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<p>「新説JUN王伝説~序章~」第15話</p>
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<p>ジ「おい、水銀燈!!しっかりしろ!!水銀燈!!」<br>
黒『落ちついてください!幸い見たところ命に別状はなさそうです。今は彼女の意識が回復するのを待ち事情を詳しく聞くのがよろしいかと…』<br>
ジ「そ…そうか。すまない…けど、一体誰がこんな…」<br>
ジュンは水銀燈を抱きかかえたまま怒りの声を上げた<br>
黒『水銀燈殿を残したとなると…これは明らかにめぐ殿のみを狙った犯行。それも計画的な…』<br>
ジ「誰が何の目的で…」<br>
黒『そこまでは…だがこのままにしておくわけにはいきますまい…せめて犯人の手掛かりが分かれば…』<br>
?『犯人なら分かりますぜ?』<br>
ジ・黒『!?』<br>
ふいに言葉を掛けられジュンと黒王は声がした方向を見た<br>
それはジュン達の頭上の電線にいた1羽のカラスであった<br>
黒『お前は…ジャミアン。』<br>
ジャ『へへっ、しばらくですな。黒王の旦那。』<br>
ジ「黒王…お前の知り合いか?」<br>
黒『えぇ、ちょっとした…』<br>
するとジャミアンは羽根を広げ黒王の背中に飛び降りた<br>
ジャ『この姐さんの友達をさらったのは“挫羅武組”っていうヤクザ連中でさぁ。』<br>
ジ「なんでヤクザなんかがめぐを!?」<br>
ジャ『そこまでは俺にも分かりやせんぜ…でもあの嬢ちゃん、普通の人たぁ違った気配を感じたんですよ。』<br>
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<p>ジ「違った気配?」<br>
ジャ『えぇ、うまくは言えねぇんすけどね。』<br>
黒『して、その挫羅武組とかいう連中の居所は分かるのか?』<br>
ジャ『旦那、俺らカラスをナメちゃいけませんぜ。この街にどんだけの仲間がいるとお思いですか?』<br>
ジャミアンは黒王の問いに自信満々に答えた。その表情はどことなくにやりと笑って見えた<br>
黒『ふっ、そうであったな…ならばジャミアン、私からの頼みだ。一刻も早く犯人の位置を割り出してくれ!!そして判明次第我が元に報告を!!』<br>
ジャ『お安いご用で…はぁっ!!』<br>
ジャミアンはバサァと黒い翼をはためかせると、あっという間に空高く消えていった<br>
黒『我が主、ここはジャミアンに任せ私達は一度家に戻り待機しましょう。』<br>
ジ「あぁ、水銀燈を休ませないといけないしな。」<br>
ジュンは水銀燈を抱えて黒王の背中に乗ると急いで我が家に向かった<br>
<br>
一時間後…<br>
銀「……ん…ここは…」<br>
ジ「気が付いたか、水銀燈。」<br>
ジュンのベッドに寝かされていた水銀燈はゆっくりと目を開けた<br>
銀「私…どうして……!?めぐ!!」<br>
徐々にはっきりしてゆく意識の中で先程の事を思い出した水銀燈は一気に体を起こした<br>
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<p>ジ「お…おい、無理すんなよ!」<br>
銀「じっとしてられるわけないじゃない!!早くめぐを助け…うっ!」<br>
ふいに水銀燈の頭に鈍い痛みが走った<br>
ジ「だから無理すんなって…お前は頭を殴られてたんだから。」<br>
銀「くっ…あいつら…」<br>
ジ「で、何があったんだよ?」<br>
銀「……あの時、私はめぐと2人で買い物に行こうとしてたの…」<br>
水銀燈はゆったりと先程の顛末を語り始めた<br>
銀「私達が話しながら歩いてると急に後ろから黒い車がやってきて…<br>
中から出てきた男がめぐに掴みかかったの…私は慌てて男を引き離そうとしたわ。<br>
でも、後から出てきたもう1人の男に後ろから殴られて…<br>
私は薄れてゆく意識の中車に押し込まれていくめぐを見ていることしかできなかった…でもあの時、めぐが必死に私の名前を呼んでいたことだけははっきり覚えてるわ…」<br>
水銀燈は落ちついた様子で淡々と話を続けていたが…<br>
