「Please,stay by my side forever...」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら
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<p>「はぁ…緊張するなぁ…」<br>
僕は携帯を握り締めて一人呟いた。<br>
彼女に電話するなんて慣れているはずなのになぁ…やっぱり「コレ」が原因かなぁ…<br>
「…明日こそ君にこれを渡さなきゃな…」<br>
僕の手に握られているのは一つの小箱。中身は給料の3ヶ月分をはたいて買った綺麗なエメラルドの指輪。<br>
そう。僕は明日…愛する彼女にプロポーズするつもりなんだ。<br>
<br>
「うー…よし！腹くくるか…」<br>
震える手で電話帳の彼女の名前を探す…お、あったあった。「通話」…と。<br>
<br>
プルルルル…プルルルル…<br>
<br>
毎度毎度このときは落ち着かない。僕だけかなぁ…？<br></p>
<br>
<p>プルルルル…ガチャッ<br>
<br>
「はぁい…ジュン…どぉしたのぉ…こんな時間にぃ…」<br>
「悪い悪い…あのさ…明日って…水銀燈ヒマかな…？」<br>
「明日ぁ…えっとぉ…大丈夫よぉ。それがどぉしたのぉ…？」<br>
「よかったら…さ、久々にデートしないか？ほら、最近互いに忙しくてあんまり会えなかっただろ？」<br>
「ホントぉ！？行く行くぅ！でも嬉しいわぁ…ジュンから誘ってくれたのって初めてじゃなぁい？いつもは私が誘うほうなのに…」<br>
そう言ってクスクスと笑う彼女。<br>
「うん…なんかすごく水銀燈に会いたくなってさ…」<br>
「もぉっ、嬉しいこと言ってくれるじゃなぁい♪じゃぁもう今日は早めに寝たほうがいいわねぇ…」<br>
「そうだな…じゃぁ明日の11時に薔薇公園でいいかな？」<br>
「わかったわぁ。ふふふっ…遅刻しちゃダメよぉ？」<br>
「う、わかってるよ…それじゃまた明日な。」<br>
「はぁい。オヤスミぃ♪」<br>
<br>
ガチャッ</p>
<br>
<p>
「つ、疲れたぁ…たかが電話にこんなに疲れたの初めてだよ…」<br>
きっと世の中のプロポーズをする男性ってみんなこんな気持ちなんだろうなぁ…<br>
さて、僕もそろそろ寝なきゃ…明日だけはいつもみたいに「また遅刻よぉ～？」なんて言われるわけにはいかない。<br>
部屋の電気を消し、僕は眠りについた。<br></p>
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<p>「ふぁ…んー…まだこんな時間か…」<br>
ただいまの時刻は5:30<br>
いつもなら窓からさしこんでくる眩しい朝日よりも、今日は早く目が覚めてしまった。デートの約束をしたらいつも寝坊しちゃうんだけどなぁ……<br>
「僕は遠足前日の小学生かっての…」<br>
一人嘆いてみるが、もちろん返事はない。まぁあったらあったで怖いけどさ。<br>
「まぁいいか…二度寝なんかしたらホントに遅刻しちゃいそうだし。」<br>
ご飯食べてテレビでも見てたらすぐ時間になるだろうしね。<br>
</p>
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<p>ただいまの時刻は約10時。<br>
「そろそろ準備するか…」<br>
僕の家から薔薇公園までは歩いて20分ほど。つまり遅刻しないためには遅くとも10時35分には家を出なければいけないのだ。<br>
洗面所でいつもより長く鏡を見て、寝癖がないか何度も確かめる。<br>
「…これもちょっと使ってみようかな。」<br>
手にとったのは先日彼女に貰った香水。<br>
「ジュンもオシャレに気をつかいなさぁい？」<br>
とのことらしい…<br>
使い方がよくわからないので、軽く首筋や手首にふりかける。<br>
ん…結構いい香りだな…<br></p>
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<p>「よし。後は服…と。」<br>
先日友達の真紅にコーディネートしてもらって買った、白をベースにしたシンプルなシャツを手にとる。<br>
