「Graduation-Rozenkristall-」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<p>‐‐桜・・・か。<br>
桜は、散るからこそ美しい。</p>
<p>散るものの、美しさ・・・<br>
少なくとも私にはあまり意識したことのないことだった。<br>
Cherry blossom is cherry blossom is cherry blossom.<br>
桜は桜であり、それ以上でも以下でもない。<br>
そんなものに過ぎなかった。</p>
<p>彼の言葉を聞くまでは。</p>
<p>Graduation-Rozenkristall-</p>
<p>薔「・・・」<br>
早咲きの桜は、風に流され散って行く。そんな画を、私の心は大した反応も示さない。<br>
J「何やってんの?」<br>
薔「・・・ボーッとしてる」<br>
J「見たまんまだなw 」<br>
薔「・・・うん。何かね、桜見てたらボーッとしてたみたい。」<br>
J「ふーん。」</p>
<p>
彼のそっけない態度は、夏明けからあまり変わっていない。<br>
変わらないのがいいと言う人もいるが、変化のない日常は退屈という悪魔に化ける。その悪魔の誘惑勝つことができれば苦労はしない。<br>
誰しもが誘惑に負けているのだから。</p>
<p>‐‐でも彼は違う。<br>
誘惑に勝ち、非日常を勇敢に生きた人。<br>
まぁ、私が勝手にそう思っているだけではあるが。<br>
恐らく彼の頭の中には、非日常から得たかけがえの無いもので頭がいっぱいになっているだろう。<br>
私の姉と付き合いだして早4か月程。<br>
少なくとも私や、周りの人間にはそう見えたはずだった。<br>
‐‐だが彼は、やはり少し違った。</p>
<p>
J「・・・桜。生きる目的が目の前にあるもの・・・か。」<br>
薔「え?? 」<br>
私の考えは、どうやらフードプロセッサーで粉々にされてしまったようだ。<br>
J「いやさ、4か月前のことだよ。生きる目的の話・・・。」<br>
薔「ノロケですかそうですか。」<br>
J「ノロケか・・・多少入るなw」<br>
薔「じゃあ聞かない」<br>
J「ちょww 」<br>
薔「イタリアンジョークもわかんないの?」<br>
J「残念だ。わからん。とりあえず・・・聞く?」<br>
薔「一応聞く。お姉ちゃんをどうやって落としたか聞きますよ。」<br>
J「・・・何か違うけどな。まぁ、あの時言った訳じゃないんだ・・あのあと少ししてからのこと。桜をネタにしたわけでもないしね。」<br>
薔「?」<br>
J「誰しもが生きる目的を持ってる。目的もなく生きてる人間なんてどこにもいないはずなんだ。」<br>
薔「・・・NEETも?」<br>
J「NEETもそう。あいつらは、生きることが目的。」<br>
薔「生きてることが目的?」<br>
J「そう。生きてること。」</p>
<p>
彼の言うことは、なんだかとっても意味深なものが多い。<br>
ハッキリいうと、わかりにくい。本気でわからないときもある。<br>
<br>
それでも、彼は一つ一つを-少なくとも私には、-わかるように噛み砕いてくれる。<br>
彼は優しいから。</p>
<p>薔「・・・どういうこと?」<br>
J「んーと・・・薔薇水晶はこないでまで何を頑張ってきた?」<br>
薔「・・・ガンプラ」<br>
J「そのために日常を切り取って使ってたわけだ。」<br>
薔「・・・うん。」<br>
J「僕は何も生きる目的は壮大でないといけないなんて言ってないよ。日常の切れ端・・・とういか日常そのものが生きる目的。」<br>
薔「・・・」</p>
<p>
やはり、私の考えは少々浅はかだったのかもしれない。<br>
私はいつも彼の視線は大きなもの-国際情勢とか-に向いているとばかり思っていた。<br>
でもそれは違うようで、彼は日常の小さなことから世界は動いていると話してくれた。</p>
<p>
--それは、桜でもなんでも。生きとし生ける者は全て・・・</p>
<p>
私の姉はその言葉を信じて、日常のピースを人生のパズルにはめ込んでいる。<br>
それはほぼ間違いなかった。</p>
<p>薔「・・・JUNの生きる目的は何?」<br>
J「その日その日を、一生懸命生きること。彼女と一緒にね」</p>
<p>