銀「私は…私は…何もできなかった…めぐを…助けてあげられなかった…めぐが必死に私を呼んでいたのに…うぐっ…ひくっ…ごめんね…ごめんね…めぐ…ううぅ…」<br>
水銀燈は話を終えると堰を切ったように泣き出してしまった<br>
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ジュンは両手で顔を押さえて嗚咽を繰り返す水銀燈を前に静かに…激しい怒りがこみ上げてきた<br>
その時、部屋の窓ガラスがコンコンと叩かれた<br>
ジュンが顔を向けると、すでに日が暮れて暗い窓の外により一層黒い影が映っていた。ジュンが窓を開けるとそこには先程のカラス、ジャミアンがいた<br>
ジ「分かったのか!?」<br>
ジャ『えぇ、奴っこさん街外れにあるでっかい廃屋に隠れてるみたいです。』<br>
ジ「そうか、ありがとう…」<br>
ジャ『いいってことっすよ、黒王の旦那には世話になってますからね。さぁ、行くんでしょ?誘導は俺がしますから急いでくださいな。』<br>
ジ「あぁ、すまない。」<br>
ジュンは窓を閉めて振り返ると部屋に水銀燈を残して外へと駆け出した<br>
黒『お待ちしておりました、我が主。』<br>
小屋の前まで行くとすでに黒王が拳王の衣を用意して待機していた<br>
ジ「よしっ…出るぞ、黒王!!」<br>
ジュンは拳王の衣を身に纏い黒王に飛び乗ろうとした<br>
その時であった…<br>
銀「ジュン!!」<br>
突然後ろから声を掛けられ、ジュンが慌てて振り向くとそこには水銀燈が立っていた<br>
ジ「水銀燈…どうした?」<br>
銀「めぐを助けに行くんでしょ?なら…私も連れて行って!!」<br>
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<p>ジ「!?」<br>
ジュンは水銀燈の言葉に驚愕した。彼女には自らのもう一つの顔は知られてはいないはずなのに…<br>
ジ「駄目だ…みすみすお前までも危険な目に合わせるわけには…」<br>
銀「ジュン!!」<br>
すると水銀燈は懐から黒い羽の付いたダーツを取り出すとそれを自らの喉に当てた<br>
ジ「なっ…お前何やってんだよ!?」<br>
銀「もう一度言うわ…私を連れて行って…じゃないと、ここで死ぬわ…」<br>
ジ「馬鹿を言うな!早くそれを下ろせ!!」<br>
銀「私は本気よ…めぐは私の親友…それを目の前で奪われてじっとしてられるわけないじゃない…<br>
今度こそめぐは私が助けてあげたい…これは私がやらなくちゃいけないこと。今ここで指を食わえて待ってたら…私は一生めぐを親友なんて呼べなくなってしまう!!」<br>
ジ「水銀燈…」<br>
水銀燈の紅い瞳にはうっすらと涙が滲んでいた、しかしその奥にある思い…揺るぎない決意と信念はジュンにもはっきりと理解できた<br>
ジ「…わかった、僕の後ろに乗れ。」<br>
ジュンは黒王に飛び乗ると親指で自分の後ろを指した<br>
銀「ジュン…えぇ、わかったわぁ。」<br></p>
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<p>黒『よろしいのですか?我が主…』<br>
ジ「しょうがないさ…あんな瞳をされちゃ、断るに断れないよ。」<br>
そうしているとジュンの背後に水銀燈がひらりと飛び乗ってきた<br>
銀「OKよぉ…さ、行きましょう。」<br>
ジ「よし、けど絶対に無茶な真似だけはするなよ?」<br>
銀「分かってるわよぉ…」<br>
ジ「それならいいけど…」<br>
ジャ『旦那、くっちゃべってる暇があるんですかい?』<br>
上空を旋回しながらジャミアンが言った<br>
ジ「あぁ、そうだったな…水銀燈、僕にしっかり掴まってろよ?」<br>
銀「え…えぇ。」<br>
ふいにジュンの腰に水銀燈の両腕が回される<br>
ジ「よし、黒王、出るぞ!!」<br>
黒『はっ!!』<br>
ジュンは黒王の手綱をしっかりと引き絞った<br>
すると黒王の巨体は嘶きを上げて疾走を始めた<br>
ジャ『旦那、跳ばしますぜ…付いてきてください!!』<br>
黒『ふんっ…誰に言っておるか…はぁっ!!』<br>
上空を飛び誘導するジャミアンを追って黒王が走る<br>
黒い巨体は更に加速を増し空気を切り裂きながら夜の闇の中を疾走していった<br>
銀(くっ…なんてスピードなの…目を開けていられない…)<br>
