ところで、このクソメガネは蒼星石のいったい何なんですかぁ?」 <br /> 蒼「大事な人だよ。とってもね。」 <br /> 翠「きぃぃぃぃぃぃ!!!相手が悪いですぅ!もっと選べですぅ!」 <br /> あーうるさい。早く妹離れしてよ。結婚の話は家についてからのほうがいいな。 <br /> <br /> ラ「世界より速く&hellip;ですか。世界を少し遅くしてみましたがまさか本当に走るとは&hellip;。興味深い。身近なところで観察したいですねぇ&hellip;」 </dd><dt></dt></dl><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><dl><dt></dt><dd>う、ん?どこだ、ここは?たしか蒼星石にプロポーズしたあとに、翠星石とかいう女性が絡んできて&hellip;? <br /> ジ「蒼星石!」 <br /> 蒼「あ、よかった。目が覚めた?」 <br /> ジ「ああ。運んできてくれたの?そういや、僕はどのぐらい気絶してたの?」 <br /> 蒼「30分ぐらい?」 <br /> ジ「ありがとぉおおお?」 <br /> なんだ?誰かが猛烈な勢いで揺さぶってくる。 <br /> 翠「許さんですぅ!認めんですぅ!蒼星石が結婚だなんて&hellip;!許さんですぅ!認め(ry」 <br /> 蒼「やめてよ!翠星石!」 <br /> 翠「う、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」ダッ <br /> 蒼「ごめんね、ジュン君。結婚の話、翠星石にしたら取り乱しちゃって&hellip;」 <br /> ジ「ああ、べつにいいよ。それより、お父さんにもきちんと挨拶しとかなきゃ。」 <br /> 蒼「そのことなんだけど、僕らの両親は小さい頃死んじゃって、おじいさんたちに育てられたんだ。僕はお父さん、お母さんってよんでるけどね。」 <br /> ジ「そうなのか&hellip;。よし、とにかく挨拶に行こう!」 <br /> 蒼「もう隣の部屋で準備してるよ」 <br /> 用意いいな&hellip;。 <br /> がらっ <br /> ジ「はじめまして。桜田ジュンといいます。いきなりですみませんが、蒼星石と結婚させてください!」 <br /> 元「おう、誰かと思えばさっきの青年か。世界より速く走れたかの?」ニャニヤ <br /> さっきのジジイか!! <br /> ジ「はい、なんとか&hellip;」 <br /> 蒼「??」 <br /> 元「よし、気に入った。カズキと名を変えるなら結婚を認めよう!」 <br /> は?何言ってんだこのジジイ!? <br /> </dd><dd>ま「すみませんねジュン君。あなたはあっちにいってなさい。」 <br /> 元「う、うむ&hellip;」 <br /> ま「結婚&hellip;ね。あなた、蒼星石は好き?」 <br /> ジ「当たり前です。」 <br /> 当然だ <br /> ま「10年たっても?20年たっても?一世紀たっても、千年たっても?そういえるなら結婚していいわよ。 <br /> 泣かさないでとは言わない。でも、悲しませたら、その場であなたの首をはねるわ。」 <br /> 怖い。でも、そんなことは決まってる。 <br /> ジ「当然です。僕は、たとえ世界が滅びても蒼星石を愛し続けます。」 <br /> 蒼「ジュン君&hellip;」 <br /> ま「そう。それならいいわ。大学は私から話をして卒論だけ送れば卒業できるようにしておきましょう。 それはそうと、あなた仕事は決まってるの?」 <br /> ジ「&hellip;いいえ」 <br /> ここまできて、フリーターやニートに娘はやれませんとかいうのは無しだぞ&hellip; <br /> ま「なら、ちょうどいいわ。家の研究所で働きません?助手の白崎というのがあなたのことを話したらえらく気に入りましてね&hellip;」 <br /> 願ったり叶ったりだ。 <br /> ジ「本当ですか?」 <br /> ま「嘘よ」 <br /> ジ「&hellip;&hellip;&hellip;」 <br /> 蒼「&hellip;&hellip;&hellip;」 <br /> ま「あらやだ、冗談よ。本当に働いてください。」 <br /> ジ「ありがとうございます」 <br /> 何なんだこの家は。 <br /> ま「じゃぁ、今から案内しましょう。」 <br /> 蒼「僕はここで待ってるね。」 <br /> </dd><dd><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><br /> ま「こちらが、柴山植物研究所の所長、槐さんです。」 <br /> 槐「&hellip;君が桜田君か。よろしく。」 <br /> ジ「こちらこそ、よろしくお願いします。」 <br /> 槐さんは、植物の遺伝子に関する研究で有名な人で、とてもいいひとだった。なんでも、中学生か高校生の娘が一人居るらしい。 <br /> ま「こちらが、あなたをこの研究所に推してくださった白崎さんです。」 <br /> 白「やぁ、桜田君。きみってかわいいよね。今晩僕の家に来ない?」 <br /> ジ「遠慮します。」 <br /> 梅岡が世界最悪の変態だと思っていたけど、上には上がいるもんだ。 <br /> このひと、白衣のしたには紫のブーメランパンツしか着てない&hellip; <br /> ま「この人は優秀で、いい人なんですが素行があまりよくないもので出世できないんですよ&hellip;」コソッ <br /> ジ「わかります&hellip;。」 <br /> <br /> そのあと、ぼくらは家に戻り、蒼星石の案内でアパートを見に行くことになった。翠星石までついてきたのが残念だけど&hellip;。 <br /> 翠「結婚!?蒼星石には早すぎるですぅ!絶対に私はみとめんですぅ。 <br /> しかもよりによってこんなチビ人間だなんて&hellip;」 <br /> 蒼「翠星石!ごめんねジュン君、悪気は無いんだ&hellip;」 <br /> ジ「ああ、わかってるよ。」 <br /> 翠「キィーーー!!目の前でいちゃつくなですぅ!」 <br /> 銀「あらぁ、翠星石、まだ妹離れできてないのぉ?それにしても蒼星石ぃ。よかったじゃなぁい。」 <br /> 蒼「ありがとう」 <br /> ん?この声&hellip; </dd><dd>銀「あなたが蒼星石の結婚相手ぇ?あれぇ、あなたどっかで?」 <br /> ジ「水銀燈さん&hellip;ですよね?」 <br /> 蒼「あれ、二人とも知り合い?ジュン君、水銀燈は僕の幼馴染なんだよ。意外だな、二人が知り合いだったなんて」 <br /> ジ「僕は、ベジータの友人です。前に一度お会いしましたよね&hellip;」 <br /> 銀「ああっ!!ベジータの居場所知ってるのあなた!!??お願いよぉ、おしえてぇ!」 <br /> ジ「あいつなら、いまこっちにきていてあっちのでっかい公園に&hellip;」 <br /> 銀「こっちにいるの!?ありがとう!」タタタタ&hellip; <br /> 蒼「どういう知り合い?ジュン君?」 <br /> ジ「ベジータの地元に帰っていったっていう彼女。」 <br /> 蒼「ええっ?」 <br /> 翠「なにぃですぅ!あの水銀燈に彼氏ができたですかぁ?」 <br /> 蒼「うん、かくかくしかじかでね&hellip;」 <br /> 翠「驚きですぅ。はぁ、翠星石もいい人欲しいですぅ&hellip;」 <br /> 蒼「それにしても、ベジータ君の美人の彼女って水銀燈だったのか&hellip;」 <br /> ジ「世の中って狭いな。」 <br /> 蒼「ふたりも、うまくいくといいね。」 <br /> ジ「うまくいくさ、きっと。」 <br /> 翠「そうですよ。」 <br /> 蒼「&hellip;そうだね!」 <br /> <br /> そんなこんなでこの騒動は治まり、僕は柴山造園のそばに家を借りて、暮らすことになった。 <br /> もちろん、結婚式が終わったら、蒼星石も一緒に暮らす。 <br /> さよならなんかするもんか。死すら二人を分かつことはできないのに。 <br /> <br /> <br /> <br /> べ(水銀燈&hellip;この景色を君と眺めたかった&hellip;あの時、何故俺は追わなかったんだろう&hellip;) <br /> 銀「ベジータぁ!」 <br /> べ(水銀燈!?)ベジータ編に続くかも?</dd></dl><br /><br /><br /><br /><br /><br /><hr style="width: 100%; height: 2px;" /><dl><dd><br /> 後日談 柴山研究所の平和な日常 <br /> ジ「エンジュさん、新種の開発に成功しました。」 <br /> 槐「ほう。何だね?」 <br /> ジ「葉っぱから根っこから花から何から何まで紫色の薔薇です。蜜ももちろん紫です。名前、なんてつけますか?」 <br /> 槐「!!薔薇水晶だ&hellip;」 <br /> ジ「えーと、学名は?」 <br /> え「そうだな&hellip;バラシー・ワカオクサマだな。」 <br /> ジ「そうですか&hellip;」(さすが親バカ&hellip;) <br /> 白「ねぇ、ジュン君。いい人いない?」 <br /> ジ「その格好何とかしないと紹介しても逃げてきますよ」 <br /> 白「だから逃げてか無いような人をさ!」 <br /> ジ「&hellip;紹介しましょう」 <br /> 白「はぁはぁはぁ」 <br /> 梅「うほ、いいうさ男!」 <br /> 白「アッー!さすがジュン、私が見込んだ男!危険な男を平然と紹介してのける!そこが痺れて&hellip;穴がほられるぅう!!」 <br /> 槐「さすがだな&hellip;」 </dd></dl>
<dl><dd>『止まらない世界』</dd><dt>じゃあね。彼女はそういって歩き出した。僕は君に追いすがる。</dt></dl>・<a href="http://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2688.html">ひとかぜめ</a><br /><br />・<a href="http://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2689.html">ふたあめめ</a><br /><br />・<a href="http://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2690.html">さんてんめ</a><br /><br /><br />・<a href="http://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2691.html">番外編しばやまけんきゅうじょのにちじょう</a>

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