最後をノロケで締めるあたり、憎たらしいというか捻くれてると言うか・・・。<br>
彼らしい、と言っておいた方が良いのだろう。</p>
<p>
J「そんじゃ僕、今からべジータたちとカラオケ行って来るけど・・来る?」<br>
薔「・・・後で行く。場所はメールしといて。」<br>
<br>
そんな彼が、私の気持ちなど知る由もない。</p>
<p>
--なんとなく見ていた桜は、私の気持ちに区切りをつけるという無意識の過程だったのかもしれない。</p>
<p>
薔「・・・友達だなんて言わなきゃ良かったのかな・・」<br>
真「それはどうかしら?」</p>
<p>振り返ると姉の友人、真紅がそこにいた。<br>
薔「・・・真紅。いつから?」<br>
真「NEETぐらいからだわ。彼も中々良いこと言うのだわ。」<br>
薔「・・・そうだね。」<br>
真「それはそうと、あなたはそれでいいの?」<br>
薔「・・・うん。」<br>
真「そう。なら辛気臭い顔してないでカラオケボックスに急ぎなさい。」<br>
薔「・・・もう少し、見てる。」<br>
真「散り行くもの・・・あなたの恋心かしらね。」<br>
薔「・・・やっぱりわかった?」<br>
真「勿論よ。水銀燈の妹なんだから。」<br>
薔「・・・パッとしないけど、なんか惹かれてたのかな・・」<br>
真「あなたの気持ちは、なんとなくわかるのだわ。でもここに区切りをつけに来たんじゃなくて?」<br>
薔「・・・うん。」<br>
真「なら、しっかりとつけていくことね。」<br>
何となく、またしばらくの間ボーっとしていた。<br>
彼のことを少し考えながら・・・<br>
薔「・・・そろそろ行く」<br>
真「気をつけて。」<br>
薔「・・・ありがとね。」<br>
真「私は特に何もしていないのだわ。」<br>
薔「JUNと一緒だね。」<br>
真「そう。それじゃ、私もそろそろバイトがあるから。」<br>
薔「うん。じゃあね。」</p>
<p>
--この気持ちにも、自分の小さな考えと枠にもそろそろ卒業しないと。</p>
<p>どうも、そんなことを呟いていたみたいだ。</p>
<p>ボックスへの道。<br>
ただ、桜が舞い散るのみ。</p>
<p>Graduation-Rozenkristall-<br>
おわり<br></p>
<p>‐‐桜・・・か。<br>
桜は、散るからこそ美しい。</p>
<p>散るものの、美しさ・・・<br>
少なくとも私にはあまり意識したことのないことだった。<br>
Cherry blossom is cherry blossom is cherry blossom.<br>
桜は桜であり、それ以上でも以下でもない。<br>
そんなものに過ぎなかった。</p>
<p>彼の言葉を聞くまでは。</p>
<p>Graduation-Rozenkristall-<br>
薔「・・・」<br>
早咲きの桜は、風に流され散って行く。そんな画を、私の心は大した反応も示さない。<br>
J「何やってんの?」<br>
薔「・・・ボーッとしてる」<br>
J「見たまんまだなw 」<br>
薔「・・・うん。何かね、桜見てたらボーッとしてたみたい。」<br>
J「ふーん。」<br>
<br>
彼のそっけない態度は、夏明けからあまり変わっていない。<br>
変わらないのがいいと言う人もいるが、変化のない日常は退屈という悪魔に化ける。その悪魔の誘惑勝つことができれば苦労はしない。<br>
誰しもが誘惑に負けているのだから。<br>
<br>
‐‐でも彼は違う。<br>
誘惑に勝ち、非日常を勇敢に生きた人。<br>
まぁ、私が勝手にそう思っているだけではあるが。<br>
恐らく彼の頭の中には、非日常から得たかけがえの無いもので頭がいっぱいになっているだろう。<br>
私の姉と付き合いだして早4か月程。<br>
少なくとも私や、周りの人間にはそう見えたはずだった。<br>
‐‐だが彼は、やはり少し違った。<br>
<br>
J「・・・桜。生きる目的が目の前にあるもの・・・か。」<br>
薔「え?? 」<br>
私の考えは、どうやらフードプロセッサーで粉々にされてしまったようだ。<br>
J「いやさ、4か月前のことだよ。生きる目的の話・・・。」<br>
薔「ノロケですかそうですか。」<br>
J「ノロケか・・・多少入るなw」<br>
薔「じゃあ聞かない」<br>
J「ちょww 」<br>
薔「イタリアンジョークもわかんないの?」<br>