水銀燈は黒王の全力疾走の中でジュンの背中にしがみつくのがやっとであった<br>
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ジ「水銀燈、振り落とされないようにしっかり掴まってろよ…」<br>
ふいにジュンの声がかけられる<br>
銀「…ジュ…ン?」<br>
水銀燈が顔を上げると、そこにはただ真っ直ぐに前だけを見据えるジュンがいた。<br>
だが、後ろ姿でもはっきりとわかる雄々しさを水銀燈はひしひしと感じていた。<br>
それは普段の桜田ジュンという少年とはまるで違う力強い漢の背中であった。<br>
銀「えぇ、わかったわぁ…」<br>
『ぎゅっ…』<br>
それから水銀燈はただただ無言でジュンの頼もしい背中に掴まっていた<br>
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それから数十分後…ジュン達は街外れにある山の中の小道の前にいた<br>
ジャ『連中はこの奥の潰れたホテルの中です。』<br>
黒『ご苦労であったな…また改めて礼はする。』<br>
ジャ『へぃ、では…ご武運を…』<br>
そう言うとジャミアンは夜の闇の中を飛んで行った<br>
ジ「よし、行くぞ。」<br>
ジュン達は暗い小道をゆっくりと進んで行った…<br>
しばらく行くと、暗がりの中に徐々に大きな建物が見えてきた。だがその外観は苔むしており、とても人が立ち入れないような雰囲気を漂わせていた<br>
銀「…あれは!」<br>
ふいに水銀燈が声を上げた<br>
ジ「どうした?」<br>
銀「間違いない…あの時の車だわ!」<br></p>
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水銀燈が指差した先には一台の黒塗りのベンツが停まっていた<br>
ジ「どうやらビンゴってとこか…しかし、何で奴らはめぐを…」<br>
銀「みんなは知らないだろうけど…めぐは有名な製薬会社の社長の一人娘なのよ…」<br>
ジ「なんだってぇ!?初耳だぞ?」<br>
銀「そりゃあ言ってなかったものぉ…柿崎製薬って聞いたことない?」<br>
そう言われてジュンは思い出した。柿崎製薬と言えばジュンのような人間でも聞いたことがあるような大手の薬品会社だ<br>
ジ「おいおい…なんでそんなお嬢様が僕らと同じ庶民の学校にいるんだよ?」<br>
銀「それは…めぐが私と一緒の学校じゃなきゃ行きたくないって駄々をこねたかららしいのよぉ…」<br>
ジ「あ~…なんか納得。」<br>
黒『それより、どうやら正面に見張りがいるようですね…如何いたしますか?』<br>
黒王が目を向けた先には二人の屈強な男が煙草をふかしながら立っていた<br>
ジ「…よし、ここは…」<br>
ジュンはヒソヒソと小声で話すと再び黒王の手綱をしっかりと握った<br>
ジ「さてと…行くぞ!黒王!!」<br>
黒『御意!!』<br>
そして黒い巨体は再び弾丸となり廃屋へと疾走を始めた</p>
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同じ頃、廃屋の中…ホテルのロビーに当たる場所にめぐは体を縛られ転がされていた<br>
その周辺には黒いスーツを着た数人の男達がめぐを見下ろし不適な笑みを浮かべていた<br>
男「蛇魅羅の兄貴、社長宅に脅迫電話しときましたぜ。金は午前0時丁度に桃種港の倉庫まで持ってこさせやす。」<br>
蛇「よし、ご苦労…」<br>
その男達の中でも一際目立った中年の男は満足そうに葉巻の煙を吐き出した<br>
め「私をどうするつもり?パパならどうせ仕事で私に構うヒマなんてないわよ。」<br>
蛇「へっ…お嬢ちゃんよ、あんたがどう言おうが関係ない。問題は俺が組の幹部になるための金が手に入るかどうかだ…それに、もし身代金が手に入らないとしても…あんた程の上玉はいい金になりそうだしなぁ。」<br>
男はめぐを見下ろすとにやりとおぞましい笑みを浮かべた<br>
め「ふざけないでよ…あんたらみたいな男に汚されるくらいなら死んだほうがマシ…」<br>
蛇「ほう…なかなか気丈だねぇ、お嬢ちゃん。」<br>
め「近寄らないでよ、あんたみたいなブ男…見てるだけでゲロが出そうだわ。」<br>
蛇「へっ…調子に乗ってんじゃねえよ!!こン糞餓鬼がああああああああぁっ!!」<br>
