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第八十三話 JUMとカラオケ」(2006/11/23 (木) 22:51:32) の最新版変更点

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<p>「一つ屋根の下 第八十三話 JUMとカラオケ」</p> <br> <br> <p> 「「と~なり同士あ~なた~とわ~たしさくらんぼ~!」」<br> 僕の前では、カナ姉ちゃんとヒナ姉ちゃんが楽しそうに小躍りしながらマイクを握って歌っている。<br> どこにいるかって?そんなの、カラオケ以外ないでしょう。<br> 事の発端は先日。蒼姉ちゃんが買い物の時に、近くにオープンしたカラオケボックスの割引券を貰って<br> 来た事だ。そういえば、最近カラオケ行ってないね~って話になり……まぁ、後は当然のように、じゃあ<br> 行こう。って話になったわけです。銀姉ちゃんの運転する車に乗って、カラオケボックスに行き<br> 「今日は歌いたいから耐久レースよぉ。」とか意味不明な事を銀姉ちゃんが言って6時間コースを<br> 選択しおった。それからようやく2時間が経過。姉ちゃん達は交代しながら思いっきり歌っていた。<br> 一応めぐ先輩と、柏葉を誘ったんだけどめぐ先輩は病院で検診だからアウト。柏葉も部活の試合があった<br> らしい。べジータ?ああ、あいつは駄目。あいつは空気読めないし。暑苦しいし。<br> 「ん~、なかなか調子出てきたわぁ。ここからが本番ねぇ~。」<br> 銀姉ちゃんがウーロン茶を飲みながらカラオケコードの本をめくる。ノリノリだ。<br> 「蒼星石も一緒に歌うですよぉ~。」<br> 「ええ!?だ、駄目だよ僕は……そんなアイドルソングはちょっと……」<br> 「あら、歌は淑女の嗜みだもの。私も負けないわよ?」<br> 「……今日は……ブリトラを極めよう……」<br> 「あ、受付の方ですか?牛丼とラーメンと焼きソバと唐揚げとピザと炒飯とカルビ丼下さいな。」<br> とまぁ……歌ってるカナヒナコンビを筆頭に何だかんだで姉妹はみんな楽しんでるわけで。</p> <br> <p><br> 「さぁ、調子も上がってきたしぃ~。ザフトの……もといアリス高校の歌姫の実力見せてあげるわぁ~。」<br> 銀姉ちゃんがフフンと胸を張って言う。ところで、今ザフトのって言いませんでした?それに、アリス高校の歌姫は<br> めぐ先輩なんじゃあ……そんな事思ってると歌のイントロが始まり、銀姉ちゃんが歌いだす。<br> 「♪粉雪舞う季節はいつもすれ違い♪」<br> 華麗な歌声がメロディーにあわせて流れてくる。その旋律は正に夢見るように……<br> 「水銀燈の十八番がきやがったですぅ……調子上げてきやがったですね……」<br> 翠姉ちゃんが言う。十八番だったんだ、これ……僕はてっきりピンクのお姫様の歌でも歌うのかと。<br> 「男性ボーカルの歌も綺麗に歌い上げるのは流石ね。わぁ、私には敵わないでしょうけど…」<br> 真紅姉ちゃんが次に歌う曲を探して本をペラペラめくっている。真紅姉ちゃんが何気にカラオケ好きなのは<br> 意外かも。僕が知らないだけで、結構姉妹や友達と行ってるのかもしれないなぁ。<br> 「こなぁあああゆきいいいい!!ねぇ 心まで白くそぉめらぁれたならぁ!!」<br> 只今サビを熱唱中。流石、と言うべきなんだろうか。男性ボーカルの歌を女性が歌うと楽々高音に届く<br> せいか、余計綺麗に聞こえる。ちなみに、銀姉ちゃんはリミッターは解除するけど、決して歌はジャイアン<br> ではないので悪しからず。<br> 「うんうん、美味いですわ……うんうん……」<br> 「キラ姉ちゃんさ。歌を褒めてるのか料理を褒めてるのかどっちなんだ?」<br> 「もぐもぐ……ん~…両方ですわ…もぐもぐ」<br> さいですか。ちなみに、キラ姉ちゃんはさっきから食べてばっかりで実は一曲も歌ってません。</p> <br> <p><br> 「次は翠星石の番ですぅ。耳かっぽじってよぉく聞けですよぉ?特にJUM!!」