「んー…やっぱりおろしたてだから違和感あるなぁ…ってうわっ！もう10:25かよっ！」<br>
急いで慣れないシャツに袖を通す。<br>
<br>
「よし…頑張るぞ…」<br>
<br>
さぁ、君の待つ公園へ…<br></p>
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<p>公園までの道で僕は大きなため息をもらす。<br>
「はぁ～…緊張するなぁ…水銀燈…プロポーズ受けてくれるかなぁ…」<br>
彼女に捧げる言葉と、ポケットの中の指輪に少し不安を感じる…しかし、それ以上に強い『誓い』が僕にはあるんだ…頑張らなきゃ！</p>
<br>
<p>ここは薔薇公園…ただいまの時刻は10時50分。<br>
<br>
「あ、水銀燈もう来てるのか…お～い！水銀燈～！」<br>
手をぶんぶん振りながら彼女に呼びかける。<br>
彼女は恥ずかしそうにうつむきながらも手を振りかえしてくれる。<br>
<br>
「もぉっ、こんなとこで大声出さないでよぉ～…恥ずかしいじゃなぁい…」<br>
「ごめんごめん…久しぶりに水銀燈の顔を見れて嬉しかったから…つい…」<br>
「はぁ…まぁいいわぁ…そういえば今日は遅刻しなかったじゃなぁい♪えらいえらぁい♪」<br>
そうやって僕の頭を撫でながら優しく微笑む彼女。<br>
いや、まぁ頭撫でられるのは嫌いじゃないんだけどさ……なんかなぁ…<br>
<br>
「ほらほら、むくれてないでいきましょぉ？久しぶりので・ぇ・となんだからぁ♪」<br>
そう言って僕の手をとる彼女はとても幸せそうで…これだけでも今日誘ってよかったと思う。まぁ本来の目的は別にあるんだけどね。<br>
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<br>
<p>その後は久しぶりのデートを存分に楽しんだ。<br>
クレーンゲームでくんくんのぬいぐるみをとってあげるととても嬉しそうな顔をした彼女を見て僕も嬉しくなったり、<br>
ブティックできわどい服を手にとり「これでジュンを悩殺してあげるわぁ…♪」と妖しい笑みを浮かべる彼女にドキドキしたり、<br>
バッティングセンターで豪快にかっ飛ばす彼女にびっくりしたり……<br>
気がつくと僕の時計はあっという間に午後8時をさしていた。<br>
<br>
僕たちは再び薔薇公園に帰ってきた。<br>
彼女は1日中歩き回って疲れたのか、「ベンチに座りましょぉ？」と言った。<br>
実は僕も結構疲れてたからその提案はすごく嬉しかったり…口には出さないけどね。ほら、男ってヘンなところで意地っ張りだろ？<br>
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そんなわけで僕らは今小さなベンチに二人寄り添って腰かけている。<br>
「ふぅ…今日は楽しかったわぁ…時間がすごく早く感じたわぁ…」<br>
「僕も…あ、なぁ水銀燈…今からあの場所へ行ってみないか？」<br>
「あのでぇっかい桜の木ぃ？いいわねぇ、行きましょうかぁ♪」<br>
<br>
『あの場所』…それは僕と彼女が初めて出会った場所。<br></p>
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<p>
満開の桜の木の下で綺麗な歌声を響かせていた彼女に見とれ、歌が終わったころには自然と声をかけていた。<br>
<br>
「綺麗な声だね。」<br>
「あら…貴方だぁれぇ？もしかして…今の聴いてたのぉ…？」<br>
「うん。最初から最後までバッチリと。」<br>
「えぇっ…恥ずかしいわぁ…//」<br>
「ふふふっ…でもホントに綺麗な声だったよ。あ、そういえば君の名前は？僕は桜田ジュンって言うんだ。」<br>
「うー…水銀燈よぉ…//」<br>
<br>
この日から僕の全てが始まったんだ…<br>
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「懐かしいな…あれからもう6年か…」<br>
「えぇ…あのときはいきなり話しかけてきたからナンパかと思ったわぁ」<br>
「ひどいな…そんなに軽い男に見えるの？」<br>
「そんなんじゃないけどぉ…あ…ほら、この木じゃなぁい？」<br>