『グイッ』<br>
め「きゃああああぁっ!!」<br></p>
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男は怒号を放つとめぐの長い黒髪を鷲掴みにして引っ張った<br>
め「あが…い…痛…」<br>
蛇「へっ…いい様だなぁお嬢ちゃん…てめぇを生かすも殺すも俺次第なんだよ…分かるだろ?俺もできるなら手荒な真似はしたかねぇんだよ…」<br>
めぐの眼前に男の顔が近付く<br>
め「ぺっ!」<br>
『ピチャ…』<br>
蛇「ぬぐっ…」<br>
めぐは男の顔に唾を吐きかけた<br>
だがそのささやかな反抗は男の怒りを更に買うだけであった…<br>
蛇「てぇめえええ!!ふざけんじゃねええええぇっ!!」<br>
『バシィッ』<br>
め「きゃあっ!!」<br>
男の平手打ちを頬に受けてめぐは吹っ飛ばされた<br>
め「う…うぅ…あああああああぁっ!!」<br>
続いて男はめぐの胸を踏みつけた<br>
激しい痛みと呼吸が遮られることの苦しみでめぐは悲痛な声を上げた<br>
蛇「クソアマが…もう許さねえ…おい、ビデオカメラ持って来い!!」<br>
男「は…はい。」<br>
男は子分に命令した<br>
め「な…何を…ぐぅ…」<br>
蛇「へへっ…人質は生かして返しゃあいいいんだ…ならその前にもうひと稼ぎといくのさ…」<br>
め「……?」<br>
蛇「わからねぇのか?お嬢ちゃん…てめえで裏ビデオを撮らせてもらうんだよ。」<br>
め「なっ!?」<br></p>
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蛇「へへっ…現役女子高生の強姦モノ…高く売れそうだな…」<br>
男はめぐを踏みつけたままにたりと笑った<br>
男「兄貴、準備できましたぜ。」<br>
蛇「おぅ。へへへ…さぁ、お楽しみの始まりだ…」<br>
男はめぐの体を掴むとズルズルと引きずり始めた<br>
め「いや!いやああああぁっ!!誰かああああぁっ!!助けてえええええ!!」<br>
めぐは涙で顔をぐしゃぐしゃにし、足をばたつかせながら必死に助けを求める<br>
男「うるせえ!これでも喰わえてな!!」<br>
め「むぐっ…んん~!!」<br>
男はめぐに布を噛ませて彼女から言葉を奪った<br>
蛇「へっへっへ…久々の上玉じゃねえかよ…じゃあまずは俺が一番手だな…」<br>
男の1人がめぐに馬乗りになる<br>
め(ああ……水銀燈…助けて…)<br>
めぐの目から一筋の涙が零れたその時であった<br>
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「うわあああああああぁ!なんだてめぇはぁぁ~…ひでぶっ!!」<br>
「兄貴、兄貴いいぃ~…あべしっ!!」<br>
ホテルの入り口から見張りの子分たちの絶叫が聞こえてきた<br>
蛇「な…なんだ?」<br>
建物の中の男たちが一斉に入り口の方を見た次の瞬間…<br>
『ドゴオオオオオォォォ!!』<br>
凄まじい音と共に入り口の扉が吹き飛んだ<br></p>
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<p>蛇「な…なんだぁ?」<br>
男達が言葉を無くしている中、もうもうと立ち上る砂塵の中から巨大な黒い影が姿を現した<br>
蛇「なっ…誰だてめぇは!?どっかの組の回しモンかぁ!?」<br>
「ふっ…我はただうぬらを葬るためにここに来た死神だ…」<br>
男「死に神だぁ?ざけんな餓鬼がああぁ!!」チャキ<br>
男の1人が懐から拳銃を取り出す<br>
「撃ちたければ撃つがよい…そのような玩具は我には通じぬ。」<br>
男「ンだとぉ…寝言は、あの世で言えやあああぁ!」<br>
『ガァン!』<br>
男が引き金を引き、周囲に轟音と硝煙の匂いが広がった…だが<br>
「ふんっ…児戯だな。」<br>
男「な…嘘だろ?」<br>
男の放った銃弾は黒いマントに遮られ、標的を射抜くことはなかった…<br>
蛇「てめぇ…何者だ!?」<br>
「我が存在を問うか…よかろう!冥土への餞だ、しかと聞くがよい!!」<br>
夜の如き漆黒の衣を翻し、影は男達を睨みつけながら高らかに叫んだ<br>
JUN王「我はJUN王、天を目指す者だ!!」<br>
<br>
続く<br></p>