<br> 翠姉ちゃんが自信満々にマイク越しに声を響かせる。そんな声出さなくても聞こえるからさ。<br> そう思ってるとしっとりとしたイントロが流れてくる。あー、この歌は知ってる。<br> 「♪ねぇどうして?凄く凄く好きな事ただ伝えたいだけなのに 上手く言えないんだろう♪」<br> 往年の名曲だ。テレビとかでラブソングベスト100とかやると、必ず上位に食い込んでくる。<br> 「♪ねぇせめて 夢で会いたいと願う時に限って 出てきてはくれないね♪」<br> 翠姉ちゃんが顔を赤くしながら僕を見て歌う。えーっと、何ですか?これ……<br> 「翠星石…やる……歌声と歌詞でアピール……」<br> 薔薇姉ちゃんが相変わらず小さな声でポソっと言う。そんな事言われても僕はリアクションしにくいんですが……<br> 翠姉ちゃんも翠姉ちゃんで、そんな恥かしいならやらなければいいんでは……とは怖くて言えない。<br> 「ふふっ、翠星石らしいなぁ。直接言えないから歌で……かぁ……」<br> 翠姉ちゃんの双子の片割れが何か微笑ましそうにそんな事仰ってます。いやまぁ……うん……<br> 「♪なぁみぃだがぁ~出ちゃうんだろぉ~……ど、どうでしたかぁ、JUM?」<br> 華麗に歌い終えた翠姉ちゃんがオズオズと僕にコメントを求めてくる。<br> 「うん、上手だったよ。」<br> 「……そ、それだけですかぁ!?」<br> 「うん。あれだって、美味しいものは美味しいとしか言えないみたいに、上手だったのは上手としか……」<br> 「~~~!!そんな事聞いてるんじゃねぇです!!ああ、もう!!JUMなんぞ知らないですぅ!!」<br> 相変わらず乳酸菌が足りてない翠姉ちゃん。銀姉ちゃんよりよっぽど摂らないといけない気がする。</p> <br> <p><br> 「じゃあ、次は僕の番だね。」<br> お次は蒼姉ちゃんみたいだ。蒼姉ちゃんは、男性ボーカルの曲が多い。とうか、女性の歌はあまり聞かない。<br> 「♪僕の背中は自分が 思うより正直かい~♪」<br> マッキーだ。顔の割りに結構声が高めだし、蒼姉ちゃんは好んで歌ってる。<br> 「まぁ~ったく、何だって蒼星石は男の歌ばっかり。そ、そりゃあちょっとは格好いいかもぉとか思ったり<br> しなくもないですけどぉ……」<br> 「男女の歌問わず歌えるのは、声の幅が広いって事かしら。それを上手く使い分けてる蒼星石は凄いわ。」<br> 「そうよねぇ。私も男性ボーカルの歌は粉雪しか歌わないしぃ~。」<br> 「うゆ~、蒼星石とっても歌上手なのぉ~。」<br> と、本人には聞こえてない賛辞が飛び交う。正直、僕も蒼姉ちゃんは凄いと思う。歌おうと思えばかなり<br> 高めの女性ボーカルの曲も歌えるだろうし。まぁ、蒼姉ちゃんが人前でそれを歌う事は滅多にない。<br> 「♪どんな時も どんな時も 僕が僕らしくあるために 好きなものは好きと 言える気持ち抱きしめてたい♪」<br> 「……蒼星石は…マッキーの曲は共感できて好きってよく言ってるよね……こうやって歌詞を見ると…<br> 何となく分かる気がする……」<br> 「そうね。少し消極的でネガティブな子だけれど、もう少し積極的になりたいのかもしれないわね。」<br> 薔薇姉ちゃんと真紅姉ちゃんが言う。もしかしたら、歌の本質ってそういうものかもしれないなぁ。<br> 自分の思いを、面と向かっては言えない言葉を旋律に乗せて……</p> <br> <p><br> 「さ、次は私ね。とくと味わって頂戴。」<br> 真紅姉ちゃんか。何を歌うのか、少し想像できない。まさか、くんくん探偵のOPソングって事はないだろうけど。<br> 「ふっふっふ、真紅は結構乙女な歌を歌うかしら。」<br> 「そうなのそうなの。ヒナやトモエと一緒に行く時いつも練習してるの~。」<br> 乙女な歌を歌う真紅姉ちゃんか……何故だか余り想像できないような……<br> 「♪悩んでる体が熱くて 指先は凍えるほど冷たい♪」<br> 成る程、確かに乙女だ。それも、恋する乙女の歌だった。<br> 「真紅がaikoですかぁ…てっきりくんくんのOPでも歌うかと思っていたですぅ。」<br> 僕もそう思ってました。