「ホントだ…相変わらずでっかいなぁ…」<br>
「私はこの木の下で歌ってたのよねぇ…」<br>
<br>
あの日と同じ場所に立つ僕たち。<br>
あの日と違うことと言えば桜が全て散ってしまったことと、夜だということくらい。<br>
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「(そろそろかな…)」<br>
ポケットの中のものを握り、僕は決意する。<br>
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「ねぇ水銀燈…ちょっと話があるんだ…いいかな？」<br></p>
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<p>
「どぉしたのぉ？あらたまっちゃって…まぁいいわぁ。なぁにぃ？」<br>
<br>
「水銀燈…僕はね、君と出会ってからたくさんのものをもらったんだ。眩しいほどの笑顔、全てをつつみこんでくれる優しさ、そして…とても大きな愛。」<br>
「ジュ、ジュン…いきなりどぉしたのぉ？//」<br>
「僕は君を傍に感じるだけで幸せになれる。君が僕の傍で笑うだけで強くなれる。君と一緒なら…どんな壁も乗り越えていけると思う。だから…」<br>
<br>
「結婚しよう」<br>
<br>
「ジュン……それ…ホントぉ？」<br>
「あぁ…このためにこれも買ったんだ…ほら。」<br>
僕はポケットの中から小箱を取り出し、彼女の前でそれを開いた。<br>
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「僕の給料じゃそんなに高いものは買えなかったけど…受け取ってくれるかい？」<br>
</p>
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<p>ふと彼女の瞳から涙がこぼれる。<br>
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「す、水銀燈？」<br>
「ち、違うのぉ…嬉しくて嬉しくて…最近ほとんど会えなかったから、もしかしたらジュンに嫌わたんじゃないかと思ってたのぉ…<br>
だからジュンからデートの誘いが来たときはすごく嬉しかったわぁ…<br>
それに…こぉんな嬉しい言葉とプレゼントをもらって…水銀燈はホントに幸せよぉ…」<br>
「水銀燈…じゃぁ…？」<br>
「断るわけないじゃなぁい…私なんかでよかったら…結婚してください…」<br>
「水銀燈…必ず…君を幸せにするから。」<br>
「うん…うん……私も絶対に貴方を幸せにするわぁ…」<br>
そう言うと彼女の涙腺は決壊し、大粒の涙がボロボロとこぼれだした。<br>
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<p>「……落ち着いた？」<br>
「うん…ごめんねぇ…あまりにも嬉しかったから…」<br>
「気にしないでいいよ。喜んでもらえてすごい嬉しかったから…」<br>
「ふふふ…あ、ねぇジュン…この指輪…貴方がつけてくれなぁい？」<br>
そう言うと彼女はそっと自分の手をさしだした。<br>
「あぁ…」<br>
月の光を受けて輝くエメラルドの指輪を彼女の指にはめる。<br>
これなんだか緊張するな……<br>
「ふふっ…ありがとぉ。綺麗だわぁ…」<br>
「…気にいってもらえた？」<br>
「もちろんよぉ。ねぇジュン…？」<br>
「ん…？」<br>
「水銀燈は…今すごく幸せよぉ…」<br>
「僕もだよ……幸せになろうな？」<br>
「うんっ！」<br>
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そして僕らは優しいキスをかわした。<br>
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<br>
ねぇ水銀燈…僕と君の翼はまだ小さいけど…君と同じならどこまでも羽ばたいていけそうだよ。<br>
だから…僕の手を決して離すなよ？僕も決して君を離さないからさ。<br>
Please,stay by my side forever...</p>