J「残念だ。わからん。とりあえず・・・聞く?」<br>
薔「一応聞く。お姉ちゃんをどうやって落としたか聞きますよ。」<br>
J「・・・何か違うけどな。まぁ、あの時言った訳じゃないんだ・・あのあと少ししてからのこと。桜をネタにしたわけでもないしね。」<br>
薔「?」<br>
J「誰しもが生きる目的を持ってる。目的もなく生きてる人間なんてどこにもいないはずなんだ。」<br>
薔「・・・NEETも?」<br>
J「NEETもそう。あいつらは、生きることが目的。」<br>
薔「生きてることが目的?」<br>
J「そう。生きてること。」<br>
<br>
彼の言うことは、なんだかとっても意味深なものが多い。<br>
ハッキリいうと、わかりにくい。本気でわからないときもある。<br>
<br>
それでも、彼は一つ一つを-少なくとも私には、-わかるように噛み砕いてくれる。<br>
彼は優しいから。<br>
<br>
薔「・・・どういうこと?」<br>
J「んーと・・・薔薇水晶はこないでまで何を頑張ってきた?」<br>
薔「・・・ガンプラ」<br>
J「そのために日常を切り取って使ってたわけだ。」<br>
薔「・・・うん。」<br>
J「僕は何も生きる目的は壮大でないといけないなんて言ってないよ。日常の切れ端・・・とういか日常そのものが生きる目的。」<br>
薔「・・・」<br>
<br>
やはり、私の考えは少々浅はかだったのかもしれない。<br>
私はいつも彼の視線は大きなもの-国際情勢とか-に向いているとばかり思っていた。<br>
でもそれは違うようで、彼は日常の小さなことから世界は動いていると話してくれた。<br>
<br>
--それは、桜でもなんでも。生きとし生ける者は全て・・・<br>
<br>
私の姉はその言葉を信じて、日常のピースを人生のパズルにはめ込んでいる。<br>
それはほぼ間違いなかった。<br>
<br>
薔「・・・JUNの生きる目的は何?」<br>
J「その日その日を、一生懸命生きること。彼女と一緒にね」<br>
<br>
最後をノロケで締めるあたり、憎たらしいというか捻くれてると言うか・・・。<br>
彼らしい、と言っておいた方が良いのだろう。<br>
<br>
J「そんじゃ僕、今からべジータたちとカラオケ行って来るけど・・来る?」<br>
薔「・・・後で行く。場所はメールしといて。」<br>
<br>
そんな彼が、私の気持ちなど知る由もない。<br>
<br>
--なんとなく見ていた桜は、私の気持ちに区切りをつけるという無意識の過程だったのかもしれない。<br>
<br>
薔「・・・友達だなんて言わなきゃ良かったのかな・・」<br>
真「それはどうかしら?」<br>
<br>
振り返ると姉の友人、真紅がそこにいた。<br>
薔「・・・真紅。いつから?」<br>
真「NEETぐらいからだわ。彼も中々良いこと言うのだわ。」<br>
薔「・・・そうだね。」<br>
真「それはそうと、あなたはそれでいいの?」<br>
薔「・・・うん。」<br>
真「そう。なら辛気臭い顔してないでカラオケボックスに急ぎなさい。」<br>
薔「・・・もう少し、見てる。」<br>
真「散り行くもの・・・あなたの恋心かしらね。」<br>
薔「・・・やっぱりわかった?」<br>
真「勿論よ。水銀燈の妹なんだから。」<br>
薔「・・・パッとしないけど、なんか惹かれてたのかな・・」<br>
真「あなたの気持ちは、なんとなくわかるのだわ。でもここに区切りをつけに来たんじゃなくて?」<br>
薔「・・・うん。」<br>
真「なら、しっかりとつけていくことね。」<br>
何となく、またしばらくの間ボーっとしていた。<br>
彼のことを少し考えながら・・・<br>
薔「・・・そろそろ行く」<br>
真「気をつけて。」<br>
薔「・・・ありがとね。」<br>
真「私は特に何もしていないのだわ。」<br>
薔「JUNと一緒だね。」<br>
真「そう。それじゃ、私もそろそろバイトがあるから。」<br>
薔「うん。じゃあね。」<br>
<br>
--この気持ちにも、自分の小さな考えと枠にもそろそろ卒業しないと。<br>
<br>
どうも、そんなことを呟いていたみたいだ。<br>
<br>
ボックスへの道。<br>
ただ、桜が舞い散るのみ。<br>
<br>
Graduation-Rozenkristall-<br>
おわり<br></p>