しかし、予想外と言えば失礼だけど、真紅姉ちゃんの歌は心に届く綺麗な歌声だった。<br> ゆっくりのメロディーと共に、優しい気持ちになれる。そんな歌声だ。<br> 「♪少し背の高い~ 貴方の耳に寄せたおでこ~♪」<br> ふと、僕は真紅姉ちゃんとの身長差を思い浮かべる。これは偶然なのか、真紅姉ちゃんのおでこの位置は、<br> 僕の耳辺りだったりする。<br> 「♪あぁまぁい~匂いにぃ~ 誘われたあたしはカァブトムシ~♪」<br> 僕は甘い匂いなんて発してませんが。香水なんて洒落たものしてないし、シャンプーもメリットだし。<br> でも……一瞬真紅姉ちゃんと目が合い。僕はドキドキした。ついつい、僕の耳におでこを寄せる真紅姉ちゃんを<br> 想像してしまう。いかんいかん、おでこと言えばカナ姉ちゃんだろうに。<br> 「♪生涯忘れる事はないでしょう………ふふっ、どうだった?」<br> 「あ、うん……何て言うか…ドキドキしたと言うか……」<br> 僕はしどろもどろに答える。しかし、真紅姉ちゃんは何故か満足そうだった。そんな光景を見て不満そうなのは<br> 薔薇姉ちゃんだ。何かを考えるように頭を捻り数秒後、ニヤリと笑う。<br> 「じゃあ……私も歌うね……」<br> 画面に間抜けなイントロと一緒にタイトルが映し出される。そのタイトルは『ぺチャパイ』だった。</p> <br> <p><br> 「ぺぺぺぺ………ぺチャパイ この小さな胸で ぺチャパイ 夢が育ってる♪」<br> その場にいた全員が真紅姉ちゃんを見る。<br> 「な、何よ。何が言いたいの?」<br> 真紅姉ちゃんがムッとする。明らかに薔薇姉ちゃんの嫌がらせだ。<br> 「別に…今日はブリトラ制覇したいから……ぺチャパイは外せないだけ……クククッ……別に真紅の事じゃ<br> ないし…ちゃんとこの歌あるんだよ…?それとも……自覚あるの?」<br> 「なっ!?そ、そんな事あるわけないでしょう!?早く歌いきりなさい。」<br> そうは言うけれど、真紅姉ちゃんは全然無視できてないわけで。<br> その歌詞が歌われるごとに自分の胸を見て溜息を吐く。当てはまってるんだろうか。<br> 明らかに真紅姉ちゃんはイライラしている。しかし、薔薇姉ちゃんは気にも留めず歌い続ける。<br> 「♪ぺチャパイ 痴漢にあいにくい ぺチャパイ Tシャツ伸びない ぺチャパイ 仰向け苦しくない ぺチャパイ <br> 肩が凝らない ぺチャパイ ノーブラでもばれない ぺチャパイ鞄食い込まない ぺチャパイ お風呂溢れない <br> ぺチャパイ 年取っても垂れない ぺチャパイ 汗疹出来難い♪」<br> これが歌詞の通りだから凄まじい歌だ。さすがお馬鹿ソングの集大成、ブリトラ。</p> <br> <p><br> 「へぇー…肩凝らないんだ……羨ましいなぁ。」<br> 「鞄食い込まないのはいいですよねぇ。学校の鞄食い込むから好きじゃねぇですぅ。」<br> 「流石にカナでも仰向けで寝ると苦しいかしら。」<br> 「そういえば、この前私痴漢に会いましたわね。捻りあげましたけど♪」<br> 「そうなのよねぇ、垂れないように努力するのが大変なのよねぇ。」<br> 「そういえば、ヒナのTシャツ最近伸びちゃってるの~。」<br> 口々に真紅姉ちゃんの血圧を上げる発言をする姉ちゃん達。いやさ、その辺で勘弁してあげてください。<br> 「♪ぺチャパイ この小さな胸は ぺチャパイ 真紅専用♪」<br> あ、最後改変しちゃった。同時に真紅姉ちゃんがブチ切れる。<br> 「や、やっぱり私の事じゃないのーーーーーー!!!!」<br> 「抜け駆けした罰……」<br> 「はいはーい!次はヒナが歌うの~!!」<br> 「じゃあその次はカナよ!カナの歌を聞くかしら~!!」<br> 残り時間がまだ3時間以上あるのにこのハシャギぶり。楽しい事は楽しいけど、体力が持ちません。<br> まぁ、でもこの馬鹿騒ぎがローゼン家って感じもするし、たまにはいいかな。僕はそんな事を思った。<br> P.S キラ姉ちゃんは6時間食べっぱなしでした。<br> END</p>

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